ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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今回で100話目です。まさかこんなに長く続くとは、これからもよろしくお願いします!

それと今日、放送された二回目の水着回。リコは可愛かったし、今度はモリーとオリオの水着姿まであるとは最高でした!……最近、pixvで催眠術にかかってビーチで全裸になるリコ達のイラスト見たせいか思考がエロに偏り過ぎてて、どうやってポロリさせようかばかり考えてますw

とにかく何かアイディアある方はメッセージ下さいね!


ドットVSアオキ

 

チャンプルタウン

 

 パルデア地方の交通の要とも呼ばれる町だ。食文化も発展しており、有名な食事処が多いのも特徴と言われている。町中から漂う美味しそうな香りには、惹かれる物があったがジン達は当初の予定通り、ドットの応用テストを受ける為、チャンプルジムへと訪れた。

 

「え?アオキさんここにいないんですか?」

「申し訳ございません。アオキはただいま、外回りの営業に出ておりまして……」

 

 四天王兼ジムリーダーのアオキには、もう1つリーグの営業職という別の顔が存在する。一応、こちらが本職らしいのだが、四天王とジムリーダーという肩書が強すぎるのと本人に営業の能力とやる気が足りていない様で、あまり周りから認識されていなかった。

 

「この町にはいると思うのですが、詳しい場所までは……」

「……分かりました。一旦、失礼させて頂きます」

 

 ジン達はジムの職員に別れを告げると、そのままチャンプルジムの外へと出た。

 

「めんどくさいなぁ……早く、試験を受けて合格したいのに」

「ドット、凄い自信だね」

「テストの対策はしてあるの?」

「勿論!この前のジンとアオキさんのバトルの動画や過去の対戦動画も研究したし、応用テストはポケモンを必ず2体使わないといけないから、その為の作戦も幾つか用意してる!」

 

 今回の応用テスト、ドット本人からの強い希望もありジンは前回のナンジャモの時程、念入りな協力はしていない。無論、特訓相手などは務めたが本当にそれだけだ。今回、用意された作戦などは完全にドットのオリジナルと呼べる物である。

 

 因みにドットがジンの協力を要請しなかったのには、自分の力を試したいのは勿論の事だが、それ以上に今の成長した姿をジンに見てもらいたいという気持ちも大きかったのだが、この事にジンもそしてドットでさえも気づいてはいない。

 

(お手並み拝見と行くか……)

 

 ジンとしては前回と同じ様にもっと大々的に協力してもいいと思っていたのだが、ドットが自分の力がどれ程、通用するのか試したがっているのが伝わってきた為、身を引いた。今回ばかりは旅の仲間として純粋に応援し、見届ける事しか出来ない。

 

「でも、まずはアオキさんを探さないと……」

「心配するな。それなら当てがあるぞ」

「えっ?本当に?」

「あぁ、今回は少しだけ時間に余裕があったからな。この町について詳しく調べておいたんだ。そしたら、宝食堂という店でアオキさんが頻繁に発見されているって書き込みがあったんだよ」

「じゃあ、取り敢えず行ってみよう!ジン、案内して!」

 

 ジンはスマホロトムの地図アプリを起動させると、目的地を設定し宝食堂へと向かって歩き始める。

 

「ん。あれだな」

 

 歩き始める事、約10分。町のはずれにその店は存在した。今までに通りがかった飲食店よりも大きく、外の席にも客が複数いる事などから、かなり繁盛している事が窺える。

 

「あれが宝食堂?」

「あぁ、かなり有名店らしいぞ。ネットの評価も高いし、最悪、アオキさんがいなくても食事をしていく価値はあるかもな」

「ふぅん……取り合えず、入ってみよう」

 

 ドットはそう言うと宝食堂の扉を開き、中へと入って行く。店内はテーブル席と調理スペースを望むカウンター席、そしてお座敷席が大部分を占めていた。中に入ると途端に美味しそうな香りが嗅覚を刺激し、中々に食欲をそそられる。

 

「はーい!いらっしゃい!」

「あ、あの……あ、アオ……」

「お客さん4名様?」

「え、えっと、あの……」

 

 店に入ると同時に店員たちに話しかけられ、ドットは慣れていないのか戸惑う様子を見せる。最近では外に出るから忘れがちだが、少し前まで外食などで外に出る事がなかったのだ。こうした事への対応は未だに苦手な様である。

 

