アニメ最新話で幹部たちのイラスト出ましたね。しかし、アンが幹部じゃなくてよかった。彼女が幹部の場合、いくつか書き直さなくちゃいけない部分があったので本当に助かりました。
今回はいつもより少し長めです。例のポケモンを出すための辻褄合わせみたいになりつつありますが、よければどうぞ
砂浜にてジンたちがエクスプローラーズと壮絶なバトルをしていた時、リコ、ロイ、フリードの3人はロイの実家を後にして、先日ジンたちがロイと出会った森に来ていた。ロイの祖父が用意してくれた団子からヒントを得た3人は飛行船の風船の穴を塞ぐために森に住む虫ポケモンたちの力を借りる為にここに来ている。
「みんなお願い!力を貸してほしいんだ!」
話を聞いた野生のポケモンたちはその場で輪を作り話し合いを始め、暫くすると1匹のストライクが代表する形で3人の前に出てくる。
「力を貸してくれるの?」
「ストライ」
するとストライクは右腕の鎌を前に出してくる。一瞬、交渉が決裂したのかと焦る3人だったが、その先端をよく見ると昨日、ジンが上げたポロックが刺さっていた。
「……なんだ?」
「どういうこと?」
「ストライ!ストライ!」
ストライクはポロックを何度も上下に揺らしながら必死に訴えかける。
「……ひょっとして、そのポロックがもっと欲しいの?」
「ストラーーイ!」
どうやら、正解のようだ。意味が伝わったことに歓喜したストライクは両手を上げて喜んでいる。後ろに控えるポケモンたちも似た反応を示している。
「ねぇ、あれってジンが作ったポロックだよね?」
「う、うん……でも、昨日上げたので全部なくなったって言ってたけど……どうしよう?」
昨日の一件でここのポケモンたちは仕事に対して見返りを要求すれば、このポロックを作った人間、ジンはちゃんと見返りを用意してくれると学んでしまったらしい。
「……こうなった以上、仕方ない。ジンに頼んで後で作ってもらうか」
これ以上、ブレイブアサギ号をあのままにしておくのは得策じゃない。オリオが言っていたように早く修理をしなければ船底にまで被害が及ぶ可能性は十分にある。この場にいないジンには悪いが今後の事を考えれば仕方がないだろうという事で意見が一致したため、ポケモンたちに交換条件に同意する。
(ジンに後で謝らないと…でも、ポロック作りか…私にも手伝えるかな?)
リコの脳内ではジンが学園にいた頃、ポロックを作っている姿が思い浮かんでいた。大量の木のみを細かく刻みブレンダーに入れる姿に当時は無意識に目を奪われて脳裏に焼き付けていた。だからこそ、その一連の動作はよく覚えている。あの手つきは何度も練習をした人間にしかできないものだった。
(上手く作れるかな?あ、でも、出来ない時はジンに教えてもらいながらやればいいだけだし……ジンと一緒にお菓子作り……えへへ)
初めての恋人と一緒の共同作業、それを想像するだけでリコの顔は無意識のうちに緩んでいく。しかし、そんな妄想を脳内で繰り広げていると、突然、島全体に聞こえるほどの爆発音が響き渡り、強制的に現実へと戻される。
「「「!!!」」」
3人は咄嗟に爆発音が聞こえた方角へと目線を送る。その方角はブレイブアサギ号を泊める予定になっている砂浜の方からだった。
「今の爆発音は…それにこの方角は!」
「船の方からだったよね!」
(……ジン)
「嫌な予感がするな。俺は船に戻る。お前たちは長老の」
「私も行きます!」
「僕も!」
「いや、でもな」
「お願いします!ジンたちに何かあったかもしれないのに、ただ待ってるなんて出来ません!」
「……分かった。だけど、無茶はするなよ」
「「はい!」」
フリードに続く形でリコとロイ、そして船の修理に協力してくれる野生のポケモンたちを引き連れて船へと向かう。そこでなにが起こるのかをこの時は誰も知らなかった。
***
「『ロックブラスト』だ!」
「『みずでっぽう』!」
サイドンはメタグロスに『ロックブラスト』をゴルダックはイワンコに『みずでっぽう』を放つ。ジンとアメジオのバトルが続く中、こちらのバトルは大詰めの段階へと向かっていた。
「イワンコ避けろ!」
「メタグロス逃げて!」
マードックとオリオは必死に躱すように指示を出すが、バトルにより疲弊していたイワンコとメタグロスには既に避ける力は残っておらず攻撃をくらってしまう。
「イワンコ!」
