【完結】朝起きたら色綾まどいになってました   作:発火雨

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連続更新ですが元々一話の予定が長くなりすぎたので分割しただけ。
次回掲示板回予定!つまり世界観の説明回になります。
皆様の疑問にお答えできればいいなぁ。


砂山ノボル

 慌ただしく会議室を抜け出し、誰もいない自分専用の編集室に入り鍵を掛ける。周囲に誰もいないことを確認し暗号回線を立ち上げる。

 

「はいはい、こちら砂山……、わかってる、まさか熱斗君が予選を忘れてるなんて予測できるわけないだろ……、あぁ、シャドーマンを向かわせたからすぐに片が付く。そのままケロちゃんが予選会場まで連れて行くから問題ない」

 

 電話の向こうでは機械的な音声が聞こえてくる、男か女かもわからないその音声は明らかに加工され正体が露見しないようにされていた。

 

「もちろん、俺たち三人の計画のために光熱斗と伊集院炎山を本戦まで残らせるのは確定事項だ。予選だって小細工なしでも二人なら必ず突破してくるから、参加さえさせちまえば何の問題もない。わかってる、俺だってこの企画に人生掛けてヤバい橋もかなり渡ってる、そいつは知ってんだろ?」

 

 電話の相手は沈黙する。しばらくの静寂の後、再び電子音が聞こえてきた。

 

「そいつは助かる、それじゃそっちの穴埋めは任せた。俺の方もあちこちから目があるせいで金で契約したウラランカーしか動かせねぇ、御宅の組織の方で上手いことやって頂戴よ」

 

 そういって彼は通話を切った。

 

「世界一の強者は果たして誰か、光熱斗&ロックマンか伊集院炎山&ブルースのペアが本命だ、そして都市伝説と言われるウラの王や、究極のナビと言われるフォルテ……。ウラの王は直接見たことはねぇが、あんだけ強者のランカーたちを束ねてんだ、まさにウラを統べるに相応しい想像を絶する力を持ってんだろうよ」

 

 テンガロンハットを深く被り直し、一呼吸置く。

 

 砂山はゴスペル壊滅後『WWW』にスカウトされていた、理由は最強のナビとオペレーターを決めるN1グランプリの話を聞きつけたWWWが、そこでネットエージェントとオフィシャルのエース、光熱斗と伊集院炎山をテレビ中継される中倒すことで復活したWWWの力を誇示するためだ。

 

 確かに最高の視聴率を稼ぎ歴史に残る絵を撮るためにはWWWのバックアップは魅力的だろう。しかし、あの映像を見た後では、WWWなんてちっぽけな存在に自分の人生を掛けた企画をゆだねることは考えもしなかった。

 

「ゴスペル首領が蘇らせたドリームウイルスと光熱斗と融合したロックマン、そこに乱入した究極のナビフォルテ、あんな戦い見せられちまったら、俺が企画していた『N1グランプリ』での最強ナビ決定戦なんて霞んじまう」

 

 本来流出されないはずの映像を見てしまった砂山は、自分の思い描いた企画が本物の最強を名乗る存在から見たらいかに陳腐かをわからされた。しかし、彼はそこで諦めなかった、心の奥にくすぶっていた魂の灯が消えることはなかった。

 

 だからすべてを掛けた、当初の予定よりも盛大な世界を巻き込む大会、ウラもオモテも巻き込んだ壮大な世界一決定戦。それこそフォルテが究極のナビを名乗るために乱入しても相応しい大会、自分がスカウトを蹴ったWWWが報復のために攻め込んでもびくともしない大会。自分がため込んだコネクションだけではない、まどいと関わるようになって得たウラや科学省の持つコネも存分に利用した。スポンサーや各国にも参加したり支援することで利益が出るようにし、欲しいエサをぶら下げて協力をこぎ着けた。

 

 国の威信を懸ける、会社の未来を占う、個人の夢を叶える。それにふさわしい大会にまで育て上げた。

 

「俺は最高の絵と視聴率を取るためにここまで来た、そしてその為には光熱斗や伊集院炎山が勝つような世間の予想通りの展開じゃいけねぇ。視聴者が求めてるのは何時だってどんでん返し、想像もつかないような展開なのさ」

