ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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思う所があり、書き直していたら遅くなってしまいました。お待たせしてすいません。

アニポケ再開!色々、分かってきたと思ったらテラパゴスとアメジオの関係とかめちゃくちゃ気になりますね。


コルサ

 

 パルデア地方チャンピオンクラスのトレーナーネモとのバトルを終えたジンはボウルタウンのポケモンセンターでサーナイトとネモのパーモットの治療が終わるのを一人で待っていた。

 

 ちなみに、ジン以外のリコ・ロイ・ネモは今、この場にはいない。早くレックウザの情報を得たいロイと父親がコルサの知り合いであるリコ、そしてコルサに用事があったネモはジンにパーモットの事を任せると一足先にコルサのアトリエへと向かった。

 

 当初、リコはネモを警戒していたようだがネモがジンに対してというよりも恋愛ごとに全くと言っていいほど興味がないという事が分かると、あっという間に和解してしまったようだ。

 

(レックウザの情報には興味があるけど、先にこっちを済ませておくか…) 

 

 ジンは胸ポケットから使い古された手帳とボールペンを取り出すとページを開きメモを取り始める。これはジンがバトルをした後に行う習慣だ。バトルで己の反省だけでなく、相手の良い所やテクニックなどを記録している。

 

(さっきのバトル、相性では完全にサーナイトが有利でバトルの流れもこっちに傾いてたのにやられる寸前まで追い込まれてしまった)

 

 勝負の分かれ目となったのは、サーナイトの『サイコキネシス』をくらった後に発動させたパーモットの『でんこうそうげき』だ。全身の電気を全て放って大ダメージを与える。その代償として電気タイプではなくなるという欠点もある。

 

(だが、そのリスクを含めても使うだけ価値のある威力だった)

 

 ネモはチャンピオンクラスと言うだけあり、これまでジンが戦ってきたトレーナーの中で間違いなく一番の強さのトレーナーだった。彼女の実力であれば他の地方でも四天王、もしくはチャンピオンとなることができるだろう。

 

「あの~……」

 

(『でんこうそうげき』か…さっきのバトルの様に負けている時に一発逆転を狙う場合や勝負を一気に決めるときなんかに使えば確かに効果的だ…)

 

「もしも~し……」

 

(しかし、専用技か。その可能性を考えてなかったのは明らかに俺の失態だ。まだまだ経験も知識も足りていない……そういえばソウブレイズの『むねんのつるぎ』も専用技だったな。パルデア地方にはまだ専用技を持ってるポケモンがいるのかも…)

 

「……聞いていますか?」

 

(特にこのパルデア地方のポケモンの知識はほとんどゼロだ。また、同じような状況になったら今度こそやばいかもな……ネモクラスのトレーナーはそうそういないとは思うけど、相性次第では多少格下相手でも油断したら危険だ。船に戻ったらフリードに少し講義してもらうか)

 

「も!し!も!し!」

「…………………ん?」

 

 大声が聞こえたことでジンはメモ帳から目を離すと、そこには肩を震わせながらこちらを睨みつているパルデア地方のジョーイが立っていた。

 

 ちなみに、パルデア地方のジョーイはホウエン地方のジョーイとは少し恰好が違う。ホウエンではピンクのナース服に白いエプロンといういかにもナースといった格好だが、パルデアでは医療系のスタッフというよりかはガソリンスタンドやコンビニエンスストアの店員を思わせる服装となっている。

 

「ジョーイさん…失礼ですが、ここは病院だ。いくらあなたの病院でもあまり大声を出すのは感心しませんよ?」

「誰のせいだと思ってるんですか!」

「?」

「~~~~~~!はぁぁ……もう結構です。あなたのポケモンは元気になりましたのでお返しいたします!」

 

 ジョーイの後ろには、呆れた様子でジンを見つめるサーナイトと担架に座って苦笑いを浮かべているパーモットがいた。どちらもケガも治り体力も完全に回復した様だ。

 

「あぁ、そうでしたか。ありがとうございます」

「お大事に!」

 

 ジンがお礼を言うとジョーイはぷりぷり怒りながらスタッフルームへと戻っていく。

 

(……似てたな)

 

 船に残る仲間の一人、モリーが目の前にいたジョーイと一瞬ではあるが重なって見えた。ジョーイはその業務の性質上、笑顔でいる事が多い。しかし、無視されていたことで怒り、ジンを睨みつけてきた目つきの悪い姿はモリーを彷彿させるものがあった。

 

「パモパモ」

 

 担架から降りたパーモットはジンの傍まで来ると上着を下から掴み、何かを訴えかける。

 

「ん?…ネモに会いに行くか?」

「パーッモ!」

「了解。場所は聞いてるから安心してくれ」

 

 ジンはサーナイトを労わった後、ボールに戻すとパーモットと共にポケモンセンターを出る。スマホロトムの地図アプリを起動させ、ネモに教えられていた場所まで道案内をさせようとすると数人の少年たちがその横を通り過ぎていく。

 

「待ってよ~」

「早く早く!コルサさんのジム戦始まっちゃうぞ!」

 

(ジム戦?)

