ドットが可愛い。ヒロインに追加して船内ハーレムにしようかなって願望が出そうになりました。でも、そうなると設定的に小説内でリコとドットが仲良くなるのは……………無理だな、修羅場怖いし諦めよう。
「『エナジーボール』だ!」
「『ぼうふう』!」
ジュカインの放った『エナジーボール』はアーマーガアが発生させた『ぼうふう』により、進路を強制的に変更されギリギリの所で受け流されてしまう。
「……またか」
接近戦を行おうとすれば逃げ、遠距離攻撃を行えば受け流す。この数手の間、このやり取りを既に複数回繰り返している。
(このままじゃ、埒が明かないな)
ここまでにジュカインが遠距離から放った技は、『タネマシンガン』、『エナジーボール』、『りゅうのはどう』の3つだ。どの技もアーマーガアの『ぼうふう』によって無理やり方向を変えられ多少はダメージを与えることは出来ているが決定打にはなっていない。
無論、『ぼうふう』を突破できる『リーフストーム』のような大技を放てば一撃で倒しきれる自信はある。しかし、『リーフストーム』は一撃放つたびに特攻が2段階下がるデメリットがある。既に一度使っている以上、アメジオが何体ポケモンを持ってきているのか把握していない現状ではあまり積極的には使いたくはない。そんな考えが現在の膠着状態を作っていた。
(だが、時間をかけるべきじゃないか。これ以上はマードックさんたちが持ちこたえられない)
イワンコとメタグロスを見た時にある程度、持ちこたえられる時間を予測しタイムリミットを定めていた。その時間はもう迫っている。あくまでも大雑把な計算ではあったが、実践ではアクシデントも起こり時間が短縮される可能性もある。それを考えるとこれ以上の時間はかけられない。
(『リーフストーム』でしとめて、そのまま一気に)
作戦を変更し、一気にしとめに行く。そう決めるとジュカインに改めて指示を出そうとした。
正にその時だった。
「なんだ!?」
「……あの光は?」
ジンたちの後方、砂浜のとある一帯が眩い光が覆い尽くす。ジンもアメジオも思わずバトルを中断しその場にいた全ての者がその光に注目していた。
光は徐々に収まりはじめ、一か所に集中していくとその中心から空高く舞い上がり、上空に1体のポケモンが姿を現す。
「馬鹿な……黒いレックウザだと!?」
***
レックウザ、ホウエン地方出身の者で知らない者はまずいないだろう。
ホウエン地方には多くの伝説が残っている。遥か昔、陸を作ったとされるグラードン、海を作ったとされるカイオーガ、両者は長年に渡り戦いを繰り広げていた。それは世界をも揺るがす壮絶な戦いだったと言われている。その戦いに困り果てた人々は神に救いを求めた。
その神の正体こそがレックウザ、そうして人々の願いを受けたレックウザはグラードンとカイオーガの戦いを治め地球を救ったとされている。
「……なぜ……レックウザが?……」
自身の生まれ故郷に伝わる伝説のポケモン、幼い頃から読んでいた物語にも何度も登場する、その存在は確かにいると知りながらもどこか架空の存在なのではないかとさえ思ってしまう程、遠い存在であった筈のポケモンが目の前にいる。
(あれが、本物のレックウザ……どうして、こんな所に?……まずい!)
レックウザが姿を現した瞬間こそ、その姿に目を奪われていた。しかし、すぐにポケモントレーナーとしての習性で無意識のうちにレックウザ全体そしてその周辺の観察を行った為、リコとロイ、そしてぼろぼろのニャオハとホゲータがレックウザのすぐ目の前にいることに気づいてしまった。
「悪いなアメジオ、勝負は預ける」
余りにも無防備すぎる。レックウザがちょっとした気まぐれで技の一つでも使うようならばあの場所にいる2人はあっという間に消されてしまうかもしれない。そう判断してからのジンの行動は早かった。いまだに茫然としているアメジオとアーマーガアに背を向けるとジュカインの背に飛び移る。
「まて!勝負はまだ!」
決着していない。恐らく、そう言おうとしたのだろうが、それを言い切る前にジュカインは『こうそくいどう』を発動するとその場を後にしリコたちのもとに向かう。
(あれは…フリードさん!)
