『氷狼』ルーディア   作:如月SQ

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ホーミング

次の日もイゾルテに案内され、王都観光を楽しむ事にした一行。

ただ、パウロはレイダが『剥奪剣界』を万全に使えるうちにその技術を盗むついでに、水神流を一から学び直したい、と暫く水神流の道場に通う事を決めたようだ。

それに付き合い件、打ち込み要員として、ギレーヌも着いていった。

よって今はルーディア、フィッツ、エリオットをイゾルテが案内してる形になる。

フィッツはルーディアの右手と手を繋ぎながらニコニコと笑い、イゾルテの案内の補足をしつつ、観光を楽しんでいた。

ルーディアとエリオットも時折物珍しげに目を輝かせている。

 

『子供達も連れて、また観光したいね』

 

「そうだな…」

 

そんな二人の会話にイゾルテは不意に、気になっていた事を思い出した。

 

「あ、そういえばあの時妊娠していた子は元気ですか?お師匠様からは女の子って事しか聞いてないんですよ」

 

『ええ、元気ですよ。ルーシーって言います。今年で三歳になりますね。活発な子で、えへへ、いつも私にべったりで可愛いんですよ。ロキシー…二人目の夫との子はララって言って、予定日よりかなり早く産まれた未熟児だったんですけど、それを感じさせないくらいすくすく育って…あまり泣かないけどこの子も結構くっつくのが好きみたいで可愛くて…あ、そうそうアルスももう五歳なので帰ったら誕生会です。あの子、頑張って毎日素振りしてて、可愛いんですよ』

 

表情が変わったらデレデレとした笑顔を浮かべているんだろうな、と思うくらいに朗らかな雰囲気で述べられる子供達の事に、イゾルテも釣られて笑顔になって聞いていた。

 

「アルス君もう五歳なんですか?まぁ、時が経つのは早いですね…私から後で防御に使いやすい子供用のショートソードを贈らせて下さい。どうせエリオットが攻撃用の剣をプレゼントするでしょうし」

 

『水王…次期水帝様にプレゼントされるなんて、畏れ多いですね。ふふ、ありがとうございます』

 

「あーあ、ルーディアさん幸せそうで羨ましいです。私もいい男見つけたいですね」

 

『イゾルテさん程素敵な女性なら引く手あまたでしょう?結婚決まったら是非教えて下さいね』

 

「もー!まだ見つかってもいないのに気が早いですよ!」

 

王都観光は朗らかな雰囲気で存分に楽しんだ一行であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…うん、いいじゃないか、ルーディアの嬢ちゃん、あんたには水神流聖級の認可を与えるよ」

 

レイダにそう言われルーディアだったが、顔色が優れなかった。

技の冴えは間違いなくこの数日で上がり、かなりの手応えを感じていた。

けど、と横目で見た先には、ギレーヌの攻撃を受け流し続けるパウロの姿があった。

数日水神流を体験したパウロは、才能を開花。

『光の太刀』を使わないギレーヌが一撃すら与えられなくなっていた。

『剥奪剣界』の習得には至っていないが、先程レイダから『水王』の認可を貰っていた。

過去、伊達にS級冒険者としてブイブイ言わせていた訳ではないのだと実感するルーディアだった。

 

「パウロかい?まぁ…あたしもあっちの人間だからあんまり言えないけどね、それでもアレ程の才能は…ガルの坊やしか見たことないよ。そんな奴の事気にしても無駄さ、自分に出来る事をするしかない。それにね、あんただって充分才能あるからね?水聖になるまで普通十数年かかるもんさ。嫉妬する前にしっかり鍛えるんだよ。あんたはまだまだこれからさ」

 

そのレイダの言葉に、ルーディアはパウロから視線を外して頷く。

パウロの才能は確かにとんでもないが、それで自分が弱くなっている訳ではない。

上を見ても仕方ない、しっかり積み重ねていこう。

ルーディアは改めてそう思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、ルーディア、エリオット、ギレーヌの三人がアスラ王国を旅立つ日がやってきた。

フィッツとパウロはそのままアリエルの護衛として残る。

オルステッドがシャリーアに転移魔法陣を設置するまでは、暫しの別れとなる。

とはいえ帰り道は、ペルギウスが新たに設置した王城内の転移魔法陣を利用を許可されているので、家までは半日、といった所だろうか。

来た時を考えれば相当に早い。

禁忌とされている転移魔法陣の前で別れの挨拶となるので、人員はそう多くない。

見送りはアリエル、ルーク、フィッツ、パウロ、そして従者の二人だけだ。

そんな中、ルーディアはフィッツと、パウロはギレーヌと抱擁をしていた。

 

