今回はオリーヴァとのバトル回です!久々にメガシンカもさせてます!
「わぁ……」
「ホゲ……」
ジンたちがコノヨザルとバトルを終え、待ち合わせ場所である大木に向かっていた頃、ロイとホゲータはその大木の根本まで来ていた。
「よし!登るよホゲータ」
「ホンゲ!」
ジンたちと分かれ、先に偵察へと出たロイたちは辺り一帯の探索を終えると一足先にこの大木へと訪れていた。周囲を見渡してもここよりも大きな木は存在しない。ならば、この木に登り森全体を見渡せば目的であるオリーヴァを見つけられるかもしれないと考えたからだ。
「あと……もうちょっと…」
上手く登れないホゲータをリュックに入れて運んでいる為、少々苦労している様だが幼い頃から自然に囲まれた島で過ごしてきたロイにとって木登りをすることは多少のお荷物があっても然程難しくないようだ。
「ホンゲ?……ホンゲ!ホンゲッ!」
「ホゲータ?」
大木を登っているとホゲータが何かに気づき、リュックの中で突然暴れ必死に木のてっぺんへと視線を向け始める。ロイもホゲータが見つめる先へと視線を送ると、そこには見覚えのある不思議なモンスターボールが確認できた。
「あれは……古のモンスターボール!?」
ロイが所持し、黒いレックウザが入っていたボールと全く同じものだ。祖父に貰ってから宝物としてずっと大事に持っていたロイが見間違えるはずがない。とにかく、本物なのか確認しようと思ったロイは力を振り絞り、急いで木を登ろうとする。
「うわっ!」
突如、地響きが起こり大木が大きく揺れ始める。ロイは振り落とされない様に登るのを一旦やめて、木にしがみついた。
「……え?な、なに?」
木にしがみついたことでロイは気づいてしまった。今、自分が登っている木からドクン、ドクンという鼓動を発していることに、この鼓動はまるで心音の様にすら聞こえる。これではまるで……
「い、生き物みたい……」
***
「あれは……」
「目印の木が揺れてる?」
コノヨザルとのバトルの影響で迷子になっていたジンとリコは待ち合わせ場所である大木を目指していると突如、大木の方角から地響きがなり始める。視線を向けると今度は、大木そのものが揺れているのを確認した。
「あそこに何かがあるのかも……」
「急ぐぞ!」
「うん!行くよニャオハ!」
「ニャオハッ!」
何かが起こっている。ジンとリコは互いにそれだけは直感で分かった。だが、何が起こっているのかは想像することも出来ない。危険が待ち受けているかもしれないと理解していてもジンたちは今抱いている好奇心を抑えることは出来なかった。
ジンとリコ、そしてニャオハは大木を目指して走り出す。幸い、地響きと大木の揺れは直ぐに止まった。だが、またいつ動き始めるのかは分からない。再び、動き出す前にたどり着きたい。そう考え、森の中を全力で駆け抜けていく。
「……ここもか」
「ここでも山火事が……」
大木を目指し暫く、走っていると先程までの自然豊かな森を抜けて再び、焼け野原と化した場所へと出てきてしまった。思っていた以上に火災による被害が多い事に心を痛めながらも前進していくと、ニャオハがなにかを引きずった様な跡を発見する。その先に視線を向けると一匹のポケモンが倒れているのを発見する。
「大変!?」
その姿を見たジンとリコは慌ててそのポケモンに駆け寄る。倒れていたのはウパー(パルデアの姿)だ。ジンにとっては初めて見るパルデア地方のリージョンフォームのポケモンで大変興味深くはあったが、治療をすることを優先する。
「ど、どうしよう!?」
「静かに」
リコが慌てている中、ジンはスマホロトムを取り出しウパーの事を調べる。
『ウパー パルデアの姿 どくうおポケモン 毒・地面タイプ 縄張り争いに敗れ 地上の泥地で生活するようになった 乾燥を防ぐため毒の粘膜で体を覆っている』
ジンはスマホロトムの説明を聞いた後、そっとウパーの体に触れてみるが触れた部分からは毒の成分などは何も感じない。それどころか酷く乾いている印象を受けた。
「皮膚がカラカラだ。相当弱ってるな…」
