ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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感想欄でアレックスさんとのバトルを期待してる人が多いようなので、ここで宣言しておきます。

アレックスさんとはバトルはしません!


ドット

 

 大空の上、本日の天気は晴天で雨雲一つ見られない。

 

 バトルの特訓をする際は様々な天候に対応できるように敢えて、雨の日や雪の日に特訓することも多いが、今日の様な特訓をするときには晴れた天気の方がやりやすい。

カントー離島を出航した翌日、ジンと相棒のジュカインは早朝に目を覚ますとそのままウィングデッキに出て朝のトレーニングを行っていた。

 

「ジュカイン『エナジーボール』の準備だ」

「ジュカ!」

 

 指示を受けたジュカインは『エナジーボール』を口元に生成し終えるとそのまま飲み込み、自身のエネルギーへと変換していく。全身からあふれ出るほどのエネルギーがやがて両腕の草と尻尾へと集中し緑色に輝き出す。レックウザ戦で披露した強化方法、その名を『エナジーチャージ』(フリード命名)だ。

 

「そのままその状態を維持しろ」

 

 ジュカインは最初こそ余裕そうであったが、徐々に苦しそうな顔つきへと変わっていき、額から一筋の汗を流し始める。

 

「……ジュ~」

 

 しかし、5分程で限界に達してしまった様で両腕の草と尻尾は通常の状態に戻っていき、ジュカインもその場に膝をついてしまう。

 

(やっぱり、まだ5分が限界か)

 

 動かない状態で5分、だが実践では更に動きながらその状態を維持しなくてはならない。しかもジュカインはそのバトルスタイルの都合上、普通のポケモンよりも激しく動き回る必要がある。実践を想定するとこの『エナジーチャージ』が使える時間は1分、長く見積もっても数分が限界と言えるだろう。

 

「ジュカイン、これからは毎朝、『エナジーチャージ』の特訓をする。まずは動かない状態で10分間の維持を目標にして、その後全力で動いても5分間維持できるようにしていく。きついかもしれないが頼むぞ」

「ジュッカ!」

 

 ジュカインはやる気に満ちていた。レックウザという巨大な敵に対峙したことで、この世界には自分よりも強い存在がいて、そして自分はまだまだ強くなれるのだと至ったらしい。レックウザとの出会いはいい意味で初心に帰るきっかけになった模様だ。

 

(ジュカインは一旦休ませるとして、次は…)

 

「ジン!おはよう!」

「ホゲ~」

 

 次にトレーニングさせるポケモンを選出しようとすると展望室からロイとホゲータが姿を現す。

 

「おはよう、早いな」

 

 実際、ジンたちの朝のトレーニングを始める時間はかなり早い。以前までは、1人旅だった為朝起きたら自分やポケモンたちの朝食の準備、次の街までの移動時間なども考慮した上でトレーニングをしなくてはいけなかったので朝早くに起きる習慣がついているのだ。

 

「うん!早くホゲータと特訓したかったから」

「ホンゲ!」

 

 ロイは最初、すぐにでもバトルをすることを望んでいたがジンがストップをかけていた。ホゲータが現状使える技は『たいあたり』のみだ。これではまともなバトルにならない。その為、まずは炎タイプの基本的な技でもある『ひのこ』をマスターすることを提案した。

 

 という訳でロイとホゲータは『ひのこ』の特訓を開始したのだが……

 

「ホゲ~……」

「できない~…」

 

 かなり苦戦していた。

 

(この感じ久しぶりだな)

 

 その姿を見ると昔の自分や出会ったばかりの頃のリコとニャオハを思い出してしまう。技がなかなか発動せずに悪戦苦闘する。ポケモンとトレーナーが必ず通る道だ。

 

(まぁ……リコたちよりかはましなスタートだな)

 

 あの頃の2人は方向性が定まっておらず息もあっていないとよくない点だらけだったが、ロイとホゲータはやる気もあるし具体的な目標もある。

 

(……それに)

 

 ホゲータは『ひのこ』の指示が出るたびに、僅かばかりではあるが口から火を出すことには成功している。この分ならジンが何かをしなくても『ひのこ』をマスターできるかもしれない。

 

「ジン~~どうすれば『ひのこ』撃てるようになるの?」

「ホンゲ~~」

「練習あるのみ」

「え~」

「ははは……まぁ、そろそろ時間だし、取り合えず朝食を食べてからにしよう」

「あ、本当だ。もうそんな時間か…」

「ホゲゲ~」

「朝食が終わったら、ちゃんとトレーニングに付き合うよ」

「本当に!約束だよ!よ~し!行くよホゲータ」

「ホゲ~~!」

 

 ジンの言葉を聞いて、急に元気を取り戻したロイとホゲータは我先にと展望室へと向かい、そのままミーティングルームへと走っていく。

 

(2人とも元気だな……ひょっとして、弟ってこんな感じなのかな?)

 

 明るく元気で男子に使うのが適切かは分からないが少々、可愛らしくも感じる。一人っ子のジンには初めての感覚だった。流石に本人の前で口に出すのは憚られた為、心の中に留めるとロイの後を追うように進んでいく。

 

 

 

***

 

 

 

 ミーティングルームでマードックが用意した朝食を食べ終えると、ジンたちはフリードに預けていたスマホロトムにライジングボルテッカーズ専用アプリをインストールしてもらい正式にライジングボルテッカーズメンバーとして受け入れられていた。

 

 それに伴い、「堅苦しいのは抜きで行こう」というフリードの提案もあり敬語もなくすこととなる。

 

「ドット?」

 

 それは、ジンたちが知らなかったライジングボルテッカーズのもう一人のメンバーだ。マードックの姪っ子で情報収集を専門にしておりジンたちが先ほどスマホに登録したライジングボルテッカーズ専用アプリなどの開発も彼女が行ったらしい。

 

「そのドットはどこにいるんだ?一度も顔を見てないんだけど?」

「あの子、滅多に姿を見せないからね」

「会えたらレア」

 

(いや、ポケモンじゃないんだから…)

 

 広い森で生活しているのではなく同じ船で生活しているのだ。普通ならすれ違う程度でも顔を合わせていなければおかしい。それならのにジンたちは一度もドットを見たことがない。

 

(……わざと避けてる?それとも部屋から出てこないのか?)

