「あら、お疲れ様、そっちの仕事は終わったの?」
『おうよ、色々未来から持ち込んだ資料やなんかも渡したが、結局は最後に物言うのは実力行使よ』
「僕たちの事情なんかはわかって貰えたんですけどね、実力を示せって頼まれて……」
たしかに少し時間がかかりすぎて心配したけど、やっぱり戦ってたのね。
そりゃ、大体こういうイベントの時に戦わないなんてないもんな。
「お疲れ様、これであなたたちの任務も終了かしら?」
潜水艦の中に電波変換したスバル君とウォーロックがいるわけだが、水中から船内に入って来たのに水滴一つ体に着いてない。
すごいな電波変換って、エグゼの世界では現実世界でこんなこと起こりえないから、実感が全然ない。
フルシンクロする感覚がもしかしたら電波変換に近いのかもしれないが、現実世界には実体化出来ないしな。
「はい、このままシュン博士の所へお願いします」
『博士も優秀だから、材料さえ手に入れば組み立てや調整は簡単だと思います』
すごい信頼されてるなシュン君。
彼らにとって過去の科学者にすぎないはずだけど、もしかすると歴史の教科書に名が乗るくらいすごい功績を今後打ち立てるのかもしれない。
考えてみれば才能豊かだし、現在バグの研究に関しては世界トップクラスだからな。
きっと、この2人にとっても未来で尊敬できる歴史上の人物なんだろう。
「それじゃ地上に戻りましょうか、深海の次は宇宙にまで行かなきゃいけないなんて、スバル君も大変ね」
「地球を守るためですから」
「一人で戦い続けるの辛くない? あっ、もちろんウォーロックはそばに居てくれるけど、隣に立ってくれる仲間や、バックアップしてくれる大人とかはちゃんといるの?」
あんまり未来のことを突っ込んでも仕方がないと思うが、つい口がおせっかいを焼いてしまった。
だって熱斗君と同じくらいの子が、たった一人世界の命運をかけて、何百年も過去にやって来てるわけよ。
それを知っちゃったからには、そりゃ心配するよ。
「たとえ一人で戦ってても色んな人の想いを背負ってますから、それにさっきムー大陸のシステムを操作するときに少し未来の仲間と話しましたし」
『仲間もだが恋人もだろ、俺のことほっといて二人だけの甘ったるい雰囲気作りやがって、近くで聞かなくちゃいけない俺の身にもなってくれよ』
「ウォーロック!? あれは違うよ、ただ僕のことを心配してくれただけで、別にイチャイチャなんて……」
『まぁ、地球の未来なんて背負って潰れられても困るからな、しっかりと甘えられる相手がいることは良いことだと思うがな』
やっぱり熱斗君とロックマンとは違うタイプのコンビだよな。
でもこれはこれで世界を何度も救うわけだし、二人の相性はベストなのかもしれない。
「スバル君の彼女ってどんな人?」
「いぃ!? み、未来のことだからあんまり言えることは無くて……」
『別にいいじゃねぇか彼女くらい、未来の技術でも何でもねぇし、この時代の人間には何の影響もないだろ』
「ダメダメ、どんな些細なことがきっかけで未来が変わるかわからないんだから」
なんか頑なに言ってくれない。
そりゃこのくらいの年頃だと、自分の彼女を自慢するとか恥ずかしいか。
しかもスバル君あんまり自分が前に出たいタイプじゃないだろうし。
でも、どんな人か気になる。
可能性としては響ミソラと白金ルナ、シンガーソングライターか委員長の二択だと思うけど、スバル君は果たしてどちらを選んだのだろうか?
どっちも押しが強かったイメージがあるし、スバル君を引っ張る感じかな?
「じゃあヒント頂戴、ヒント!」
『ヒントねぇ……無茶苦茶頭が良いぞ、あと厳しい癖に妙にスバルに甘いし、なんていうのかね、向こうからも甘えてる感じがするな』
ふむふむ、ってことは委員長の方かな?
頭もよさそうだし、そもそも引きこもってたクラスメイトを学校に通わせるため、無理やりスバル君に接触してきたわけだし。
甘えて甘えられてっていかにも恋人っぽくていいね。
やっぱ同世代の少年少女の恋愛って初々しい感じがしていいね
『まどい、海底の旅は順調かね?』
あら、シュン君から通話回線のご要望だ。
もしかしてもう準備終わっちゃった感じ?
