『氷狼』ルーディア   作:如月SQ

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アンケート的に大多数は中身、登場人物達に対して、または登場人物の不幸に対して感じる不快なので、後はそれを発散出来る文章をかけているかが問題ですね…そこは要精進。
話の流れの違和感に関してはただただ力量不足です、申し訳無い。
妊婦が傷ついた事に不快な読者様方、人として実に正しい倫理観をお持ちです、どうかそのまま真っ直ぐにお進みください。
そしてルーディアを愛して下さっている皆様、ありがとうございます。
今作において非常に珍しいルーディア視点です。


『追憶』ルーディアという少女

「ルーディア。前回、何故お前があのような蛮行に走ったのか、お前はわかるか?」

 

いつだったか、オルステッドとの話し合いの時、そんな事を聞かれた事があった。

私はそれにわかる、と答えた。

それを聞いたオルステッドは眉を寄せていた。

 

「何故だ?何故家族諸とも手にかけた?家族の為に俺に下ったのではなかったのか?」

 

私に目を合わせつつも、何処か私を見ていない視線…。

その目が私ではなく、前の私を見ている事に気付きつつも、私は答えた。

 

『それは私がこの世界が大嫌いだからです』

 

表情が動けばどういう表情しただろうか、嫌悪にまみれた表情か…満面の笑みか。

オルステッドは面食らったように少し目を見開いていた。

 

「…矛盾している」

 

『自分でもそう思います。けれど私の中にはずっと燻っているんです、この世界への嫌悪が。何処もかしこも醜い。ナナホシがこんな世界、と吐き捨てるのも良くわかりますよ。反吐が出ます。ヒトガミが貴方が世界を滅ぼそうとしている、と言っていた時、どうやるんだろうという興味が湧いたくらいです』

 

私は胸をおさえながらオルステッドの目を見詰めて続けた。

彼は眉間に皺を寄せて難しい顔をしていた。

 

「……」

 

『転移事件前も人拐いに狙われた事がありますし、飛ばされた先で私は性奴隷にされました。リカリスの町では騙され酷い目にあって。獣族の奴隷達を解放すれば大罪人として捕まって。父様には罵られて、妹には化け物と言われて。故郷は結局なんにもなくなっていて、エリオットにはヤリ逃げされて、妊娠もして…しかも前の私は更にギレーヌもいなくて、理由もわからず貴方に一度殺されかけたのでしょう?私以上に燻る思いは強かったんだと思いますよ』

 

そう飄々と言うとオルステッドは難しい顔をして俯いた。

 

「すまないな、おまえ達の身柄を救いだすので精一杯だった」

 

そして顔をあげるとその顔はルイジェルドだった。

ああ、これ、夢か…。

納得してしまった。

これはあの時盗賊の根城からルイジェルドが私達を助け出した時の光景。

ルイジェルドは緑の髪も額の赤い宝石も隠さず、私達を助けた。

感謝もしてるし素晴らしい行いだとは思う。

けれど、もう少し上手く出来なかったんだろうかと子供心に思っていた。

あのまま魔大陸でミグルド族にだけ理解される生活をしてても何にもならなかっただろう。

…でもだからこそ私は協力する気になったんだけど。

不器用な彼に救いあれ、と。

そういえばジュリの人形作りの腕も大分あがってきたし、そろそろルイジェルド人形の販路考えないとなぁ…。

記憶の私の視界が動き、地面に魔神語でガリガリと感謝の言葉をかいている。

出来るだけ左腕や左脚を見ないようにしてるのが、今となっては微笑ましいな。

あ、でも今より視界が広い、代わりにあんまり左側見えてないけど…。

そう考えると、この頃には既に左目は限界だったんだろうな。

 

「気にするな、近くに村がある、明るくなったら向かう」

 

するとぐんにゃりと視界が移り変わる。

次はなんだと思えば左目がなくなった時の記憶だ。

リカリスの町で手早く稼ごうと目論んでしまった私達を…目敏いノコパラが見つけ、その騒動で私は突き飛ばされた。

その時にバランスを崩してしまい、誰かが集めていたアシッドウルフの酸で左目をもろに焼かれてしまった。

痛みに私は声の出ない喉で叫んで、転がって、指で左目を掻き出して、奥まで入り込んだ酸を指が爛れるのも構わずに掻き出して、痛みにまた指で…。

完全に錯乱してるなぁ、なんて左側の視界がなくなり、ルイジェルドがスペルド族だとバラして逃げていく様子を眺める記憶を見ながら思う。

 