高速で移動するジュカインの背からレックウザとリコたちの周辺を観察しているとリザードンに乗ったフリードがジンと同じく、ジルとサイドンの一瞬の隙をつき2人に接触しているのが見えた。その姿を見て、思わず安堵する。これでジンたちが合流できれば、少なくともリコたちを抱えてこの場を脱出することができる。そう思った瞬間だった。
「きりゅりりゅりしぃぃ!」
レックウザは凄まじい咆哮を上げると、力を溜めこみ首を上に向ける。口元に徐々にピンク色のエネルギーが集中していくのが伺える。
「ジュカイン!止まれ!」
ジンはレックウザの様子が変化したのに気づくとジュカインから飛び降りる。
(あれは……『りゅうせいぐん』か!?)
『りゅうせいぐん』、ドラゴンタイプの代表ともいえる技だ。竜の力を溜めこんだ光球を空高く打ち上げ、その光から複数の光球をまるで隕石の様にして降り注ぐ技、威力が強力なのもさることながら、この状況で最も最悪なのはその技の範囲だろう。
レックウザ程のポケモンが『りゅうせいぐん』を使えばどうなるのか、恐らく、今までに見たことのないほどの威力と広範囲の技となるのは想像に難くない。そうなれば、リコたちだけでなくブレイブアサギ号にいる他のメンバーたちにも被害が及ぶ可能性は十分に考えられる。
(止めるしかない!)
だが、メガジュカインの最強の技『リーフストーム』でもレックウザを止めることは出来ない。『りゅうせいぐん』にのみ狙いを定めたのなら万全の状態であれば、あるいは止められたかもしれない。しかし、ソウブレイズとの勝負で一度『リーフストーム』を使ったことで既に威力が落ち始めている。この状態で『リーフストーム』を使ったとしても恐らくは力負けしてしまう。
もはや打つ手は残されていない………以前までのジンとジュカインであったなら
「ジュカイン……あれをやるぞ」
「……ジュカ」
「分かってる。実践では初めてだけど、やるしかない」
それは、サイユウ大会で優勝しセキエイ学園に通いだすまでの空白期間にトレーニングをしていた時に偶然、手に入れた力でメガシンカを切り札とするならこの力は奥の手と呼べるだろう。
しかし、強力ではあるが実践で使う機会もなく学園に通ってからはリコとニャオハとのトレーニングに時間を費やしていたので練度はかなり低い。この状況で使うにはそれなりにリスクがある。
(それでもやるしかない)
「行くぞ!『エナジーボール』」
ジュカインは瞬時に草のエネルギーを集中させ、口の前に緑色の光球を作り出す。当然、このまま発射したのではなんの意味さえない。
「今だ!」
そして、ジンの合図と同時にジュカインは『エナジーボール』を口の中に放り込み、そのまま飲み込む。すると一瞬の間を置き、ジュカインの体から眩い緑色のオーラが立ち上りやがて頭部や両腕の葉、胸の草のアーマー、巨大化した尻尾にエネルギーが集中していく。
「な、なに?」
「え?」
「今度はなんだ!?」
「……あのオーラは」
レックウザの前にいたリコ、ロイ、フリード、そしてレックウザの技を打つ姿勢を見て撤退の準備を行っていたアメジオもそのオーラに視線を奪われる。
だが、レックウザだけは違う。レックウザはジンたちの方を見ようともしない。というよりも見る必要性を感じていないと言った方が正しいのかもしれない。レックウザと言う巨大な力の前ではそれこそ伝説のポケモンクラスでなければ敵とさえ判断されないのだろう。
レックウザはやがて、力を溜め終えると空に向かい『りゅうせいぐん』を打ち上げる。その広範囲攻撃によってここにいる全ての者を薙ぎ払うつもりの様だ。
(させるか!)
