1週間以内に間に合ってよかった~
皆さんのおかげで5/19 日刊ランキングで41位になりました!初めてのランキング入りで思わず、大声出しそうでした!本当にありがとうございます。
「ライ!ラーイ!」
「落ち着けライボルト、俺も気持ちは同じだよ」
本当は今すぐにでも突撃して、ニャオハを救出したい。そう思っていたが、フリードとの約束もある。また、敵が何人いるのかも定かではない。そんな状態で飛び込むのは危険だと理解し、行動を起こしたい気持ちを何とか押さえつける。
「一旦、移動するぞ」
「ライ」
とは言え、何もしないわけではなかった。フリードが船に戻ってから仲間たちやリコと共にここに戻ってくるにはそれなりの時間がかかる。ならば、自分がすべきことは少しでも多くの情報を手に入れニャオハを救出の為に役立たせることだ。そう考えたジンは施設から少し離れた場所に移動する。
「ライボルト、ニャオハの匂いがあの敷地内から出てきたら教えてくれ」
「ライ!」
ライボルトには匂いでニャオハが移動していないのかを警戒してもらう。敷地内に入り込めば探すのは容易、ならば次に知るのは施設内の敵の数だ。ジンはもう一つのモンスターボールからポケモンを出す。
「出てこい、サーナイト」
「サナ」
ほうようポケモン、サーナイト。ジンの手持ちの中で唯一のエスパータイプのポケモンだ。彼女の扱うサイコパワーを使えば施設内を見渡しどんな存在が中にいるのかの把握が可能となる。
「サーナイト、あそこに見える施設の中の様子が知りたい。あそこにリコのニャオハが居る筈なんだ」
「サナ!」
サーナイトは目をつぶり両手を広げると、体からオーラを発しサイコパワーを発動させる。
「どうだ?サーナイト」
「サーナ!」
「上手くいったか。よし!サーナイト、俺にも見せてくれ」
「サナ!?サナサーナ!」
ジンがそう言った瞬間、サーナイトは両目を開き、驚愕の反応をすると首を横に振りその申し出を拒絶する反応を見せる。
「頼むよサーナイト、バトルするわけじゃないんだ。ただ、様子を見せてくれればいい」
「…サナ」
渋々といった表情ではあるが、サーナイトは了承する。
「ありがとう。ライボルト、周囲の警戒を頼む」
「ライ」
サーナイトがジンに向かって不思議な力を付与する。それを確認すると両目をつぶりその場で少し待つ。するとジンの頭の中に施設内の映像が飛び込んできた。
(ここは、倉庫の中か)
これがサーナイトの力、サイコパワーで透視や千里眼のような力を発揮する。さらに、サーナイトは特性のシンクロの効果を発動していた。本来この特性は自分が毒、麻痺、火傷状態になった時に相手にも同じ状態にするという物だが、サーナイトは訓練によりトレーナーであるジンと心をシンクロさせ自分の見ている景色をジンに見せることも逆にジンの見ている景色をサーナイトが見ることも出来る。
バトルでも活用できる便利な能力ではあるが弱点もある。
まずは、使用できる時間だ。今回の様にその場から動かずにいるならそれ程問題なく使えるが、バトルの際などの激しい動きをすると短時間での使用しかできなくなる。これに関してはまだ身に着けてから時間が経っておらず鍛錬が足りていないと言うよりも時間が足りないと言わざる得ないだろう。
更にこれを使っている間はサーナイトが受けるダメージは全てトレーナーのジンも受ける必要がある。メリット以上にデメリットも大きい諸刃の剣であるため、未だ完全に使いこなせていないこの能力を使うことをサーナイトは嫌っていた。
(まずはニャオハの正確な位置を把握しないと…)
脳内に再生される映像は倉庫の中を少しずつ移動していく。倉庫内にある各部屋を巡っていき、数分後目的であるニャオハを発見した。
(見つけた!)
『ニャ~ン』
『やぁ~~~ん♡ニャオハちゃ~~ん♡』
(………は?)
ある意味で予想とは全く違う光景が脳内に広がる。猫じゃらしで楽しそうに遊ぶニャオハとその姿を見て悶えているコニアがそこにいたのだ。
(…なんだ、この状況)
ニャオハの傍らには猫じゃらし以外にも毛糸玉や爪とぎ用の玩具などニャオハが気に入りそうなものが大量に散乱していた。
『ニャ~』
『う~ん♡お腹が空いたのかな~直ぐにポケモンフーズ用意するから待っててね~♡』
目をハートにしながらニャオハの要望を次々叶えていくコニア、どう見ても誘拐犯と被害者という感じには見えなかった。
(……いや…でも、ケガとかなくてよかった…よな?)