「じゃあ、まずは水を!」
ジンとリコはカバンから水筒を取り出すとウパーの全身に満遍なく水をかける。その後、ジンは改めてウパーに触れると今度は先程と違い、確かな毒の痺れを感じた。
「ジン、大丈夫?」
「ああ、問題ない。順調だ」
先程まではカラカラしていた皮膚に毒の粘膜が戻った。これは、ウパーがちゃんと水分を吸収し、体が正常に機能し始めていることを意味している。ウパーの体からは生きようとする気力は感じられた。ならば、次に必要なことは体力を少しでも回復させることだ。
「リコ、オレンの実を出してくれ。それから、ハンカチもあったら頼む」
「は、ハンカチ?う、うん!」
ジンの指示を受けて、リコはカバンに大量に入っていたオレンの実とハンカチを取り出す。オレンの実の使用方法は理解できたが、ハンカチの使い道が分からなかったが何か考えがあるのだろうと思いジンへと渡す。オレンの実とハンカチを渡されたジンはオレンの実をハンカチで包み外側から力を入れ潰す。すると、ハンカチからオレンの実の汁が少しだけ出てきた。
「そんな方法が……」
「これで食べる力がなくても飲むことは出来るはずだ」
オレンの実とはいえ、汁状にしたものでは効果は薄い。しかし、少しは体力の回復には繋がる。本格的に体力が戻ってくれば改めてオレンの実を食べさせれば暫くは持つ筈だ。ジンには応急処置が限界だが、この森にはポケモンの医者のモリーが来ている。彼女に診せるまで持てばいい。そう思い、オレンの実の汁をウパーに飲ませようとする。
「サボネッ!サボッ!」
「ニャア!」
「なに!?」
「きゃあ!」
オレンの実の汁を飲ませようとした、正にその時、背後からジンたちに攻撃を仕掛けてくるポケモンが現れた。ニャオハの叫び声でその存在に気づいたジンとリコは咄嗟に躱すことに成功したが、ウパーとは距離が離れオレンの実を包んだハンカチも落としてしまう。すると次々にポケモンが現れ、襲ってきたサボネア、キノココ、ハネッコがウパーを囲み、ジンたちを睨みつけてくる。
「まさか……この子を狙ってる?」
(いや、違う……あの目は…)
サボネアたちの目は獲物を横取りされ怒っている。そう言ったものではない。あれは大切な仲間を傷つけられた事に対する怒りの目だ。ジンは慌てて事情をす説明しようとするが、それよりも早くキノココが『しびれごな』を放ってくる。
「ニャオハ!『このは』!」
「ニャーーー!」
『しびれごな』をニャオハの『このは』で消し飛ばす事に成功するが、その隙にサボネアたちはウパーを連れて逃走してしまう。本来なら野生のポケモンに対して人間はあまり関わるべきではないが、このまま放っておくこともできないためジンたちは後を追いかけた。
暫く、森の中を走り集合場所であった大木のそばでジンたちはようやくサボネアたちに追いついた。そこにはサボネアたち以外にも複数体のミニーブたちもおり、ウパーを心配するように囲んでいる。ジンたちの存在に気づくとミニーブたちは逃げ出し、サボネアたちは警戒態勢に入る。
「その子、凄く弱ってるの。私達なら助けられるかもしれない。だからお願い!治療させて!」
「サボォォ!」
リコは必死に訴えかけるが、サボネアたちの警戒は強く、無理に近づこうものなら容赦なく攻撃するという意思が強く感じられる。
(……残念だが、仕方ない)
話し合いでは解決できそうにない。こうしている間にもウパーは弱っていく一方だ。そう考えたジンはポケットに手を入れモンスターボールをだし宙に投げる。
「サナ!」
「『かなしばり』」
ボールから出たサーナイトはサボネアたちを『かなしばり』で強制的に動きを封じる。
「悪いな。少しそのままでいてくれ」
カントー離島で虫ポケモンたちに取ったの手段と同じだが必要以上に傷つけず、動きを止めるのにはこれが一番効率がいい。改めて、治療を再開しようとウパーに近づくとジンたちが来たのは別の方向からモリーとその相棒のラッキーがやってくる。
「っ!ジン!そのままその子たちを抑えてて!」
