始めの頃鬼のように投稿してましたね。
遅くなりましたが、完結目指して頑張ります。
僕がゴスペルを立ち上げる前からずっと続けてきたバグの研究。
当初は依頼された究極のナビを生み出すためにその研究を応用しようとしていた。
現にバグを利用したコピーナビたちを生み出すことには成功したし、本物には及ばないとはいえ並のナビよりも戦闘能力の高いフォルテコピーを量産することにも成功した。
しかし、転機になったのはやはりウラインターネットでドリームウイルスを発見したことだろう。
元々ナビよりもウイルスの方がバグのかけらとの親和性が高い、そこで強化出来たドリームウイルスのデータは飛躍的に僕のバグ研究に役立った。
蓄積したバグの制御技術は新たな電脳獣といえるゴスペルを自発的に生み出すことに成功し、ドリームウイルスとのシンクロ理論も確立した。
『だけど結果はご存じの通り、ゴスペルもドリームウイルスも最強のウイルスだったと思うけど、最強のネットナビたちには敵わなかった』
それから何の因果か、肉体を失った後流れ着いたウラインターネット。
奥深くにフォルテコピーを討伐に来ていた、ウラランカーのダークマンに拾われウラの王に面会出来た。
ドリームウイルスを発見したときもそうだったが、僕の人生は相当面白いめぐり合わせの中にあったらしい。
『ネットバトラーQにはウラ経由で出会ってね、大会中は彼専属の技術者として協力させてもらってるよ』
僕の話を聞いてる熱斗君は少し複雑そうな顔をしている。
だけど君が僕のことを思って何か後悔する必要なんて一キロバイトもないんだ。
『熱斗君、あの時は言えなかったけどありがとう。君のおかげで人生をやり直すチャンスをもらえたよ、電脳生命体となってネットナビみたいな存在になったけど、この立場じゃないと出来ないこともある。君たちがオモテの世界で活躍するのに負けないように、ウラの世界から誰かのために出来ることをしていくつもりだよ』
「そっか……。じゃあオレたちが友達なのは変わらないんだな!」
『友達でもあり、ライバルだな』
打って変わって人懐っこい笑顔になる熱斗君。
僕もつられて笑う、やっぱり彼はこうでなくちゃ。
「あのバグで構築されたロックマンも君が?」
『はい、とあるネットナビをベースに一時的にあのスタイルに変化させています。新たに生まれたナビカスというナビの拡張性を広げたシステムも、僕が究極のナビを生み出すのに都合がよかった』
ドリームウイルスやゴスペルの成功をきっかけに、僕の研究は究極のナビから究極のウイルスを生み出すことに方針を変更した。
それが巡り巡って究極のナビを生み出すことになるなんて……。
人生をまっすぐ歩いてるつもりだった。
社会への復讐を胸に一直線でがむしゃらに走り続けたつもりだった。
でも、今思えばずいぶんと周り道をしたんだろう。
熱斗君とまどいに出会って、復讐心に捕らわれず純粋な好奇心から研究をしていたあの頃の気持ちを思い出してしまった。
「でも、なんで究極のナビがロックマンなんだ?」
『それは僕たちが思う最強のナビは、フォルテじゃなくてロックマンだからね』
僕たちが思い描く最強のナビ。
それはフォルテじゃない、僕の知る限り最高のネットナビとオペレーターは君たち二人だ。
『少し話過ぎたね、言っておくけどあのロックマンは強いよ。僕のすべてをつぎ込んだ正真正銘究極のナビなんだ』
『でも、今ここにシュン君が通信してるってことはオペレーターは違う人なんだよね、ネットバトラーQは僕の性能を熱斗君とは違う形だけどすごく上手に引き出してる』
そりゃそうだ、あくまで僕が用意できるのはナビだけ。
ロックマンを生み出せてもそれを使いこなせるオペレーターは用意することが出来ない。
この世界でロックマンと心を通わせ、オペレートするという一点なら、光熱斗以上に優れたオペレーターは他にいないだろう。
