なんかすらすら書けて楽しい。多分、リコの事が結構好きなんだと思います。
入学式当日、生徒たちは講堂に集まり校長先生からの挨拶を聞いたのちにそれぞれのクラスへと移動した。ちなみにジンはリコやアンとは…
(違うクラスかよ……)
ルームメイトにも恵まれず、友人になった2人の少女たちとも別のクラス、ジンは効果抜群の技を連発でくらった様な気分になっていた。HPは赤ゲージ、戦闘不能寸前である。
「それでは皆さん、スマホロトムを再起動してください。それで皆さんのポケモン図鑑が使えるようになります」
クラスに到着し、各々が自身の席に着くとクラス担当の先生が生徒たちにロトムの入ったスマホを配布する。このスマホロトムは純粋なスマホとしての機能以外にも図鑑機能以外にタウンマップ、ニュースのチェック、ポケモンの転送なども可能となっている。
(図鑑とポケナビを足したような感じか……もうポケナビの時代じゃないな。ホウエン地方出身としては少し寂しいけど)
スマホロトムを貰い、皆が喜ぶ中ジンは一人故郷の代表的な機械が世代遅れの遺物になってしまったのだと実感し寂しく感じていた。
「それでは、次に皆さんの相棒ポケモンをお渡しします。順番に名前を呼びますので呼ばれた方はポケモンを取りに来てください」
先生がそう言うと、ジンを除いた教室にいた全ての生徒から緊張と興奮が伝わってくる。中にはまだ、名前が呼ばれてもいないのに席を立つ準備をしている生徒まで見受けられた。
「ふっ……」
その姿を見て小さく笑ってしまう。別にジンに悪意がある訳ではない。ただ、約一年前、初めて自分がポケモンを貰った日の事を思い出してしまったのだ。
(俺も初めてポケモンを貰いに行く日は前の夜から緊張してあんまり眠れなかったっけ?そういや、当日も早起きしすぎて研究所の前で待ちぼうけしてたな)
その結果、ポケモンを貰った後、睡魔に襲われてポケモンと一緒に昼寝をして旅立ちが他の2人よりも遅れてしまったのはご愛敬である。
ジンがかつての自分を思い出している間にもクラスメイト達は次々とポケモンを貰っていく。中から出てきたのはヒトカゲ、チコリータ、ポッチャマなどの各地方で最初に初心者のポケモントレーナーに配られる、所謂御三家のポケモンたちだ。
「最後に、ジン君。君はポケモンを既に持っているとの事でよろしいんですね?」
「ええ」
「そうですか。では、ジン君はここにいる皆さんの先輩トレーナーになる訳ですので、皆さんの手本となれるような行動を是非お願いします」
先生がそう言うと、クラスメイト達の好機の視線が集まってくる。単純な尊敬の視線もあれば、むしろジンの事を見極めようという挑戦的な視線も感じられる。
「ええ、勿論」
だが、ジンとしても挑戦してくるのであれば望むところである。ポケモンを貰ったばかりのトレーナーが自分の腕を試したいという気持ちは痛いほど理解できる。そんな連中の相手をするのはやぶさかではなかった。
だが……
(早く終わらないかな。リコの様子見に行きたいんだけど)
今のジンは昨日できた友人であるリコの心配の方が強かった。まだ出会ったばかりだが、リコは色々と考えすぎてため込んでしまうタイプの性格であることをジンは見抜いていた。
口には出していなかったが、パートナーポケモンを貰うことに対しても楽しみにしている反面、不安も感じていることは想像に難くない。
「はい、それでは皆さん。今日はここまでです。パートナーポケモンと仲良くしてあげて下さい」
「「はーーーい」」
先生の話が終わると、ジンは誰かに話しかけられる前に廊下に出る。リコたちのクラスはどっちだったかと廊下の左右を見渡す。すると、階段のある方に見覚えのある髪型の子が下りて行ったのが見えた。
(今のひょっとしてリコか?)
