今回から三巻に突入します。
では、どうぞ!
アクアside
「恋愛リアリティショー?」
「あぁ、俺が次に出る番組がそこになったんだ」
「へー」
有馬が苺プロに加入してから数日経ち、
おじさんに、俺が恋愛リアリティショーに出演するという旨を伝えた。
というのも、以前出演した『今日あま』の打ち上げパーティーに出席した際、
プロデューサーの鏑木からアイの男性関係を聞こうとしたのだが、
「恋愛リアリティショーに出演してくれるなら教える」
という条件でやむを得ない形で出演することになったのだ。
だが、事情を説明した時、おじさんから衝撃の発言を聞いてしまった。
「そういえば、恋愛リアリティショーって何?」
「そこからかよ!?………明日くらいに初回があるから、ルビー達と一緒に見てくれるか?」
「あ、うん、分かった!」
(一応、この人スタッフを兼業してるんだよな?大丈夫なのか………?)
俺はおじさんの世間知らずの度合いに不安を覚えた。
一応あれから10年以上経ってる筈なんだけどなぁ………。
翌日………
浩司side
次の日、俺はアクア君に言われるがまま、
ルビーちゃん、かなちゃん、星野さんと一緒に恋愛リアリティショーを観ることになった。
タイトルは、『今からガチ恋♡始めます』か………。
なんかテンプレを感じるタイトルだな。
「恋愛リアリティショーって内容的にはどういう感じなの?」
「えぇっと、芸能活動をしている高校生達が、いろんなイベントを通して、最終的に付き合うかどうか………っていう内容ですね。」
「ふーん……メンバーは何人なの?」
「えっとね、男女三人ずつの6人だよ。こんな感じ!」
『
職業:ファッションモデル
学年:高校1年
『
職業:ダンサー
学年:高校2年
『
職業:女優
学年高校2年
『
職業:ユーチューバー
学年:高校3年
『
職業:バンドマン
学年:高校3年
「おー、鏑木プロデューサーの番組だからか、みんな顔が綺麗な人が多いですね」
「あ、最後はアクアだよ!」
そして、アクア君が登場する場面だったのだが、
俺たちは、アクア君の衝撃的な登場を目の当たりにしてしまう。
『こんにちは!アクアって言います!めっちゃ緊張するわ〜、皆よろしくね♪』
『
職業:役者
学年:高校1年
「ぶふーー!?」
俺は飲んでいたお茶を吹き出し、
「「誰だお前は!?」」
ルビーちゃんとかなちゃんは、偽物ではないかと疑い、
「アハハハハハハハハハ!!アクア全然キャラ違うじゃんwwww」
星野さんに至っては普段と違うキャラに大笑いしていた。
あまりにもキャラの違いに俺は唖然とした。
俺達の知ってるアクア君は、落ち着いた雰囲気が目立ついわゆるクール系のキャラなのだが、
テレビに映っている今のアクア君は、満面の笑みを浮かべて出演者に挨拶している。
マジで本人なのかと疑うレベルである。
「ゲホッ!ヴェッホ!………随分と、キャラが違いますね………」
「いやいやいやいや、お兄ちゃんって普段はクールで闇系のキャラだったじゃん!!」
「メディア用とはいえアイツキャラ作り過ぎでしょ!?」
「あ〜、お腹痛い………!wwww」
『えぇ〜かっこい〜!役者さんって憧れる〜♪』
「あーあ、お兄ちゃんってこういうぶりっ子のタイプに厳しいからなぁ、この子は無いなあ」
ルビーちゃんがそう言っていると、アクア君から驚きの返事が返ってくる。
『MEMちょも可愛いね、めっちゃ照れる……!』
「「は?死ねよお前」」
「ヒェッ………!?」
殺意がこもったような2人の声に、俺は震え上がった。
女の子って怖いな………。
そう思い顔を青ざめていると、星野さんが俺の手を握っていた。
「大丈夫ですよ、私が支えていますから!」
「あ、すいませんアイさん………」
「「そっちもそっちでイチャついてんじゃねぇ!」」
あ、ごめんなさい………。
因みに言うと、プライベートでは星野さん、仕事場ではアイさんと呼んでいる。
本人はプライベートでもアイって呼んで欲しいみたいだけど、
秘密がバレたらヤバいからね、仕方ないネ!!
