そのあと見返したら原作との矛盾を発見してしまい再度訂正。
本文は書き終えた後、あとがきで用語設定を書いてるので
実はその作業が大変。
でも好きなのよ、用語集みたいなの。
「な、なんだあれ、ロックマン!?」
『僕とそっくりだよ熱斗君、でも僕のサイトスタイルとも違うスタイルチェンジだ』
大会参加者で勝ち残っているものは選手のすぐ後ろの応援席に座ることが出来ない。
そのため決勝戦で戦うことになる炎山を応援するため、父親と一緒に控室に供えられたモニターで準決勝を観戦していた。
「あの特徴的な模様、あまりにもバグのかけらに似ている……、いや、そんなはずは……」
熱斗の横で父の光祐一朗も驚きを隠せない。
謎に包まれたネットバトラーQの持ちナビ。
見た目こそ市販で流通しているノーマルタイプのナビであるが、その基本装備のバスターの威力は明らかにロックマンを超えた性能をしていた。
優秀な科学者であるがゆえにわかる、もしロックマンに同じような性能を求めたとしたら他の機能をかなり制限してようやく近いものが出来上がるであろうことを。
熱斗がこの大会に参加することが決まってから、祐一朗も共に戦う気持ちでロックマンを強化している。
世界最高峰の科学者が生み出し、オペレーターの息子と共に戦えるようにカスタムしたもう一人の息子、ロックマンエグゼ。
愛する息子たち二人を見る親バカではなく、一人の科学者として、ロックマンのカスタマイズには絶対の自信があった。
「確かに、見た目だけならロックマンに似せたナビを作ることも出来るだろう。現に外見データや攻撃方法をコピーするナビはウラの世界に実在する。しかし、あのロックマンの性能はコピーされたものではない、私の知らない技術で作られたものだ」
『性能だけじゃないよパパ、バスターの火力や連射性、チャージ力もサイトスタイルよりも高性能だし、チップの転送速度だってサイトスタイルと互角かも』
先ほどまでの一進一退の攻防とは打って変わり、ブルースと謎のロックマンの戦いはロックマンの一方的な攻撃で進んでいた。
バスターのチャージショットを連続で叩き込み、シールドによる防御は分が悪いと感じたのか、高速立体起動で回避に専念する。
高速で叩き込まれる銃撃の嵐から、ブルースはなんとか逃げ延びて反撃の機会をうかがう。しかし、ロックマンの攻撃には隙が無く、回避に専念するのも限界がある。ロックマンはチャージショットの合間に次々とプログラムアドバンスや攻撃チップを織り交ぜて攻撃してくる。
高火力のプログラムアドバンスやチップこそ回避できているが、回避先に打ち込まれたチャージショットがブルースの体力を削っていく
これで勝負あったかと思われたその時、ブルースは素早く後方に飛び退き、チップを発動させた。
バトルチップ『フミコミザン』チップそのものに踏み込みを強化するプログラムがなされていて、どんなナビでも一瞬の高速移動とソードによる薙ぎ払いを両立させる。
ソード系のチップでありながら、遠距離攻撃を可能にしたこのチップは人気が高く、中々にレアなチップなのだ。
そこにチップなしでフミコミを行えるブルースが使えばどうなるのか、その動きはまるで瞬間移動のように弾幕の隙間を潜り、ロックマンに肉薄する。
しかし、ロックマンはそれすらも予測していたかのようにチャージショットから通常バスターへと攻撃を変更し、ブルースの接近を許さない。
「バスターがいくら高火力だからって、チャージしなかったらブルースの攻撃は止まらない。ソードが入る!」
バトルチップ並みの火力になった一撃のチャージショットから、数をばら撒き確実なダメージを与える方法を取ったネットバトラーQ。
炎山とブルース相手にここまでのナビの性能を見せつけて決定打を与えられず、掴んでいた優位性を手放し戦略を変えた。
いや、相手の得意分野である遠距離攻撃を押し付けられながらも、自分たちの強みで押し返し、相手のリズムを崩した炎山の粘り勝ちだろう。
少なくても熱斗は炎山の意図がわかるし、自分たちと戦ったとして、そうやって自らの不利を押しのけて戦う炎山とブルースは想像に難くない。
現に数発のバスターを食らいながらも完璧なタイミングでロックマンの懐に入り込み、並みのナビならその一撃で勝負か決する威力のソードがロックマンに直撃した。
そこで炎山は流れを止めるようなことはしない、この戦いが始まって初めてのクリーンヒット。
それだけ戦いの流れを互いに手繰り寄せ、支配権を奪い合う激戦を繰り広げたネットバトラーQに油断などしない。
ダメージを食らいながらも表面上は仰け反ることもなく、次の行動へと動いているロックマンに対して必殺の一撃を繰り出す。
『ブルースが何か仕掛けるよ!』
『バリアブルソード』と呼ばれるチップがある。