 

 そう、予定調和など面白くないのだ。だが裏工作など出来ない、そんなことで勝っても世間は認めない。また、都市伝説のフォルテを引きずり出してもダメなのだ、かつて伝説を残した究極のナビを持ち出したところでただの二番煎じなのだ。

 

「俺が描く最高のシチュエ―ションのためには光熱斗を倒せる存在が必要不可欠、だからダークホースを仕込む予定だったが、ここまで大会のレベルが上がっちまったら俺が自作自演で参加したところで勝ち残れなんかしない」

 

 当初は大会を盛り上げるためにテレビ局側で謎の選手を仕込んで大会を盛り上げようと考えていた。WWWと手を組んだらそこから派遣されるナビやオペレーターをあてがってもよかった。なんならWWWの目的のためなら八百長を仕掛け、人質でも取って勝ち上げても良かった。

 

「俺の方の仕込みは上々、後は本戦でに勝ち上がってくる代表選手を蹴散らして準決勝で伊集院炎山を下し、決勝で光熱斗をぶっ倒せば俺たち全員の夢が叶う」

 

 ふたたび暗号回線で通信を受信する。噂をすればもう一人の協力者様からだ。

 

「はいよ、こちら砂山!ロックマンのバトルデータが遅いって?まだ二次予選に参加してないんだよ、今から受けさせるから問題ない。そのことでもう一人にさっき小言を言われたばかりだ。あぁ、もちろんぶつけるのはウラで名の知れた鉄砲玉よ。ウラランカーからもお墨付きをもらった凄腕だぜ、望み通り良い戦闘の絵が取れるはずさ」

 

 大会に参加した腕利きに運営側のウラの住人達。両者の戦闘データや戦術、使われるプログラムアドバンスやカスタマイズ。これらすべて一流の科学者なら黄金にも等しい価値を見出す、すでに一次予選から二次予選に代わる段階で提供されるウイルスは凄まじいレベルアップを遂げており、生半可なナビの足切りや、強者たちの本戦まで温存したかったはずのプランをいくつか引き出している。

 

「すぐに集めたデータはそっちに送る、頼んだぜ。舞台を整えるのは俺、オペレーターは……。そしてナビのカスタムや調整はあんたの腕に掛かってんだ。三人合わせて『ネットバトラーQ』なんだからな」

 

 向こうから色よい返事を聞き、上機嫌でこれから起こるであろう大会の最高の絵を想い浮かべ、砂山はつぶやく。

 

「人生ってのはドラマみたいだねぇ、最高の大会のためには光熱斗とロックマンを倒す必要があると思ってた俺のところに、あいつらを倒したいなんて奴が二人も揃うとは、しかもそれだけの力を秘めてやがる。中々いい脚本描く奴がいんじゃねぇのさ。まぁ、ここから先は俺の脚本で全部進めさせてもらうけどさ」

 

 自分専用の編集室を出てフラフラと自分のチームがいつも使っている編集室のドアを潜る。

 

「お疲れさん!熱斗君とロックマンはどうなった?えっ、今予選で戦ってる最中?しかもケロちゃんがWWWの陰謀を一緒になって防いでその映像もあるって!?ナイスケロちゃん!早速データ全部俺の編集室宛に送っといて。おうおう、すげぇなロックマン、ウラの住人でも凄腕相手にウイルス連戦の後もあんなに動くのか」

 

 砂山ノボル、彼の協力者のオペレーターと科学者は間違いなく一流だと砂山は自負している。そんな彼らの協力者になぜ一介のテレビマンが肩を並べているのか。

 

「よし、予定変更!報道部行って今回のバブルウォッシュ事件の映像もらって来い、んで、熱斗君にフォーカスして大々的に事件解決をアピール、ケロちゃんに予選後のインタビューの時に事件のことも触れるように指示して、俺はチャチャっと映像編集して視聴者が食いつくあおりで繋いじゃうから。許可?そんなの俺が後でネットエージェントに土下座でもしてなんとでも取る。みんなは余計な心配せずにとっとと動いた!」

 

 それは彼が一流のテレビマンだからであろう。

 