「転移魔法陣設置されたら、いの一番に行くから、オルステッドさんを急かしといてね」

 

『ふふ、わかりました。フィッツもお仕事…頑張って下さいね』

 

「ゼニスとリーリャの事頼むぞ、ギレーヌ」

 

「任せろ、しっかりベッドを丈夫な物にしておく」

 

「おい?もう発情期入ってんのか?」

 

四人はそれぞれそっと離れると、見つめあって別れを惜しんだ。

そんな中で、少しだけ気まずそうにアリエルが前に出る。

 

「屋敷の使用人に関してはとても口の硬い者を選定しておきました。恐らく、屋敷に関しては大丈夫だと思います」

 

パウロが拠点とする屋敷、その屋敷に転移魔法陣を設置する事はアリエルにも伝えてある。

それによって大事な所を黙秘し、しっかりと管理出来る使用人が必要となり、それの手配をアリエルに一任していたのだった。

その屋敷にはフィッツも帰り、転移魔法陣が出来てからは屋敷に帰れるがイコールシャリーアの家に帰れるとなる。

 

「皆様…この度は本当にありがとうございました。そして…申し訳ありませんでした」

 

アリエルはそう言って頭を深く下げる。

 

「王として間違った判断を下しかけていました。危うく彼らに顔向け出来なくなる所でした。…どうかこれからも、私が道を踏み外しそうになったら助けてくださいね」

 

そう茶目っ気を出して言うアリエルに、これからも仕える事となるフィッツとパウロは、仕方ないな、とばかりに苦笑を浮かべた。

反省をしていたのは、ここ数日の消沈していた様子からわかっていたので、皆の反応は悪くない。

すっかり…ではないものの調子を取り戻している様子のアリエルに、ルーディアも安堵の息をつく。

 

「私の戴冠式には呼びますから、是非ご参加下さいね」

 

『気が早い…とは言えませんね、アリエル様。その時は家族一同ご参加させて頂こうと思います』

 

そして、各々の別れの挨拶が終わり、ルーディア達は手を振りながら、転移魔法陣へと足を踏み入れる。

転移が終わればそこは空中要塞、そしてそのままシャリーアに送って貰える事となっている。

家族との別れの寂しさを、早く残してきた家族との再会で癒したいと小さく鼻を鳴らすのだった。

こうして、ルーディア達のアスラ王国での戦いは一先ずの決着を見せた。

不穏さはなおも増しているものの、誰も犠牲者なく目的を果たした事から大勝利と呼べる結果に終わったのだとルーディアは思い込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やぁ、来たね。

 

「…うわぁ。繋げるの早いですね」

 

なんだいうわぁって。

 

「いえ、なんでも…」

 

いやぁ、しかし負けたよ、オルステッドの配下の奴等もなかなかやるねぇ。

オルステッドが出張らずに負けるとは思わなかったよ。

 

「それは僕としても予想外でしたね、まさかあそこまで完成度の高い鎧を持つとは…」

 

変に完成度高いけどね、ま、オルステッドの入れ知恵だろうさ。

それよりまったく、最後に邪魔してきて。

アリエルくらいは殺せたかもしれないのに。

 

「よく言いますよ、彼女に何の期待もしていなかったでしょうに。それより僕の打った手の一つを利用されるのは複雑でしたよ。彼女がミリス教徒じゃなければ、道中で色々問題起きたでしょうねぇ…」

 

かなり刺激してみたんだけどね、彼女が忘れてるようなのも含めて見せて。

それでも最後の最後にしか動いてくれなかったよ、使えない駒だったなぁ。

 

「いやぁエグいエグい。さて、それで?わざわざ僕に繋げたからには何か頼み事でもあるんですか?」

 

いや、別にないよ。

オルステッドの邪魔するのは二人いればいいから、あとは君を見てるよ。

 

「気持ち悪い事言いますね。ま、それなら僕は好きに動いていいって事ですかね?」

 

そうだね、好きにしなよ。

君の事は見てて飽きないからね。

 

「…まったく、暇なんですか?」

 

暇だね、知ってるだろう?

君達人間をおちょくって遊ぶのだけが、娯楽さ。

あ、そういえばあのトリスとかいう女も死ぬ直前に少しここに来たよ、泣きわめいて絶望して、僕を罵倒しながら消えていったよ。

最高の見世物だったね。

 

「はぁー可愛そうに…まぁまぁわかりましたよ。でも船旅中だから本当に面白くないですよ。後で文句言わないでくださいね?」

 

はいはい。

 

「まったく、相変わらずの邪神ぶりで逆に安心しますよ」




なんかすごく出来が悪い感じする。
申し訳ないです。
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