そのチップは使用者の腕によって形を変え、チップ一枚で様々な可能性を生み出す。
炎山は度重なる特訓の末、そのチップが持つ可能性の極み、四属性のソニックブームを連続で打ち出すエレメントソニックと呼ばれる一撃を完璧なタイミングで打ち出せるようになった。
プログラムアドバンスを凌駕する必殺の一撃は、コンマ数秒の溜めこそ必要ではあるが、一度発動すれば回避は不可能に近い。
もし対峙したのが熱斗とロックマンのコンビであれば、発動自体を妨害するため多少の無理をしても攻撃を合わせただろう。
熱斗もロックマンもエレメントソニックを見るのはこれが初めてだ。
炎山が対ロックマン用に究め、ここまで温存した切り札の一つ。だが、ライバルである二人には何が繰り出されるかわからずとも、炎山とブルースの強さを信じているからこそ、必殺の一撃に対してこちらも必殺の一撃を合わせるという直感的に正解を導き出せる。
そうすれば少なくても、互いに大きなダメージを受けながら両者の天秤の傾きは変わらない。そこからは互いのナビの意地と、オペレーターの技量、コンビの絆が勝敗を分ける。
しかし、ネットバトラーQは攻撃の手を緩め、ロックマンは防御態勢に移行する。
すでに『ドリームオーラ』は破られ、『メットガード』や『バリア』のようなチップでは連続で繰り出されるエレメントソニックを受け止めることはできないだろう。
勝負の分かれ道となるこの瞬間。
この瞬間を察知できたのは、会場にいる人間では腕利きの大会参加者くらいの物だろう。
そして、誰よりも正確に捉えているのは炎山と熱斗、ブルースとロックマン。
奇しくも、互いを認めあうライバルはこれから起こる未来を予測できた。
「エレメントソニックか……、届かん」
しかし、予測された未来をねじ伏せる理不尽を少年たちは知らない。
防御を選択したネットバトラーQのロックマンが発するのは闇の力。
『ドリームオーラ』よりも禍々しい闇がロックマンを包み込み、エレメントソニックを蝕んでいく。
炎山とブルースの必殺の一撃は、ネットバトラーQのロックマンに届く前に闇に飲まれて消えてしまう。
その光景を見た観客たちは唖然とし、熱斗と炎山は驚きのあまり言葉を失う。
『ドリームオーラ』よりも強固な防御手段で防いだのか? いや違う、あれはそんなものではない。
「まさかあれは『ダークネスオーラ』!? いや、あのチップは特殊なエリアを用意しなければ使えないはず……」
目まぐるしく変わる状況をネットバトラーではなく、科学者として考察していた光祐一朗は己の仮説を口に出しながら思考する。
「パパ、あのオーラのこと知ってるの!?」
「あぁ……、チップの分類にはスタンダードとメガクラス、さらにその上のギガクラスと呼ばれる三種類が存在することは熱斗も知ってるな?」
「うん、スタンダードって言うのが一般的に使うやつで、メガクラスはフォルダに組み込むのに制限がかかるチップだよね」
かつてはすべて一緒くたにバトルチップと呼ばれていたが、技術の進歩により突起して力を秘めたチップが流通するようになった。
例えばナビの力を模したナビチップや、ドリームウイルスを生み出すときの副産物として生まれた『ドリームオーラ』などがこれに当たる。
その力の強大さゆえに、内蔵されているデータ容量が多い。
保存されたデータを読み取り、電脳世界で一から再現するナビに負担をかけるため、扱える枚数に制限がかかるのだ。
そのため希少価値やチップとしての性能も高く、多くのネットバトラーたちに切り札として愛用されている。
「その通りだ。さらにその上に存在するのがギガクラス。最先端技術で作られるそれらは、市場に流通することはほとんどない」
この世界の最先端技術で研究をする者たちの間で議論されている新しい枠組み。
メガクラスをはるかに凌駕する性能を持ち、内蔵されるデータ容量も桁違い。
ナビに組み込むことが出来るのは理論上一枚が限界とされている。
「少し難しい話だけど、チップの中には作ろうとして作ったものと、イレギュラーとして生み出されたものが存在するんだ」
『ミニボム』や『クサムラパネル』のように一から人の手で作られたチップがあれば、ウイルスのデータを元に生み出されるチップも数多くある。
しかし、チップの中には誰が生み出したのか、どのウイルスから生成されたのか不明なチップが存在する。
そういった未知のチップは、スタンダードやメガクラスにも多く存在するが、その規格に当てはまらない都市伝説のようなチップが存在するのだ。
ギガクラスに分類されながら、誰が生み出したか謎のチップ。さらに通常では使うことが出来ず、その秘められたパワーを引き出すことが出来ないチップがあった。
「『ダークネスオーラ』は科学省が存在を確認しているルーツ不明のギガクラスに属するチップで、どのウイルスから発生したのか、誰が作り出したか全くの謎に包まれたチップなんだ」