「ほれ、ずぶしゅー」

 

『痛ぁああああ!!!』

 

あ、もう一個も潰れた。

ウェンポートで魔界大帝キシリカキシリスに魔力眼を貰った時の事か…流石夢、脈絡がないし唐突。

でも魔力眼には助けられたなぁ。

左腕を生成する時やこの頃の義足の補助に氷と風を纏う時、魔力眼でしっかり見てコントロール出来なきゃ、数回の戦闘で魔力使い果たすままだったろうし、ギレーヌとお揃いなのが結構嬉しい。

ああ、これからはお母さんって呼んでいいんだったね。

やがて真っ暗な視界から魔力でカラフルな景色が映り、キシリカが得意満面の笑みを浮かべているのが見えるようになる。

いずれ彼女にも改めてお礼をしなきゃなぁ…クリフ先輩が見識広める目的で魔大陸に行った時会ったと言っていたけど、いつか会えたら改めてお礼したいな…。

 

「何か言ったらどうなんだ!」

 

そんな言葉と一緒に私の視界が木の床、壁、天井、格子の順にグルグルと回る。

ああ、獣族の牢屋で蹴り飛ばされた時の記憶だ…今思い出しても不愉快な。

鎖で繋がれ水をかけられた私の視界の端で、地味な服が着せられる…ギースのベストか。

最初はギースが裸で鎖に繋がれてる私と同じ牢屋に入ってきた時は、いよいよもって性奴隷に逆戻りかと絶望したものだったけど…本当に助かったなぁ。

その後も私の辛い記憶をなぞるような夢は続いて、段々と鬱陶しく思えてくる。

確かに私はオルステッドに世界が嫌いだって言った。

嫌いな理由も、前の私が前の父様達を直接手にかけた事も納得は出来るって。

けど今の私はそうじゃない、理解出来るだけで、そんな事もう思わない。

 

「そうなのお姉ちゃん」

 

気づけば私は何にもない薄暗い空間に立っていた。

不思議な空間だ…ヒトガミと会話してた所に近いかな?

腕や足はないけど…何故か立ってる。

そんな場所で私は声の聞こえたほうを見る。

そこにはノルンがいて、魔法大学の制服を着て…邪悪な笑みを浮かべていた。

 

「ねえ化け物、なんで今の私は許してるの?それであんな雑魚に遅れを取るなんて、バカみたいね、あはははは!」

 

前のノルンか、私のオルステッドの話を聞いただけのイメージの。

ああ、でもそう、再会する前のノルンのイメージなんてこんなもんだった。

会うのが怖かったし、共に住むのが苦痛だった。

だからベガリットに行くことで顔を合わせないようにしたけど…。

手術の前にノルンにほにゃりとした笑顔で夢現に渡された薬…ノルンなりに私へと歩み寄ろうとした印。

ある程度精神負荷がかかるだけで錯乱してしまう私が確信してる事だけど、人は余裕のない限界の時に本性が出る。

アイシャは凄い寂しがりだし、臆病だった。

だからこそノルンのあの言葉は私によく響いた。

その時に私はノルンの姉になれる、なるって思ったんだ。

 

「な、なによ…!」

 

それはきっと目の前にいる、前のノルンも同じ。

私のイメージだけの存在だけど…彼女もきっと救えた未来があったんだと思う。

思わずぎゅっと抱き締めると、それはそのままぷしゅると潰れて消えていった。

世界は嫌いなままだけど…愛する人が沢山増えたから。

私は前の私のようにはなる事はないと思う。

けれど…ノルンに先程言われた言葉は胸に突き刺さった。

 

「…それはそれとして、確かに今回の事は油断しすぎた…ね。危うく流産…?」

 

「そういう可能性もあったろうな」

 

そこに新たな声がして、その方向に目を向ける。

真っ黒な…子供が筆でぐりぐりと塗りつぶしたような、雑な人影がこっちを…見てるのだろうか?