 

 ネモに聞いた話によれば、このジムのジムリーダーコルサは理由は不明だがジムを長期間休んでいたようでパルデアのポケモンリーグから依頼を受けたネモはその様子を見る為にこの町に来たらしい。

 

(…どうなってるんだ?)

 

 ジンがポケモンセンターにいる間にリコたちがコルサを訪ねたはずだ。現段階では推測することしかできないが、その時に何かが起こりジム戦をすることになる流れになったのは間違いないだろう。

 

「……入れ違いになるかもしれないし、先にジム戦の方に行ってみるか?」

「パモット!」

 

 パーモットの了解を得たジンは先程すれ違った少年たちを追いかけて町の中央に存在する巨大な風車を目指して走り出す。走り出してから5分程経過し、ようやく風車に上るための階段まで到着する。

 

(風車が大きいから近くに感じたけど、意外と遠かったな…)

 

 軽く息を整え、階段を上っていくとそこにはバトルフィールドが存在し既に何人かの観客がフィールドを囲み、興奮した様子で見つめていた。

 

「パーモット、あそこにいるぞ」

「パモ!」

 

 観客の中にネモとリコを見つけたジンはパーモットと共に彼女たちへと近づいて行く。

 

「リコ、ネモ」

「あっ!ジン!」

「パーモット!ジン、連れてきてくれてありがとう!」

「気にしなくていい。それよりどうなってるんだ?」

「う、うん…えっとね…」

 

 リコの話を纏めるとアトリエを訪ねた当初、コルサはリコたちを歓迎こそしてくれたがレックウザの情報に関しては非協力的だったらしい。

 

 コルサがスランプになってしまったと思ったリコたちはコルサが笑顔を取り戻せるようにキマワリを集めた。その様子を見たコルサはリコたちにスランプに陥った理由が黒いレックウザであると聞かせるが、純粋でそしてレックウザのゲットという夢に情熱を燃やすロイの言葉を聞きロイがレックウザに挑む実力があるのかを試すことになったらしい。

 

「……なるほどな」

 

 コルサに再び、やる気を取り戻させたのはロイの嘘偽りなき純粋な言葉だったのだろう。その言葉に少しでも嘘や打算があれば意味をなさなかった筈だ。

 

「ロイ、勝てるかな?」

「単純な力比べならそれなりにはやり合えるとは思うけど、相手の出方次第ではどうなるか…」

 

 ジムリーダーのバトルスタイルも人によって全く違う。チャレンジャーの判断力を試すために敢えて意地の悪い戦法を取るものもいれば単純に力比べをすることを好む者もいる。

 

 力比べであれば、ジンたちの鬼の様なトレーニングの成果もあり、ここ数日でホゲータは技の種類が増え、その威力と体力は大幅に成長した。更にトレーニングの際に、ジンたちからの騙し討ちや奇襲を何度も受けたことで臨機応変な対応力も身についている。もしかしたらという期待はある。

 

「まぁ、今は見守ろう」

「う、うん…」

 

 ジンやリコ、そして観客たちが見つめるバトルフィールドにはロイとホゲータ、そしてウェーブの髪に隈のあるジト目に白い肌をしており一見すると暗い印象を受ける容姿をしている男性、コルサとウソッキーとのバトルが始まろうとしていた。

 

「いくよホゲータ!『ひのこ』!」

 

 先手必勝とばかりにホゲータは『ひのこ』を発射する。『ひのこ』は真っすぐ、ウソッキーに飛んでいきダメージを与えるが、ウソッキーは問題なく戦闘可能な状態だ。ロイが望んでいたほどのダメージではない。

 

「嘘!効果抜群じゃないの?」

「ふむ……なかなかの威力だな。だが、ウソッキーは岩タイプのポケモンだ。その程度では倒せん!今度はこちらから行くぞ!ウソッキー『いわおとし』!」

 

