『氷狼』ルーディア   作:如月SQ

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『ヒトガミの部屋』

やぁ。

第一回『ヒトガミの部屋』だよ。

記念すべき最初のゲストを紹介するよ。

ルーデウス・ノトス・グレイラット君だよ、拍手ー。

 

「……は?」

 

わーぱちぱちぱちぱち

 

「は?」

 

なんだいノリが悪いね。

 

「当たり前でしょう。は?なんですか?今僕は心臓バクバクでパラシュートなしスカイダイビングしてるんですけど?」

 

ああ、まぁ失敗して死んだからね。

 

「は?」

 

ははは、ウソウソ、大丈夫だよ。

今この空間は時間は流れないし、ここで話した事は戻った時何も覚えてないから。

 

「はい?」

 

ほら、掲示板のSSとかでよくあっただろう?

幕間や後書きで作者とキャラクターを会話させるメタい奴。

 

「痛い!胸が、古傷がすこぶる痛いです!」

 

それみたいなもんだよ、そんな場面にキャラクターとして参加出来て良かったね。

 

「うぅ…古傷が……それで僕は何をすればいいんですか…目の前にいる邪神をしばけばいいんですか?」

 

僕からいくつか質問するから、それに答えてくれればいいよ、それだけのコーナーさ。

人呼んで『ヒトガミの部屋』。

記念すべき第一回だよ、張り切って行こう。

 

「…これから他に誰か来る予定あるんですか?」

 

ないね。

 

「…………はぁ…」

 

さてそれじゃドンドン行くよ。

まず名前を教えて。

 

「…ルーデウス・ノトス・グレイラットと申します」

 

性別は?

 

「男です。多少女顔ですけど」

 

産まれた年は?

 

「甲龍歴391年でしたかね。兄さん、パウロ・グレイラットより三歳下です」

 

出身は?

 

「アスラ王国ミルボッツ領ですね」

 

利き手は?

 

「右利きです」

 

趣味は?

 

「人間観察ですかね。僕の一挙一動で変わっていく人々の動きを見るのが好きです」

 

苦手な事は?

 

「うーん、剣術や馬術ですかね。闘気は纏えませんし、動物には嫌われるんですよね」

 

得意な事は?

 

「魔術ですね。無詠唱魔術も使えますし、攻撃魔術は帝級まで習得しています。治癒魔術は王級ですね。魔力総量もほとんどの人に負けないと思います」

 

好きな食べ物は?

 

「生卵を炊いた米に絡めて醤油をかけた物ですかね」

 

嫌いな食べ物は?

 

「冒険者やってると嫌いで食えないとか言ってられない事が多々あるので、嫌いな食べ物ってのは失くしましたね。ただ一番食べた瞬間のインパクトが凄かったのは店をやってた頃の『死神』さんが作った料理ですかね。味自体は悪くはなかったんですが、匂いや食感や見た目が最悪で、出来ればもう食べたくないですね」

 

好きな人は?

 

「いますよ」

 

嫌いな人は?

 

「貴方ですかねぇ、結構無茶言いますし」

 

ひどいなぁ。

ふむ、大体基本はわかったかな。

じゃあ少し突っ込んで…君の二つ名の『泥沼』の由来は?

 

「得意で咄嗟に出す魔術が複合魔術の泥沼だから…というものと、冒険者として活発に活動してた頃、よく他のパーティに混ぜて貰っていたのですが、その人間関係をぐちゃぐちゃにしてた事からですかね」

 

恨まれたりしなかったのかい?

 

「しましたよー。よく闇討ちされましてね、でも僕がやった報いじゃないですか。流石に殺すのは可哀想なので、四肢切断して断面焼いて放置で許して差し上げました。ま、僕もそれされた事ありますけどね。あれは痛かったですね。あはは」

 

そうだね、誰か印象の強い冒険者とかいるかい?

 

「そうですねぇ、あんまり…良くも悪くも人間関係をドロドロにする事しか興味なかったので…」

 

ふぅん。

 

「ああ、でも数年前ですかね?ほら、オルステッドさんに喧嘩売りに行った少し前、北方でうろうろしてた頃。あの辺りではぐれ赤竜が出ましてね。無謀にもほとんどAランクの4パーティで挑んでて索敵もろくにしてなかったので壊滅寸前だったんですけど、気紛れで赤竜殺して数人助けたんですよ。その時にパーティメンバーが全滅してた女の子に懐かれましてねぇ…暫く行動を共にしてたんですが、一度抱いた後面倒になって逃げたんですよね。珍しい弓使いなのもあって少し印象に残ってますね」

 

クズだねぇ。

 

「貴方には言われたくないです」

 

その子の名前は?

 

「覚えてないですね」

 

名前と言えば偽名でいた事もあったね。

ナナシと名乗ってアスラに仕えていたのはいつで何故だい?

 

「そもそも冒険者になったのは兄さんの後追いだったんですが、ちょっとしたトラブルの後冒険者稼業を休止しましてね。実は兄さんが『黒狼の牙』を解散する前には冒険者を休止してアスラに戻ってたんですよ。僕の幼い頃のアスラでの悪事は『ノトスの悪童』である兄さんに殆ど擦り付けてたんですけど、知る人は僕の成した悪事を知ってますからね。ついでに愚弟に家督を譲ろうとも思っていたので、名を持たない身で仕えていました」

 

ふぅん、結構気にするんだね。

 

「少しの悪評でいつまでもチクチクネチネチやってくるのがアスラ貴族ですから。面倒ですよねぇ。貴方が見てない時に貴族達を家族毎虐殺する旅は楽しかったですよ?鬱憤が晴れてスッキリしました」

 

そうかい、良かったね。

そうだ、そういえば君別の世界の記憶があるんだろう?

