ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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ちょっと色々あって、書き直していたら一週間が過ぎていました。お待たせしてすいません。

今回、ひょっとしたらリコはこんなキャラじゃないって思う方もいるかもしれませんが宜しければ読んでください。




変わる事のない絆

 

「師匠?」

「うん!」

「誰が?」

「ジンが!」

「…………」

 

 ジンたちが森で出会った少年、ロイ

 

 彼の夢はポケモントレーナーとなり古の冒険者のような冒険者となる事だ。古の冒険者とは伝説のポケモンたちに挑戦し世界を巡って旅を続け、いつか誰も知らない場所でポケモンたちとお宝を目指す。そんな冒険者の事らしい。

 

 どうやら、彼はジンのバトル、そしてポケモンへの接し方を見て幼いながらも感銘を受け、ジンの弟子になることで自身も成長できると感じた様だ。

 

「ねぇ!お願いだよ!」

「……う~ん」

 

 ジンとしては師匠とか弟子とかはともかくとして、ロイ個人にアドバイスをしたりトレーニングに付き合うこと自体はやぶさかでもないと思っていた。

 

 理由としては、ロイに対するホゲータのなつき具合を見たためだ。この短い時間にロイとホゲータはとても仲を深めている。彼の元来の性質なのかそれともホゲータと相性がいいのかはこの場では判断ができないが、きっと彼はポケモンが好きなのだろう。彼と同じくポケモンを愛する者としてロイが教えを求めるならその思いに答えてあげたい、そんな思いがジンの中には確かにあった。

 

 しかし、彼を弟子にする場合、いくつかの問題もある。

 

「そ、そんなの駄目ーーー!」

「……え?」

 

 それは、今まであまり積極的に会話に参加せず、2人の様子を見ていたリコの声だった。

 

「リコ?」

「だ、駄目だよ!簡単に弟子にするなんて言っちゃ!」

 

(わ、私、なに言ってるんだろう?)

 

 リコ自身、なぜこんなことを言ってしまったのか分からなかった。ただ、ロイがジンに弟子入りを希望してジンがそれについて真剣に考えている姿を見ると居ても立っても居られず、気づけば大声を出してしまっていた。

 

「い、いいじゃん!別に!」

「で、でも、私たちは船の修理が終わったらこの島から出て行くから、そんなに長い時間一緒にいられないんだよ。いくら、ジンでもそんなに短い時間じゃ中途半端な指導しかできない筈だもん」

 

(……確かに)

 

 そう、それはジンも懸念していた問題だ。船の修理は長く見積もっても後2~3日で終わるだろう。師匠として指導に当たるなら最低でも1週間、出来る事なら1か月は時間が欲しい。それがリコとニャオハのトレーニングに付き合った経験上、何かをしっかり教えるにはそれ位の時間が必要だと判断していた。リコは自身の感情を爆発させた結果の発言ではあったが、なかなかに的を射ている発言だと言えるだろう。

 

(……ふむ)

 

 そんな事を考えているジンを置いてけぼりにし、ロイとリコは言い争いを続けている。その姿ははっきり言って珍しい。学園での生活を共にしてきたジンだが、彼女がこんなに感情をむき出しにして言い争っているのは見たことがなかった。

 

(おっと…いかんいかん)

 

 徐々にヒートアップしていく2人を見て、若干、面白そうに見ていたジンだったが、これ以上険悪な雰囲気になる前に止めねばと思い、仲裁に入る。

 

「はいはい、そこまで」

 

 手をパンパンと叩きながらリコとロイの間に入る。

 

「で、でも!」

「落ち着けって……ロイ、弟子入りの件だけど、取り合えず保留にさせてくれ」

「え?」

「リコも言ったように、俺達は長い時間この島にいる事ができない。それで弟子にしたとしても中途半端な指導しかできないんじゃ意味がないからな」

「…………」

 

 ロイも思う所はあるようだが、言っていることは何となくは理解できたようで反論してこない。

 

「……まぁ、そう落ち込むなよ。俺のスマホの番号は教えておく」

「え?」

「聞きたいことや困ったことがあれば遠慮なく連絡してくれていい。師匠とか弟子とかはともかく友人として先輩トレーナーとしてだったら、できるだけ力になることは約束する。それで、どうだ?」