「落ち着け。ドット」

「あの、私達、ジムリーダーのアオキさんを探しに来たんです。今、いらっしゃいますか?」

「おや?アオキさんの知り合い?」

「えぇ、まぁ少しだけ」

「そうでしたか。アオキさ~~ん!」

 

 店員が振り返ると、そこにはカウンター席で食事を食べているアオキの姿があった。丁度、食事を終えた様で持っていた箸をおぼんに乗せると立ち上がり、ジン達の元へと近づいてくる。

 

「応用テストを受けるドットさんですね。お世話になります……皆さん、交流戦以来ですね?」

「えぇ、あの時はお世話になりました。今、思い出しても大変、面白いバトルでしたよ」

「恐縮です。あのバトルは自分にとしても良い経験になりました……いけませんね。雑談ばかりしていると上司に怒られてしまいます。早速、応用テストを始めるとしましょう。女将さん、お願いできますか?」

「はいよっ!お座敷の方のお客さん、ちょっと失礼しますね!」

 

 店の女将さんはそう言うと、厨房に設置されたモンスターボールの模様のスイッチを押した。すると、突然、ブザーが店中に鳴り響き始める。

 

「おっ!あれが始まるのか!」

「久しぶりだな!楽しみだ!」

「アオキさん。楽しみにしてるよ!」

 

 座敷にいた客たちはそれぞれ自分達の料理を手に持つと席から立ち上がり、カウンターへと避難してくる。それと同時に壁の襖が開き、畳とテーブルが自動的に中へと収められていく。あっという間に、全ての畳とテーブルが納られると、その下からバトルフィールドが姿を現した。

 

「「「えぇっ!?」」」

「ほぉ……面白いな」

 

 驚く3人とは対照的にジンはその光景を面白そうに眺めている。リコ達にとっては、初めての経験だが、ジム戦ではこの様に特殊なフィールドを使用している例がままある。建物自体がポケモンの化石を展示する博物館になっていたり、電流による機械仕掛けがチャレンジャーを試したりと、ジムリーダー各々の特色が見受けられた他、時にはジムリーダーのファンが次々とバトルを仕掛けて来たこともあった。その辺りも経験の差と言えるのだろう。

 

「食後の腹ごなしも兼ねて程々に行きますよ。応用テストは2体のポケモンと共に戦うのがルールであり、その状況下で如何にテラスタルを使用できるかが審査対象となります」

 

 トレーナーゾーンにアオキとドットが移動すると、改めてルールの説明がされた。基礎テスト同様に勝敗そのものが直接、合否に繋がる事はない様だが勝利するに越した事はないらしい。

 

「では、最初に戦うポケモンを出してください」

「はい!」

 

 ドットはポケットからモンスターボールを取り出し、フィールドへと向かって投げつける。ボールが開き、中からルガルガンが現れ、フィールドへと降り立った。

 

「これは……ルガルガンですか?真昼とも真夜中とも違うようですが……」

「ルガルガン黄昏の姿です」

「黄昏……興味深いですね。では、こちらはこのポケモンで勝負です」

 

 アオキは初めて見るルガルガンの姿に興味を持った様だが、直ぐにいつもの様に気だるげな様子へと戻り、モンスターボールを取り出し投げつける。

 

「お願いします。ノココッチ」

「ノ~~ッチ」

 

 アオキが選んだポケモンはジンとバトルした時にも最初に選出したノココッチだ。

 

「ノーマルタイプなんだ」

「でも、ジンとのバトルでは飛行タイプも使ってたよね?」

「あぁ、アオキさんは飛行とノーマルを使い分けてるみたいだな」

 

 相性で言えばどちらも効果抜群ではないが、ノーマルタイプの技が効き難い分、ルガルガンの方が有利と言えるだろう。しかし、飛行タイプの使い手でもあるアオキが岩タイプ対策が出来ていないとは思えない。

 

(まぁ、ドットを信じる他ないな……)

 

 今回ジンは関与していないが、ドットの事だ。十分すぎる程に策は練っている筈である。後はそれが成功する事を祈るばかりだ。

 

「では、テストを開始します……バトルスタート」

 

 公式なジム戦ではない為か、審判不在の為、アオキがバトル開始の合図を出す。それと同時にルガルガンはその場を駆け出し、ノココッチへと突っ込んで行く。

 

「正面からですか?ノココッチ『ドリルライナー』で迎え撃ってください」

 

