ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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今回の話しでアニメ12話『わたしが選ぶ未来』が終了です。パルデア編、長い……


古の冒険者

 

 森の再生を終えたライジングボルテッカーズはブレイブアサギ号へと帰還した。船に戻ってからは自由行動となりフリードは調べ物があると町の図書館に行くなどそれぞれ自由にしている。ジンもまた夕食までの時間を有効に活用していた。

 

「「…………」」

 

 ブレイブアサギ号のウィングデッキ、ここでは今、二体のポケモンが互いに睨み合いながら相手の出方を窺っている。睨み合っているのは今日、オリーヴァの森で新たにゲットしたコノヨザルとジンのポケモンの絶対的エースのジュカインだ。

 

「ブギャァァァァァ!」

 

 予想通りではあったが、先にしびれを切らしのはコノヨザルだ。コノヨザルは力強い雄たけびを上げながら前進しジュカインが射程内に入ると顔面に向かって拳を放つ。左、左、右と荒々しさを感じさせながらもリズミカルに繰り出される拳をジュカインは完璧に見切り、その場から動かずに余裕をもって上半身のみを動かし回避する。

 

「ブィィ!ブギャァ!ブッギャ!」

 

 拳だけでは攻撃が決まらないと判断したコノヨザルは今度は拳だけでなく足技も加え始める。通常のパンチから手足を乱打させる『インファイト』に切替え、さらに先程までと違い所々にフェイントも加え再度、攻める。

 

「ジュッカ!」

 

 先程よりも激しくなった猛攻に流石のジュカインも動かずに回避するのは不可能だと判断し、後方にジャンプし大きく距離を取る。コノヨザルは自分の攻撃が連続で回避されたことに憤り、頭から湯気を出し始める。今にも爆発寸前といった様子だ。

 

「…………ジュカ」

 

 その様子を見たジュカインはニヒルな笑みを浮かべると、おもむろに右腕を伸ばしコノヨザルに向け中指を立て挑発する。この程度の挑発であれば多少、ムカッとするかもしれないが普通の忍耐力のあるものであれば受け流すことは然程難しくはない。

 

 しかし……

 

「ブギャァァァァァアアアアアアアア!」

 

 怒りっぽいコノヨザルにはそれが最後の後押しとなり、コノヨザルの導火線に火が付きそれはあっという間に爆発へと至ったようだ。コノヨザルは臨界点を超えて燃え上がるような怒りのままにジュカインに突っ込もうとする。

 

「ミロカロス『みずでっぽう』」

 

 その瞬間に文字通り水を差されてしまう。ジンの横で共にジュカインとコノヨザルのバトルを見守っていたミロカロスが口から『みずでっぽう』を発射しコノヨザルの動きを無理やり止めに入る。コノヨザルは突然、背後から襲ってきた水の勢いに負けて軽い悲鳴を上げると前向きに倒れ込んでしまう。

 

「やれやれ、またか……」

 

 コノヨザルには怒りを抑え冷静な攻撃をするように、ジュカインには反撃をせずに回避に専念し時折コノヨザルを挑発するようにとだけ指示を出していた。しかし、これでトレーニングを開始してから3度目の制止となる。そのどれも、先程の様にちょっとした挑発を受けて頭に血が上り、怒りに身を任せてしまうという短絡的なものだ。

 

「……実戦経験はあるし、頭も悪い訳じゃなさそうなんだがな」

 

 この短気さはよくない。コノヨザルというポケモンの性質上、仕方のない事ではあるが実際にバトルしたときにジンの言うことを怒りのせいで無視するような展開になれば勝てる物も勝てなくなってしまう。最低限、感情を制御できるようにできなければ実戦での使用は難しいと言わざる得ない。

 

「コノヨザル?………ん?………なんだ、気絶してるのか?」

 

 いつまでも起きてこないコノヨザルを心配し、様子を見に行くとコノヨザルは目を回して完全に気を失っていた。だが、それも仕方ないだろう。森でのバトルの後、簡単に治療はして体力は戻っていたがその後もトレーニングに入り、怒りで我を忘れるたびに都度3度も背後から『みずでっぽう』で攻撃を受け続ければ体力も減ってしまう。

 

「仕方ない。今日はここまでだ」

 