怖がるどころか楽しんでいる様子のニャオハを見て、ここまで必死に捜索を続けていた自分や心配で心を痛めているであろうリコの事が少し馬鹿らしくさえ思えてきていた。
(……ここは、少しの間放っておいていい。他に仲間がいないのかの確認だ)
ニャオハの心配は取り合えず必要ないと判断し、施設内に他のエクスプローラーズの仲間がいないのかを確認する。倉庫、建物を順々に回っていくがコニアとアメジオ以外の姿は確認できなかった。
(敵の数が思ったよりも少ない。これなら一人でも……いや、確実に取り戻すならあともう一人は戦力が欲しい所だな)
一人が囮を務め、もう一人がニャオハを救出する作戦、これならば恐らく成功するという自信がジンにはあった。
(サーナイト、もういい。解除してくれ)
脳内の光景が消え、サーナイトが目の前にいるジンの肉眼に見える景色へと戻っていく。
「サーナイト、少し休んでてくれ。後でもう一度頼むよ」
「サーナ」
サーナイトに少しだけ休んでもらっている間にフリードへと連絡を入れる。現状、戦力になってもらえるのはフリード以外には考えられなかった。約束もあるので協力を取り付けるためにも情報を全て開示するつもりだ。
『フリードだ』
「フリードさん。今どこにいますか?」
***
「よし!じゃあ、まずは方針を決めるぞ」
ブレイブアサギ号を港に泊めたリコたちは船から降り、それぞれこの街での役割を決めていた。フリードとマードックはエクスプローラーズの捜索、メカニックのオリオは船の修理、モリーとリコは薬の受け取りと次々に決まっていく。
「…あの!ジンから連絡はきてますか?」
「ジュカ…」
だが、リコはジンがこの街で先にエクスプローラーズの捜索をしていることから既に何か手がかりを見つけているかもしれない。もし、そうであれば世話になっている身ではあるが、自分も捜索に加わりニャオハを取り戻しに行かなければならないと考えていた。ジュカインも同様に主人であるジンとの合流を望んでいる。
「そう言えば、連絡がないな」
「…そうですか」
「まぁ、そうがっかりするなよ。一度、ジンとも合流して情報を…」
その瞬間、フリードのスマホロトムに着信が入る。
「おっ!噂をすればだな」
「ジンからですか!」
「ああ、スピーカーにするぞ」
フリードは電話に出るとスピーカーにし、全員が内容を聞こえるようにする。
「フリードだ」
『フリードさん。今どこにいますか?』
「今、港に船をつけた所だ。一度合流したい。こっちに来れないか?」
『いえ、こちらの位置情報を送るので俺のいるところまで来て下さい』
「ああ?それは構わないが……まさか!」
『ええ、エクスプローラーズのアジトを見つけました』
「「「「「!」」」」」
その瞬間、その場にいた全員に衝撃が走る。手がかりの一つでも見つけてくれたら儲けもの。リコを除いたメンバーはその程度の認識だった。所詮は子供の行動だとどこかで侮っていたのもあったのだろう。それが、まさかアジトまで見つけ出すとは思ってもいなかったのだ。
「間違いないのか?」
『はい。襲ってきた3人組の内の2人がいるのを見ました』
リコはたまらず、フリードのスマホに近づきジンに語り掛ける。
「ジン!ニャオハはそこにいるの!」
『リコ、そこにいたのか…ああ、ニャオハの姿も確認した。間違いなくここにいる』
「位置情報を送って、すぐに行くから!」
「おい!リコ」
『リコ、ここに来れば必ずバトルになる。ポケモンがいない今のリコにはきついぞ』
フリードとジンはリコを止めようとする。リコが向かうのはあまりにも危険だと2人とも判断していた。
「分かってる!でもニャオハは私のポケモンだもん。きっと今も一人で心細いはず…私が…私が行ってあげなきゃ…だって、私は、ニャオハの…トレーナーなんだから!」
「「「「『……………』」」」」
ここにいた全員がリコの想いをどれだけニャオハの事を心配しているのかを改めて理解した。また、その姿から彼女を止めることは不可能だと感じ取っていた。
『ジュカインはそこにいるか?』
「う、うん」
「ジュカ!」
『だったら、ジュカインと一緒にこっちに来い。行動する時は常にジュカインと一緒に行動することが条件だ。いいな?』
「分かった!」
ジンは考えた末にこの条件での同行を認める事にした。止められないなら、せめて目の届くところでと思ったようだ。
「お、おい!なにを勝手に…」
『フリードさんも分かってるでしょう?リコは結構頑固ですしこうなったら、もう止まりません。下手に暴走されるよりも傍にいてもらった方が動きやすいと思いますよ』
「あ~…分かってる…分かってるさ。…じゃあ、リコと一緒に俺がそっちに行くから待ってろよ」
『了解です。位置情報を送りますね』
それを最後に電話は切られ、フリードのスマホにジンの位置情報が書かれたメールが送られてくる。
「リコ、一緒に来るのはいいが危険になったら逃げるんだぞ」
「はい」
「ふぅ…じゃあ、そういう訳だ。予定を変更して俺とリコはジンと合流、その後ニャオハを救出に行く。オリオとマードックは船の修理だ。ニャオハを助けたら直ぐにここを離れるからそのつもりで作業を速めてくれ。モリーは薬の受け取りだ。それが終わったらオリオたちの方を手伝ってくれ。それじゃあ、皆!」
(ニャオハ、待ってて!)
