『氷狼』ルーディア   作:如月SQ

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ルーデウスとシルフィエットの第一子って二人の頭文字をとって「ルーシー」じゃないですか。
今作だとフィッツだから「ルフィ」になっちゃうと気付いてしまって。
流石にやばいので、二次創作って事でこまけえこたぁ気にすんな!の精神で原作通り「ルーシー」にします。


流れの変化、剣の聖地到着

問題が起きたのは一月程経過した頃、あと数日もすれば剣の聖地にたどり着くだろう時だった。

ルーディアの妊娠が発覚した。

3ヶ月くらいらしい。

一同はとある町で診察を終えてから、宿屋の食堂で話をしていた。

 

「わわわわわ、にににににんしんしんしん」

 

『落ち着いてください』

 

「落ち着いてられますかって話よ!」

 

「ここまで来てしまったからには、一先ず剣の聖地には行ってしまったほうがいいか…?だがその後の事を考えると引き返したほうがいいような気もするが…」

 

ギレーヌが顎に手を当てながら頭を傾げる。

 

「というかルーディア、そもそも体調大丈夫だったのか?そのくらいはかなりキツイって聞いてたが…」

 

『乗り物酔いだと思ってました…最近馬車に乗ってなかったので…』

 

どうにも調子の悪さが長引くな、と思い診察を受けてみると妊娠していた、という事だった。

 

「どどどど、どうしよう、私が誘ったせいよね?責任持ってちゃんと送らないと…」

 

『ニナさん、気にしないでください。むしろ私が想定しておくべき事ですから…とりあえず剣の聖地までは行ってしまいましょう?妊娠中には安定期というのがあって、不調ももう一月程すれば落ち着く筈です、そこから…』

 

「お嬢ちゃん、妊娠してる身で剣の聖地なんていう乱暴者の巣窟に何の用なんだい?」

 

不意に話し掛けられた一同はその声のほうに視線を向けた。

そこにいたのは気難しげではあれど、穏やかな雰囲気を纏う老婆であった。

 

『何の用…えっと、そうですね、一応一時期剣神流を習っていた身として、一度訪れておきたいと思いまして…そしたら道中で妊娠が発覚してしまって…』

 

「私が無理言って誘ったから…ごめんねルーディアさん」

 

「…ん?おや、あんたニナかい?大きくなったね、こんな所で会うとは奇遇だねぇ」

 

「え…えぇと?どちら様でしたっけ?」

 

「なんだい、覚えてないのかい…まぁ小さかったからねぇ。あたしはレイダ・リィア、そっちの嬢ちゃん達もよろしくね」

 

「レイダ・リィア…水神か!」

 

「えぇ!水神様!?なんでこんな所に!?」

 

水神、水神流のトップの称号であり、現在の水神は水神流の奥義『剥奪剣界』を極めたと言われるレイダ・リィアである。

 

「ガルの坊やに呼ばれてねぇ。あたしも剣の聖地に行く所さ、目的地が同じなら一緒にどうだいと思ってね。手はいくらあってもいいだろう?」

 

そう言って朗らかに微笑むレイダにルーディアは頭を下げた。

 

『それは…とても心強いです、水神様。私はルーディア・グレイラットと言います、よろしくお願いします』

 

「なあに、ただの老人のお節介さね。短い旅路だが此方こそよろしく頼むよ」

 

 

 

 

『水神』レイダ・リィアと『水王』イゾルテ・クルーエルを加えた旅路。

突然とんでもない戦力になった一行である。

 

「ふむ、にしてもあんた、なかなか苦労したみたいだね、その歳でこんな大きな子がいて。イゾルテがあの赤毛の小僧をずっと軽蔑の目で見てるよ」

 

レイダはアルスを抱えながら言う。

アルスはきょとんとした顔でレイダを下から見上げている。

 

『あはは…エリオットの子を孕んだ事と、この姿は関係ないんですけどね…事情知らない人は一緒に考えてしまいますよね…』

 

「そうなのかい?イゾルテの中じゃあの小僧は、あんたをぼろぼろにして孕ませた糞野郎になっているだろうさ」

 

『本当ならとんでもない糞野郎ですね、この子を妊娠してから二年会ってませんでしたが、そこまでじゃないですよ』

 

「充分糞野郎じゃないかい」

 

不意に外を見ると、馬車のすぐ側ではレオがうろうろしており、少し離れた場所でギレーヌ、ニナ、エリオットの三人が魔物を斬り殺しているのが見えた。

その三人を越える魔物などほんどいないが、まったくいない訳ではない。

そんな魔物は途中にいるイゾルテに挑みかかって、あえなく切り落とされている。

 

『あれが水神流ですか…』

 

「ああいう殺気だった獣は水神流にとってはカモさね、イゾルテくらいになればそこらの獣を受け損ねる事なんて…」

 

「お師匠様!」

 

ターゲットをかえたらしい魔物の一匹が、イゾルテが仲間を切り捨てた瞬間に横を走り抜け、馬車へと向かってきた。

 

「…はぁ…やれやれ、褒めたらこれだ」

 

『レイダさん、私が』

 

「あんたは大人しくしてな、っと」

 

レイダはアルスをルーディアに預けると、するりと音もなく馬車から降りて着地し。

 

「よっと」

 

何かが閃いたと思った時にはレイダの腰からチン、という金属音が響き、魔物は次の瞬間に思い出したように真っ二つとなった。

その凄まじい光景に、ルーディアとアルスは目を瞬かせた。

 

「やれやれ…老人に働かせるんじゃないよ!もっと気張りなあんたら!特にイゾルテ!なぁにやってんだい!」

 

ひええ、と悲鳴が聞こえた気がした。

 

「しゅごい!かあしゃま、れーだしゅごい!」

 

「そうかい?ありがとうね坊や」

 

直ぐ様馬車に戻ってきたレイダはそう言ってアルスの頭を撫でる。

 

『そう、ですね…格好いいです…私は闘気を纏うのが苦手ですし、剣の才能はないらしいですからね、憧れます』

 

「んん…?才能ないって?ふむ…」

 

レイダはそう呟くとルーディアをじろじろと見て思案してるようだった。

 

「…うん、まぁいいさね、さ、奴らも終わったようだし、出発しよう。剣の聖地までもう一踏ん張りだよ、あんたは自分の体調を心配してな」

 

「かあしゃま…」

 

『はい、お気遣いありがとうございます…あれ、アルス、おねむ?お昼寝しよっか』

 

しぱしぱと眠そうに目を瞬かせるアルスを抱き抱え、モフモフの毛布を取り出して身に纏う。

 

「わん!」

 

そこにレオも馬車に入ってきて身を寄せる。

暖かな感触にルーディアもあっという間ににうとうとしはじめてしまい、ゆっくりと微睡んでいった。

そんな光景を、レイダは微笑ましそうに眺めていた。

 

 

 

そうして一行は剣の聖地へと辿り着いたのだった。

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