「ほいほい、光さん?ベストタイミング!今御宅のご子息が解決した事件流そうと思ってんだけどさ、OKだよね?はいはい、もちろん世間の不安を煽るようにはしないし、オフィシャルが裏取りを固めたことも報道するよ。えっ?なるべく熱斗君の報道は予選とは結びつけないでほしい?そりゃ無理だ、なんたって事件解決直後に放送予定の二次予選突破しちゃってるもんでね。代わりに炎山君のハイライトも載せてオフィシャルの顔も立つようにして二人のライバル関係を煽るからさ、息子さん一人に変な負担は掛けないよ。それならどう?OK!さすが光さん、話が分かる。今度また打ち合わせに行くからまどいちゃんにしくよろね」

 

 流れるように交渉をしながらも、手元では受け取ったデータを編集し、メモに走り書きで映像を生中継中に差し込むタイムスケジュールをスタッフに渡す。

 

「はいよケロちゃん聞こえる?そうそう、今から映像差し込むからアドリブで繋げてからインタビュー入って、すぐにカンペ出ると思うから膨らませる部分はそこでお願い、映像流してる5分位熱斗君と打ち合わせ出来るからその時にお願いね!映像まで3.2.1.Q!」




『砂山ノボル』

テンガロンハットがなぜか似合うDNNの名物ディレクター。
原作では自身が望む視聴率と絵のためにWWWに加担するが、今作ではとある人物が持ち込んだゴスペル壊滅の極秘映像を見ることになる。その時の最終決戦の映像に自身の企画する大会を超える絵を見出してしまい、己の手でそれを超える絵を求めるようになる。

なお大会のバトルに関してはすべて真剣勝負、演出や仕込みもガンガン行うが肝に当たるバトル部分には一切手を出していない(参加者にどんな相手をぶつけるかは操作しているが、バトルが始まれば一切関与せず)

ネットバトラーQが優勝し歴史に名を遺す絵を求めているが、世界の強豪を打ち倒し、光熱斗と伊集院炎山を打ち倒せるのは協力者二人だと確信している。

『ネットバトラーQ』

年齢、性別、出身地 一切不明。その正体は砂山が用意した大会にどんでん返しをもたらす隠し玉。
元々の企画から用意しようと考えていたが、今作では砂山と二人の協力者が作り上げた大会のダークホース。
テレビ局スタッフからは盛り上げのための仕掛けだと認知されているが、正体は極秘のため誰も中の人を知らない。

きちんと予選もすべて実力で突破している。ただし意図的に報道は控えているので世間の認知度はいまだ控えめ。一部強者はその得体のしれない強さに気付き始めている。

見た目は原作通り、この辺は砂山のこだわりで他二人の協力者に有無を言わせず飲み込ませた。

『砂山の協力者』

別名共犯者、砂山は二人の正体を知っているが誰にも漏らしていない。
外部に漏れるはずのないネットエージェントとオフィシャルが管理する機密データを砂山に見せ、今大会に伊集院炎山と光熱斗を誘う存在。

一人はオペレーター、一人はナビのカスタムをする技術者。
どちらも狙いは世界一の称号や賞品ではなく、伊集院炎山と光熱斗。


『バブルウォッシュ事件』

ネットワーク対応型の食器洗浄機、今のご時世的にあり得そうな商品。時代が追い付いてきた。
その実態は作動させるとインターネットからバブルマンが操作し、大量の爆発性の泡を噴出させ、それで使用者を包み込み時間の経過とともに爆発させてしまう無差別テロを引き起こす兵器。

今回は事前に情報を察知したネットエージェントとオフィシャルの合同捜査で市場に出回る前に事件解決。メイルちゃんやまり子先生が危険な目にあうことは無かった(結果として出番はカット)

『カットマン被害者の会』

本作は進行の都合上出番が増えたキャラもいれば、カットされまくるキャラも多い。
被害者の会会長はメイルちゃん。ヒロインの座を奪われ、事件の早期解決のため巻き込まれる描写すらなくなっている、それどころかライバルの炎山のヒロインルートも解放されていない。

『3』の本来のボスキャラ達も続々とカットマンされている、だって熱斗君が強すぎるのだから。
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