「う、うん!ありがとう!」

 

 ロイは嬉しそうにお礼を言う。弟子入りは一旦、保留となったが関係性を全て捨て去る必要はない。スマホ一つで誰とでもつながることができる時代に生きているのだから、これくらいの事は問題ない筈だ。

 

 ただ、1人を除いて……

 

「………」

 

(…スマホで連絡を取る……それ位なら……)

 

 しかし、リコとしてもこれ以上は反論のしようがない。それにこれ以上反論するようなら流石にロイだけでなくジンからも反感を買ってしまうという事は理解できる。その為、未だに複雑な心境ではあったが口を閉ざすことにした。

 

「登録できたよ!」

「こっちもだ」

 

 リコが複雑な心境の中、ジンとロイは互いに番号の交換を終える。

 

「さて、そろそろ船に戻るか?」

「え?」

「船の人たちに何も言わずにここまで来ちゃったからな。あんまり、遅くならないようにしないと」

 

 そう、ジンとリコはホゲータを捜索するにあたり、船にいたメンバーに何も言わずにここまで来ている。早く戻らなくては心配もされるし、今回は全く関係ないがエクスプローラーズの関与なども疑い始めるかもしれない。

 

「……そうなんだ」

「そ、そうだね!戻ろう!」

 

 若干、暗い雰囲気を出すロイと明らかに嬉しそうな雰囲気を出すリコ、見事なまでに対照的な反応を見せる。

 

「…それじゃあ、ホゲータ……元気でね」

「……ホンゲ」

 

 ロイとホゲータは互いに別れの言葉を告げる。短い時間ではあったが2人の間に確かな絆が芽生えていることが2人の態度から読み取れた。

 

(……………どうするかな?)

 

 ロイとホゲータの姿を見て、ジンはあることを思いついていた。そして、その案を実現することはそれ程難しくはないと思われる。

 

(でも、リコが嫌がるだろうな~)

 

 リコはなぜかロイの事を遠ざけようとしている。そのことは一連の対応から見て間違いない。ジンには理由までは分からないがそのことは理解できた。よって、今から自身が取ろうとしている行動は少なからずリコに不快な思いをさせるかもしれない。

 

 しかし、この実家からも学園からも遠く離れた島で偶然知り合った新しい友人を蔑ろにすることはジンには出来なかった。

 

(まぁ、このまま別れさせるのも忍びないし、仕方ないか)

 

「……ロイ、船まで一緒に来るか?」

 

 

 

***

 

 

 

 ブレイブアサギ号のミーティングルーム、そこでライジングボルテッカーズのメンバーは全員でマードックの作った夕食を食べていた

 

「美味しい~~~!」

 

 そして、もう一人、行方不明になっていたホゲータの保護をしたロイもジンからの招待を受けてこの場にいる。

 

「おじさんの作る料理、すっごく美味しい!」

「ははは!そう言ってもらえると作った甲斐があるよ」

 

 ロイはマードックの作った料理を美味しそうに食べ、その素直な反応は料理人であるマードックにはとても嬉しい物のようだ。

 

「ロイ、ちゃんと親御さんにはここに来ること伝えてあるんだよな?」

「うん!ジンがちゃんと伝えておけって言ってたから、じいちゃんに許可貰ってから来ました」

「そうか、なら問題ないな。部屋は余ってるから遠慮なく使ってくれ」

「はい!ありがとうございます!」

 

(……泊っていくことになるのは予想外だったな)

 

 最初にロイを招待した時は精々、夕食を共にする程度のつもりだった。しかし、フリードにロイとホゲータの現状などを詳しく説明すると「それなら泊っていけばいい」などと言い出してしまったのだ。

 

(……まぁ、いいか)

 

 目の前ではロイとホゲータが仲良く一緒に食事をしている。その姿を見ただけでここに招待してよかったと心から思うことができた。

 

