『氷狼』ルーディア   作:如月SQ

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公式からルディ子ちゃんが供給されましたね、ビックリしました。
うちのルディ子ちゃんはXとかでよく見るあのフィギュアに色付けた子から、表情とハイライトと左目と髪色とを奪って火傷とチョーカーを付けた感じですね。


異世界転移装置とナナホシの行く末
これからの『デッドエンド』


「結局、王竜王国には既に『泥沼』もアトーフェも親衛隊もいなかったか」

 

『契約打ち切り、と一方的に告げ、姿を消していたみたいですね。王竜王国新国王ステルヴィオ様はパックスを咎める事はなく、そのまま王竜王国黒竜騎士団に所属させたようです。あと、パックス襲撃時にロキシーを害した騎士…その騎士は戻っていないようですね』

 

「シーローン王国では余も知らぬ、ハルハ・シーローンとかいう、ジェイド将軍の3歳の甥が王として祭り上げられているそうですな。腐った大臣等はパックスが一掃しておりましたが…ジンシン教の悪辣な者達が好き勝手しているようです」

 

「パックス王子も前途多難ですね…とはいえ諦めてはいないようですが。ランドルフ様も全面的に二人…いえ、三人を守護する事を宣言していましたし、返り咲くことは不可能ではないように思います」

 

「そうか?悪行や悪名ってのは何時まで経っても消えないもんだ。俺やお義父さんが未だにアスラで山猿や悪童って呼ばれてるみたいにな。努力を否定したい訳じゃないが…正直俺は厳しく思うぞ。王竜王国で要職に就く方が可能性あると思う」

 

「…ひとまずご苦労だった。シーローン共和国が誕生するのかわからないが…可能性は繋いだと思っておこう。半々と言った所か…」

 

『ラプラスの転生場所の固定化が半々…つまりは復活したラプラスによって、人魔大戦が起きる可能性も視野に入れるべき、という事ですね』

 

「そうだ。そこで俺が魔力を使いすぎれば…ヒトガミには届かん」

 

「…よくこいつの言いたい事がわかるな。俺達人族はその頃もういないだろうが…未来でラプラスを殺せるだけの戦力を用意する事が必要って事…でいいのか?」

 

「そうなる」

 

「余はこれからは本格的にサポートに回りましょう。師匠の氷狼鎧の性能を高める事と同時に、少し考えている事があります。人形も作っていきたいですな…自動人形の研究も進めていきましょう。やりたい事が沢山あって目が回りますな!」

 

『いっぱいありますね…気持ちは嬉しいですが、無理はしないように…』

 

「勿論です、好きでやる事ですからな!これからは好きに生きていきますぞ!ただ…好きに生きるだけでは金が稼げませぬからな。何か、考えねばなりませぬ…」

 

『当面は氷狼鎧の代金として、オルステッド様から頂いている活動資金から支給しますよ。後は…ルイジェルド人形の販売責任者となれば、お金は入ってくるでしょう。その辺りの商売に詳しい人員をエンド傭兵団から配属させるのもいいかもしれませんね』

 

「おお、助かりますぞ、余に商売にまで気を回す余裕等残る気がしませんからな!」

 

『リニアとアイシャには話しておきますが…無理はしないように監視も必要そうですね』

 

「…戦力と言えば剣神流、水神流、北神流か?…幸いにも神級全員と関わりがあるな。確か…アリエル様の戴冠式だったな?その時に水神流には渡りをつけるべきだな。ついでにアレク。あいつが他の北神流と繋がりあるかは知らんが」

 

「アリエル様、ひいてはアスラ王国とも改めてお話するべきですね。魔法三大国とも、しっかりと繋がりを作っておくべきです。今の所はその程度でしょうか…僕はその戦いの時にもまだ生きている筈ですから、僕自身も、強さを磨いていきましょう」

 

『一先ずはこんな感じで…あとは追々ですかね?そんな感じで、宜しいですか?』

 

「…感謝する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パックス一行を王竜王国まで送り届け、暫くの滞在の後、直ちに危険はないと判断した一行は、シャリーアへと帰る事とした。

パックス達にはヒトガミと名乗る者が夢に出て来たとしても絶対に信用するなと言い含めた。

その時にランドルフがヒトガミという名前に覚えがある、と呟いた事でまさか彼が使徒かと緊張が走ったが、親戚がよく口にしていた名前だったから知っていただけ、との事だった。

 

「驚かせてしまったようですね…いやぁ、私もその話自体は眉唾物だと思っているのですが、何度も聞かされたせいでそのヒトガミ、という名前は覚えてしまいました」

 

『そうですか…一応その親戚のお方のお名前を聞いても?』

 

フィアンセを守る為にヒトガミの口車に乗り、闘神鎧を盗み出してラプラスと戦った魔族。

 

