『氷狼』ルーディア   作:如月SQ

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アンケート結果で大きくストーリーが変化する事はないので、純粋な好みでお答え下さると嬉しいです。
今のところ皆さんケモミミが大好きなのだと実感します。


メイクラブ

『アレク様、わかりましたか?』

 

「ええ…すみません、エリオット君。僕は君を誤解していたようです。褒められた行いではありませんでしたが、君なりにルーディアさんを守ろうとした数々の行いは、尊敬に値します」

 

「……そりゃどうも」

 

目を覚ましたアレクサンダーに、ルーディアは懇切丁寧に事情を伝えた。

首の骨を折る重傷であったが、直ぐにルーディアが治癒した事と、不死魔族の血を引いているが故の丈夫さと再生力で、既にピンピンしていた。

大丈夫だろうと判断したルーディアは、そのままベッドに腰かけるアレクサンダーと話をしていた。

事情全て理解したかどうかはわからないが…とりあえずエリオットへ危害を加える気はなくなったようだ。

とはいえその圧倒的な上から目線に、エリオットは釈然としない物を抱えながら、気の抜けた礼を返すのだった。

 

「しかし…ヒトガミに、泥沼…ルーデウスですか。彼らにルーディアさんが命を狙われている、と。泥沼の噂は僕も聞いたことがあります。ソロの魔術師で、相当優秀であると…災難でしたね。ですが大丈夫です!僕にかかれば魔術師なんて」

 

「いや、お前魔術師に負けて剣奪われたんじゃないのか?」

 

そんなエリオットの言葉に、アレクサンダーは反射的に返す。

 

「負けてません!あれはあの魔術師が卑怯な手を使ったからです!王竜剣さえあれば僕は誰にも負けない!」

 

鼻息荒く反論するアレクサンダーに、エリオットは呆れたように肩をすくめた。

卑怯だろうとなんだろうと、負けは負けだろうに、と内心呆れ果てていた。

こんなのがあのオーベールを抑えて北神になっている事実が面白くなく、エリオットは口を閉ざした。

 

『…それで、その魔術師は鼠色のローブでマフラーをしていたか、茶髪の男ではありませんでしたか…?』

 

そんなエリオットの機微を察し、ルーディアは聞きたかった事を口にする。

 

「む、確かに鼠色のローブの茶髪の男でしたが…何故ルーディアさんがあの魔術師の特徴を知っているのですか?」

 

『…やっぱり。その人が多分泥沼です。ルーデウス・ノトス・グレイラット…アスラ王国では今指名手配されてる筈です』

 

「なんだって…!?くっ…すみませんルーディアさん、僕がしっかりと奴を倒していれば…」

 

拳を握り締め、アレクサンダーは悔しさに顔を歪めた。

あの時倒せていれば、ルーディアさんの不安を払拭出来たのに、と後悔の念に苛まれていた。

その様子に、ルーディアはこのタイミングで勧誘してみようと思い、言葉を紡ぐ。

 

『アレク様、こうして会えたのも一つの縁です。悪神ヒトガミは、人を騙して弄ぶ最悪の存在なんです。泥沼もヒトガミの手先です。ヒトガミを倒すために、アレク様の力を貸してくれませんか?』

 

そのルーディアの懇願に、アレクサンダーは腕を組んで暫し考える。

少しだけ考えたアレクサンダーは、直ぐに口を開いた。

 

「成程…それ程悪辣な神であるならば、うち破る事が出来れば僕は英雄となれるかもしれませんね…いえ、英雄となるでしょう!いいですとも、ルーディアさん。貴方達に協力しましょう」

 

笑みを浮かべてうんうんと頷くアレクサンダーに、ルーディアが手をポンと鳴らした。

 

『良かった、ありがとうござ』

 

しかしそこで、アレクサンダーはルーディアの言葉を遮り、言葉を続けた。

 

「けれど!僕としてはオルステッドも打ち倒すべきだと思っています!貴方達もきっと騙されてるだけなんですよ。あんな恐ろしい男の配下となり大人しくしてるなんて…信じられません!エリオット君、君もそう思うでしよう?」

 

アレクサンダーは真剣な様子で言い放ち、エリオットへと同意を求めてくる。

 

「……ん?あぁ、オルステッド?まぁ俺も信用はしてないが…ルーディアの判断だ。俺はそれを尊重してる」

 

それに対しての何処か気の抜けた返答に、アレクサンダーは眦を吊り上げた。

 

「はぁ…?それでルーディアさんに取り返しのつかない事が起きたら…!」

 

「起きねぇよ、起こさせない。そう誓ってる。あんたが何をどう思うかは勝手だが、俺の決めた事にまで口出ししないでくれ」

 

そうキッパリと言いはなったエリオットに対して、アレクサンダーは二の句を続けられなかった。

そのまま二人は黙って暫し視線を交わし合うものの、先に視線を外したのはアレクサンダーのほうだった。

単純に覚悟の違いだろう。

気まずげに視線をずらしたその様子に、エリオットが小さくため息をついて口を開いた。

 

「ま、もし仮にオルステッドが裏切っていたなら、あんたの力も借りて奴をボコボコにしてやる。俺だけでもどうにかするつもりはあるけど、あんた程の実力者がいれば心強い」

 

「そ、そうでしょう!いざという時は任せてください!」

 

そんなアレクサンダーの単純な反応に、エリオットは頭を抱える。

こいつ実はアルスより幼いんじゃないか?と頭に過ってしまっていた。

 

『アレク様、とりあえずオルステッド様に対しての事は保留にしておいてください。詳しい話は明日にしましょう?もう子供達も寝静まってる頃です』

 