 ウソッキーはジャンプすると空中に複数の岩を生み出すと、ホゲータに目掛けて岩を落としていく。

 

「ホゲータ!地面に『ひのこ』だ!」

 

 それに対してホゲータは地面に向かって『ひのこ』を撃ち、その勢いを利用して空中に飛び上がり落下してくる岩を全て回避する。

 

「なんと!?」

「もう一度『ひのこ』!」

 

 空中に飛び上がったホゲータはウソッキーと同じ高さになったタイミングで『ひのこ』を放つ。あまりにも予想外の回避に驚いたウソッキーは空中にいたこともあり対処できずに再び、『ひのこ』をくらってしまう。

 

「よし!ジンとボスゴドラとボーマンダに散々虐められて身に着けた脱出戦法が役に立ってる!」

「ホゲェ!」

 

 

 

 

 

「…………あいつら」

「あ、あはは…」

 

 ロイとホゲータは自分たちを鼓舞するように大声で叫ぶが、バトルに夢中でロイの発言でジンの表情が少し歪み、怒りのオーラを出していることには気づいていないようだ。

 

 

 

 

 

「アヴァンギャルド!面白い戦い方をするな!」

「まだまだ攻めるよ!ホゲータ『かみつく』」

「接近戦か!ならば『みがわり』」

 

 地面に降りたホゲータは、着地と同時にウソッキーに向かって全速力で突っ込もうとするが、その瞬間ウソッキーが2体に増えてどちらに攻撃すればいいのか分からず行動が止まってしまう。

 

「さぁ、どちらが本物か分かるか?」

 

 コルサはロイを試すような口調でそう問いかける。

 

 

 

 

 

(なるほど……それが狙いか…)

 

 コルサの目的はロイとホゲータの力を試すことと同時に成長を促すことにあるのだろう。その為に、敢えて『みがわり』などといった少しトリッキーな戦法を利用してロイの判断力を試そうとしている。コルサはジムリーダーな上にトレーナーとしての実力も経験値もロイよりも上だ。ロイの力を試そうとする考えは理解できる。

 

(実戦経験が足りていないロイにはいい機会だ……だが、あんまりなめてると後悔するぞ)

 

 

 

 

 

「ホゲータ!左だ!」

 

 ロイの指示を受け、ホゲータは左側のウソッキーに向かって突っ込み噛みつく。すると攻撃は命中し、反対側のウソッキーは煙と共に消えていく。

 

「なに!?」

「よし!当たった!」

 

 ロイは元々、感覚が鋭い。更に、ジンに弟子入りしてからそれらに磨きをかける為に『かげぶんしん』で囲まれた状態から本体を見つけるトレーニングをした結果、今まで以上の感覚を手に入れている。僅か2体に増えた程度ではそうそう外したりはしない。

 

「そのまま『ひのこ』!」

 

 ホゲータは噛みついた状態のまま、『ひのこ』を直接ウソッキーにぶつける。タイプ相性がいいとはいえ、この超至近距離から攻撃は流石に効いているようでウソッキーは苦しそうな表情を浮かべている。

 

「いかん!振り払え!」

 

 ウソッキーは体をじたばたと動かし、噛みついていたホゲータをなんとか振り払う事に成功する。

 

 しかし…

 

「ウソウソーー!」

 

 ホゲータを振り払って直ぐに、ホゲータはなにもしていないのにウソッキーの体を炎が覆い尽くす。

 

「これって……ラッキー!」

「ノットアヴァンギャルド……やけどか」

 

 ウソッキーを覆っていた炎は直ぐに消えるがやけど状態になってしまった以上、ここから先は定期的にダメージを受けていく。それに対しホゲータはそれ程のダメージを負ってはいない。この差は大きいと言わざるを得ない。

 

 

 

 

 

「すごい……ロイが圧倒してる」

「あぁ…正直、予想以上だ」

 

 コルサはロイの力を試すために明らかに序盤から手を抜いていた。勿論、ロイとホゲータの予想外の戦法があったのもあるが、それがロイたちが序盤戦を手中に納めることが大きな要因だろう。

 

(しかも、運まで味方し始めてる)

 

 ロイはジンやリコ以外のトレーナーとの勝負はこれが初めてだ。ビキナーズラックといえばそこまでだが、幾ら複数回当てることが出来たとしても『ひのこ』では相手を火傷状態にするのは余程運がよくなければ難しい筈だ。

 

(だが……これで終わるとも思えない…)

 

