ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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遅くなりすいません。前回の後書きで書いた通り、親戚の法事で実家に戻っていたのとポケモンの追加コンテンツの時期が上手く重なって益々執筆する時間がなくなってました。



パルデアに向けて

 

 ぐるみんの正体が発覚(ジンに)してから数日、ライジングボルテッカーズ一行はリコの実家パルデア地方を目指し旅を続けていた。ここ数日でブレイブアサギ号の船内では様々な変化があった。

 

 1つ目はリコとドットの関係だ。あの日以降、リコはぐるみんの動画が投稿される度にドットの部屋を訪問し、ぐるみんへの止まることなき愛を語り続けドットはそれを困りながら聞くというのが定番化しつつある。

 

 ジンは約束通り、リコにドットの正体は教えていない。ただ、「ドット以上にぐるみんの事を詳しい人はいないかもしれない」と教えただけだ。すると、リコはドットがぐるみんのガチファンだと勝手に勘違いし自分の本気度を知って欲しいと頑張った結果が今の状況だ。

 

 ここ数日の様子から見て、ドットもリコが自分(ぐるみん)の事を褒められるのを聞いて喜んでいる印象だった。それにドットは未だに否定気味だが、周りから見れば二人は既に趣味が同じ友達同士に見える。彼女が部屋から出て一緒に話をするのもそれ程、先の話ではないかもしれない。

 

そして2つ目の変化は…

 

「ハッサム!」

 

 カントー離島の島でゲットしたストライクがハッサムに進化したことだ。食料調達の為に立ち寄った港で偶然にもメタルコートを販売している掘り出し物市場が開かれていたので購入し進化をさせた。

 

 元々、レベルが高く戦闘経験も豊富だったストライクはハッサムに進化したことで素早さこそ下がったが、攻撃値や防御値などのステータスが上昇し鋼タイプの技などを新たに覚え、ストライクの頃以上の強さを手に入れることに成功した。

 

「ハッ!」

 

 ハッサムは両翼を広げると低空を加速しながら移動し、バトルフィールドを駆け抜け相対しているボスゴドラに向かって正面から突っ込んでいく。

 

「ゴドラ!」

 

 それに対し、ボスゴドラは防御の体勢に入り正面から受け止める姿勢に入る。ハッサムは勢いをつけたまま、すれ違いざまに翼をぶつける。一見するとただの『つばさでうつ』に見えたが…

 

「……ゴッド」

 

 攻撃を受けたボスゴドラは翼が当たった個所をジンに見せてくる。そこには僅かではあるが傷跡が出来ていた。それもよく見ると食らった攻撃は一度なのに対しこの傷は明らかに複数回攻撃されたことを物語っている。

 

「……どうやら成功だな」

「ハッサム!」

 

(早朝トレーニングを含めて数時間で『ダブルウイング』を習得したか……覚えがいいとやっていて楽しいな)

 

 ハッサムが特訓していたのは『ダブルウイング』だ。飛行タイプの技で翼で相手に攻撃し一度の攻撃で2回分のダメージを相手に与える効果を持っている。威力は40、そしてそれが2回分で80のダメージを相手に与える。更にハッサムの特性『テクニシャン』により技の威力は1.5倍となり、かなりのダメージを相手に与えることが可能となる。

 

「これで戦略の幅が広がるな……2人ともお疲れさん。今日はもう休んでいいぞ」

「ゴド!」

「ハッ!」

 

 ジンの発言を聞くと、ハッサムは両腕を空高く上げ、大声を出し喜ぶとそのまま体力が尽きたのか大の字になり倒れてしまう。ボスゴドラも攻撃された部分を擦りながらゆっくりとその場でゆっくりと座り込んでいく。

 

 ハッサムとボスゴドラをボールに戻すとジンはスマホを確認する。夕食後に始めたトレーニングも気付けばもうそれなりの時間が経っていた。

 

「おっと……もうこんな時間か、そろそろ終わりにするかな……ロイ、ホゲータ、ジュカイン、そっちも終わりにしていいぞ」

 

ハッサムとボスゴドラとは反対のフィールドでトレーニングをしていた3人にも声をかける。

 