 気絶したコノヨザルをボールに戻し、ジュカインとミロカロスもボールに戻して休ませる。いつもなら夕食後にもトレーニングを行うが今日は色々ありすぎた。ポケモンたちを休ませる必要があるだろう。

 

「まぁ、そんなに簡単にはいかないか」

 

 カントーでゲットしたハッサムは新たな技を覚えるだけで良かった。しかし、コノヨザルの場合は技ではなく感情の制御をする必要がある。流石にこれは一朝一夕にとはいかない。

 

「……こればっかりは気長に行くしかないか」

 

 コノヨザル、彼もまた自分がもっと強くなれるならばという事でジンのポケモンとなる事を了承してくれた。素直な性格であり、トレーニングにも積極的だ。

 

 しかし、種族的特徴である怒りやすさを解消するためにはそれなりの時間と信頼関係を築いていくしかないのだろう。簡単にはいかないが、ポケモントレーナーの腕の見せ所であり醍醐味でもあるのだ。

 

『ロトロトロト!ロトロトロト!』

 

「……ん?」

 

 トレーニングを終え、ウィングデッキから降りようするとスマホロトムが着信を知らせる。確認すると着信相手はロイだ。

 

『ジン!今、どこ!?』

「ウィングデッキにいるけど、どうかしたのか?」

『直ぐにミーティングルームに来て!』

 

 ロイはそれだけ言うとすぐに電話を切ってしまう。詳しい要件も分からず、困惑するがロイの様子からして余程の緊急案件なのだろうと判断し、興味を引かれた為、ジンは急ぎミーティングルームへと向かう。

 

「悪い、待たせたか」

 

 ミーティングルームに到着し、中に入るとそこにはロイだけでなくリコもジンを待ち受けていた。更に、テーブルの上には見覚えのある絵本が何冊か置かれている。

 

「ジン!この本見て!」

 

 ロイはその中から一冊の本を取り、ジンに見せてくる。

 

「あれ?その本って、確か……」

「うん。お父さんからロイに渡してほしいって頼まれた本だよ」

 

 見覚えがあるのも当然だった。その本は元々、リコの実家にあったものでジンとリコが止まった翌日にアレックスに頼まれてロイに渡すために船に持ち帰った本の一冊だ。黒いレックウザの情報や森の一件もあり、放置されていたがこの自由時間にリコがロイに渡したらしい。

 

「これなんだよ!じいちゃんが小さい頃に読み聞かせてくれた、古の冒険者の話!」

 

 古の冒険者、伝説のポケモン達に挑戦し世界を巡って旅を続け、いつか誰も知らない場所でポケモン達とお宝を目指す存在。ロイにとっては原点ともいえる存在、それが書かれた本が目の前にあるアレックス著書の本だと言う。

 

「……間違いないのか?」

「この表紙覚えてる。絶対間違いないよ!」

 

 2つ目の古のモンスターボールを見つけたその日に古の冒険者の書かれた本が見つかる。偶然とは思えない。まるで何かに導かれているようにすら感じられた。ここまで来て、本を読まないなどという選択肢は存在しない。

 

『昔々、100年も昔の話 かつて、黒いレックウザを従えた、一人の冒険者がおりました。その名をルシアス

 

 彼はあらゆる地方を旅して、強きポケモンたちと出会い、彼らと深い絆を結びました。

 

 彼らはまだ見ぬ景色を夢見て、ポケモンたちと世界の果てを目指し旅に出ます。

 

 大地を走り、壁を砕き、空を駆け、傷を癒やし、海を渡り、冒険を続けるうちに辿り着いたのは、とても豊かで美しい光り輝く楽園でした。

 

 冒険者と、黒いレックウザ、そして仲間のポケモンたちは、その楽園でいつまでも仲良く、幸せに暮らしました。

 

 その飽くなき探究心と勇気を讃え、いつしか人々は彼をこう呼ぶようになりました……古の冒険者と』

 

 これが絵本の内容だ。普通に考えれば、よくあるおとぎ話なのだが、この旅を通して目にしてきたものを思い返せば無視することのできない内容がいくつか存在する。

 

「ねぇ、この黒いレックウザって、私たちが見たあのレックウザ?」

「それじゃあ、この傷を癒しってオリーヴァの事かな?」

「そう考えれば、色々と辻褄は合うな」

 