ジンは数秒、自分の中で考えた結果追うことを選択した。クラスに行ってもさっきの少女がリコだったら入れ違いになるし、今なら追いつけるかもしれない。考えても結論が出ない時は直感を信じて行動する。旅をしている時からジンはこの直感に何度も助けられている。だから、何とかなる。そう考えることにした。
しかし……
「見失ったか……」
追うことを決めると、階段を下りて一階に下りたのだが他の学年の生徒たちが既に大勢いて追跡は困難な状態になっていた。何とか人をよけながら先ほどのリコらしき少女を探したが見つけられずにいた。
「……仕方ない。一旦、もd「うわぁっ~~」どわっ!」
親方!空から女の子が!などと冗談を言う暇もなく、ジンはぎりぎりの所で受け止めることに成功する。自分の旅をしているうちに自然と磨かれてきた身体能力の高さに感謝である。
(お、終わったかと思った……ってそれどころじゃない!)
「ご、ごめんなさい!って、ジン!」
「やっぱり、リコか。どうしたんだ。パルデアじゃあ、屋上から飛び降りるのが流行ってるのか?」
「そ、そんな訳!って、あれ、ニャオハは?」
「あれじゃないか?」
ジンは周りを見渡すと、茂みの方に歩いて行く緑色の小柄なポケモンを見つけそのことをリコに教える。
「あ、待って!お、追いかけないと」
「このまま追いかけようか?」
「え?」
リコはようやく、今の自分の状態に気づく。屋上から落ちた際に、ジンは両腕でリコの背中と脚を持ち上げるように支える抱き方所謂、お姫様抱っこの状態で受け止めていた。
「きゃあっ!じ、ジン、降ろして~~~!」
「はいはいっと」
今更ながら、羞恥心がこみ上げてきて思わず悲鳴を上げてしまうリコとその様子を面白がるジン。対照的なリアクションである。
(もう~~昨日からジンに抱き着いたり、お姫様抱っこされたり恥ずかしい思いしてばっかりだぁ)
(……何だろう?この感覚、凄い楽しいな)
顔を赤くし恥ずかしがるリコ、それを見てジンは不思議と心に喜びと満足感が広がっていた。
「おっと、早く追わないと見失っちゃうぞ」
「あ、そうだった!急がないと!」
先程のポケモンの後を追い、茂みに入っていくリコ、ジンもそれに続いて行く。茂みを抜けた先には大きな湖が広がっていた。
「あっ……」
「これは……」
綺麗だ、ただその言葉が二人の心に浮かんだ。時間帯の影響もあり、沈んでいく夕日が湖を赤く照らし更に美しさを引き立てている。2人はポケモンの捜索をしていたのも忘れて湖に目を奪われていた。
湖に目を奪われていると別の茂みから先ほどのポケモンも出てくる。どうやら、いつの間にか追い越していたらしい。
「ニャオハ!よかった~」
「ニャア?」
リコはニャオハと呼ぶポケモンを抱きかかえると頬を擦り付け喜びを伝える。
「ニャッ!」
それに続き、匂いをかぐリコであったがスキンシップが過ぎたのか、ニャオハに猫パンチされ拒否されてしまう。
「なんで~~」
「中々、苦労してそうだな」
「う~~」
「あの子がリコのパートナー?」
「……うん。ニャオハっていうんだ」
ニャオハ、ジンは見たことがないポケモンだった。少なくともホウエン地方のポケモンではない。他の地方のポケモンもトレーナーが連れているのを見たりもしたがニャオハなんてポケモンは知らない。やはり、この世界にはまだまだ自分の知らないポケモンが多いと再確認する。
「あっそろそろ戻らないと」
ニャオハを追いかけている内に、かなりの時間が経ってしまっていた。寮の門限の事も考えるとそろそろ戻らないとまずいかもしれない。
「待った」
だが、立ち上がると同時にジンはリコの手を握る。
(え?なに?なに?なんで!ジンに手握られてる!)