弱っているウパーが目に入った様で途端に目つきが変わり、医療キットを抱えたまま大急ぎでウパーの前まで走ってくるとそのまま治療の準備へと取り掛かる。
「サボ!サボネ!」
「うるさい!この子は私が治療する。邪魔しない!」
「ボネェ…サボネ…」
ウパーに手を出されると思ったサボネアは動きを封じられながらも威嚇の声を上げるが、モリーの一喝を受け大人しくなる。サボネアたちが大人しくなったことでモリーは改めて、ウパーの治療を始める。まず、医療用のゴム手袋をつけるとクリームを取り出し塗っていく。
「凄い……」
「早いな。それに正確だ」
ジンはトレーナーになってから、ポケモンの治療方法を学んだ。旅の最中にそれを生かす場面は何度もあり、それなりの経験を積んではいるがモリーとは比べ物にならない。モリーの技術は素直にそう思える程、見事としか言いようがなかった。
「ポケモンセンターを辞めた理由、言ってなかったよね?」
治療をしながらモリーはジンとリコにそう話しかける。
「傷ついたポケモン、みんなが来られるわけじゃないでしょう?野生のポケモンとかどこかで傷ついてるポケモンがいるかもしれない。そう思うとたまらなかった」
「野生のポケモンを助ける為に…」
「そう……待つのが性に合わなかった」
同じようなことを考えている医者は他にもいるかもしれない。だが、それを実際に体現できる存在はきっと多くはいないのだろう。モリーの言葉からは医者としてのポケモンを助けたいという強い意志を感じさせた。
「サボネッ!サボ!」、「ハネェェ!」、「ノコォノコォ!」
「……頼むから静かにしていてくれ。悪いようにはしない」
モリーが治療を続けていると動きを封じられているサボネアたちは突然、大声を出し始める。すると、突然、地面が先程の様に大きく揺れ始める。この地鳴りの正体にジンたちは驚愕した。
「木が動いてる!?」
「いや、これは木じゃない……巨大なポケモンだ!」
大木だと思っていた存在は大きく揺れ始めると枝の様に見えていた部分が周りに絡まっていたツルを切り裂きながら手を広げる様に開き、遂にその本当の姿を見せる。
「まさか、これが森のオリーヴァか!」
オリーブの木に左右にそれぞれ3つずつオリーブの実がついた羽が大きく広がる腕が特徴のポケモンだ。その姿は昨夜、事前に調べていたオリーヴァそのものだった。ただし、例外と言えるのはその大きさだろう。通常のオリーヴァは高さ1.4メートル程だが、このオリーヴァはそれよりも遥かに大きい。
(コルサさん……知っていたのに黙ってたのか)
これ程、巨大だという情報があれば最初からここを目指して来ることができたし、きちんと対策も練ることが出来た。そう思うと、思わず恨み言の一つでも言いたくなってしまう。
だが、そんな事を言っている場合ではないと考えを切替え、目の前の巨大なオリーヴァを観察しているとオリーヴァの胸元辺りで必死にしがみついているロイを発見する。
「ロイ!?」
「あの馬鹿、何やってるんだ!」
ロイは必死にしがみついていたが、巨大なオリーヴァが大きく動いたことで今度こそ振り払われてしまう。
「サーナイト『サイコキネシス』で受け止めろ!」
サーナイトはサボネアたちの『かなしばり』を解除すると今度は『サイコキネシス』で飛んできたロイとホゲータを受け止め、ゆっくり地面に降ろす。
「あ、ありがとう!」
「そんな事はいい!どうしてこうなった?」
「わ、分かんないよ。登ってたら突然、動き出したんだ!そ、それより見て!古のモンスターボールがもう一つ!」
ロイが指をさした先、巨大オリーヴァの首元に視線を向けるとロイが持っているものと同じ、古のモンスターボールがあった。
「そ、それじゃあ本当に……」
「こいつがお目当てのポケモンみたいだな」
ようやく出会えた今回の目的の森のオリーヴァだが、明らかにジンたちに敵意を向けている。ジンたちを鋭い視線で睨みつけると左右の実からオイルの様な物を吹き出し攻撃してくる。
「サーナイト『まもる』」