 ノココッチはその場で後ろを向き、尾を前に向けるとドリルの様に回転させルガルガンを待ち受ける。しかし、それはドットにも予想できていた事だ。事前の調べでノココッチが『ドリルライナー』を使える事はリサーチ済みであり、この状況なら使って来ると確信していた。

 

「今だ!『ふいうち』!」

 

 ルガルガンは『ドリルライナー』に衝突する瞬間に飛び上がり、回避する。そしてそのまま落下の勢いを利用しノココッチの胴体に頭突きを喰らわせ、再び、飛び上がり距離を取った。

 

「ノコッ!?」

「やりますね……では、『へびにらみ』です」

 

 ノココッチはダメージを受けながらも体を奮い起こし、胸の渦巻き模様を青く光らせ始める。

 

「まずい!?ルガルガン、目を閉じて!『アクセルロック』!」

 

 麻痺状態になる事を恐れたのか、ルガルガンは目を閉じると今度は先程よりも遥かに素早いスピードでノココッチへと突っ込んで行く。岩タイプ版の『でんこうせっか』の呼び名に相応しい早さだ。素早さで劣るノココッチにはこれを躱す事は出来ない。

 

「ノココッチ、受け止めてください」

「ノコッ!」

 

 しかし、躱せない事はアオキ達も承知の上だ。ならば、次の攻撃に繋げる為にダメージ覚悟で敢えて受け止める。それがアオキ達の選択だった。

 

「ノッコ!」

 

 『アクセルロック』は便利な技だが、決して強力な威力ではない。受け止める覚悟とある程度の体力を持ってさえいれば、受ける事は不可能ではない。ノココッチは上半身を降ろすと頭に力を込め、突っ込んでくるルガルガンをなんとか受け止める事に成功する。

 

「なにっ!?」

「今です。『ドリルライナー』」

「ノコォッ!」

 

 ノココッチは下半身を反り、回転させた尾をルガルガンの胴体へと叩き込んだ。効果抜群の地面技が炸裂し、ルガルガンの悲痛な叫び声が店内へと響き渡っていく。

 

「ガウゥゥゥゥッ!?」

「落ち着けルガルガン!『すなかけ』だ!」

 

 ルガルガンは必死な形相で両方の前足をじたばたさせ、砂を発生させるとノココッチの顔面へと向かって飛ばして行く。

 

「ノコッ!?」

「今だ!『アクセルロック』で離脱しろ!」

 

 ダメージこそないが、目に直接、砂が入った事で僅かにノココッチの動きが揺らいだ。その隙を見逃さず、ルガルガンは『アクセルロック』でその場から駆け出し、ノココッチと距離を取った。

 

「あ、危なかった……」

「中々、やりますね。では、これにはどう対処しますか?……『ハイパードリル』です」

 

 ノココッチは尾を軸として独楽のように回転し始めるとそのままルガルガンに向かって、ゆっくりと近づいてくる。

 

「その技か……ルガルガン!『ストーンエッジ』!」

 

 ルガルガンは両前足を高く上げフィールドを力強く踏みつける。すると、フィールドから尖った多数の岩が出現しノココッチとルガルガンの間に立ち塞がる。

 

「無駄です」

 

 しかし、アオキに焦りはない。確かに岩による防壁は多少の役割を果たしはするが、ノココッチの『ハイパードリル』を完全には止められないという事を知っているからだ。

 

「ノコ~!」

 

 アオキの予想した通り、ノココッチは回転を止めずに次々に岩を破壊し、着実にルガルガンへと近づいて行く。1つまた1つと岩壁を突破し、遂にルガルガンの姿がノココッチの視界へと入り込んできた。

 

「……今だ!」

 

 だが、次の瞬間、ノココッチの視界からルガルガンが再び、姿を消してしまった。しかし、正確に言うならば、ルガルガンではなくノココッチがその場から大きく跳ね上がり、空中へと舞い上がってしまったのである。

 

「やられましたね……」

 

 ノココッチがルガルガンを視界に捉えた瞬間、再び『ストーンエッジ』を使用したのである。そして、今度はノココッチの正面にではなく真下に岩が来るように発動し、その勢いを利用し強制的に空中へと持ち上げたのだ。

 

「今だ!『いわおとし』!」

 