「手、ケガしてるだろう?見せてくれ」
「え?う、うん」
(な、なんだ…そういう事か、なに考えたんだろう私)
ジンはリコの手に傷を見るとポケットから消毒液や絆創膏を取り出し、治療の準備をする。
「そんなのいつも持ってるの?」
「ああ、旅してると擦り傷や切り傷なんて自慢できるほどいっぱいできるからな。カバンから出すよりポケットに入れておいた方が便利なんだよ」
(そっか。ジンは旅してたんだっけ、旅とかしてたらこういうのも慣れるのかな?あれ?)
「どうしてケガしてるの分かったの?そんなに大きな傷でもないのに」
「さっき、屋上から落ちてきたときに見えた」
(え?嘘?あんな一瞬で?)
リコは疑わしく感じたが本当の事である。だが、正確に言うとその時はそう見えただけで、ケガをしていると確信したのは彼女と茂みに入り、ニャオハを追ってここに来るまでの間に手をかばう様子が何度か見られたからだ。ジンは手慣れた様子でリコの手を消毒していき最後に絆創膏を貼る。
「ほい、終了」
「あ、ありがとう」
(……ジンの手、温かかったな)
「絆創膏は1日か2日で貼りかえた方がいいぞ。貼りっぱなしだとかぶれたりするから」
「う、うん。分かった」
治療を終えると、2人はニャオハとともに先ほど入ってきた茂みを超えて寮へと戻っていく。
「……ねぇ、ジン」
「うん?」
「どうすれば、ニャオハと仲良くなれるのかな?」
「……そうだな」
(さて、どうアドバイスするかな?)
リコは直感で行動するタイプではない。どちらかと言うと物事をちゃんと考えてから行動に移すタイプだ。しかし、現状では考えすぎて考えが終わると行動が遅れているという印象もある。リコのようなタイプに何も考えずに行動しろと言う方が無茶な話である。
「まずは、ニャオハの事を知る事、そしてニャオハに自分の事を教える事から始めたらどうだ」
「ニャオハの事、自分の事……」
(そんなの難しい。自分の事すらよく分かってないのに……)
「難しいか?」
「っ!」
(…え?うそ、言葉に出てた?)
「顔にそう書いてあるよ。君、多分自分で思ってるよりも結構分かりやすいと思うよ」
「………」
「確かに口で言うほど簡単じゃないかもしれない。でも、焦ることはないさ。時間はあるんだ。ゆっくり知ってそして伝えればいい。共通点の一つや二つはそのうち見つかるだろうし、そうすれば一緒にやりたいことも見えてくるさ」
「…うん。ありがとう、ジン」
ジンとリコはこうして寮に着くまでの間、ニャオハの事を今後トレーナーとしてどうすればいいのかについて考え話しあうのだった。
***
ジンと寮の前で別れ、リコは自室で今日の日記を書いていた。
『そんなこんなで私とニャオハの生活がスタートしたんですが………不安です』
リコは今日一日、完全にニャオハに引っ掻き回されていた。不安に感じるのも仕方がないかもしれない。
「はぁ」
思わずため息をついてしまうリコ、無意識に右手の絆創膏へと触れていた。
「……ジンの手、温かかったな」
リコは絆創膏に触れるとついついジンの事を思い出してしまう。初めて会った日にバス停で抱き着き、今日はお姫様抱っこをされた上に手も握られていた。それらの事を思い出すと、リコの顔は真っ赤に染まってしまう。
(は、恥ずかしい……いくら日記でもこんな事書けないよ~~)
ほぼほぼリコの自業自得ではある訳だが本人からすると過失云々よりも羞恥心の方が先行してしまっていた。
ジンの相棒出せなかった……つ、次こそ出します!
☆9赤坂サカスさん、ヤタモトマリさん
☆8WATAHUWAさん、狩り兎さん
高評価ありがとうございます!
ヤタモトマリ様、名前間違って記載してしまいました。申し訳ありませんでした。