「そう、ですね。わかりました。騒がしくしてもいけませんから…また、明日ですね」

 

『はい、アレク様。何かあれば私か、使用人のアイシャにお願いします…それでは、また明日。おやすみなさいませ』

 

そう告げるルーディアに、アレクサンダーは少し戸惑いながらも言葉を返す。

 

「お、おやすみなさい…」

 

ルーディアはアレクサンダーと挨拶を交わすと、エリオットを伴って部屋を出る。

少し対応に疲れたなぁとルーディアは小さく息を吐いた。

その時、ポン、と肩にエリオットの手が置かれる。

ピクリと体を震わせ、横に立つエリオットを、思わず赤く染まってしまった頬で見上げた。

 

「……部屋、行くか」

 

『……ん』

 

今日は、何とは言わないが、エリオットの日である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜、アレクサンダーは尿意に目が覚めてしまった。

事前に教えられた道とは違う道を通り、用をたした。

そんな帰り道だ、ギシギシと何かが軋む音がアレクサンダーの耳をうった。

その音のほうを見ると、丁度今いる真横の扉の向こうからしたようだった。

首を傾げながらその扉に耳を当てると、ギシ、ギシ…という音以外に苦しそうな吐息が聞こえてきた。

その吐息がなんとなくルーディアのもののような気がして、アレクサンダーは部屋の中への好奇心を抑えきれなかった。

ゆっくりとその扉を小さく開き、その中を覗き込んだのだ。

そして…アレクサンダーは眠気に半目になっていた目を見開く事となる。

 

「ルーディア…っ!」

 

『…エリ、オット…』

 

産まれたままの姿のルーディアに、同じく産まれたままの姿のエリオットが覆い被さっている光景。

肉と肉がぶつかる音と粘着質な水音がリズミカルに響き、その度に二人が乗っているベッドがギシギシという音をたてていた。

アレクサンダーはルーディアのその体に視線が釘付けだった。

自分の妄想よりも綺麗で、そして酷かったその体。

着痩せする性質なのだろう、胸は想像以上に豊満で、腰は括れていて曲線が美しく、割れてこそいないが引き締まった腹は、三人も子を産んだとは思えなかった。

けれど、左目は抉られたような傷痕が残り、左肩から先も、左膝から先もなく、左半身は夥しい火傷跡が体全体に広がっていた。

自分の考えていたよりもボロボロだったルーディアの姿に、少なからずショックを受ける。

美しさと眼を覆いたくなる酷さが混在したそんな姿に、眼を離せない魔性の美しさを感じていた。

そこでアレクサンダーは、自分がどうしようもなく興奮している事に気付く。

熱烈な深いキスをし、豊満で美しい胸が手によって形を変え、突かれる度に甘い吐息を漏らすルーディアの姿に。

エリオットを見つめるルーディアの蕩けた瞳に。

愛しい者と繋がれている事を、心から歓喜するその雰囲気に。

やがて激しくなるエリオットの動き。

そしてそれが止まるまで、アレクサンダーは目が乾き痛みを訴えても、眼を見開いてそれを見届けた。

 

「はぁっ…ルーディア…」

 

『んっ……』

 

見つめあった二人が幸せそうに触れるだけのキスをした時に、アレクサンダーは扉をゆっくりと閉じて、フラフラと部屋へ歩きだす。

そして、背後の扉の向こうから、再度ギシギシという音が聞こえてきた事でアレクサンダーの脳は無事に破壊されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呆然となったアレクサンダーは部屋に戻り、ベッドに寝転び毛布にくるまった。

わかっていた筈だった。

ルーディアは三人の夫を持つ人妻で、自分など眼中にない事なんて。

ほとんど一目惚れな自分が入り込むスペースなどない事なんて。

それでもアレクサンダーの脳裏には、先程バッチリと見てしまったルーディアの裸体が刻み込まれていた。

考えるな考えるなと心の中で呟き、目を瞑って寝入ろうとするものの、むしろ目蓋の裏に鮮明に浮かび上がってしまう。

それでもどうにかアレクサンダーは眠りについた。

そんなアレクサンダーが見た夢は、案の定と言うべきか、ルーディアが裸体を惜し気もなく披露し、自分に身を寄せてくる…そんな都合の良い夢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日…アレクサンダーは下半身の前部分が体に張り付いているような、気持ちの悪い感触で目が覚めた。

思わず触れるとベトリか、ねちょりか、粘着質な感触に、盛大なため息を吐いてしまう。

見てしまった夢に罪悪感を抱くより前に、これをどうにかしなければいけない。

ベッドから降りて立ち上がり、べとべとのこのズボンをどうしようと思ったその時だった。

 

『アレク様、そろそろ朝御飯のご用意が出来ま…す、よ』

 

ノックもなくガチャリと開いた扉。

そこから現れたルーディアは、入った瞬間にくん、と鼻を鳴らし、視線を巡らせた。

 

『まぁ…男の子ですから、そういう事も…ありますよね。失礼しました』

 

その一瞬で全てを把握したのだろう、気まずそうに俯いて、直ぐに部屋から出て扉を閉じた。

その、なかった事にしようとするルーディアの態度が、いっそ辛かった。

 

「あれ?北神様は?洗濯しちゃいたいんだけど」

 

『ちょっと待っててあげて、アイシャ。男の子にはよくある事」

 

「ふーん…」

 

アレクサンダーの鋭敏な聴覚は、部屋の外のそんなひそひそ声すらしっかりと捉えてしまった。

今の自分の情けなさを実感してしまったアレクサンダーは、そのまま床に崩れ落ちた。




自我強すぎて使い辛い
なのでここで一度脳破壊
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