アクアside
「で、これがうちの犬の写真!」
「おー、可愛いじゃん!」
「でしょでしょ〜?」
(だ、だっるぅ………!)
(若者特有の共感し合うだけの会話ってのは、なかなかキツいモノがあるな………)
俺は、今回の『今ガチ』の撮影で精神的に疲弊していた。
なんせ前世の歳を合わせたら凡そ50のオッサンだからなぁ………。
若者に合わせるのも、辛いモノがある。
(だが、これを乗り切れば、鏑木からアイの情報を引き出せる。そして俺達の父親を探すヒントにもなるはずだ!)
この番組の撮影の流れは、
1.まず、会話はそれぞれ自由にしてもらって構わない。
2.ただ、カメラのアングルには気をつけて欲しい。
3.カメラマンが寄った時に、その時してたやりとりを要約した会話を可能な限りして欲しい。
といった所だ。
この恋愛リアリティショーの歴史も20年になり、ある程度のノウハウも蓄積されている。
番組のエンタメ性を保ちつつ、それぞれの個性に合わせたリアリティの演出がある。
………リアリティショーに台本は存在しない。
だが、演出は存在する。
ディレクターからの話をアドバイスと捉えるか、指示と捉えるかは人それぞれだ。
今回の事を頭で確認していると、鷲見ゆきが俺に話しかけてきた。
「いや〜、本当にこういう番組って台本とかなくて困るなぁ、あたし臆病であんまり会話とか得意じゃないし、きっと埋もれちゃうよ………」
「(おいおいマジかよ)……何で君は、この仕事を受けたの?」
俺は彼女に出演の理由を聞いてみた。
「うちの事務所の看板の人が仕事を断らない主義でね、事務所に来た仕事全部持っていくから、年中ヒマでさぁ………」
「なんか足掻いてやろうって思ってたら、鏑木プロデューサーが誘ってくれて、渡りに船だと思って………」
「そうだったんだな」
どの事務所も、仕事の奪い合いが横行してる感じか………
「でも、私恋愛とか今までしてこなかったから、恋人とか作った事無いし」
「嘘だぁ、絶対一人はいたでしょ?」
「嘘じゃないよ?それに私高1だし、タレントが皆が皆恋愛してると思ったら大間違いだよ。アクア君は恋愛に興味は無いの?」
恋愛、か………
「………これでも男だ、無いわけないでしょ?」
「でも、俺は過去の恋愛を引きずってるっていうか、アレが恋だったのかも分かんなくて、消化しきれてないっていうか………」
事実に俺は、
アイとの出会いが恋だったのか、まだ判別がついてない。
目の前でアイがおじさんとイチャつく光景を見て、嫉妬心は無かったが、
距離感は考えろと思った事はある。
「結構複雑な事情かな………?学校の先生の事が好きになったとか?」
「まぁ、そんな所かな………」
適当に誤魔化して置こう、これは俺が片付けるべき問題だ。
「じゃあ乗り越えないとね!知ってる?前のシーズンのカップル、最後にキスをしたんだよ」
「まぁ、予習はしたけど………」
「良い人がいるか不安だったけど……、君にだったらキス出来るかも」
そう言って鷲見ゆきは俺の顔の近くまできて囁いてきた。
いきなりの事だったので、俺は驚くしかなかった
(ちょ、顔近っ………!?)
「それに後ろ、カメラマンさんが撮ってるよ?」
(え、いつの間に……!?)
「カメラに視線を送ったら駄目、ここはきっと使われるよ。これから仲良くしようね?」
そう言って鷲見ゆきは、俺から離れてカメラマンの方へ歩いて行った。
強かな女だな、何が臆病だよ……。
(なるほど、これがリアリティショーってわけか………)
後日、ルビーから勝手に鷲見ゆきを恋人候補に推薦されたが、
恋愛に関しては絶対コイツにだけは頼らないようにしようと決意した。
補足説明
因みにこの時点では有馬かなは
アイがルビーとアクアの母親である事はすでにバレてます。
(というより、口止めとしてしっかり説明しております。)
というわけで、第十九話でございました。