 ノココッチは足場を失い回転を止めざるを得ない。完全に無防備になり、隙が生まれたのをドットは見逃さなかった。ルガルガンは空中に複数の岩を発生させ、そのままノココッチへと向かって飛ばした。

 

「ノコ~~!?」

 

 大量の岩に飲み込まれ、ノココッチは為す術なくフィールドへと叩きつけられた。ここまでのバトルでのダメージの積み重ねもあり、既に限界を迎えてしまった様で、目をクルクルと回転させながらフィールドに倒れ込んでしまう。

 

「……ここまでですね。ノココッチは戦闘不能で結構です」

「よっし!ルガルガンよくやった!」

「ガウッ!」

 

 アオキは本当に僅かではあるが、悔しそうな表情を見せながらノココッチをモンスターボールへと回収した。

 

「よし!1体倒した!」

「いいよドット!その調子!」

「ふむ……今のは悪くなかったな」

 

 『ドリルライナー』を喰らったのは少々、油断があった様に感じたが、その後の『すなかけ』による脱出や今の『ストーンエッジ』の使い方は中々に見事だった。特にジンが評価したのは『ストーンエッジ』を二度に分け使用した点である。

 

(一度目の『ストーンエッジ』を破られる事を前提に壁として利用する事でアオキさんの油断を誘う。そして、続いて本命の真下からの『ストーンエッジ』で空中に打ち上げ仕留めるか……見事だ)

 

 事前にノココッチのデータをしっかり、調べ上げ、どこまでが可能なのかを把握しておかなければ、この作戦は成功しない。ここまでの作戦とデータ収集、ジンが指導したとはいえ一人でここまで出来るのは、ドット自身の努力と才能と呼んでも過言ではないだろう。

 

「ムクホーク行きましょう」

 

 しかし、いつまでも浮かれてはいられない。アオキが続いて出したのは、エース級のポケモンであるムクホークだ。相性では有利だが、油断して勝てる相手ではない。

 

「ルガルガン!もう一度頼むぞ!」

 

 相性が有利な上に戦闘続行も可能と判断した様で、ドットはこのままルガルガンで挑むつもりだ。

 

「『いわおとし』!」

 

 勝負を一気に付けようと思ったのだろう。ムクホークにとって効果抜群となる岩タイプの技で一気に攻め落とそうと、大量の岩を空中に生み出し投げつける。

 

「『インファイト』」

 

 しかし、ムクホークは慌てる事無くその場で両翼と両足を使い迫りくる岩を次々に破壊していく。更には、それにとどまる事無く最後の岩を破壊する際に、向きを調整し砕けた岩の破片をルガルガンに向かって飛ばした。

 

「ルガッ!?」

 

 同じ岩タイプの技だ。然程の効果はない様だが、ルガルガンから視界を奪い動きを止めるには十分な威力である。

 

「急接近して『インファイト』」

 

 その隙を活かし、ムクホークは全速力でその場から駆け出し、ルガルガンへと接近した。そのまま、射程圏内に入り込むと再び、両翼と足を使用し格闘技の様な動きで顔面、胴体に次々と攻撃を加えていきルガルガンの意識を奪っていく。

 

「ルガルガン!?」

 

 意識を失いかけていく中、ドットの声で僅かにルガルガンの瞳に光が戻った。しかし、もはや逃げる事は出来ないという事も悟った様で、最後の悪あがきを繰り出す事を決意する。

 

「ガウゥゥゥゥッ!」

 

 ルガルガンはムクホークの最後の攻撃が胴体にヒットした瞬間、体を前に回転させ緑色に光らせた鬣をムクホークの顔面へと突き立てた。

 

「ムクホッ!?」

 

 ルガルガンはこの土壇場で自己判断の下、『カウンター』を使用したのだ。元々、体力が低下していたルガルガンではあまり大きなダメージは与えられなかったが、ムクホークは『インファイト』を2回使用し、防御と特防は大きく下がっている。チャンスは大きく広がったと言っても過言ではないだろう。

 

「ルガルガンは戦闘不能でよろしいですね?」

「……はい」

 

 最後の『カウンター』で正真正銘、全てを出し切った様でルガルガンは目を回しフィールドに倒れている。既に戦闘継続は不可能だが、彼の貢献はかなり大きい。

 

「残り1体ずつ……」

「ドット……」

「踏ん張りどころだ。どう乗り切るか……」

 