僕がフルシンクロして動かすことも出来るんだけど、それでもウラランカー中位くらいの戦闘力が関の山かな。
世界最強を狙うならとてもじゃないけど大会になんて挑めない。
『ふふっ、少し話過ぎたかな。まぁ、決勝で君たちが勝てれば正体もわかると思うよ』
本当はずっと彼らには正体を明かさずにいようとも思ったんだけど、決勝前に顔を出してこいって言われてるからな。
僕の存在を出せばすぐに熱斗君は信頼してくれるし、関わっているネットバトラーQの正体こそわからなくても大会に害をなす存在じゃないと印象付けられただろう。
君たちには余計なしがらみに囚われず僕の最高傑作と戦って欲しいからね。
『あの時の続きをしようじゃないか熱斗君。僕の夢の結晶、ロックマンエグゼが君たちを超えて世界一のナビになる』
「へっ、炎山とお前のナビのどっちが勝ち上がっても、世界一になるのは俺とロックマンだ!」
『まどいとの約束かな? 絆の力を否定はしないよ、ただし、今回は僕もいくつもの縁を紡いでここまでやってきたからね、前回のようにいくと思ってもらっては困るよ』
僕の技術の集大成、しかし、ドリームウイルスを生み出した時とは決定的に違う。
多くの人やナビたちと向き合って、ここまでたどり着いたのは僕も同じなんだ。
だからこそ負けたくない、君の友達でいたいから、君のライバルでいたいから……。
『これでネットバトラーQと僕のロックマンが優勝すればまどいも僕のことを見直すだろう、残念だが彼女に褒められるのは僕、慰められるのは君だね』
「なんだと、世界一になるのは俺とロックマン! まどいさんに褒められるのも俺とロックマンなの!」
『ふふっ、決勝戦を楽しみにしてるよ』
僕はそう言うと通信を切った。
さて、久しぶりの友達との楽しい会話も済んだし、仕事に戻ろうかな。
僕の仕事はこれから帰ってくるロックマンのメンテナンスだけじゃない、この大会全体を監視する仕事もある。
砂山ディレクターとの取引で、大会の完璧な運営を任されてる。
この大会のおかげで、ウラの意思統一や大量の金銭の獲得、技術の向上と恩恵を貰いすぎてるくらいだからね、しっかりと恩は返していかないと。
おっと、僕が抜けてる間。代わりにサーバー統括を代理してもらってたんだ。
何か問題はなかったかな?
『コサック博士代わりをお願いして申し訳ありませんでした』
『いいんだよシュン君、特にこれといった問題はなかったし、君がいかに優れた科学者といってもまだ若いんだ。友達との時間を大切しなさい、対話を疎かにした時に手痛いしっぺ返しを食らうなんてことのないようにね』
ひどい自虐をねじ込んできたが、その口調にトゲや悲壮感はなく、どちらかというと僕に気を遣っての言葉。
博士なりの激励なんだろう、ありがたく受け取っておこう。
『博士には感謝してもしきれません、僕のロックマンにも色々知恵を貸して頂き、それどころか科学省がかつて保有していた『ダークネスオーラ』まで』
『いや、君のバグを利用したナビカスタマイズの基礎理論は素晴らしかったからね、ほんの少し先人としてアドバイスしただけさ。それに『ダークネスオーラ』を『ダークホール』なしで使えるようにしたプログラムもシュン君が作ったものだからね、私が持ってても宝の持ち腐れだったよ』
物腰柔らかく言うが、コサック博士の技術はとんでもない。
さすがは世界初の自立型ネットナビ、究極のナビと言われたフォルテの生みの親だ。
『感謝するのは私の方だ、ウラの王から突然コンタクトが来たと思ったらフォルテの情報を貰うどころか、再び彼と向かい合うチャンスを君たちは作ってくれるという。フォルテとロックマンの戦いの映像は見せてもらった。その強大な力を知ってもなお、君たちはフォルテをデリートするのではなく、私と向き合い説得するチャンスを作ってくれるという、私は彼を止めることしか考えてなかったというのに』