サーナイトはジンたちの前に出ると緑色のシールドを張り、オイルを防ぐ。『まもる』を解除すると、今度は『テレポート』を使用してジンたちを連れ未だに治療を続けているモリーとラッキーの元まで移動する。
「治療の方はどうなってる?」
「ごめん。処置が済むまでまだ時間が必要」
モリーは治療を続けながらそう答える。どうやら、ウパーの治療を終えるまで梃子でも動く気はない様だ。モリーと傷ついたウパーを置いて逃げるなどという選択肢は存在しない。ならば、この状況でジンにできることは一つだけだ。
「……分かった。俺が時間を稼ぐからそのまま治療を続けてくれ」
「じ、ジン!」
「無茶だ!あ、あんなの絶対勝てるわけないよ!」
オリーヴァの元に一人歩き出したジンをリコとロイは慌てて止めようとする。
「心配するな。なんとかする」
「な、なんとかって……ひょっとして作戦でもあるの?」
「分かりきった事を聞くなよ……そんなものある訳ないだろう」
「「えぇぇぇぇ!」」
ジンはコルサから森のオリーヴァの話を聞き、念の為に昨夜、対策を一人練っていた。しかし、その時に考えた作戦は通常サイズの相手を想定して立てたものだ。あの巨大なオリーヴァには通用しないだろう。
「そ、それじゃあどうするの?」
「どんなポケモンにも弱点は必ずある。バトルをしながらそれを探っていけば案外なんとかなるさ」
「で、でも……」
「どのみちウパーの治療が終わるまでは、ここを離れる訳にはいかないんだ。やるしかないだろう?」
古のモンスターボールを持っているこの巨大オリーヴァは間違いなく黒いレックウザと関係がある。それはもはや疑う余地もない。通常のポケモンでは考えられないこの大きさだ、強さに関しても申し分ないだろう。
(だが……黒いレックウザ程ではない)
カントー離島で出会った黒いレックウザ、初めて目の前で対峙した時に感じた強さや緊張感をオリーヴァからは感じない。あの日から、ジンとポケモンたちは修行を重ね強くなった。このオリーヴァはその成果を試すのにはちょうどいい相手と言えるだろう。
「オリーヴァの攻撃は全てサーナイトが防御する。2人は他のポケモンが攻撃してきたときの為にモリーたちの傍で護衛を頼む」
「わ、分かった。こっちは任せて!」
「ジン!気を付けて!」
ジンは治療をモリーに、そして治療中のモリーの護衛をリコとロイに任せると森のオリーヴァの正面へと移動し改めてその姿を観察する。
「……改めて見ると本当にでかいな」
正確な大きさは分からないが目算でも20メートル近くはあるのではないかと感じられるほどの大きさだ。少なく見積もっても通常個体の10倍以上はあると考えられる。何故これ程の大きさにまで成長できたのか、それとも突然変異でこのサイズになってしまったのかなどについては大いに興味があったが、治療までの時間を稼ぐために思考を戦闘モードへと切替え、モンスターボールを取り出す。
「頼むぞ、相棒」
モンスターボールから飛び出したのは当然、ジンの相棒であり最強のポケモンのジュカインだ。ジュカインは巨大オリーヴァを見て一瞬、驚いた様子を見せるも直ぐに戦闘態勢に移行する。
「出し惜しみはしない。最初から全力で行くぞ」
「ジュカ!」
ジンは首にぶら下げていたペンダントに触れる。その瞬間、ペンダントのキーストーンとジュカインのスカーフに付いているメガストーンが反応しジュカインを光が包み込む。
「限界を超えろ『メガシンカ』」
光は徐々に収まり、その中心からメガジュカインが姿を現す。メガジュカインの姿を見たオリーヴァは本能的に強敵であると感じたようで右腕を動かし宿っているオリーブの実をメガジュカインに向け攻撃の準備に入る。
「『こうそくいどう』!」
オリーヴァから再び、オイルが発射されるがメガジュカインは攻撃が当たる前に『こうそくいどう』で素早さを上げつつ回避する。この巨大さだ。攻撃は一撃一撃がとても重い。ジュカインは決して打たれ強いポケモンではないのだ。一発でもくらえば大ダメージになるのは間違いないだろう。
(だったら、当たらなければいいだけの事だ!)