 ドットはルガルガンを回収すると、新たなモンスターボールを取り出しフィールドへと投げた。現れたのは彼女のパートナーポケモンのウェルカモだ。

 

(やはり、カヌチャンは出さないか……)

 

 カヌチャンを出さないのはジンにとっても想定内だ。何故かと言えば、カヌチャンだけ圧倒的にバトルの経験がないからである。一応、特訓はつけているのだが、性格故か厳しくなると直ぐに泣き出してしまい本格的な特訓が出来ていないのだ。

 

 ウェルカモ、ルガルガン、カヌチャン、この3体の中から2体を選べと言われれば、前者の2体を選ぶのは至極当然である。今後の事も考えれば、このままではいけないのだが、カヌチャンに関してはテブリムと同様に長い目で進化させる事を目標にし、自信をつけさせてからにするのが一番の近道だとジンは判断した。

 

「行くぞ!ウェルカモ!『みずでっぽう』!」

「『ぼうふう』です」

 

 ウェルカモが『みずでっぽう』を撃ち込むが、ムクホークは両翼を羽ばたかせ強力な風を発生させ、迫りくる水を全て床に叩き落す。

 

「『エアスラッシュ』」

 

 ムクホークは白く光らせた両翼を羽ばたかせ、三日月型の風の刃を乱射する。ウェルカモはフィールドを駆け抜け、風の刃を躱し続ける。次第にフィールドの方が先に限界が来たのか、白い煙を上げ始めた。ウェルカモはこれをチャンスと捉え、煙に紛れてムクホークの背後へと回り込む。

 

「今だ!『アクアジェット』!」

「『つばさでうつ』です」

 

 体に水を纏わせたウェルカモは勢いよく、空中にいるムクホークへと飛び込んで行く。ムクホークは両翼を光らせ迎え撃つ態勢に入った。

 

「ムクホッ!?」

「むっ……」

 

 しかし、先制技である『アクアジェット』の方が早い。ムクホークの翼を掻い潜り、ウェルカモの攻撃が炸裂する。そのダメージにより、ムクホークはそのまま地面に向かって墜落していく。

 

「まだだ!今度は『アクアブレイク』だ!」

 

 ここが攻め時と判断したドットは更なる指示を出す。ウェルカモは体に水を纏わせながら、落下していくムクホークに向かって飛び出した。空中で体に纏わせた水を右足に集中させ強力な蹴りを入れようと振りかぶる。

 

「っ!『つばめがえし』です」

 

 しかし、ウェルカモの蹴りが入りそうになった瞬間、ムクホークは翼を羽ばたかせ空中に舞い上がる。ギリギリのタイミングで回避すると、そのまま空中で一回転しウェルカモの背後へと回り込み強烈な突撃を仕掛けた。

 

「ウェルッ!?」

「ウェルカモ!?」

 

 無防備な背後からの攻撃を受け、ウェルカモはそのままフィールドへと叩き落とされていく。その際に発した衝撃で白い煙が発生し、フィールドを包み込んだ。

 

「……ウェル!」

 

 固唾を飲んで見守る中、ウェルカモは立ち上がった。だが、元々のレベルの差もあり今の攻撃でかなりのダメージを負ってしまったらしい。しかし、ムクホークは連続でのバトルでウェルカモ以上のダメージを負っている。やりようによっては、どちらが勝つのかまだ判断が付けられない状態だ。

 

「今しかない……」

「……ここが勝負どころですね」

 

 ドット、そしてアオキの両名は、ここが勝負に出るタイミングだと判断し、テラスタルオーブを取り出し構える。

 

「ウェルカモ!映えてバズって、輝いちゃえ!」

「…………」

 

 テラスタルオーブにエネルギーが蓄積され、満タンにまでチャージされたのを確認すると、ドットとアオキはそれぞれウェルカモ・ムクホークの頭上へと目掛けて投げつける。それと同時に結晶が2体を包み込み、速やかに弾けた。

 

「ウエェルッ!」

「ムクホォッ!」

 

 頭上に噴水の王冠を被るウェルカモ、そしてダイヤモンドを模した王冠を被るムクホークが体を結晶化させ現れた。水テラスタル対ノーマルテラスタル、相性では互角。後は、どちらがテラスタルにより強化された技を決めるのかが勝負を分ける事となるだろう。

 

「社会人お得意の技、再び披露してもよろしいでしょうか?踏ん張りましょう。『からげんき』です」

「これが最後の攻撃だ!ウェルカモ『テラバースト』!」

 