フリードたちがハンドサインを行うのを見ながら、リコもまた気合を入れていた。必ずニャオハを取り返すとそう決意するのだった。
***
「ふぅ……やれやれだ」
フリードとの通話を終え、位置情報を送るとジンはついついそうこぼしてしまう。リコがここに来たとしてもニャオハを取り戻すまでは戦力にはならない。むしろ護衛対象が一人増えると考えた方がいいだろう。普段のリコならそれくらいは分かるはずだが、ニャオハが捕らえられている現状で、そこまでの判断は難しいのかもしれなかった。
「ま、リコもポケモントレーナーになったって事なんだろうな」
嬉しいやら寂しいやら、そんな複雑な感情が心を巡っていた。しかし、その感情にはどこか覚えがある。それが何なのかを思い出していると、目の前にいた2体を見ていつの事だったのかを思い出した。
「サナ?」
「ライ?」
そんな主人の様子を訝しげに見るサーナイトとライボルト
「…お前ら大きくなったよな」
サーナイトやライボルトだけでなく、他のポケモンたちも初めて出会ったときはもっと小さく頼りなかった。自分が守ってやらなくてはという使命感の様なものがあったが、今ではすっかり強く大きくなってしまっている。
「「?」」
「いや…悪い。なんでもないよ」
だが、今はそんな事よりも大事なことがある。リコが大きな一歩を踏み出したのだ。何があっても失敗に終わらせるわけにはいかない。その為に備えておく必要がある。
「サーナイト、リコたちが来る前にもう一度中の様子を見たい」
「サナ」
サーナイトが再びサイコパワーを発揮し、先ほどの様に脳内に映像が浮かんでくる。
(さっきのニャオハがいた倉庫まで頼む)
(サナ)
映像は場所を移動し、ニャオハが捕らわれていた部屋へと移動する。そこには、口元にポケモンフーズの食べカスを付けたニャオハとそれを見つめるコニアがいた。
『ニャーッ!』
『もう食べたのか~でも残念ながらこれでおしまい』
(変わらず、平和っと…)
『ニャ~~ン』
『あ~~ん♡カワイイ~~直ぐにポケモンフーズ買ってきちゃう…ギャーーっ!』
ニャオハの姿を見てメロメロ状態にになりながら甘やかそうとするコニア、しかしその後ろに上司であるアメジオがいつの間に来ており、メロメロ状態から解除される。
(…なんか、面白いなこの人)
まるでリアクション芸人の様な反応だ。やっていることは許されることではないが、それでも奇妙な親近感が芽生え始めていた。
『し、失礼しました!大事な人質…いえ、ポケ質ですもんね』
『そいつを交渉材料にするつもりはない』
(…なに?)
「俺は俺のやり方でやる。狙いはあくまでもあのペンダントだ。次こそ必ずいただく!」
(俺のやり方……か)
アメジオのスマホロトムから着信が入る。相手はどうやら、この場にはいないジルの様だ。
『俺だ……やはり、来たか。ターゲットとフリード、そしてあの男ジンは?…監視を続けろ』
(まずいな……もうばれてるのか)
『さぁ、どこから来る。ジン…決着をつけてやる。お前を倒すのは俺だ!』
(…いいだろう。相手になってやる)
ジンとアメジオ、再戦の時は近づいている。
手持ち
ジュカイン
ボスゴドラ
ボーマンダ
ライボルト
サーナイト
???
私の愛用したポケモンたちを次々、メガシンカさせた公式が悪い!
ジン君とサーナイトが使用していたシンクロはサトシとゲッコウガが使用していたのを参考にしました。本文で書いたようにまだ、バトル中の使用は難しい未完成の技術です。こういった技術やレベルアップも含めてジン君もまだ成長の見込みがあるってことです。
☆9
アキト5001さん、たこたらこさん、レイ・ブラドル・ドラニスさん、鳥鸚 理一さん
☆10
一柳梨璃さん、なかムーさん
高評価ありがとうございます。