 その場合、古の冒険者には黒いレックウザ、森のオリーヴァに加えあと4体のポケモンが存在したことになる。レックウザやオリーヴァの例から見ても恐らくは普通のポケモンではない。レックウザの様な伝説のポケモンやそれに準ずる存在、オリーヴァの様な特殊なポケモンであると考えて恐らく間違いないだろう。

 

「すっげぇ!会ってみたい!」

 

 ロイはそんなポケモンたちがいると分かると興奮気味にそう言うが、ジンにもその気持ちは理解できた。むしろ態度にこそ出していないが、ジンの方が遥かに興奮していると言っても過言ではないかもしれない。

 

 この絵本の内容を読む限り、オリーヴァは傷を癒す。回復やサポートを主にしたポケモンだと考えられる。つまり戦闘は専門ではなかった可能性があるのだ。戦闘を得意としたのがレックウザだけだとは思えない。そうなると残りの4体の強さはレックウザと同等、そうでなくてもオリーヴァ以上だと考えるべきだ。

 

(会ってみたい。それに……戦ってみたい)

 

 珍しいポケモンというだけでも興味はあるが、オリーヴァ以上の強さを持ったポケモンがいるかもしれない。それを知ってしまった以上、ポケモントレーナーとして強さを追い求める者としてこの本能を抑えることは出来そうにない。

 

(その為には、情報がいる)

 

 そう、何をするにもまだ、情報が足りていない。今すぐ確認することができる情報源はただ一つだけ、この本の著者であるアレックスだ。

 

「……アレックスさんは古の冒険者の事を知っていたのか?」

「ちょっと待ってて!お父さんに聞いてみるよ!」

 

 その後、リコは早速アレックスに連絡を取る。アレックスによるとあの絵本はリコの祖母から聞いた話を基にしアレックスなりに纏め上げたものを絵本にしたらしい。フィクションも混じっている為、全てが本当の事ではない様だ。

 

「やっぱり、作り話なのかな?」

「ううん。きっと本当の事もあるよ」

「あぁ、レックウザとオリーヴァは実在した。残りの4体も実在する。そう考えておいた方がいいと思う」

「そう……だよね。私たちがオリーヴァの森で見た人、何かを伝えようとしていたような……もしかして、ペンダントのこの子に?」

 

 船に戻るまでの間に聞いた話によると、リコとロイが森のオリーヴァにより見せられた光景、そこでは霧のせいで姿こそ見えなかったようだが誰かがいたらしい。絵本や伝承ここまでに得た情報から推測して、その正体は恐らく……

 

(古の冒険者ルシアス)

 

 だが、現段階で分かるのはここまでだ。これ以上、考察するには情報が足りなすぎる。アレックスから思っていたほどの情報が得られない以上、アレックスに絵本の基となる話をしたリコの祖母に話を聞くしかない。

 

「取り合えず、この情報を全員に共有しておいた方がいい。今後の方針にも大きく関わるからな」

 

 スマホロトムを取り出し、ライジングボルテッカーズのアプリを起動させるとメンバー全員に一斉送信で『古のモンスターボールに関する重大な手がかりを見つけたかもしれない』とメッセージを送る。するとメッセージを送って直ぐに意外なことにフリードから返信が来た。調べ物は終わった様でこちらに向かってるらしい。更にジンたち全員に話があるからミーティングルームに集合して欲しいとの事だ。

 

 

 

***

 

 

 

「……という訳だ」

 

 ドットを除いたメンバー全員がミーティングルームに集まるとフリードは町に行った時に起こった出来事を話した。町でリコの母親のルッカと再会したこと、ルッカから教えられた古の冒険者ルシアスと六英雄の存在、リコの祖母ダイアナがペンダントについて何かを知っている事など全てだ。

 

「これから、どうするのかはリコが決めてくれ」

 

 フリードに問われたリコは真剣そうな顔つきで考え始め、メンバーたちは全員黙ってリコの考えがまとまるのを見守る。暫くすると、リコはペンダントを握り決意の籠った表情で話し出す。

 

「私、おばあちゃんに会いに行く。おばあちゃんに会えばこの子の事、何か分かるかもしれない!」

「……そうか。なら、俺も一緒に行こう」

「僕も!」

「ジン、ロイ!」

「リコのおばあちゃんに会えば、古のモンスターボールのこと、レックウザのことも分かるかもしれない!」

「確かに……その辺、色々聞いておきたいな」

 