 炎の様なオーラを纏いながら突き進んでくるムクホーク、それに対してウェルカモのテラスタルジュエルが砕かれ、空から4つの大きな水弾となり発射し迎え撃つ。1つ目の水弾はムクホークによって突破されるが、僅かに動きを鈍らせる事に繋がる。2つ目、3つ目も同様に突破されてしまうが、明らかに勢いが失われている。

 

「ウェェェェェェェルッ!」

「ムクホォォォォォォッ!」

 

 互いに持ちうる全ての力を出しきった最後の水弾とムクホークのぶつかり合いは、巨大な爆発を引き起こした。巨大な衝撃音と白い爆煙がフィールドを包み込んでいく。店内にいた全ての人々が固唾を飲んで見守る中、空中から1体のポケモンの影がフィールドに落ちていく。

 

「……ここまでですね」

 

 煙が晴れ、視界が良好となった事で漸くフィール全体の様子が目に入って来る。そこには、傷を負いながらも立っているウェルカモ、そしてそのほんの数十センチ程手前にて倒れ込んでいるムクホークの姿だった。

 

「あと1歩届きませんでしたか……ドットさん、バトルは貴女の勝利です」

「や、やった!ウェルカモ!」

「ウェール!」

 

 アオキの宣言で自分達が勝利したと実感したドットとウェルカモは互いに近づき、ハイタッチし勝利の喜びを分かち合った。

 

「アオキさん。お疲れ様。残念だったね」

「いいバトルだったぞ~」

 

 バトルを見ていた観客達が一斉にドットとアオキに賞賛の言葉を贈る。そんな中、ジン達は無事、勝利を収めたドットとウェルカモに近づいて行く。

 

「ドット!おめでとう~~~!」

「凄いバトルだった!僕、凄い興奮したよ!」

「ありがとう!……ジンはどう思った?」

「そうだな……初めて1人で立てたにしては悪くない作戦だった。少し油断もあったが、アドリブでの対応も出来ていたし、全体的に見て合格点を与えてやれるハイレベルなバトルだったと思うぞ」

「ほ、本当に!?」

「噓をついてどうするんだ?よく頑張ったな、ドット」

 

 ジンからの文句なしの合格点を貰えたのが余程、嬉しかったのかドットの顔には笑顔が溢れていく。それと同時に何かを欲するかの様な上目遣いをしながら体をもじもじと動かし、ジンを見つめ始める。

 

「ん……」

「?」

「…………はぁ」

 

 何かを求めているのはジンにも分かったのだが、何をすればいいのか分からずに困っていると、隣にいたリコが溜息をつくとジンの脇腹に肘を入れてくる。突然の行為にジンが少しだけ姿勢を崩すとリコは背伸びをしジンの耳元に口を近づけ小さな声で囁き始める。

 

「ほら、いつものやってあげて」

「…………あ~……いいのか?」

「サンゴだったら止めたけど、ドットやアンは特別に許してあげる」

「……じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 リコとの密談を終えたジンは、ドットの頭へと手を伸ばしゆっくりと撫で始めた。どうやら、ドットが求めていたは正にこれだった様で、喜んでいた表情は、ほんのりと赤く染まり次第に蕩けていく。

 

(……あれ?)

 

 ドットの表情の変化にジンは内心で僅かに驚いた。確かに以前から、頭を撫でれば照れた様な反応を見せてはいたが、ここまでの物ではなかったと記憶している。しかし、今のドットの表情はまるで交際開始前のリコの頭を撫でた時とよく似ている様にジンには見えた。

 

(まさか……)

 

 あのドットが、無意識とは言えこの様な反応を見せている。以前までとは明らかに違うその様子に、流石のジンもドットの気持ちに気づき始めていた。

 

「お待たせしました。ドットさん、こちらにどうぞ」

 

 ジンがドットの変化に悩んでいると、バトル後に店の奥に入っていたアオキが資料を何枚か持って戻って来た。試験の合否が告げられると思ったドットは、ジンから離れその表情に緊張が混ざっていく。

 

「さて、近頃は省略する事が多いのですが、正式な報告書の提出が上司から求められますので……研修生のドットさん。貴女はチャンプルジム、ジムリーダーアオキの厳正な審査の下、応用テストに合格した事を認めます。以下、合格の理由についてですが、お聞きになりますか?」

