モリーとオリオの私服めちゃくちゃよくなかったですか?
「ペンダントからポケモンが現れた?」
「うん」
ここはブレイブアサギ号の展望室、ジンとリコはフリードからこの展望室からの見張り役という役割を与えられていた。
2人は最初こそ役割を与えられたと喜んでいたが、見張り役というのは敵や異常気象のようなものがなければやることがほとんどないのだ。自然と暇な時間が増えた2人は、この旅が始まる切っ掛けとなったペンダントについて話し合っていた。
「ふむ……」
リコの話を纏めると、学校でエクスプローラーズに襲われソウブレイズの『サイコカッター』が命中しそうになった際に発生したバリアの中でポケモンが現れ、更にそのポケモンがペンダントに変わってしまったという物だった。
「……やっぱり、幻だったのかな?ポケモンがペンダントになるなんてありえないよね?」
リコの常識からすれば、自分が祖母から受け継いだお守りのペンダントからポケモンが現れるなんてことはありえない現象だ。確かに、あの時は一種の極限状態であり、幻が見えたとしてもおかしくない状態ではあっただろう。
「いや……そうとも限らないと思う」
だが、ジンの考えは違う。ホウエン地方を旅した際に様々なポケモンの起こす奇跡や神秘的な行いを見てきた彼にはリコとは違った考え方ができた。
「で、でも…ペンダントだよ?それがポケモンにだなんてありえるのかな?」
「リコ、この世の中に…特にポケモンに関わる現象においては、ありえないなんて事の方がありえないんだ」
そう、人間の考える常識なんてものは、この世界やポケモンの前では一切通用しないことがままある。
「そうだな、例えば……ロトム、ジュペッタのデータを出してくれ」
『検索中…検索中…ジュペッタ ぬいぐるみポケモン もともとは捨てられたぬいぐるみで、怨念が宿ることでポケモンになったと言われている。捨てた子供に復讐するため歩き回るとされている。大切にされると満足し、元のぬいぐるみに戻るとも言われている』
「まぁ、これは極端な例だけど、リコのペンダントもジュペッタのぬいぐるみと同じようものなのかもしれないな」
しかし、それとはまた違う別の見解もある。
(だが、あんな強い光やバリアをゴーストタイプのポケモンが出すとも思えない。それこそ……)
伝説のポケモンかもしれない……そこまで考えるとジンは一旦、考えるのをやめる。
これ以上考察するには情報が足りなすぎる。真実を知るためには、そのあたりの所も含めてリコにペンダントを託したという祖母から話しを聞く必要があるだろう。
「じゃ、じゃあ……やっぱり、この中にポケモンが…」
リコは首からかけたペンダントを恐る恐る握りしめる。己の手の中には自分が預かり知らないポケモンがいるかもしれないのだ。不安に感じるのは仕方ないだろう。
「それは…まだ、断言はしないでおくよ。でも、その可能性はあると思う」
現段階では可能性の域をでない。だが、ありえないと断言することも不可能だった。
「そんなに気になるならフリードさん達にも相談したらどうだ?」
彼らは、世界の謎、ポケモンの謎を解き明かすことを目的にしていると豪語していた。旅の経験はジンよりも上だろうし、ポケモンの謎や起こしてきた奇跡などにも詳しい筈だ。もしかすれば、ジンの考えよりも適切な答えを彼らはもたらかしてくれるかもしれない。
「…………今はいい」
リコは少しだけ考えるそぶりをみせるが、顔を少しだけ赤くしながらその申し出を拒否する。
「なんだ?まだ、さっきの事、気にしてるのか?」
「うぅ……だって……」
なぜ、リコがこんな状態なのかと言えばそれは今朝の出来事が影響している。
***
ジンは部屋で私服に着替えた後、部屋から出ると偶然、リコと合流し一緒にフリードたちが待つミーティングルームまで来ていた。
「2人とも、ひょっとしてお揃いの服か?」
「なになに?ペアルック?」
部屋に入った2人を見た時の反応がこれであった。
2人の服装だが、リコは白いシャツの上に肘までの水色のジャケットを羽織り、黒の短パンを履いている。それに対して、ジンはリコと同じく白いシャツの上に肘までの黒のジャケットを羽織り、長ズボンを履いていた。
「ち、違うんです!ジャケットは本当に偶然、一緒になっただけで!」
「……確かに、特に話し合いとかはしてないですね」
ペアルックとは二人の人が揃いの色や柄の服を着ることを指す。ペアルックと言うとカップルなどが全く同じ服を着ている様なイメージもあるが、服の一部やアクセサリーなどが同じだけでもペアルックと言っても過言ではない。その為、2人の上着は色違い、レディースとメンズの違いなどはあるがペアルックと言っても差し支えないだろう。
「いや、その方が凄くないか?」
「否定してたけど、あんたらやっぱり付き合ってるんじゃないの?」
「だ、だから違うんですってば~~~」
(……事実だけど、そこまで否定しなくても)
リコへの想いを自覚しつつあるジンにとっては、リコのこの反応は少し複雑に感じるものがあった。
「まぁまぁ、落ち着けよ。リコ、ジン、お前たち2人には展望室からの見張り役を頼むよ」
「は、はい!ジン、行くよ!」
見張り役を仰せつかるとリコはジンの手を引いて、直ぐにミーティングルームから逃げ出してしまった。
そんな訳で、またからかわれるのではないかとリコは危惧しているようだ。
「気にしすぎだよ。あの人たちも、もう充分楽しんだみたいだし、これ以上何か言ってきたりしないさ」
「うぅ……でも~」
(…ま、仕方ないか)
彼らを信じて、一緒に冒険をすると決めたリコだが、アンの様なフレンドリーな関係になるにはまだまだ時間が必要らしい。
「ニャア?」
その時、望遠鏡で寝ていたニャオハが異変を感じたようだ。
「ニャオハ?」
「……高度が下がってるな」
「え?」
ジンの言葉を聞きリコも窓から外を見ると先程までは太陽が見えていたが、徐々に船全体が雲に沈んでいき太陽が隠れていくのが分かる。
「本当だ…」
「ま、大方船のトラブルかなにかだろう」
やはり、先日の急ピッチの修理ではやはり完璧にとは行かなかったようだ。リコの実家まで、まだ結構かかることも考えると、この辺でしっかり船全体の確認をした方が今後の安全上よいのかもしれない。
「私たちは、どうしようか?」
「船のトラブルなら今の所、俺達にできることはないな」
ジンたちは飛行船に関しては全くの素人、どこが悪いのかなど分かるはずもなく、具体的な指示などがなければ修理の手伝いなども不可能だ。
「船のチェックはフリードさん達がするだろうから、俺達はポケモンたちのご飯の用意でもしながら待てばいいさ」
船のチェックをするとなれば、それなりの時間がかかる。その間、船の航行を手伝っているポケモンたちは休憩時間となるだろう。時間も考えれば昼食の用意をしておいた方がいい筈だ。
「…そうだね。うん!分かった」
「それじゃあ、まずはミーティングルームに行って、現状の確認からだ」
「…………うん」
この後、若干、嫌がるリコをミーティングルームに連れていくのに数分の時間を必要とした。
今回はちょっと短めですいません。
次回の話しと一緒に投稿しようとも思ったのですが、次回がちょっと長くなりそうなので一旦ここまでにさせて下さい
☆9
わくわくアーゼウスさん、yu−suzuさん、ゼロハチさん、amazuki890さん、スローイングさん
高評価ありがとうございます。