「ジュカ!」

「「……………」」

 

 元気よく返事をするジュカイン、それとは正反対にフィールドに倒れ込み返事どころか体を動かす様子さえ見せない2人

 

「おーい、こんな所で寝るなよ」

「「…………」」

 

 返事がない。ただの屍のようだ。

 

「死んでないよ!?」

「ホンゲ!?」

「あ、生きてた」

 

 訂正、どうやら、まだかろうじて現世に足をとどめていたらしい。

 

「う~…ハッサムのトレーニングをするって言ってたから僕たちは休みだと思ってたのに…」

「ホゲゲ…」

「馬鹿言うなよ。トレーニングできる時間には限りがあるんだ。そんなもったいない事出来るか」

 

 船に乗っている間、ジンたちは見張り以外にも様々な雑用を手伝っている。ポケモンの食事の用意、食器洗い、薬品のチェック、船の整備など様々だ。それと並行してリモートで授業も受ける以上、トレーニングに回せる時間は決して多くはない。

 

「でも、今日はもう終わりでいいぞ」

「え……本当に!?……油断させて襲い掛かる作戦とかじゃなくて?」

「そうして欲しいのか?」

「ごめんなさい。嘘です。終わりでいいと思います!」

「ホゲホゲ!」

「……まぁ、いいか。俺も予定あるしな」

「予定?」

「ああ、リコに話があってね」

 

 フリードによるとパルデア地方まではあと少しで到着するらしい。それを聞いてからという物のリコの態度は明らかにおかしかった。何かを悩んでいるようにジンには見えたが、リコの性格上、自分から言い出すのは難しいかもしれない。

 

(リコから来ないなら、俺から行くだけだ)

 

 それが恋人同士の関係として正しいのかは不明だが、リコとジンの関係性を考えればそれでいいのかもしれない。積極的なジンと受け身なリコ、恋人同士にはなったが初めて会った時からこの関係に変更は見られない。

 

「そういえば、リコは誘わなくても良かったの?」

 

 ロイが言うのは夜のトレーニングの事だ。リコが参加するのは早朝のトレーニングのみで夜は基本的に不参加だ。

 

「ロイたちはリコたちよりも出遅れてるからな。トレーニング量を多めにしてるんだよ。それに………いや、なんでもない」

「?」

 

 ロイをリコに追いつかせるためにトレーニング量を増やしているのは事実だ。だが、それだけではない。

 

 ジンにはチャンピオン、ロイは黒いレックウザのゲットという大きな目標がある。しかし、リコにはそれがない。学園にいた頃はニャオハともっと仲良くなりたい、技をつかえるようにしたいという思いがあったがもうそれは達成できている。

 

 今もトレーニングを続けているのは習慣の様なものだ。それ自体は悪い事ではないし、リコの立場を考えれば自衛の為の強さはあった方がいい。だが、それならばこれまで通りの通常のトレーニングで十分だと考えられる。

 

(……まぁ、焦る事もないか。こういうのはある日、突然見つかったりするしな)

 

「気にするなよ。明日も早いんだから早く部屋に戻って寝た方がいいぞ」

「え~明日もやるの?」

「ホゲ~」

「…そうか。それじゃあ、明日のトレーニング量はいつもよりも…」

「おやすみなさい!」

 

 ジンが言い終える前にロイはホゲータを抱えると一目散にその場を離れ、自室へ戻るために展望室へと戻っていく。

 

「……最近、頑張ってるからいつもよりも少なめにしようかって言うつもりだったけど、元気そうだしいつも通りでいいか」

 

 ジュカイン、ボスゴドラ、ハッサムをボールに戻すとジンもロイの後に続くように展望室へと向かう。

 

 

 

***

 

 

 

「あともう少しでパルデアか…」

「ニャァ?」

 

 リコは自室でベッドに座り込みながら呟く。もうすぐ実家に到着する。セキエイ学園に通うようになって以来の久々の実家だ。帰れることや両親に会えるのは勿論、嬉しい。しかし…

 

(そしたら、私の旅は終わっちゃうんだ…)