「『りゅうせいぐん』を止めるぞ!ジュカイン!最大パワーで『リーフストーム』!」
「ジュッカァァァァァァァァァァァァァァ!」
ジュカインは力強い雄たけびと共に尻尾を切り離し『リーフストーム』を発射する。それは、発射されてもなお緑色のオーラで輝き続け、ソウブレイズに放った物とは比べ物にならない威力だ。
放たれた『リーフストーム』は『りゅうせいぐん』へと向かい、『りゅうせいぐん』が隕石となり落ちてくる前に真正面からぶつかり合う。巨大な2つのエネルギーがぶつかり合った結果、巨大な爆発が起こり爆煙が空と空中にいたレックウザを覆い尽くす。
「きりゅりりゅりしぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
レックウザは体を回転させ、邪魔な爆炎を雄たけびを上げながら薙ぎ払う。爆炎により僅かばかりのダメージはあるようだが、それにより益々怒っているようにすら見える。
(……なんとか防いだけど、次どうするかな?)
このパワーアップは強力ではあるが、わずかな時間しか使用できないという弱点がある。ここからレックウザと本気のバトルをするようならメガジュカインだけでは恐らく力が足りない。不本意ではあるけど、レイドバトルに移行するしかないと考え戦略を立てはじめる。
「……………」
(……?……なんだ?)
レックウザは急に静かになるとジンとジュカインを見つめていた。先ほどの怒りの形相と違いなにか品定めをしているような視線だ。暫くすると、ジンたちから目を離しリコたちの方に一瞬だけ視線を向けると咆哮を上げながら空高く飛び去って行く。
「ジュカ!」
「ジュカイン、もういい」
(なんだったんだ……見逃してもらえたってことでいいのか)
恐らく、そう考えていいのだろう。自分の技を防がれ少なからずダメージを与えられたことに対する怒りこそあったが、それ以上にジンとジュカインが使った技を面白い。今、倒してしまうには勿体ないと感じたのかもしれない。
「……ジュカ」
ジュカインの体から緑色のオーラが消えていき、メガジュカインへ、そしてメガエネルギーが尽きたのか通常のジュカインへと段階的に戻っていく。
「……もう時間切れか。やっぱり、課題は持続力だな」
こんな短時間しか持たないようではフルバトルではそれこそ、ここぞという時にしか使えないだろう。奥の手と考えればそれも悪くはないが、欲を言えばメガシンカの様に長時間使えるようにしたい。極めるまで多少、時間はかかるかもしれないがイメージは出来つつある。
(だけど、その効果は絶大だ。メガシンカした状態からこの強化方法を使えば瞬間的にではあるけどチャンピオンのエース級ポケモンの力を恐らく超えている)
他のポケモンたちもジュカインに引っ張られる形でレベルを上げを行い成果も出てきている。そして、この力を完全に身に着けることができる様になれば、いよいよ見えてくる。
(……今の俺達ならチャンピオンの座に手が届くかもしれない)
それが地方チャンピオンかワールドチャンピオンなのかは今後のジンたちの成長次第だろう。
勿論、まだ先の話ではある。今はリコの安全やペンダントの秘密など考えることが多いのでチャンピオンリーグへの挑戦などは後回しにはなるだろう。しかし、その時は確実に近づいている。その確信が今のジンには確かにあった。
ご存じの方もいるとは思いますが、ジュカインが使った技はDPでサトシのハヤシガメがやっていたものです。
アニメだと次回はキャップとの出会い、ライジングボルテッカーズ誕生の話しですね。こういうわざわざ小説に書かなくても良さそうな話を待ってました!
☆9
ユーキさん、重成さん
☆10
plant Woodさん
高評価ありがとうございます。