『氷狼』ルーディア   作:如月SQ

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うちのお父さんがディズニープラスで無職転生のアニメ一期見始めてて草
丁度シーローン王国出て来て更に草


ブレイク

暫し土砦の中で雨風を防いでいると、ルーディアが何かに気付き、その方向を向いて壁に近寄っていった。

ルーディアがその壁を目の前にしたタイミングで、外からコンコン、と誰かが叩くような音がした。

それにロキシー、エリオット、ザノバは身構える。

 

『大丈夫、オルステッド様です』

 

その言葉と共に、ルーディアは顔が出る程度の穴を手で開ける。

ボコリ、という音とともに外側に土塊が押し出され、銀髪…かは黒いヘルメットを被っている為にわからないが、目付きの悪い男が此方を覗き込んでいた。

外の雨風は殆ど収まっていて、晴れ間が覗いているようだった。

 

「…どうした?何故こんな所にいる?」

 

『…パックスは命は取り留めましたが、王に戻るのは難しそうです…詳細は後程、それより、先刻あの森の中に『泥沼』とアトーフェが逃げて行きました』

 

「なに…?『泥沼』とアトーフェ…やはり繋がっていたか。わかった、まだいるとは思えんが、一応見てこよう。何かあれば魔術を空に放って知らせろ」

 

オルステッドはそう言うと身を翻し、先刻の森の中へと駆けていくのだった。

去っていった事と一応危機を抜けた事。

それによって少し気の抜けた一行は息を吐く。

土砦が解除され、周囲は雨に濡れてグチャグチャであったが、ルーディアが直ぐ様水を抜き取り乾燥させ、皆思い思いにその場に座り込んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はっ!ここは…?」

 

「目を覚ましたか、ジンジャー」

 

「ザノバ様っ!」

 

少しして、ジンジャーが目を覚ます。

眠っている間に傷は癒していた為に、痛みはないようで、跳ねるように飛び起きた。

そしてそのままその場にひざまづく。

その様子にザノバは構うなと手を振り、改めて問い掛ける。

 

「今までどうしていたのだ、お前に何があったというのだ?」

 

ジンジャーはその問い掛けに対し、ハッとなって、口を開いた。

 

「はっ、パックス陛下が狙われていて…!演説の時に狙う、との情報が……間に、合わなかったのでしょうか…」

 

周りを見渡し、そのなんとも言えない雰囲気に、言葉を詰まらす。

 

「…いや、余も攻撃を食らって気絶してしまった為に詳細はわからんが、傷付いたものの、パックスは一命を取りとめ、今はランドルフに連れられ王竜王国に向かっているらしい…のでしたな?師匠?」

 

ルーディアはこくりと頷く。

それに対して、ジンジャーは少し焦ったように続ける。

 

「それは、ま、まずいかもしれません!王竜王国にもっケホッ、ゴホッゴホッ!」

 

『ジンジャーさん、落ち着いて…水です、ゆっくり、最初から話して下さい』

 

話す途中噎せてしまったジンジャーに、ルーディアは水を差し出す。

コップ一杯の水をゴクゴクと飲み干し、大きく息をついたジンジャーは、自分が入手した情報を順に話していくのだった。

 

 

 

 

 

まず、シーローン王国及び周辺国には既にジンシン教が根を張っている、との事だった。

アスラ王国から追い出された悪辣な者達が隠れ潜み、数を増やしている、と。

パックスが孤児院を運営している奴隷商と繋がりがあり、親衛隊をやっていた頃何度か交渉等をしていたツテで、裏の流れを知れたのだという。

 

『…孤児院を経営してる奴隷商とか、危ない匂いがしますが…』

 

「いえ、裏に通じてはいますが、そう悪どいお方ではありませんよ。というより、そのお方の活動がパックス陛…様の指針の一つとなっているのです」

 

幼いなりで奴隷とならざるを得なかった者達を孤児院で世話をし、ある程度の教育を受けさせる、という活動をしているとの事。

マケドニアス商会といい、成人奴隷のみを扱っているらしい。

眉唾物ではあるが、焦点はそこではない。

 

「ジンシン教はすぐに裏に入り込み、資金力に物を言わせて裏に根を張りました。何処から出たのかは不明ですが…ただ今までのルール等ないかのように好き勝手しているようで、マケドニアス商会としても迷惑している、として色々と教えて貰ったのです」

 

そこからジンジャーはそもそも疑問に思っていた、何故王竜王国が黒竜騎士団と、国最強の騎士を派遣したのか、を調べていたという。

そうしてわかったのが、王竜王国が『泥沼』と不死魔王とその親衛隊を雇ったという、凄まじい事実であった。

彼らは王竜王国の属国の戦場に現れ、圧倒的な力で敵国軍を壊滅させたのだという。

サナキアとキッカも救われ、王竜王国に忠誠を誓っているとの事。

その流れでシーローンにも来るのでは、と思っていた所、ザノバ皇子がカロン砦の防衛に成功したとの報告を聞いて、一安心していた。

しかし。

 