「メタグロス!」
両者ともに意識こそ失っていないが、体中のいたるところに傷を作り体力の限界も近い。既にバトルを継続するのは難しい段階にまで追い込まれていた。
なぜ、ここまで彼らが追い込まれているのか。それはジンの責任と言えなくもない。
ジュカインがメガシンカした時、対峙していたアメジオだけでなくジル、コニア、マードック、オリオとその場にいた全てのトレーナーたちも目を奪われていた。
しかし、問題となったのはその後だ。ソウブレイズとのバトルが始まった時も当初はその圧倒的な力で蹂躙するメガジュカインに全員が注目していたが、ジルとコニアは直ぐに己の任務を思い出し先制となる攻撃を仕掛けてきた。オリオとマードックはそれに対処することが出来ずに主導権を早々に相手に渡してしまったのだ。
彼らの行動になぜ差がついたのかと言うと、それはひとえにジンに対する情報量の違いからだろう。エクスプローラーズは事前にジンの情報を調べ高レベルのポケモンとそれを扱うに足るポケモントレーナーであり、アメジオにさえ勝利する凄腕という認識を持っていた。
それに対し、ライジングボルテッカーズの面々はアメジオ相手にいい勝負をし、その上で逃げ切る事の出来るそれなりの凄腕トレーナーであるという認識しかなかった。
当然、双方ともメガシンカやそのバトルに驚いてはいたが、事前に情報収集をし何度かバトルをしていたエクスプローラーズは根拠こそなかったがジンならば自分たちの予想に反するなにかをしでかしてくるかもしれないという考えが心のどこかにあったのかもしれない。それが大きな差となってしまった。
皮肉な話ではあるが、味方よりも敵の方がジンの力を正しく把握していた。ジンが己の経歴を面倒くさがって隠していたことが原因であると言えるだろう。元々のレベル差、バトルの主導権、トレーナーの経験値、あらゆる面で相手に上をいかれてしまった以上、この結果はある意味当然の結果と言えるのかもしれない。
「どうした!どうした!その程度か!」
「どうやら、ここまでのようね」
ジルとコニアは高らかに己の勝利を宣言する。
「くそっ!」
「っ!」
マードックとオリオはそれに反論できず、それぞれ相棒のポケモンたちに寄り添う事しか出来ずにいた。
「……どうするマードック?」
「ジンの方は……駄目だな。まだ、時間がかかりそうだ」
現在の状況で彼らが頼れるのはジンしかいない。しかし、アメジオとのバトルは継続中だ。
アーマーガアに変更したアメジオは徹底的に『エアスラッシュ』などの遠距離攻撃に専念している。ジュカインが接近しようとすれば高所に逃げ、遠距離攻撃を仕掛ければ『ぼうふう』で受け流す。その戦術を繰り返している。時間稼ぎ、そして長期戦狙いのようだ。
「もうポケモンを持っていないのかしら?それなら、船を頂くわよ」
「ふざけないで!」
「それなら、どうする?バトルを続けるか?」
「………」
オリオとマードックが手持ちとして持っているのはあくまでもイワンコとメタグロスの2体のみだ。船のポケモンたちも指示には従ってくれるだろうが、彼らはほとんどがバトルなどしたこともない非戦闘員たち、もはやここまでかと思った、その時だった。
「待て待て待て!」
その言葉と共に島の内陸部よりリザードンに乗ったフリードと少し遅れて野生のポケモンを引き連れたリコとロイもやってくる。
「3人とも来てくれたのか!」
「待たせて悪いな。交代だ。2人はポケモンたちと一緒に船の修理を頼む」
「悪い。頼むぞ!」
マードックとオリオはイワンコとメタグロスを回収すると野生のポケモンたちと一緒に船内へと戻っていく。
「アメジオの相手はジンがしてるのか…って、おいおいあれは……」
「な、なに?あのポケモン?ジュカインなの?」
「あれがジュカイン?でも、いつもと姿が…」
3人が見たのはアメジオのアーマーガアとバトルを繰り広げているジンとメガジュカインだ。しかし、彼らの知っている姿とは大きくかけ離れているその姿に驚愕の反応を見せる。
「メガジュカイン……ジンの奴、やっぱりメガシンカの使い手だったのか」
「メガシンカ?」
「メガシンカってのは、トレーナーと強い絆で結ばれたポケモンがそれぞれにメガストーンとキーストーンって呼ばれる特殊な石を持っている時に発動するもので、確か別名が『進化を超えた進化』だったか?」
(強い絆……それって!)