(それに会わないわけには行かないしな……)

 

 リコは祖母の事をとても尊敬し愛している。時折、リコが祖母の事を話す様子からしてそれは確かだ。ジンとしては、母親のルッカ同様にいずれはちゃんと挨拶に伺わなくていけないと思っていた相手の1人だ。しかも色々な情報を握っている存在、会いに行かない理由など何もなかった。

 

「ねぇねぇ!リコのおばあちゃんってどんな人なの?」

「すごい人だよ!今も世界中を冒険してて、どこにいるのか…………いつも分からないんだけど」

 

 リコの祖母ダイアナは世界中を冒険している。拠点はいくつかあるだろうが、基本的に一つの場所に留まる事はない。これでは探し出すことは困難だ。普段であれば手がかりなど一つもなかったかもしれないが、今回はフリードがルッカのイキリンコを通して情報を得ている。

 

「それについては心配ない。リコのお婆さんが、ポケモンを使って居場所を教えてくれたんだ。今はガラル地方の古城にいるそうだ」

 

 ガラル地方、穏やかな田園風景や近代的な都市、雄大な草原や険しい雪山などの様々な表情を持つ事で知られる地方だ。そこにリコの祖母ダイアナがいる。

 

「リコ、ロイ、2人の意思は固いようだな?」

「目の前にある謎は、解けるまで追い求めるのが俺たちのモットーだが、みんなこの航路、乗ってくれるか?」

 

 フリードが問いかけるとライジングボルテッカーズのメンバーたちは1人、また1人とその案に賛成していく。目の前にある謎、見た事のないような景色がこの冒険の先にはきっとある。誰1人として反対する者はいなかった。

 

「決まりだな!行くぞ!ガラル地方へ!」

 

 ガラル地方、そこにいるリコの祖母ダイアナがいる。彼女がジンたちの求めているペンダントや古の冒険者と六英雄の情報を持っている保証はまだない。だが、この冒険の先できっとその答えを得ることができる。根拠こそなかったが、そんな予感がしていた。

 

 

 

***

 

 

 

「それで、どうしたんだ?」

 

 緊急の会議を終えるとメンバーたちはそれぞれ再び、自由に行動を取り始める。ジンも一旦、自室に戻ろうとするがフリードに引き留められてミーティングルームに残っていた。

 

「あ~……それがだな」

 

 気性のさっぱりしたフリードにしては歯切れが悪い。なんだか、とても言いにくそうな様子だ。

 

「その~……リコのお母さんにこの町で会ったって言っただろう?実は、その時にな……」

「……そこまで言ったなら最後まで言ってくれ。かえって気になる」

「わ、分かった。リコのお母さんから伝言だ。『私はあなたとリコの交際をまだ認めていないわ』って……」

「っ!………そうか」

 

 事前に聞いていたリコの両親のイメージから勝手ながら母親のルッカは交際に賛成してくれるとジンは思い込んでいた。アレックスから了承を得られた以上、問題はなにもなくなったと思っていただけにこの伝言は些かショックだったと言わざる得ない。

 

「あ~……まだ続きがあるけど、聞くか?」

「……頼むよ」

「えっとな……確か『今すぐでなくてもいいけど、いつか、挨拶に来なさい。交際を許可するかどうかはその時に判断します』ってことだ」

 

 正式な許可はまだ出さないが、チャンスは与えてくれる。そういう事だろう。希望がないわけではない。元より、簡単に許してもらえるとは思っていなかった。チャンスが与えられた、それだけで今は十分だ。

 

「……この旅を終えたら、ちゃんと挨拶しに行くよ。その時までに今よりも、もっと成長した姿を見せて認めさせてやるさ」

「そ、そうか!頑張れよ!」

 

 そう言うと、フリードはそそくさとミーティングルームを駆け足で出て行く。普段のジンであればフリードのらしくないその姿にきっと違和感を感じたはずだ。しかし、ルッカの伝言が思いのほか効いているようでそのことには気づかない。

 

「はぁぁぁ………」

 

 ミーティングルームをでて操舵室に逃げ込むように入ると中央の椅子に腰かけフリードは大きく、ため息をつく。

 