 コルサの油断があったとはいえ、勝負は完全にロイに流れが来ている。このまま行けば、ロイが勝つだろう。しかし相手はジムリーダーだ。並みのトレーナーではない。この程度のピンチ、何度も乗り越えて来た筈だ。この状況すら覆す奥の手がコルサにあるのであれば勝負はまだ分からない。

 

 

 

 

 

「……こうもあっさり本体を見つけるとは、見事な審美眼だ」

「えへへ…伊達にジンから虐められてないからね」

 

 念の為、記載しておくがジンはロイとホゲータを虐めているつもりはない。あくまでもトレーニングの一環として行っただけである。当然、ロイもホゲータもそのことは分かっているが、バトルで興奮してしまい、ついぽろっと口からそんな言葉が出ているだけである。

 

「ふむ…ジンというのは師か?貴様の長所をうまく伸ばしている様だな。面白い…ならばここから先は全力で相手をしよう」

 

 コルサはそういうとポケットから黒いモンスターボールのようなものを取り出し構えるそのボールに徐々にエネルギーが集まり美しく輝き始める。

 

「見せてやろう!アーティスティックなタクティクスを!ウソッキー≪テラスタル≫だ!」

 

 光はコルサの持つ通常の物とは違うモンスターボールに収縮するとコルサはそのボールをウソッキーの頭上に向かって投げる。するとそのボールはさらに輝きを強めウソッキーを無数のクリスタルが包み込む。やがてクリスタルが弾け、現れたウソッキーは体が宝石の様に輝き頭には巨大な複数の花が咲き誇った姿となり現れる。

 

「これぞ!究極の最高傑作!題して《うそからでたまこと》ウソッキーはいま、草テラスタイプになったのだ」

 

 テラスタル、メガシンカともZワザともダイマックスとも違う。ましてや、ジンたちが偶然発見したエナジーチャージとも違う。今までに見たことのないパルデア地方ならではの新しいポケモンの可能性、それが今、目の前で起こっている現象だ。

 

「ウソッキーかっけぇー!あ?てことは今はくさタイプ?ならほのおタイプは逆に有利だ。ホゲータ『ひのこ』だ!」

「アートとは時に早さが命!スピードを上げて行くぞ!ウソッキー『くさわけ』!」

 

 ウソッキーが草タイプになったことで、俄然有利になったと判断したロイは勝負をつけようとする。ホゲータは渾身の『ひのこ』を発射するが、ウソッキーはそれを華麗なステップで回避すると一気に接近し、強烈な突きをお見舞いする。

 

 

 

 

 

「ホゲータが…」

「う~ん……頑張ってたけど、ここまでかな?」

 

 『くさわけ』が直撃し、フィールド上に倒れ込むホゲータを見てリコとネモ、そしてバトルを見守っていた観客たちはバトルに決着がついたと思っているようだ。 

 

「いや……まだだ」

 

 ただ、1人…ジンを除いて

 

「でも…」

「ホゲータをよく見ろ」

 

 ジンに言われリコはフィールドに倒れていたホゲータに視線を移す。そこには先ほどまで倒れていたホゲータが体を震わせながらもなんとか立ち上がろうとしていた。

 

「ホゲータ!」

「あれを受けたのに……そうか!やけど!」

 

 ポケモンはやけどの状態になると定期的なダメージを受けるほかに物理攻撃の威力が半減してしまう。ホゲータに対して草タイプの『くさわけ』は効果が今一つな上にやけどにより、更に威力が落ちていた。以前までのホゲータであればそれでも倒されていたであろうがトレーニングを本格的に始め、やられ慣れているからこそなんとか耐えることができたのだろう。

 

(ウソッキーがやけど状態になっていたから、なんとか耐えられたが追い詰められたな…)

 

 『くさわけ』は言うならば、草タイプ版の『ニトロチャージ』だ。使用すれば、素早さがどんどん上昇していく。既に素早さではウソッキーには追いつけない。ダメージ量ではほぼ互角、素早さではウソッキーが有利だがテラスタルしたことでホゲータは相性で有利となった。

 

 次の一撃が勝負を決める。

 

(さぁ…ロイ、どうする?)