「ジュカイン!もう一度『こうそくいどう』だ!オリーヴァをかく乱しろ!」
ジュカインは更にスピードを上げ、オリーヴァの周りを縦横無尽に駆け抜ける。オリーヴァはオイルを発射し続けるがジュカインはぎりぎりの所で回避し続け、オリーヴァの足元に接近していく。
「今だ!『リーフブレード』!」
ジュカインは両腕の葉を鋭く変化させると超高速で足の間を駆け抜けすれ違うのと同時に『リーフブレード』で斬りつける。オリーヴァはダメージを負った為、苦悶の表情が浮かべるが揺らぐことなく立ち続けている。
(やはり狙うとしたら足か…)
あの巨大な体を支えている二本の足、それを何度も攻撃しダメージを与え続ける事が出来ればオリーヴァは倒れてしまうだろう。そうすれば、今までの様なオイルでの狙い撃ちは出来なくなりジュカインも一気に攻勢に転じることができる。
「ジュカイン、もう一度だ!」
ジュカインは再度、足に攻撃を仕掛けようとする。しかし、オリーヴァも簡単には攻撃をさせてはくれない。オイルの攻撃を右半分はジュカインを狙い、左半分は自身の防御に当てジュカインの接近を阻もうとする。自分の弱点がその巨大さ故の鈍足、そして足を攻撃されて倒れてしまえば反撃ができないと理解しているからこそ取った作戦なのだろう。
(……足を庇ったか。気持ちは理解できるが、その手は悪手だぞ)
ジュカインが先程まで高速で駆け続けなくてはならなかったのはオリーヴァが合計6つのオリーブの実からオイルを発射しジュカインを狙っていたからだ。それが今は3つにまで減ってしまった。これならば、回避することは比較的容易である。それに先ほどまで6つの実から止めどなく攻撃が来たため足を止める余裕もなく無理にでも接近して攻撃するしかなかったが、今の状況ならば遠距離攻撃を行うことも可能となった。
「『リーフストーム』!」
オイルの攻撃を全て回避し、距離を取るとジュカインは背を向けオリーヴァの顔面に目掛けて大量の尖った木の葉を発射し、上半身全てを葉で包み込む。効果は今一つではあるが元々強力な技である上にメガシンカしたことで特攻も上昇している。この攻撃には流石のオリーヴァも苦しい様で足元の防御に回していた左腕を顔面に持っていき防御しようとする。
「ジュカイン!オリーヴァの両足に『リーフブレード』!」
ジュカインは『リーフストーム』を中断すると改めてオリーヴァに接近する。オリーヴァは右腕のオリーブの実からオイルを発射し阻止しようとするがジュカインには当てられず接近を許してしまう。先ほどの様に両足まで接近し、すれ違いざまに両足を斬りつける。オリーヴァは足に二度目の攻撃を受けると今回は苦悶の表情だけでなく痛々しい悲鳴を上げながら体を大きく揺らし始める。
(今だ!)
「『くさむすび』!」
バランスを崩し体を揺らしていたオリーヴァの足元に生えていた草が突如、結ばれて大きな輪を作り出す。オリーヴァはその輪に足を引っかけてしまい体勢を完全に崩して倒れ込んでいく。『くさむすび』は相手が重い程威力が上がる技だ。この巨大なオリーヴァには相当なダメージとなる。
「ここが勝負所だ!オリーヴァの上に乗れ!」
かなりのダメージを受けた為、オリーヴァは簡単には立ち上がれない。このバトルが始まって以来、千載一遇の好機が訪れた。ジンの指示を受け、ジュカインは倒れているオリーヴァの背中にジャンプする。
「力の続く限り攻撃を続けろ『シザークロス』!」
「ジュカァァァァ」
ジュカインはオリーヴァの体に乗るとそのまま連続で『シザークロス』を当て続ける。地面からオリーヴァの苦しそうな悲鳴が聞こえてくるがジュカインは攻撃の手を一切緩めない。ここで確実に倒すという強い意志の元、攻撃を続けていく。効果抜群のダメージが入り続け、このまま攻撃を続ければ決着がつく。ジンがそう確信したその時だった。
「ジン!」
「治療は済んだ。もう大丈夫!」
治療を終えたウパーを抱えたモリー、それに続く形でリコとロイがジンとオリーヴァの間に割り込み、バトルを中断させようと呼びかける。
「……ジュカイン、もういい」
「ジュカ…」