「ビヤゴヤ地方の魔王バーディガーディです。数ヶ月前までこの国にいたという、アトーフェラトーフェの弟に当たるお方ですね」

 

聞いた事はあるものの、会った事のない人物の名前に、ルーディアは首を傾げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャリーアへと帰還したザノバは、ジュリとの感動的な再開を果たした。

ジュリからの熱烈な告白シーンがあり、見守る面々が息を飲んだが、ザノバは柔らかく微笑み受け入れていた。

それが親愛なのか恋愛なのか、見てる者にはわからなかったが、抱き着き涙を流すジュリと、それを嬉しそうにしているザノバ。

二人がこれからどうなるのかはわからないが、悪い事にはならないだろう…そう感じながら抱き締め合う二人を眺めていた。

 

 

 

その後、ザノバはジュリ、ジンジャーと共にフィッツの家の近くに二階建ての家を構えた。

一階が作業場となっているその家で、ザノバは今日も作業をする。

これまでの苦労が報われたのか、かなり上手くなった力の制御と器用さの増した手で、一つ…二つの人形を造り上げた。

右手と左手が手を繋いだようにくっついている、茶髪の男と水色の髪の女の木製の人形。

ニコニコと笑顔を浮かべた、幸せそうな人形。

 

「お世辞にも上手に出来たとは言えませぬが…余が一から作った人形です。…いずれ、また会う時にでも渡しましょう。それまでは…彼らの健康を祈る人形として、飾っておきましょうか、不恰好ですがな」

 

恥ずかしそうに言うザノバに、ルーディアは小さく笑みを浮かべ、その大事そうに飾られた人形を見つめた。

日に照らされた人形は、何処か神々しく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリエルの戴冠式は春に行われる。

その前後は一ヶ月程国をあげての祭りとなる。

ルーディアとしては子供達と行く気満々で楽しみにしていたのだが…。

 

『フィッツ?』

 

「だーめ」

 

『ロキシー…』

 

「駄目ですよ」

 

『エリオット…!』

 

「ダメだ」

 

『なんでぇ!?』

 

夫は誰一人賛成してくれなかった。

魔法大学でクリフとザノバの卒業式を見届け、宴会に向かう道中の話であった。

ザノバは本来ならば退学扱いだったのだが、ジーナス教頭が気を回してくれて、参列するのが許されていた。

クリフもザノバも何処か感慨深げに門から魔法大学を見上げているのを見ながら、ルーディアはぼそりと呟いた。

 

『次のイベントはアリエル様の戴冠式ですね、楽しみです』

 

と。

それを夫三人は口を揃えて「駄目」と切り捨てたのだった。

だが、それも当然ではある。

ルーディアは既に妊娠六ヵ月。

戴冠式は大体三ヶ月後。

その頃になると流石に安静を推奨される時期である。

人混みになる祭りなど以っての外だろう。

 

「人と繋ぎを作るのは僕達でちゃんとやるから、ルディは大人しく留守番してて。今のルディの仕事は元気な赤ちゃんを産むこと」

 

「そうです、子供達は僕達がお祭りに連れて行きますから」

 

「…お土産はちゃんと買ってくる」

 

『むぅ、私は家族皆で回りたかったのですけどね…でも、それはそうです…ね。悲しいですけど、諦めます』

 

肩を落として息を吐き、トボトボと歩くルーディア。

数歩進み、チラリと並ぶ三人の顔を伺う。

それに対して三人とも揃って首を振るのを認識し、口を尖らせたルーディアはクリフとザノバのほうへと駆け寄って行ってしまった。

そんな様子を、夫三人は困ったように見つめ、後を追っていった。

 

 

 

ルーディア自身もわかってはいる、これはただの我が儘であると。

故にそのフラストレーションを、この後の宴会で飲食にぶつける事となった。

妊婦に酒はあまり良くないと、ほとんど飲まなかったのにも関わらず、匂いにか雰囲気にか、ルーディアはほんのりと酔い、頬をピンク色に染めた。

夫三人も程良く酔い、酔い潰れたクリフがエリナリーゼに横抱きにされて帰宅していったのを皮切りに、二人の卒業を祝う宴会は、お開きとなったのであった。

 

 

 

次の日の朝、ルーディアは清々しい気持ちで朝を迎えた。

少しお腹が重く、軽い二日酔いで少し頭痛がするものの、スッキリした気分だった。

背後のベッドの上で呻き声をあげる、げっそりとした夫三人を見据えて、妙に元気なルーディアは言葉を紡ぐ。

 

『おはよう、三人とも!』

 

そんな声が響き、ルーディアは頭を抑えてうずくまる三人を、何処か機嫌よく見つめていた。

実はあまり納得はしてなかったのかもしれない。

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