 

 

 

 

 

「ホゲータ…」

 

 傷だらけになりながらも勝利を諦めずになんとか立ち上がろうとするホゲータ、ロイはその姿を見てホゲータがウソッキーの『くさわけ』を受けた瞬間に諦めかけていた心に活を入れる。

 

「♪ホッホッホホゲ~ ♪立ち上がれ 負けるなホゲータ頑張れ~ ♪思い出せ~ ♪負けるな ホゲータ頑張れ~ ♪立ち上がれ 負けるなホゲータ頑張れ~」

 

 ロイはホゲータといつも歌っているあの歌をこの場で歌いだす。いつもの楽しそうな様子とは違い、今回の歌は気持ちと力の籠った熱い何かを感じさせる歌声だ。

 

「ホゲェェェェェェェ!」

 

 その歌を聞いたホゲータも立ち上がるとロイと共に歌いだし、ホゲータは急激に体内の炎エネルギーを高める。ホゲータの声に連動するように頭頂部の炎エネルギーは普段とは比べ物にならない程に一気に燃え上がり放出されていく。

 

「これは………よかろう!受けて立つ!ウソッキー『くさわけ』!」

「行くよ!ホゲータ『ひのこ』だーー!」

 

 ホゲータは口に力を籠めると今まで見せてきた中で最大パワーで炎を発射する。その威力は格段に上昇しており最早、『ひのこ』とは呼べないものになっている。『ひのこ』改め、『かえんほうしゃ』は真っすぐに向かっていく。ウソッキーは先程の様に華麗なステップで回避しようとするが技の威力と規模が予想以上に大きく上昇したことにより回避することが出来ず、ウソッキーは炎に包まれていく。

 

「「…………」」

 

 ロイとコルサ、そしてバトルを見ていた観客たちの視線が炎に包まれたウソッキーへと集まる。炎が収まると同時にテラスタルが解除され通常の状態に戻り、ウソッキーは仰向けに倒れていく。

 

「ウソッキー戦闘不能!ホゲータの勝ち!よって勝者ロイ!」

「………や…やったーーーーー!ホゲータ!」

「ホゲゲェ!」

 

 審判がロイとホゲータの勝利を宣言するとバトルを見ていた観客たちが一斉に声援を送る。ロイはしばし、茫然としていたが自分たちが勝利したという事を実感するとバトルフィールドに入りホゲータに抱き着くと2人でバトルの勝利を心から喜ぶのだった。

 

 

 

 

 

「凄い!ロイが勝っちゃった!」

「うんうん!ロイってトレーナーになったばかりなんでしょう?バトル中に新しい技を身に着けて、その上コルサさんに勝っちゃうなんてロイもホゲータも超逸材だよ!」

 

 リコとネモは他の観客たちと同じようにバトルに称賛を送り、そして純粋にロイの勝利を喜んでいる。ジンもロイの勝利を喜んではいるが、それと同時にいくつかの気になる点も見えていた。

 

(確かに、最後の『かえんほうしゃ』の威力は素晴らしいの一言だった。だが、最後が正面対決じゃなかったら…)

 

 コルサはホゲータが立ち上がった時にホゲータの力が急増している事に気づいている様子だった。もしも使った技が『くさわけ』ではなく『みがわり』での回避や『いわなだれ』を盾に利用して『かえんほうしゃ』を防いで、その後にカウンター気味に『くさわけ』を利用していれば、勝っていたのはコルサだったかもしれない。

 

(………いや、こんな仮定は無粋か)

 

 確かにコルサが逆転勝利していた可能性は大いにある。最初から勝つことに拘っていれば、コルサが負ける要素はほとんどなかった。だが、コルサはそれを理解した上で最後に正面からロイとホゲータを迎え撃つ道を選んだ。

 

 そもそもジムリーダーとは勝つためにいるわけではない。ジムリーダーは負ける事にも意味がある。全力でバトルしチャレンジャーの実力を引き出す事も彼らの役割だ。コルサはそれを見事に果たしたのだ。

 

(今回は運良くウソッキーがやけど状態になったから勝てた面が強い。今後の事も考えると、岩タイプに有利な地面タイプの技も習得させた方がいいな。それに折角、身に着けた『かえんほうしゃ』の威力も向上させたいし、明日からのトレーニングにも力を入れる必要があるな…)

 

 ジンは改めて、バトルフィールドの中央で喜んでいるロイとホゲータに視線を送る。その姿を見るとジンの顔も自然と綻んでいく。

 

(だから、今だけは……その勝利の感激に浸っていな)

 





最初はもっとアニメと同じでジンも一緒にアトリエに行く話を書いていたのですが、アニメの展開と同じ過ぎて書いていて面白くなかったのでロイとコルサのバトルまで飛ばしちゃいました。

☆9
アスシさん

☆10
アイアンメイデさん、明太子が好きなスクランブルエッグさん

高評価ありがとうございます。
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