「…『泥沼』による襲撃と、ジンシン教による民衆扇動、それらの計画を耳にしたのです。それを知った私は直ぐに皆様に伝えようとしたのですが…聞いてる事に気付かれてしまい、情けなくも捕まってしまいました…」

 

「…あの怪我はそう言う事か」

 

「はい…ただ痛め付けられただけでしたが、一週間程囚われていました。それから、ボロボロのまま奴隷商に売り払われてしまったのです。マケドニアス商会に」

 

『…ジンシン教の資金源はその辺りなんでしょうね…人を人と思わない…最悪な奴等』

 

悪態をつくルーディア。

ザノバは眉を寄せた。

 

「むぅ…となるとそこでそのマケドニアスとやらに解放されたのか?」

 

「ええ、親衛隊である私が売られるという事態に何かが起こっていると判断し、すぐに解放して頂けました…結局、間に合いませんでしたが」

 

そこまで言うとジンジャーは下唇を噛み締めた。

 

「申し訳ありません、ザノバ様、何のお役にも立てませんでした…」

 

結局ジンジャーの得た情報は今、このような状態になってしまった今、遅かったとしか言えない。

だが、まだ重要な事がある。

 

「いや、よくやったジンジャー。王竜王国に何も考えずにパックスや余達が行けば、全ては水の泡だったかもしれん。お前の行動は無駄ではなかったぞ」

 

その言葉に、ジンジャーは泣きそうな顔で頭を深く下げた。

 

「…聞いていたでしょう、パックスの危機はまだ去っていませぬ…王竜王国にたどり着く前に一度合流を目指したいですな」

 

『そうですね…王竜王国の今を把握しない事には、パックスがまた何処かで害されてしまうかもしれません。…合流を急ぎましょう』

 

「黒竜騎士団自体にも注意が必要ですよ。僕はあの時、その一人に気絶させられましたから…殺されなかっただけ良かったですけど…」

 

『えっ!?聞いてませんよロキシー!大丈夫でしたか?』

 

ロキシーに近付き、ペタペタと体を触りだすルーディア。

 

「わぁあ、大丈夫!もう大丈夫ですよ!しっかり治しましたし!」

 

すりすりぺたぺたと身体中を撫でる手に、ロキシーが顔を真っ赤にして抵抗している。

それを見ないようにして、エリオットが口を開いた。

 

「…となるとどうする?すれ違いになる可能性を考えると、時間は掛かるが王竜王国首都手前で待つのがいいか?」

 

「ふむ、それがいいでしょうな。幸い転移魔法陣は王竜王国にもあるとの事ですから、先回りして待っていましょう。後は王竜王国の状況の調査が必要ですかな…」

 

『そうですね。私もそれに賛成です。ん…オルステッド様が戻ってきたようです。少し話してみましょう』

 

ルーディアがぽつりと呟くと、丁度森からオルステッドが出てくる所であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……成る程、判断に困る事態だが…そうだな、お前達はパックスの保護に尽力するといい。『死神』がいれば相当な事がなければ道中は安全だろう。転移魔法陣を用いて待ち伏せするといい。…いくら『死神』とて王竜王国まで三ヶ月は掛かるだろう。暫くはシャリーアで待っててもいい」

 

「いえ、余は念の為にシャリーアの家には帰らず、すぐ様王竜王国へ出向き、首都の手前で情報収集を兼ねて待っていたいと思います」

 

「そうか…それも良かろう。エンド傭兵団があの辺りでも活動している。活用するといい。ただ、ジンシン教も活発だ。気を付けろ」

 

「はっ」

 

『それじゃあ…私達は一度帰ります、か。ずっと気を張っていても仕方ない、ですよね。…ザノバには悪いですけども』

 

「いやいや師匠、師匠は既に大活躍したのですから、ゆるりとお休みくだされ。余はまだ元気が有り余っておりますからな!」

 

『……ザノバも、今日はゆっくり休みませんか?気になるのはわかりますが…』

 

「…いえ、師匠。これはけじめ、という奴です。解決するまで余はシャリーアへは戻りませぬぞ」

 

「…わかった、俺もこの付近でもう少し調べたい事がある、ルーディア、指輪をザノバ・シーローンへ渡せ。魔力を流せば俺に伝わるマジックアイテムだ。何かあれば知らせろ、直ぐに向かう」

 

『…ザノバ、くれぐれも気を付けて』

 

「お心遣い、感謝いたしますぞ」

 

「ザノバ様!私もお供させていただきます!」

 

「うむ、頼りにしている」

 

「こういう時遠く離れていても、直ぐに意志疎通出来るような物があれば便利なんですけどね…そんな都合の良いもの…ないですよねぇ…」

 

「ふむ…わかった。考えておこう」

 

「……へ?」

 

頷かれると思っていなかったロキシーは呆けた声をあげていた。




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