 この先、ロイとホゲータがどのような関係を形成していくのかはまだ分からない。一時の友人のような関係で終わるのかそれとも相棒のような存在になるのか、それは彼らが決める事だ。しかし、どのような結果になるにしてもこうして一緒に過ごした時間は2人にとって貴重なものになるのは間違いないだろう。

 

(さて、ロイの事はこれでいいとして、問題は…)

 

「…………」

 

 先程から黙々と食事をしているリコ、気のせいであって欲しかったが若干、不機嫌そうにそれでいていつもよりも大量のご飯をやけ食いしていた。

 

(……参ったな)

 

「ちょっと、あんたリコに何したの?」

「リコ、超不機嫌じゃん」

 

 モリーとオリオがジンに小声で話しかけてくる。どうやら、女性特有の嗅覚……いや、単純に他のメンバーが疎いだけなのかもしれないが、とにかくリコが不機嫌であることを察した2人はジンが原因であると判断したらしく問い詰めてくる。

 

「リコには何もしてないと思うんですけど…」

 

(……まぁ、心当たりはあるんだけど)

 

 リコがロイを遠ざけようとしていたのを理解していたのに、ジンは今回、リコの感情よりもロイの未来を優先させる方針を取った。そして、それに対してリコになんの説明も弁解もしていない。不機嫌になる心当たりはありまくりだった。

 

(この場合、何もしなかったから怒ってるのかな?)

 

「話したくないなら詳しくは聞かないけど、早く解決してよ」

「こういうギスギスした雰囲気苦手なんだから、なんとかしてよね」

「分かってますよ。今日中に何とかしますから」

 

 年上の女性2人に責められ、若干弱気になりかけた心を持ち直し、食事を終えたタイミングでリコにこっそり話しかける。

 

「あ~…リコ?」

「な、なに?」

「その…ウィングデッキに行かないか?ちょっと話があるんだけど」

「……いいよ」

 

 

 

***

 

 

 

 食事を終えた2人は約束通りウィングデッキに来ていた。

 

 他のメンバーはそれぞれ船の応急処置や食器の片づけなどやることがあるらしくここにはいない。ポケモンたちも食事を終えて休んでいるので完全に2人だけだ。

 

「すまない」

 

 まず、最初に切り出したのはジンの方だった。

 

「リコがロイを遠ざけようとしてたのは何となく分かってたよ。だけど、俺はリコじゃなくてロイの方を優先した」

 

 ロイにはあの場でお礼をしたし、今後何か聞きたいことがあればジンに連絡を取れるようにスマホの番号まで教えた。ホゲータを保護してくれたお礼はそれで充分とも言えただろう。その時点で切り上げ、後はリコに気を遣うという選択肢も存在したのは事実だ。

 

「ジン…どうして、ロイを船に呼んだの?」

「それは……ロイとホゲータを見てたら、このまま別れさせたくないって思ったんだ」

「え?」

「気づかなかったか?あの2人、この短い時間に長年連れ添った親友みたいに仲良くなってた。だから、このままお別れさせたくなかったんだよ」

 

(ロイとホゲータがそんなに?気づかなかった…)

 

 リコのあの時、かなり感情的になっていて全く周りが見えていなかった。その為か、ジンが自分よりもロイの事を優先したようにしか感じなかったのだろう。

 

「だから…その……あれだ」

 

 ジンは頭を掻きながら慎重に言葉を選びながらも自分の想いを伝えていく。

 

「仮にロイを弟子にすることになったとしても何も変わらないよ。リコを蔑ろにしたりはしない」

 

 この言葉に一切の嘘はない。そもそもジンにはリコを蔑ろにするという発想自体が存在しなかった。

 

「……そっか」

 

 リコがロイに対して冷たく当たった理由があるとすれば、それは学園からここまでいつも自分の事を優先して守ってきてくれた師匠でもあり、友達でもあり、そして無意識ながらも好意を抱いていたジンが取られてしまうと思ったことが大きな原因だろう。

 

「それに仮にロイが弟子になったとしてもあいつは2番目だしな」

「え?」

「だって一番弟子はリコだろ?」

 

 弟子入りを希望しているだけのロイと違いリコはセキエイ学園に入学してすぐにバトルのやり方を学んでいる。仮に順番を付けるとするならリコが一番でロイが二番となるだろう。

