ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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しかし、アメジオ戦も3回目となると少々ネタ切れ感が出てきますね。


VSアメジオpart3

 

「ジュッカーーーーーーーーーー!」

 

 その場にいた全ての者が目を奪われていた光は徐々に収まりはじめ、力強い雄たけびと共に遂にジュカインがその真の姿を見せる。

 

 頭部や両腕の葉が虫食い葉っぱを思わせるより鋭い形状に変わり、胸には背中までX字状に広がる草のアーマーが追加されている。そして、最も大きな変化は大型化した尻尾だろう。通常の姿と比べ、尻尾は針葉樹のような形へと変化している。

 

「メガシンカだと……馬鹿な、そんなものは……」

「データにはなかったか?」

「っ!」

 

(やはりな…)

 

 恐らく、アメジオは以前の勝負で負けて以来、ジンの事を徹底的に調べ上げていたのだろう。ポケモンリーグという公式な大会に参加して優勝までしている以上、調べてしまえば簡単にその正体にはたどり着ける筈だ。

 

「いくら公式の記録を調べても無駄だ。このメガシンカは大会では一度も使っていない」

 

 そう、ジンはこのメガシンカをジム戦でもサイユウ大会でも一度も使っていない。というよりも使うほどの相手がいなかったのだ。

 

 こうして、メガシンカを使用したのは旅の最中に偶然出会ったメガシンカの使い手数人のみ、それ以外では特訓の時にしか使用していない。正真正銘、ジンとジュカインの切り札だ。

 

「だけど、素直に嬉しく思うよ」

「……なに?」

「さっきの反応ですぐに分かった。俺たちの事を徹底的に調べたんだろう?」

「………」

 

 アメジオは沈黙するが、否定しないという事は肯定しているのと同意と言えるだろう。

 

「1人のポケモントレーナーとして、敵対するトレーナーにそこまでしてもらえるのはこれ以上ないほどに名誉なことだ」

 

 勝利するために、相手の事を調べる。当たり前のようではあるが、それをするという事は相手が格上、そうでなくても同格以上であると認めなくてはならない。プライドが高く自信家でもあるアメジオには屈辱的な思いもあっただろう。それでも、アメジオはジンの事を調べあげ、目の前に立っている。

 

「だからこそ、俺も全力でその思いに応えたい」

「………」

「かかってこいアメジオ、来ないなら俺から行くぞ」

「……やってやる。ソウブレイズ!『むねんのつるぎ』」

「迎え撃つぞ、『ドラゴンクロー』」

 

 ソウブレイズは両腕の剣に炎を纏うと真っすぐに突っ込んでくる。それに対し、その場でジュカインは両腕の巨大化させた爪を鋭く尖らせ受け止める。

 

「ジュカイン、押し返せ」

 

 数秒間、両者はその状態を維持していたがジュカインは爪を更に巨大化させ力を籠めるとソウブレイズをアメジオのいる後方へと押し返す。

 

「なに!?」

「ジュカインとメガジュカインではパワーが違う」

 

 メガシンカしたことにより、ジュカインの能力値は大きく向上している。更にはタイプが草単体から草・ドラゴンの複合タイプになったことにより、『ドラゴンクロー』はタイプ一致により威力が上がっている。押し返されるのも仕方ないだろう。

 

「一気に攻めるぞ!『こうそくいどう』で接近しろ」

「『ゴーストダイブ』!」

「『リーフブレード』」

 

 接近してくるジュカインに対し、ソウブレイズは技の回避と体勢を立て直すために闇を出現させそこに身を入れようとする。しかし、闇に潜もうとした瞬間にジュカインはソウブレイズの目の前に迫り、すれ違いざまに両腕の葉を鋭く変化させ『リーフブレード』で斬りつける。

 

「こんな馬鹿な……速すぎる!?」

 

 ジュカインは元々、素早さに定評のあったポケモンだ。そのことは、一度バトルをしたアメジオも知っていたがメガシンカにより上昇した素早さに『こうそくいどう』を行ったことで2段階上昇している。もはや目で追う事さえも困難だ。

 

 効果こそ今一つではあったが、完全に躱した気になって防御の体勢も取らずにいた所にメガシンカして大幅にパワーアップした『リーフブレード』を正面から受けたのだ。大ダメージは避けられない。

 

(……終わりかな?)

 

 少し、あっけなくも感じるが元々のレベル差も考えればこの結果も仕方ないだろう。仲間たちの事も考えれば早く終わることは決して悪い事ではない。

そう切り替えたジンは、アメジオとソウブレイズから目を離そうとする。

 

「……まだだ」

「ん?」

「まだ、終われない!ソウブレイズ立て!」

 

 『リーフブレード』で斬りつけられたソウブレイズは片膝を着く程のダメージを負うが、トレーナーであるアメジオの言葉を聞くとなんとか痛みに耐え抜き息を切らしながらも立ち上がり両腕の剣を構え、戦意を見せる。

 

(……立ったか)

 

 アメジオ、ソウブレイズ、両者の瞳はどちらも勝負を諦めていない。これだけ追い詰められても尚、勝利を諦めていない強い意志を感じさせた。

 

(2人ともいい目をしてるな)

 

 それだけに惜しい。こんな状況でなければ、アメジオが組織の手先などではなく普通のトレーナーであったなら、きっともっとこのバトルを楽しむことができたはずだ。

 

(とはいえらしくないことをしてしまった。いくらなんでも失礼にも程がある)

 

 トレーナーとしてバトルの途中で相手から目を逸らすなど本来あってはならない事だ。アメジオは世間一般で言う悪の組織の手先、しかし、今は真剣勝負を行う1人のポケモントレーナーだ。仲間たちの事が心配なのは変わらないが、だからといって見下すことも蔑ろにすることも許されない。