 

 元々、ライジングボルテッカーズはリコの護衛の為に雇われている。リコをパルデアまで送ればそこでお別れになるのは道理だ。

 

(……どうしよう)

 

コンコンコン

 

「!…はーい」

 

 この先の事をどうすればいいのか悩んでいると、突然、扉をノックされる音が聞こえリコは一旦、考えるのを中断する。

 

『ジンだ。入ってもいいか?』

「ジン?うん。開いてるから入っていいよ」

 

 リコの許可を得るとジンは扉を開け、部屋へと入ってくる。リコはベッドに腰かけると自分の隣をぽんぽんと叩いた。ジンもそれに従いリコの隣、拳一個分程のスペースを空けて座る。

 

「どうしたの?」

「面倒だから、単刀直入に聞くぞ。何か悩んでるだろう?」

「……ジンは凄いね。なんでも分かっちゃう」

「リコが特別分かりやすいだけだよ。それで、どうしたんだ?」

「うん…それじゃあ、聞いてくれる?」

 

 リコはパルデアに着けば自分の旅が終わってしまうこと、その時、自分はどうしたらいいのか分からずに悩んでいる事を全て包み隠さず話した。

 

(成程…そういう訳か)

 

「ふむ……まず、確認なんだがリコはどうしたいんだ?」

「……私は…」

「実家に残るのか船に残って旅を続けるのか、両親とか船の皆が許す許さないとかは今は考えなくていい。リコがどんな道を進みたいのかそれだけを考えろ」

 

(私がどうしたいのか……)

 

 リコの脳裏に浮かんだのはセキエイ学園で初めてジンやニャオハと出会ってからここに至るまでの記憶だ。エクスプローラーズに襲われ、ニャオハが攫われジンやライジングボルテッカーズに助けられながらもここまで来ることができた。怖い事も不安なこともたくさんあったがそれ以上に楽しい日々で溢れている。

 

『怖いのは最初の一歩だけ。踏み出せば見たことない景色が広がっていて怖かったことなんて忘れてしまうもんさ…ポケモンが一緒ならきっと大丈夫』

 

(そっか……おばあちゃんの言ってた事の意味がやっと分かった)

 

「私は、ニャオハとジンとライジングボルテッカーズのみんなともっと冒険がしたい!」

「はは、そうか…」

「ジン!ありがとう!私、もう迷わないよ。明日、フリードたちにもこの事を話してみる!」

 

(どうやら、吹っ切れたみたいだな。となると、後の問題は…)

 

 リコが旅を続けられるのかは後はご両親から許可を貰えるのかに掛かっている。

 

(ロイの時もそうだけど、旅にでるときの最初の難関は親の説得なのかもな…)

 

 しかし、これについても然程問題ではないだろう。元々、リコの両親はパルデアから遠く離れたカントーの学園に入学する事を許している。この事から考えても理解ある両親であることは疑いない。そうなれば後はリコが自分の気持ちをぶつけるだけだ。

 

「まぁ、ロイの時も上手く行ったし今回だってなんとかなるだろう。パルデアに着いたら俺も一緒にご両親に会いに行くからさ」

「本当!一緒に行ってくれるの!?」

「勿論だ」

「そ、それじゃあ、お父さんとお母さんにもジンの事ちゃんと紹介しないとね!私の恋人だって!」

「………………やっぱり、行くのやめてもいいか?」

「なんで!?」

 

 恋人のご両親への挨拶、考えるだけで重い気持ちになる。パルデア到着までまだ時間があるというのに、サイユウ大会決勝戦、相手選手のポケモンを5体倒し終えた時以上の緊張がジンに襲い掛かろうとしていた。

 





今回は話しの時期的には『あかずの扉のひみつ』になります。しかし、アニメ部分はほとんどダイジェストにしちゃいました。最初はちゃんと書こうと思ったのですが、驚くほど書くことがなかったのでこんな形になっちゃいました。

次回からはいよいよパルデア編となります。繰り返し言いますが、アレックスさんとバトルはしません!

☆10
秋月 了さん

高評価ありがとうございます。
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