現在科学省でも研究が進められているが、いまだに開発はおろか複製することも出来ずにいる。
しかも使用するためにはナビが持つチップの再現能力では足りず、何らかの補助をしなければならないことが研究で判明している。
『そんなにすごいチップが存在してたなんて……』
「科学省で管理している『ダークネスオーラ』を扱うためには、新しく作られた制御用バトルチップ。『ダークホール』と一緒に使わないと効果自体発動しないからね、対フォルテ用の切り札として極秘に研究が進められてるんだが、まだ実践投入出来るとは判断されていないんだ。いつの間にか入手した経路がウラだったことから闇のチップと僕たち研究者の間では呼ばれるようになった」
『ダークホール』を使えば確かに『ダークネスオーラ』を使用可能になる。
しかし、肝心のホールを生み出すタイムラグがどうしても縮められず、おまけにホールを安定して固定できる時間も短い。
何度も行われた対フォルテ戦シミュレーションでは、ホール自体を破壊されてしまえばどうすることも出来ないとされ、実戦での使用は非現実的であるとの結論に至ったはずだった。
世界でも名高いネット先進国である二ホン、その国で最先端技術を研究する科学省でさえ現在は『ダークネスオーラ』を持て余していた。
「そしてあのバグスタイルと呼んでいたスタイルチェンジ。熱斗とロックマンが予想を超えてこの世界に生み出したサイトスタイルを研究しているパパでさえ理解が追い付いていないんだ」
それらの意味を正しく理解する光祐一朗にはあまりにもネットバトラーQは異質に見える。
なぜ持ちナビがロックマンなのか、なぜ己の知らぬスタイルチェンジが存在するのか、なぜ入手困難で少なくともこの国の科学者たちに実戦では使用不可能とされていたギガクラスのチップをいともたやすく使いこなせるのか。
「パパ……、俺もしかしたら、あのロックマンを作れる奴を知ってるかもしれない」
『そうだね熱斗君、バグの研究をして、究極のナビを作ろうとしていた彼なら……』
二人の脳裏に浮かぶは、世界の敵として立ちはだかった犯罪組織の首領。
最後はフォルテと戦うため、共に手を取り合い、熱斗とロックマンが救えなかった少年。
熱斗の祖父、光正と肩を並べた天才、ドクターワイリーが生み出したドリームウイルスをさらなる高みへと導いた科学者。
『本当は決勝戦までネタバレは避けたかったんだけど、相手が相手だし仕方がなかったか。久しぶりだね熱斗君、ロックマン』
突如控室のモニターの一つが起動し、そこに映し出されたのは銀髪の鋭い目をした少年。
「もしかして君は!」
『お初にお目にかかります光博士、僕の名前は帯広シュン。かつてゴスペルを率いてバグの研究をしていた科学者です』
『バリアブルソード』
一番特徴的でお世話になった人も多いチップなので解説。
ただ使うだけでは高威力のソードなのだが、その真価は発動してからのコマンド入力で効果が変わること。
『3』のバランスブレイカーとして一番難しいコマンドを打つと四属性のソニックブームを放ち、640ダメージ、属性持ちや属性パネルと組み合わせたら800ダメージを一枚でたたき出す。
通常プレイではもちろん、セレナードのタイムアタックや、RTAなどでも重宝される。
もちろん対戦でも食らうとヤバい。
ちなみに作者は使いこなせず。
『チップのクラス分け』
『3』から各種チップがクラス分けされるようになった。
普通のチップをスタンダード。
その上はメガクラスと呼ばれ、ナビチップや一部強力なチップが該当し、ゲームシステムとしてはフォルダに5枚まで入れることが出来る。
(スタイルやナビカスで容量を増やすことが可能)
ギガクラスは基本一枚しか入れられない、いわゆる必殺技。
公式設定によれば最新技術で作られたものらしく、星の力を封じ込めたり強力なネットナビの必殺技を封じたものであるという。
『闇のチップ』
発動には『ダークホール』と呼ばれるチップをエリアに使わなければ発動すらできない特殊なギガクラスのチップ、『3』のみ存在し四種類存在する。
ダークチップとは別物。
ちなみに四種類しか存在説そのうち二枚がフォルテ関係、一枚がセレナードの関係なので、プレイヤー以外には存在すら知られないチップ。
『ダークネスオーラ』
闇の力のオーラでダメージが300より低い攻撃はすべて無効する。
『3』のブラック版のみ手に入り、セレナードのタイムアタッククリア報酬
実は『3』のストーリーで科学省のナビが使用。フォルテの「アースブレイカー」の直撃を耐えていた。
実践では『ダークホール』の維持が困難でて間に合わないためあまり出番ないかも。
もっとも『ダークホール』に頼らない方法もあるのだが……。