その瞬間、思い出したのはまだ自分たちが学園にいた頃、リコの特訓に初めてジンが付き合ってくれた夜の出来事だった。
『さっきから、気になってたんだけどジュカインが巻いてるスカーフって何か特別な物なの?』
『いや、スカーフは普通のやつだよ。大事なのはスカーフについてる石の方だ。あれは俺とジュカインの絆の証みたいなものなんだよ』
『絆の証?』
『この二つの石が絆の証、それがどういう意味なのかはそのうち見せてやるよ』
(そうか……あの時、ジンが言っていたのはこういう事だったんだ)
「『ロックブラスト』だ!」
3人がメガジュカインに気を取られていると巨大な5つの石の塊が目前にまで迫ってくる。リザードンは間一髪のところで回避に成功するが、ニャオハとホゲータは躱しきる事が出来ずにダメージを受けてしまった。
「ニャオハ!」
「ホゲータ!」
ニャオハとホゲータはかなりのダメージを受けたようでその場に仰向けになり倒れ込んでしまう。ニャオハはともかくホゲータはもう動けないだろう。
「お前!」
「何を驚いてやがる!ここにルールなんてものはない。よそ見する方が悪いのさ!」
ジルの言っていることは決して肯定されるべきことではない。だが、この状況と彼らがどういった存在なのかを考えれば、目を離したのは間違いなく悪手と言えるだろう。
(なにやってるんだろう……『バトル中に相手から目を離すな』って、ジンに何度も言われてたのに…)
それはジンがリコに口を酸っぱくして何度もしてきた基本中の基本、これを疎かにすれば待っているのは敗北だけだ。リコは悔やんでも悔やみきれない失態を犯してしまったと感じていた。
「2人とも下がってろ!後は俺たちがやる!」
リザードンはニャオハとホゲータの前に出て、2体の盾になろうとする。
「コニア、一気に攻めるぞ!船はもういい。ペンダントとターゲットを確保する!」
「………」
「コニア?」
反応のないコニアに異変を感じたジルはそっと彼女に視線を向ける。すると彼女は傷だらけになりながらも必死に立ち上がり自分たちの方を睨みつけてくるニャオハを見つめていた。心なしか涙目になっているようにも見える。
「ニャオハ……そんなにボロボロになっても戦うのね。分かったわ。あの頃の私達にはもう戻れない。私はもうニャオハを敵とみなす!ジル、いくわよ!」
「……お、おう」
コニアが何を言っているのかあまりよく理解できなかったようだが、取り合えず任務をやり遂げる気はあるようなのでジルは敢えて気にしない事にし任務を再開する。
「サイドン『ロックブラスト』だ!」
「リザードン『ドラゴンクロー』で弾け!」
リザードンは向かってくる5つの巨大な石の塊を『ドラゴンクロー』で弾く。本来、リザードンにとって岩タイプの技は4倍の弱点だ。いかにレベル差があろうとも正面から受けるべきではないが、背後に守る対象が2体いることでその場から動けなくなっている。
「……あっちの子はアメジオ様が止めている。今の内ね」
アメジオがジンたちをそしてサイドンが『ロックブラスト』でリザードンの動きを封じている間にコニアはモンスターボールからエアームドを出し乗り込むと、一気にリコたちに接近しようとする。
「しまった!リザードン!」
「行かせるなサイドン!『ロックブラスト』を打ち続けろ!」
リザードンはエアームドに乗るコニアを止めるべく動こうとするが、サイドンによってその行動を無理やり止められてしまう。エアームドが向かったのは傷を負いながらも今だに戦意を見せるニャオハとその横で倒れているホゲータだ。
「ホゲータ!」
「ロイ!危ない!」
ホゲータの危機だと感じたロイはホゲータのもとに向かう。リコもそれに続く形で走り出してしまう。両者ともにあまりに危険な行為だ。
(お願い…ニャオハとホゲータを守って!)
リコはペンダントを握りしめ、そう願う。祖母から貰ったペンダント、このペンダントの不思議な力で学園でも守ってもらえた。もしも、もう一度力を貸してもらえたらこの状況を変えられるかもしれない。そう考えるとリコは祈らずにはいられなかった。
「……え?」
「あ?」
その瞬間、ペンダント、そしてロイの持っていた古のモンスターボールが突如として眩い光を放ち輝きだす。
「な、なんなの?」
その輝きは辺り一面を覆い尽くすほどのもので接近してきたコニアはその光を直視できずに目をそらし、エアームドもその場で動きを止めてしまう。
その光は徐々に収まりはじめ、ある一か所、ロイの持つ古のモンスターボールに集中していき、中心の開閉スイッチの部分が自動的に動き出し開き始める。
中から出てきたポケモンは光と共に空高くまで飛びあがり、そのポケモンの周囲を覆っていた雲を吹き飛ばす。するとその一面のみ雲が晴れぽっかり青空が広がり、その青空の中心に遂にそのポケモンは姿を現した。
「黒い……レックウザ……」
書き終わってから気づいたのですが今回、ジンの出番なかった!しかも戦犯っぽい!
話しを成立させるためにロイとホゲータの活躍場面奪っちゃいました。ジンにちゃんと指導させるんで許してください。
リコがヒロインの小説増えてきましたね。私よりも文章力ありそうだし、とても参考になりそうで嬉しいです。
☆8
ベースグレイマンさん
☆9
皐月の王さん、青龍@さん、ねこのすけさん、Y YUKIさん、儚いさん、砂糖イチさん、ヤミラさん
☆10
ナギニさん、LEGION ONEさん、ピカピカ丸さん
高評価ありがとうございます。