 

(そっか…私が一番なんだ)

 

「……私、ロイに失礼な態度だったよね?」

 

 ジンの言葉もあり、リコは自分の行動を少しだけ冷静に見直した。ロイがジンに弟子入りを希望してからの態度はお世辞にもいいものだとは言えないだろう。

 

「そこまでひどいことしたわけでもないと思うけど……そう思うなら、一言謝ってくればいい」

「許してくれるかな?」

「多分な。ロイは俺と違って根に持つタイプじゃなさそうだし」

 

(…根に持つタイプなんだ)

 

 ジンは人の事を恨むと結構長い間、態度には出さなくても恨み続けるタイプだが、ロイは恐らく多少の事なら次の日の朝には忘れているタイプだと思われる。ならば、こちらから誠意を示せば許してくれるだろう。

 

「まぁ、今はホゲータと遊んでるみたいだから、もうちょっとしてからでいいんじゃないか?」

「うん。後で行って来るよ」

 

(ふぅ……なんとか機嫌直ったかな?)

 

 その後、2人は時間つぶしもかねて、ウィングデッキにて何気ない普段の会話を続けていた。ちなみに、リコは先ほどまでの仏頂面が嘘のように笑顔で話している。

 

 そんな中、リコがあることを聞いてくる。

 

「ねぇ、ジン」

「ん?」

「私って、ジンにとってどんな弟子?」

「なんだそれ?」

「いいじゃん。教えてよ」

 

 恐らく、先程の一番弟子と呼んでもらえたのが嬉しかったのとジンに自分がどんな評価をされているのか興味を持ったため、リコはそんな疑問を問いかけてくる。

 

「そうだな…」

 

 ジンは少しだけ考えるそぶりを見せた後、考えがまとまった様でリコを見つめながらしっかりと答え始める。

 

「一言で言うなら特別な存在かな?」

「特別?」

「ああ、さっきも言ったけどリコは俺がバトルのやり方を教えた最初のトレーナーだからね。それに、リコ程、面倒な子には会ったことがない」

 

(め、面倒……)

 

 リコ自身、自分が面倒な性格だと思ったことは何度かある。だが、正面から、しかも自分が好意を寄せている相手からストレートに言われた経験はなく、少し気落ちしてしまう。

 

 だが……

 

「ちょっと面倒だけど一緒にいると楽しいし、心の底から信じることができる。俺は今まで、リコみたいな人には会ったことがない」

 

(え?)

 

「リコ、君には強い絆を感じる。恐らく、これからも変わらないそんな絆をね」

 

 それに続く形で言われた言葉は気落ちしかけていたリコの心に強く刺さっていく。既に顔は耳まで真っ赤に染まり心臓はかつてない速度で動き始めていた。

 

(ど、どうしよう!?顔が熱い!?心臓がすごいバクバクしてる!?)

 

「わ、わたし…わたし…」

 

 リコは必死に何かを伝えようとするが、言葉が出てこないようだ。

 

「ふっ……そろそろロイに謝りに行かなくていいのか?」

「っ!そ、そうだった!ロイの所に行って来る!」

 

 ジンに言われリコは思い出したかのようにロイに謝りに行こうと……いや、羞恥のあまり1秒でも早く逃げ出そうとする。

 

「リコ!」

「っ!」

「いつかリコの気持ちも聞かせてくれ。その時を楽しみに待ってるよ」

「~~~~~~~!」

 

 その言葉を聞くと今度こそ、リコは全力でその場から逃げ出した。

 

「……脈ありそうだな。防御力低そうだし、ガンガン攻めていくか」

 





今回の話、よく分からないけど書いてて凄く恥ずかしかった。キャラ崩壊してるんじゃないかとか不安もありますがこの調子で行ける所まで行こうと思います。

アニポケ色々、新しい事が判明してきましたね。迂闊にリコとロイにポケモンゲットさせるのは危険かな?って思い始めてます。

☆8
taka114たかさん

☆9
D・MAKERさん、フィン・マコーレーさん

☆10
ダンイムさん

高評価ありがとうございます。
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