いくら何でも早すぎない?
『こちらの準備は完了した、いつでもスバルとウォーロックを宇宙まで届けることが出来るぞ』
「相変わらず優秀ね、宇宙の彼方まで届く超遠隔赤外線通信装置なんてこんな簡単に作れちゃうわけ?」
『彼らが持ってきた資料が完璧すぎてな、どこでパーツが手に入るのか、この時代の小惑星の正確な位置もわかるのなら科学者であれば誰にもでも出来る』
これらの仕事など当然と言わんばかりに、シュン君は答える。
いやいや、いくら必要なパーツが分かってたり、データが揃ってるとはいえ、ウラのランカーたちを使えて秘密裏にそれらを集めて組み立てられるのが凄いんだって。
『すまないが潜水艇でそのまま指定の島まで向かってくれ、かつてゴスペルの隠れ家として購入した無人島で超遠隔赤外線通信装置を組み立てた。私もそこで待機していよう』
「了解、でも待機って言ってもシュン君本人が来るわけじゃないでしょ?」
『あぁ、作業用のロボットをナビたちに操作させているが、実はWWWエリアを攻撃した時にいくつか面白そうな技術を手に入れてね。これは会ってからのお楽しみとしよう』
そう言って楽しそうに通信を切る姿は、自分の玩具を見せびらかせたい子供のように映る。
本当は凄腕の科学者で、なんか新発明とかなんだろうけど、まだ年相応の部分が残ってるよな。
最近なんて光博士に何か頼むことよりもシュン君に頼むことも多いし。
いや、光博士は博士で仕事は忙しいし、空いた時間もなるべき熱斗君とロックマンに使ってあげるようにしてるからね。
あんまり親子の時間を割かないようにも、出来ることはこっちでやっちゃう。
ちなみに俺とシュン君の関係は科学省公認である。
ネットエージェントとしてウラランカー御用達の凄腕科学者とのパイプって必要なんだよね。
っていうか、科学省とウラのパイプが強すぎて、ちょっと技術革新が起こりすぎてるんだよね、たぶんネット技術最先端を走ってるよ二ホン国。
業務提携してるクリームランドも国連で発言力を増してるらしいし、ちっとやりすぎたよね。
「てなわけで、本潜水艇はこれよりゴスペル無人島へ向かいま~す。カラードマン!」
『あいよ~ん、座標データもばっちし! ここからそんなに遠くないからすぐに着いちゃうよ~ん』
まだしばらく新鮮な空気はお預けだが、仕方がないね。
「そんなわけでもうしばらく狭い船内で勘弁してね、向こうに着いたらゆっくり休んでいいから」
「いえ、準備が出来次第すぐにでもデューオに会いに行きます」
『多分向こうでも実力行使になるだろうから、帰ってこれねぇ。そのまま向こうでタイムホールを開いて未来に戻る予定だ』
「そう……せっかく出会えたのに残念ね。他に出来ることはない感じ?」
せっかく未来を救うために過去まで来てくれたのだ、出来たら手助けしてあげたいけど……。
「十分シュン博士とまどいさんには手伝ってもらいました、後は僕たちの時代の問題ですから!」
『おうよ、ワープホールなんだかんだはスバルと未来にいる奴ら任せだが、宇宙のことは俺様が一番のベテランだからな、何の心配もいらねぇぜ』
いや、二人とも宇宙に片道切符で行くってのに全然悲壮感とかないでやんの。
って思えば二人とも世界を三回救ったヒーローだもんね。
まだ小学生なのに、本当に良くやるよ、この世界子供に頼り過ぎだ。
現代では俺の影響で大人も結構頑張るようになってきたけど、さすがに遥か未来まで影響は残せそうにないもんな。
お久しぶりです、こちらの本編が書き終わってオマケに入ったタイミングで新連載をスタートしてしまい、こちらの更新が遅れてました。
無事向こうの新連載は完結し、創作リソースに余裕が出来たので、とりあえずこっちも完結に向けて頑張ります!
とはいえ、こちらは本編完結済み、この話もオマケエピソードなので後二話で完結です
明日と明後日の21時に一話ずつ更新し、最終回とさせて頂きます!
急な展開ですが、元から予定していたオチなのでお楽しみに。
次でまどいとシュン君、その次で未来に帰るスバルと彼らの視点で過去を振り返ってもらいます