 

「彼女なら黒いレックウザについて何か教えてくれるかもな」

「分かった!行って来る!ジン、リコ行こうよ!」

「う、うん!」

「ああ」

 

(挨拶くらいはしておかないとな……レアって聞くと会いたくなるし)

 

 ポケモンであれ人であれ会えるがレアと聞くと意地でも会いたくなってしまう。これもトレーナーの……人としてのさがとでも言うのだろう。

 

「ここだな」

 

 そんな訳でジン、リコ、ロイの3人はドットの自室までやってきた。ノックをし中にいるドットに声をかけようとすると聞き覚えのある音楽が聞こえてくる。

 

(ん?どっかで聞いたな…)

 

「この曲…ぐるみんの!」

「あ~…それか」

「動画見てたのかな?」

「良かったじゃないかリコ」

「え?」

「同年代で同じ配信者が好き、趣味が合いそうじゃないか。友達になれるかもしれないぞ?」

「そ、そうかな?」

 

(友達……ジンとロイとアン以外の……ちょっと不安だけど学園でのリベンジだ!)

 

 実はリコ、セキエイ学園に通っていた頃クラスメートの女子たちがぐるみんの動画を見ている時に自分も会話に参加しようとした経験が何度かある。

 

 しかし、その時は内気な性格が邪魔をしたのとその女子たちがぐるみんの動画に関して感想を言っている時に自分と解釈の仕方が違う事から結局、話しかける事が出来ずに終わってしまったことが何度もあった。それ故、今度こそと意気込んでいる。

 

「それじゃあ、改めて」

 

 ジンは改めてコンコンコンと3回程、扉をノックをするが返事は帰ってこない。

 

「返事ないね?」

「ふむ…」

 

 留守ということはないだろう。他のメンバーたちの情報通りなら彼女はほとんど自室に引きこもっている筈だ。

 

(……無視されてるのか)

 

「すみませ~ん!ロイって言います。ライジングボルテッカーズの新人です。黒いレックウザについて知りませんか?」

 

 返事がない事にしびれを切らしたロイが大声を出し呼びかけると扉の下側、ペットドアから一体のポケモンが出てくる。

 

「クワーッス!」

 

 現れたのはこがもポケモンのクワッス、よくランドウの近くでうろうろしていたポケモンだ。よく見るとクワッスの胸には一枚の紙が折りたたんで挟まれていた。ジンはクワッスの高さまでしゃがみ込み、紙を掴み中を見る。

 

「……これは」

 

 その紙に書かれていたのはロイとホゲータと思われる絵だった。しかも、その絵はロイとホゲータがバトルでやられている様な描写で描かれている。

 

「なんか失礼な奴」

「仕方ないよ。私もロイもまだ新人なんだし」

 

 確かにロイはトレーナーとしては新人だ。ジンの指導を受けたリコと比べて知識も技量も低く、トレーナーとして未熟と言わざるを得ないだろう。

 

(……だからって、昨日ポケモントレーナーになった奴になにを求めてるんだ?)

 

 そう、ロイは昨日、ホゲータをゲットしたばかりの新人中の新人だ。今はまだ何もできなくて当たり前であり、2人は一人前になろうと今朝も必死にトレーニングに励んでいた。それを見もせずに馬鹿にすることなどあっていい筈がない。

 

(同じ船のメンバーだし、波風は立てたくない……だけど、少し気に入らないな)

 

 そう考えたジンは立ち上がり、もう一度扉をノックしドットに呼びかける。

 

「聞いてくれドット、ロイとホゲータは今日中に『ひのこ』を完成させて、バトルに必要な基礎を身に着ける」

「え!?ちょっと待って!」

「ジン!」

 

 ロイとリコが慌てた様子でジンを止めようとするがジンは止まらずに話しを進めていく。

 

「それが出来たら、さっき言ったロイの頼みを聞いてやってくれ」

 

 しかし、当然ながら返事は帰ってこない。

 

(まぁ、予想通りの反応だな…)

 

「沈黙は肯定と取るぞ。行くぞ!ロイ、ホゲータ」

「じ、ジン!ちょっと待って!」

「駄目だ。時間がない。急ぐぞ」

「ホッゲ~~~」

 

 ジンはそのままロイの腕を引いて、ウィングデッキの方へと向かっていく。ホゲータも慌ててその後について行く。

 

「え、えっと……お邪魔しました!じ、ジン!ロイ!待ってよ~~」

「ニャオ~~」

 

 ジン、ロイに続きリコとニャオハもその場から離れ、誰もいなくなるとゆっくりと扉が開かれる。そこから紫色の髪をした小柄な女の子が顔を出しジンたちの背中を見ていた。

 

「あれが……サイユウ大会優勝者……ジン…」

 





この話は飛ばそうかと思ったんですが、ロイとホゲータの活躍場面を奪っちゃったのでここで強化イベントをやって原作と同じ程度には強くしておこうと思います。

☆8
希野実さん

☆9
狂った空飛ぶカタツムリさん、しいかさん、MTHRさん

高評価ありがとうございます。
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