その姿を見てジンとジュカインも自分たちは役目を終えたのだと理解する。決着が完全につかなかったのは少々、消化不良だったがそもそもオリーヴァを倒すことが目的ではなかった事を今更ながら思い出しバトルを終了させる。
(……ちょっとやり過ぎたかな)
これ程、巨大なポケモンとのバトルは黒いレックウザの時以来という事もあり、少々やり過ぎてしまったような気がしないでもなかった。
「……ヴァァ、ヴァァ…」
しかし、ジュカインが降りるとオリーヴァは息を荒くさせながらもなんとか立ち上がって見せる。かなりのダメージを負っているがその鋭い目つきからは戦意は失われていない様だ。
「さぁ、いっておいで」
「う、ウパウ!ウーパ……ウパ!」
モリーは抱えていたウパーを開放し、オリーヴァの元に向かわせる。治療を終えたとはいえ、未だに傷だらけで声も出すのもつらそうなウパーだったが必死にオリーヴァに何かを訴えかけている。暫くすると、オリーヴァの表情は徐々に緩んでいく。
「あなたも私もウパーを心配する気持ちは同じ!」
モリーの言葉を聞くとオリーヴァは片腕を上げて、その先端をモリーに向け伸ばしていく。それに対し、モリーもオリーヴァの腕に拳をそっとぶつける。
「ごめんね……そして、ありがとう」
その言葉を聞くと、オリーヴァの表情はとても優しいものに変わっていき、先ほどまで見せていた怒りのオーラは完全になくなっていく。
「通じたんだ!モリーがウパーを助けようとしたんだって!」
「……そうみたいだな」
(少し、羨ましいな……)
残念ながらモリーとオリーヴァの様な和解の仕方はジンには難しいのかもしれない。ジンは暴れているポケモンがいれば、まずは倒してからどうするのか考えるという事が基本だ。そして、それだけの実力があるからジンにはそれが出来てしまう。
もしも、モリーがいなければオリーヴァを倒してからウパーの治療は出来たかもしれないが和解することは出来ずに終わっていた可能性もあった。
(ただ、バトルで勝つだけじゃ解決しないこともあるって事か……)
「……ヴァァァァ……ヴァァァァ……」
ウパーや周囲にいた野生のポケモンたちが無事にこの場を離れていくと突然、オリーヴァが鳴き始める。その鳴き方は先程までの強い怒りを発する物とは違い、とても悲しんでいるように感じられた。
「何か伝えたいことがあるみたい……」
リコがそう言うと、オリーヴァは両手を下ろしリコとロイ、そしてジンを乗せて、ゆっくりと上に持ち上げる。そこから見えたのは山火事の影響で荒れ果てたこの森の全体の姿だった。
「森があんなに傷ついてたなんて……」
「うん……ひどいね……」
「オリーヴァは俺達にこれを見せたかったのか…」
ジンは傷ついた森を見渡した後、振り返りオリーヴァの顔を見る。その顔はとても悲しみに満ちていた。森がこのままでは、またウパーの様に力のないポケモンは傷つき、生きていけないかもしれない。オリーヴァはそのことをとても心配しているのだろう。
(なんとかしてやりたいが、どうすることも……………いや、待てよ。オリーヴァの特性は確か……)
そこまで考えるとジンは改めて、森の全容を見渡す。山火事で駄目になった個所も多いが、それでもまだポケモンたちが生息できるだけの木の実などの食料がある場所はここからでもいくつか確認できる。
(……木の実が実っている木はかなりある。種はそこから貰えばなんとかなるか……耕す作業はボスゴドラやジュカインにも手伝ってもらえばなんとかなる。そうなると後は水か……今の手持ちだとちょっときついな。通信障害が回復したら交換するとして……うん……)
「やってみる価値はある。さっきはやりすぎてしまったし、オリーヴァへのお詫びにもなるか……」
「ジン?」
「どうしたの?」
「リコ、ロイ……この森を再生する。力を貸してくれ」
今回は1万字近く書いて、ちょっと疲れました……週一投稿したいんですけど、なかなか難しいですね。
さて、オリーヴァの強さですが、アニメでニャオハとホゲータがそれなりに追い詰めていたのでメガジュカインならば倒せる程度の強さにしておきました。後々、強さに矛盾が出ないことを祈ってます。
☆10
高身長スポーツ選手さん、揚げるさん
高評価ありがとうございます。