「……本当にこれで良かったんだろうか」

 

 上を向き目を閉じれば、ボウルタウンでの恩師でもあるルッカとの会話を思い出す。

 

『それじゃあ、フリード君ちゃんと伝えてね!』

 

 それはルッカとの別れ際での出来事だ。古の冒険者や六英雄、ペンダントについて彼女の母のダイアナから話を聞く必要があると知らされ船に戻ろうとしたフリードをルッカが引き留め、先ほどの伝言を伝える様に念押ししてくる。

 

『先生、ジンはいい奴ですよ。リコの事も本気で好きだと思いますし、認めてやっても……』

 

 ジンとリコが最近になって付き合いだしたことは船にいる全員が知っている。時折、人目も気にせずイチャイチャしだすのは感心していないがお似合いだとフリードも思っていた。フリードにとってジンもリコも大切な仲間だ。だからこそ、2人の事を許してあげて欲しいと伝えようとする。

 

『え?とっくに認めてるわよ』

『……………え?』

『リコから送られてきたメールを読んだ時から、とっくに認めてるわ。リコの事、何度も助けてくれたみたいだしリコもジン君の事が好き、だったらそれでいいじゃない』

『…………』

『それに夫もジン君の事が気に入ったみたいよ?あの人がリコの恋人をあんなに褒めるなんて想像もしてなかったから驚いちゃった』

 

 フリードは冷静にルッカの発言を頭の中で整理する。今の発言からアレックスだけでなくルッカも既にジンとリコの交際を半ば認めている。それは間違いない。しかし、そうなってくると……

 

『先生……それじゃあ、さっきの伝言の意味は?』

 

 そう、先程の交際を認めないという伝言は今のルッカの発言と明らかに矛盾した内容だ。フリードの疑問は当然のものだろう。

 

『だって……娘の初めての恋人よ?ちょっとくらい、からかって遊んでみたいじゃない?』

 

 実は先程の伝言に意味なんてものはない。ただ、単純にルッカが大人げない上に意地が悪いだけの事なのだ。

 

『恋人の父親との初対面なんていう美味しい場面を見逃しちゃったんだもの。これくらいはしないと面白くないわよ。ポケモンに詳しくて、リーグ優勝経験もあるバトルの強い男……ふふ…いじめがいがあるわね~』

『……………』

『あ!フリード君!この事は絶対にジン君には教えちゃダメよ。いつか、私と会う日までちゃんと悩み続けてもらうんだから!』

 

 結局、恩師でもあルッカにフリードは逆らうことが出来ず、伝言をそのまま伝える事となった。伝言を伝えた時のジンの僅かばかりではあるがショックを受けた顔を見ると今更ながら罪悪感が心に重くのしかかってくるが、今更本当の事を伝える事も憚られる。

 

「………ジン……すまん」

「ピカ?」

「………なんでもないよ。キャップ」

 

 

 

***

 

 

 

「船のシステム、通信手段、トレーナーたちの実力、全ての分析が終わりました」

 

 ライジングボルテッカーズが新たに旅立ちを決めていた頃、ジンたちの様子を監視する一人の男性がいた。アメジオから任務を引き継ぎ、ペンダントの回収を任されたエクスプローラーズの幹部の1人、スピネルだ。

 

「この中で厄介なのは、やはり……彼ですか」

 

 端末を操作すると画面にはジンの写真やジュカインとオリーヴァとバトルする映像が映し出される。メガシンカし巨大な森のオリーヴァを圧倒するその姿はスピネルにも確かな脅威として認識されていた。

 

「なるほど、アメジオを撃退しただけの事はありますね。ターゲットの側に彼がいては少々、厄介なのも事実………ならば引き離せばいいだけの事です」

 

 自他共に認める策略家であるスピネルはアメジオの様に正面から挑む様な事は決してしない。必要な情報を集め、作戦を練り、完璧に仕事をやり遂げる。それが彼のやり方だ。

 

「ペンダントをめぐる、あなた達の冒険もここで終わりです」

 





作品に対して意見や要望がある場合は直接メッセージを送っていただいても構いません。必ず、希望に添えるとは言えませんが、とても参考になるので大歓迎です。

次回もよろしくお願いします。
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