「は、はい!是非!」

「分かりました。2体のポケモンを使った効果的なバトル、的確な指示と作戦の立案、不測の事態への対応力、テラスタルのタイミングと練度、そしてバトルでの勝利。それらを総合的に評価し文句なしの合格を与える事に至りました。おめでとうございます」

「ありがとうございます!」

 

 アオキはドットに合格の認定書を渡すと共にスマホロトムを操作する。次の瞬間、ドットのスマホロトムが反応し、合格のスタンプが送られて来た。

 

「ドット、おめでとう!」

「これで合格一番乗りだな」

「皆、ありがとう!」

 

 基礎テストに続き応用テストにも合格した為、これにてドットはテラスタル研修の合格が決定した。後は、リコとロイの応用テストを残すのみである。

 

「さて……次の街に備えて旅の準備をしたい所だが、折角、有名な宝食堂に来たんだ。何か食べていくか?」

「賛成!賛成!僕達、お腹すいたよ~」

「アチゲ~」

「あいよ!それなら、任せて頂戴!直ぐに何か用意するからね~」

 

 ジン達の会話を聞いていた女将さんは、早速、調理へと入った。カウンター席で待つ事数分でジン達の元に見た目は普通の焼きおにぎりでその上に一口サイズにカットされたレモンが乗せられてた料理が届く。

 

「お待たせしました!宝食堂裏メニュー『だいもんじ焼きおにぎりレモン添え』だよ!」

「いただきま~す!」

 

 ロイやアチゲータは我先にと1口で焼きおにぎりを口の中に入れて行く。ジン達もそれに続く様に食べ始めた。

 

「美味しい!」

「ん……確かにこれは、美味いな」

 

 見た目こそ普通の焼きおにぎりだが、裏メニューというだけの事はある。高温で一気に焼き上げたおにぎりは香ばしく、更に上に乗せられたレモンの酸味が味わいを深めており、幾らでも食べられそうな程だった。

 

「お腹いっぱいになるまでジャンジャンお食べ!」

 

 ジン達の食べっぷりを気に入ったのか女将さんは次々に、焼きおにぎりを作ってくれる。食べ盛りな上にここまで食事を抜いていたジン達はそれに応えるかのように全て平らげていく。

 

「こちら全員分の会計になります」

 

 ジン達の様子を微笑ましそうに見ていたアオキに店員が近づき、そっと伝票を渡した。その内容を目にした瞬間、アオキの表情から生気が失われ、くたびれた社会人の独特の負のオーラを感じさせる。

 

「領収書は切れそうにありませんね……分かりました」

「いやいや、流石に食べた分の代金は払いますよ?」

 

 アオキが財布を出そうとした瞬間、その様子を横目で見ていたジンが近づき待ったをかける。経済的な余裕はあるのだ。流石にここでアオキに奢らせるのはいくらなんでも不憫すぎる。

 

「……………………いえ、気持ちは嬉しいのですが、大人として年下に支払わせる訳には行きません」

「凄い間がありましたけどいいんですか?」

 

 アオキの無表情な割に分かりやすいその仕草、ジンは意外と嫌いではなかった。アオキは今までジンの周りにはいないタイプの大人であり、一度、プライベートで1対1で食事をしてみるのも面白そうと思える程度には信用している程だ。

 

「大丈夫です。それにジンさん、貴方とはいずれ一緒に仕事をする機会があるかもしれません。そしてその時は、恐らく貴方が上司です。奢って頂くのはその時まで待つことにしましょう」

「……承知しました。機会があれば、その時に改めて」

 

 ジンとアオキはいずれ来る未来で共に食事をする約束をする。その後、アオキは財布から数枚の紙幣を取り出し、会計を済ませるとジン達に軽く頭を下げ静かに店を出ていった。

 

(ふむ……また来たいな)

 

 アオキを見送ったジンは改めて、焼きおにぎりを口にするがやはり美味い。出来る事ならメニューを全て制覇したいと思える程だ。アオキとの約束を果たす際には、再び、この店に来るのも悪くないかもしれない。そう思いながら、ジン達はドットの合格を祝いつつ満腹になるまで食事を摂るのだった。

 





ドットの応用テスト合格、そしてジンが遂に気づき始めてしまう感じにしてみました。

最後にちょっとだけアンケートの回答をお願いします。

☆8
カンジローさん

高評価ありがとうございます

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