 

「ええ、先刻サイレントの素顔に驚いて思わず別の世界の言葉使ってしまいましたし、顔に覚えがある、と言ってしまいました。まぁ、それで何かある訳じゃないですけど、知らせる必要のない事でしたね」

 

その世界で君はどんな事をしてたんだい?

 

「何にもしてませんでしたよ。日々親の金を食い潰す日々。完全に穀潰しでしたね」

 

へぇ、今の勤勉で働き者な姿からは想像もつかないね。

 

「物は言い様ですね。まぁ、そんな生活してたら親が死んで、兄貴にぶん殴られて家を追い出されて…野垂れ死にするなぁとか思っていた時に若い子達のいざこざを見つけて…んー、まぁ、色々あってトラック、鉄の塊に押し潰されて死んで…それでその後に…いや、気付けば此方の世界に赤ん坊で産まれてましたね」

 

ふぅん。

大変だったね。

 

「適当ですねぇ。ま、そういう経験したからこそ、思うままに生きようと、色々やってた訳ですよ。お陰でまぁ、ある程度日々楽しいですよ」

 

今まで他に何度か転生したりしなかったのかい?

 

「してませんね、あっちの世界からこの世界に来て、それだけです」

 

そうだ、実は面白いものを入手したんだよ。

 

「うわ、なんですかこれ。テレビ?ビデオデッキくっついてる奴じゃないですか。懐かしいですね。…それ動くんですか?」

 

明らかにここ電気ないもんね。

大丈夫大丈夫、メタい回は何しても許されるんだよ。

 

「はぁ…そうですか」

 

今回見てもらうのはこれだよ、この世界とは少し違うズレた世界の話さ。

 

「うわ、本当にビデオテープですね。えっ…と?『無職転生~異世界行ったら本気だす~』…?なんですかこのラノベみたいなタイトル」

 

まぁまぁ、まずは見てみなよ。

途中までしかないけどね。

 

「ふぅん……」

 

 

 

―――――無職転生Ⅱ7話まで視聴中――――――

 

 

 

一先ず終わったみたいだね。

 

「そうですね」

 

それで、名前同じだけど、同一人物だったりするかい?

 

「このヘタレイ◯ポ野郎と一緒にしないで貰えます?そもそも歳も違いますし、僕は兄さんの息子じゃありませんし、このヘタレはノトスじゃありませんし」

 

でも闘気纏えなかったり、無詠唱魔術使えたり、『泥沼』と呼ばれていたり、共通点は結構あるみたいだけど?

 

「そもそもこのアニメのルーデウスとやらのポジションは僕じゃなくてルーディアさんのポジションじゃないですか。細かいところは随分違うようですけど。ルーディアさんと一部の人達の性別とか。あと今の所ここまでのアニメの中では、僕のポジションがどうなってるのかわかりませんね。魔法大学入学後までだからですかね…?」

 

にしてもこのルーデウス君が作ったあの人形は、ルーディアに随分と似てたね。

無の世界に呼んだ時の姿とほぼ同じだし。

健康に五体満足でぬくぬくと育てば、現実でもああなっただろうね。

 

「そうなんでしょうね。自分を女の子にして人形にする感性はよくわかりませんけど。…ふぅ…アニメ久々に見ましたけど、面白さより気疲れが勝って酷かったですね…所々に覚えがあるから更に」

 

そういえばトラック?とやらに轢かれる直前、アニメによると彼は人助けしてたみたいだね?

君もしてたのかな?

 

「さぁ…やってたんじゃないですかね?転生前のあの頃はまだ善性が残ってたんでしょうし」

 

今はないみたいだね。

 

「あれば貴方とこうしてませんよ」

 

そりゃそうだ。

でもおかしいね?あのトラックに潰された彼がルーデウス君なら、君がトラックに潰されて死んだ転生先はこの世界のルーデウス君ポジションのルーディアじゃないと変じゃないかい?

 

「さぁ…なんででしょうね?どっかでズレたんじゃないですか?」

 

じゃあ、トラックに轢かれる前に女の子を抱き締めてた子がルーディアなのかな?

 

「それはわかりませんけど、このアニメとこの世界では細部が違うんですから、差異があるのは当然でしょう」

 

そういうもんかな。

まぁ僕も全知全能じゃないからね、わからない物はわからないね。

 

「…それで?後は何かありますか?」

 

んー…そうだねぇ…ああ、そうだ、じゃあ最後に。

 

「…?」

 

何故僕に、ヒトガミに従っているんだい?

 

「…………ナイショです」

 

ナイショらしいよ。

それじゃ、第一回『ヒトガミの部屋』おしまいだよ。

次があるかは知らないけど、次回お楽しみに、さようなら。

 

「さようならー…これ誰に言ってるんですか?」




それにしても映像だと僕胡散臭いねぇー。
こんなのに引っかかるんだから、本当に人って愚かで面白いよ

「そうですね、間違いない。ルーデウス君は随分と抵抗しているように見えますけど、それすら貴方は考慮して誘導してるんでしょうし」

そりゃそうさ、あの程度の若造が僕を上手く利用なんて出来る訳がないだろう。

「この先彼がどうなるかわかりませんが、ろくな目に合わないでしょうね?…御愁傷様ですね」
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