『止めるなんて一つの過程にすぎません、大切なのはそこからどうやって生きていくか。僕も死を覚悟しましたがこうやって生きている以上、再びやり直す機会が与えられました。博士、あなたが願うなら僕はその希望をお手伝いしたい』
僕と博士はすごく似ている。
僕の場合は自業自得なのだが、とんでもないことをしてしまった。
償うことが難しい、しかし、償うことを諦めることも出来ない。
博士の願いはフォルテを止めることじゃない。
博士の本当の願いはフォルテとの和解だ、彼がかつて愛した息子と再び向き合うこと。
『それに僕もあなたの力をお借りしてるし、砂山ディレクターだって大会の運営にあなたの力を借りている。あまり恩を感じすぎないでください、みんなあなたに助けられている』
『砂山君も面白い人だよ。まさか世界一ネットバトラーを決める大会をフォルテを呼ぶ餌にするなんて』
『攻めてくるかは別として、必ず視聴はしてるはずです。自分を倒したロックマンが二体も決勝戦に出てくるんですからね』
『少なくてもこの大会があるうちはフォルテもワイリーと安易に手を組むことはないだろう、きっと意識はロックマンに向いている。ワイリーよりも先にフォルテと会ってもう一度向き合うつもりだ』
あのフォルテが素直に話を聞くとも思えないが、その時はロックマンでぼこぼこにして話を無理やりにでも聞かせてやろう。
残念ながら君の居場所を僕は作れるんだ。
オモテの世界や科学省が当時の君の敵だったとしても、それは僕も似たようなもんだからね、そんな僕がこうやって上手くやれてるんだ。
僕と違って息子想いの父親がいるんだ、君が復讐で親を悲しませるのを黙って見てるのはなんだか居心地が悪いからね。
『まったく、ネットマフィアの首領だった男がずいぶんと丸くなったもんだ』
たぶんまどいの影響だろう。
さぁ、熱斗。
さっきは煽り目的で話したが、彼女に認めて欲しいのは僕も一緒だぞ。
『友達でもあり、ライバルだからな』
『帯広シュン』
ネットマフィア、ゴスペルの元首領。
前回のラストで肉体を失ったが電脳世界で電子生命体として生きていた。
わかりやすく言うとパルストランスミッションで帰るべき肉体を失ってしまった状態。
人権もネットナビとしての識別コードもないが、そんなものが不要のウラの世界で居場所を見つけた。
「2」のエピローグでダークマンに保護されたのはシュン君です。
ナビではないので戦闘力はないが、ウイルス使いとしてはおそらく世界一。
ドリームウイルスも彼の持ちウイルスとして生存、ウイルスとシンクロ出来る世界でただ一人の男。
バグ研究の第一人者にして、バグを活用したバグスタイルを生み出し、究極のナビ、ロックマンをネットバトラーQに授ける。
『コサック博士』
世界初の自立型ネットナビ・フォルテの開発者。
フォルテがネットワーク破壊の汚名を着せられた時も最後まで自分の考えを強い態度で押し通して反対をしていたが、科学省はフォルテのデリートを執行時に科学省から姿を消した。
本来であればフォルテを探し続けて、『3』で発見するのだが、今作ではフォルテ本人と戦った生き証人が凄腕の科学者だったため、早い段階でフォルテの現状を知る。
フォルテを止めるつもりだったが、自らの罪と向かい合うシュンの姿に影響され、本当に自分がしたかったフォルテとの和解を望む。
『砂山ノボル』
原作から大きく出世したテレビ局のディレクター。
目的はもちろん歴史に残る一大イベントをこの手で生み出すこと。
協力者としてネットバトラーQ、帯広シュンと手を組みこの大会を盛り上げる。
コサック博士は計画の途中から参加してるので、外部の協力者扱い。
手を借りる見返りに、コサック博士に必要な場として大会を貸し出す。
これだけ見ればすごくいい人に見えるが、本質は一人でも多くの視聴者に番組を届けるため。
フォルテのことを視聴者として見てるある意味大物。
万が一カチコミがあったとしてもそれはそれで面白そうだし、自分が集めた選手や防衛に携わるナビたちに絶大な信用を置いてるからこその行動。