こんなのを見たことはないけど…近いのはヒトガミかな。

でもヒトガミっぽさもない。

首を傾げているとその人影は言葉を続けた。

 

「前世の事あんま覚えてないか?SFとかで過去に戻った時、変えたと思った事柄が形を変えて結局起こる、みたいな現象。因果とかいう奴だ」

 

「…前世を知ってる…?ますます誰…?」

 

「誰でもいいだろ、どうせ夢だ、お前が自分の考えを整理する為に作った疑似人格だとでも思っとけ」

 

「…わかった」

 

改めて変な夢だなぁ。

 

「本来の歴史から逸脱した場合、辻褄合わせが起こる。オルステッドが言っていただろう?人はそれぞれ運命に守られている、と。それの強弱や関わり合いによってその運命は変わる。けれど変わった分、似たような事が起こる事がある。まるで歴史を修正するかのように起きる現象。それが因果だ」

 

「……?」

 

やはりよくわからない。

首を傾げる私に、人影はため息をつくような動作をして更に続けた。

 

「前の世界でお前が流産したというのが運命だった場合、この世界でもそうなる可能性は残っていたって事だよ、油断しやがってバカが」

 

「!!!」

 

思わず私はお腹に手を当ててしまう。

今更恐怖が襲ってくる。

もしかしたら…そうなっていたかもしれないのか。

お腹を撫でながら、お腹の子供に内心で謝る。

 

「前の世界では赤竜の下顎で、前のお前はオルステッドに胸を貫かれて治された。だからお前は後に『泥沼』に胸に風穴を空けられた。そしてオルステッドに治された…時期は明らかに違うがな。今回のお前がボロボロになったのも、前回魔石病が治った後に前のお前が起こした行動の辻褄合わせだ」

 

オルステッドの前の世界の話において、ヒトガミにしてやられた私がしたことは確か…。

 

「オルステッドに、挑んだ…?」

 

「そう、まぁもうひとつ、一般ミリス教徒による自爆も含まれてるな。オルステッドにボロボロにされる事に比べたら片手落ち所か両手落ちもいいとこだがな。一般人に襲撃され、ボロボロにされ、エリオットが助けにくる…。似たような流れになってるが、明らかに似てるだけだ。かなり中身に差がある。死人だけは多いが、ロキシーは死んでないしな。そこからわかるように、因果も完璧じゃない。辻褄合わせするにも限界があるんだ。ちゃんと要所を抑えておけば、お前はお前にとって最良の未来を掴みとれる。だが今回は全員漏れなく油断した結果、一人でふらふらしてるお前が慢心人質トラウマ当たり所の悪さのコンボでボッコボコって事だ、反省しろよ?」

 

夢で説教されるとは本当に変な夢だ。

けれど…ぐうの音も出ない。

因果とかそういうの抜きにしても、今回は油断しすぎた…間違いなく。

 

「ごめんなさい…」

 

「俺に謝ってどうすんだよ」

 

呆れたように肩をすくめる人影は続ける。

 

「とりあえず結論としてな、因果は必ず起こる訳じゃない。だが油断すんな。クリフやロキシーが生きてる辻褄合わせが何処かで起きる可能性はあり得るんだからな」

 

人影がそう言うと、私の体が突如スゥッと薄れた。

 

「えっ!えぇえ!?」

 

突然の事に驚いて声が出る。

けれど何か浮上するような、柔らかなそんな感覚に、私はそのまま身を任せた。

 

「じゃ精々気を付けろよ。忘れてるようだけど、今現実やばいからな。目覚めたら、意識しっかりしろよ」

 

最後にそんな言葉を聞いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーっ!」

 

「意識戻った!戻ったよ!」

 

「ルディ!しっかりしてください!」

 

バチン、と意識が浮上した、目を覚ました私を待っていたのは激痛だった。

思わず転げ回りそうになるのを、今の状態をどうにか思い出して、右手でシーツを握り締めて押さえ込んだ。

ああ、思い出した。

ジンシン教とのいざこざの後治療が終わってすぐ、陣痛が始まってしまったんだ。

それで痛みで気絶して…。

 

「ああっ!破水してる!」

 

「こりゃ、このまま出産までいくしかないね…治癒術師と医者の応援を頼むよ!三ヶ月早い子は私も経験ない!」

 

「よ、よんできます!」

 

「ーっ!!!!」

 

三回目だけど、相変わらず痛いもう!

神様のバカ!

今回不快にさせてしまった人が結構いるようなので、意識調査です。何が不快でしたか?

  • ジンシン教の彼等の身勝手さ
  • ルーディアが理不尽に傷付けられた事
  • 妊婦がひどい目にあったという事
  • ルーディアや仲間達の危機感のなさ
  • その他
  • この話自体
  • 話の流れの違和感
  • 上記複数
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