 

「勝負はここからだ!『つじぎり』!」

 

 ソウブレイズはダメージを負った体を奮い立たせ、今まで見てきた中で最速の動きでジュカインへと突っ込み、両腕の剣で斬りつけようとする。

 

(傷つていても尚、勝利を諦めていない。気合の入ったいい技だ……だが)

 

「悪いな、アメジオ」

 

 ソウブレイズは自分の射程範囲にジュカインが入ったことを確認すると、渾身の力を振り絞り『つじぎり』で水平に切り裂こうとする。ジュカインは剣が己に迫ってくると切り裂かれそうになるギリギリのタイミングで後方にジャンプする事で回避し、そのまま勢いに合わせてソウブレイズに背中を向ける。

 

「これで終わりだ。『リーフストーム』」

 

 ジュカインはメガシンカにより巨大化した尻尾を切り離すと、ミサイルの様に発射する。渾身の力で放った技を回避されたソウブレイズは迫ってくる『リーフストーム』を躱すことも防御を取る事も出来ない。

 

 ソウブレイズに『リーフストーム』が命中すると巨大な爆発音が響き渡り、爆煙が辺り一面を覆い尽くす。

 

「ソウブレイズ!?」

 

 アメジオの悲痛な叫び声だけが響き、ジンは煙が晴れるのをただ黙って見つめていた。

 

 やがて徐々に煙が晴れていくと、そこには砂浜に倒れ込むソウブレイズとそれを見下ろすジュカインが姿を現した。ソウブレイズは遠目から見ても完全に意識を失っている。これ以上の戦闘続行はどう見ても不可能だ。

 

「…くそ!」

 

 アメジオもソウブレイズがもう立ち上がれない。そのことを理解しているようで、悔しそうな表情をしながらもモンスターボールに回収を行う。

 

(さぁ、次はどうする?)

 

 アメジオの出方次第ではあるが、ジンには選択肢が2つある。

 

 ここでアメジオとのバトルを決着がつくまで続けるのか、それともアメジオの事は一旦後回しにしオリオとマードックの救援に向かうのか。この二択だ。

 

 前者を選んだ場合、多少の不安はあるが、ジンがアメジオのポケモンをすべて倒すまでかこの事態に気づいたフリードが援軍に来るまでの間、ジルとコニアの相手をこのまま2人に任せる事となる。それまでの間、2人が耐えきれるかどうかは少々危険な賭けになるだろう。

 

 後者を選んだ場合、ジンがジルとコニアを倒すまでの間、アメジオが自由に動いてしまう事となる。アメジオのポケモンは確認できているのはソウブレイズとアーマーガアの2体だけだ。仮にこの2体しか持っていなかったとしてもアーマーガアが全速力で船の破壊に移ってしまった場合、船への攻撃に警戒しながらバトルをするというのは、いかにジンでも対処するのは難しいだろう。

 

(……どっち選んでもきついか……だが、船を失えば俺たちはこの島からの脱出方法が失われる…それが一番まずいな)

 

 もしも、船が壊されるような事態に陥った場合、アメジオたちを撃退、捕縛できたとしてもいずれはエクスプローラーズの援軍が来て袋のネズミになってしまう。そうすれば、いかにジンの実力があったとしてもいずれは倒されるかもしれない。そうなれば、リコとペンダントが奪われるのは時間の問題だ。

 

(……今は現状維持に努めるしかない。バトル続行だ)

 

「アーマーガア!」

 

 そうこう考えてるうちに、アメジオは2体目のポケモン、アーマーガアをモンスターボールから出し戦闘準備に入る。

 

(やはり、アーマーガアか……しかし、アメジオのポケモンとジュカインとことん相性が悪いな)

 

「勝負はまだここからだ。今度はお前を絶対に逃がさない!」

 

 強い意志……いや、この場合は執着というべきだろうか。任務とは関係なくアメジオ個人がジンとバトルし、そして勝つことに拘っているのが伺える。

 

「逃がさないか……アメジオ、お前勘違いしてるぞ」

「なに?」

「お前が俺を逃がさないんじゃない。俺がお前から逃げてやらないが正解だ」

 

 以前のアメジオとの勝負の後、続行を望んでいたアメジオからジンは撤退した。しかし、それはアメジオとの勝負を避けたかったからではない。単純にリコたちの安否を優先させただけの事だ。もしもの話をしても意味はないが、続けていればジンが問題なく勝っていただろう。

 

「認めるよ。お前たちの襲撃で俺たちはこの島に閉じ込められる一歩手前まで追いつめられてる」

 

 バトルの内容ではアメジオが押されているが、ジルたちのバトルも加えて全体的に見れば未だにエクスプローラーズの襲撃が成功しつつあるのは間違いないだろう。現状追い詰めらているのはライジングボルテッカーズの方なのだ。

 

「その代わり、お前たちは俺から撤退の選択肢を奪ったことになる。その代償は高くつくぞ」

「……………」

「とことんやろうアメジオ、決着をつけてやる」

「っ!望むところだ!」

 

 しかし、結論から言うとジンとアメジオの勝負はまたしても完全な意味で決着がつくことはなかった。なぜなら、この数分後、この場にいた全ての者が想像する事さえもできない事態が待ち受けていたからである。

 





ちょっとメガジュカインを強く書きすぎたかな?でも、折角の初メガシンカだし圧倒する感じで書いたことに後悔はないです。

☆8
ATL By Kさん

☆9
致命的失敗さん、カルハさん

☆10
火斗レアさん、メイ ・メイさん

高評価ありがとうございます。
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