ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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今回は初のダブルバトルをやってみました。前哨戦みたいな感じですがどうぞ


VSスピネル

 

 ピクニックを終え、ブレイブアサギ号に帰還したジンたちは改めてガラル地方に向けて旅立つ為の準備に入ろうとしていたが、またしても問題が発生していた。

 

「再起動が終わってない?」

 

 フリードはピクニックから戻ると最初に操舵室でシステムが再起動しているのかを確認したそうだ。しかし、再起動はピクニックに出かける前と比べて全く進んでおらず、その上システムそのものがダウンしてしまったらしい。

 

「今、ドットが調べてくれてるから皆、終わるまで待っててくれ」

 

 このままでは安全な飛行は出来ない。システムを担当しているドットに調査を任せ、それ以外のメンバーは自由行動を取る事となった。

 

「……どうするかな?」

「ジン……ドットの様子見て来てもいいかな?」

 

 リコはピクニックでドットと仲を深めた様で今もドットがどうしてるのか気になって仕方ない様だ。

 

(いい感じに仲が深まってきたな。ドットが正体を明かすのも時間の問題か……)

 

 ジンとしてはそのタイミングを何としても逃したくない。リコに正体を明かすときのドットの恥ずかしそうな表情や自分が今まで話してきた相手が憧れのぐるみんだと知った時のリコの驚愕のリアクション、それらを見届けたくて仕方ないのだ。

 

「勿論だ。友達に会いに行くのにいちいち、俺の許可を取らなくていいんだぞ」

「と、友達……うん!行ってくるね!」

 

 同じくドットの様子が気になったマードックと進捗状況を確認にフリードもリコと共にドットの部屋へと向かっていく。ジンもついて行こうかと思ったが、行っても手伝えることもない。また、先のシルエットクイズのせいでドットから微妙に警戒されているので邪魔にならない為にも敢えて、行かない事とした。

 

「……ロイの様子でも見てくるか」

 

 ロイはまだ船に帰還していない。ピクニックの途中でサンドイッチを盗んだポケモン、飛行タイプのカイデンの事が気になった様で帰り際にもう一度、様子を見に行ったきり戻ってきていないのだ。

 

「スマホロトムは……また圏外か」

 

 スマホロトムを起動するがオリーヴァの森に行った時と同じように再び圏外となっている。これでは連絡を取ることも出来ない。

 

「仕方ない。自力で探すか」

 

 ジンはミーティングルームを出ると甲板へと移動し、モンスターボールからボーマンダを出す。ロイがピクニックを行った海岸付近にいることは間違いないが、歩いて探すのは少し時間がかかるため空から探そうと考えた為だ。

 

「ボー!ボーダー!」

「ん?どうした?」

 

 ボールから出すとボーマンダは空を見上げて何かを訴えている。ジンはそのことに気づきボーマンダの見つめる先に視線を向けるとそこには合計7体のレアコイルが浮いていた。

 

「レアコイル……まさか!ボーマンダ『かえんほうしゃ』!」

「ボーダァァァァ!」

 

 ボーマンダは口から炎を吹き出し、レアコイルたちに命中させる。攻撃を受けたレアコイルたちは散り散りに逃亡していく。

 

「……戻ったか」

 

 スマホロトムを再度確認すると圏外から回復していた。状況から考えてレアコイルが集まり磁気嵐を起こしていたのは間違いない。

 

 ジンたちがオリーヴァの森にいた時にも同じようにレアコイルの影響で通信障害が発生していた。そして、今回もレアコイルが原因でスマホロトムは圏外となり恐らく、船のシステムの異常にも関わっていると考えられる。

 

 しかし、一番の問題は別にある。これら一連の件が全て偶然なのかどうかだ

 

 コイルやレアコイルは電波に引かれやすい習性がある。この近くにはパルデア地方の中でも一二を争う都会のハッコウシティが近くにある為、コイルやレアコイルが近くに生息していても決して不思議ではない為、運悪く船が被害を受けた可能性もゼロではない。

 

(だが、偶然にしては出来すぎている……)

 

 攻撃を受けたレアコイルが逃亡していく中、1体のレアコイルのみが逃げ遅れていた。今ならば追跡も可能な範囲にいる。

 

(付いてこいって事か……)

 

 あのレアコイルは本来ならもっと早くに逃げられた筈なのに、未だにジンが視認できる場所にいた。しかも逃亡を始めた今もゆっくり移動し、追跡できるギリギリの距離を保っているようにも見受けられる。

 

「……追ってみるか」

 

 罠であることは百も承知している。だが、これ程用意周到にこちらに嫌がらせをしてくる相手がいるとした場合、何か情報を得るためには危険を冒してでも攻め込むしかない。そう考えたジンはボーマンダに乗り移りレアコイルの追跡を開始する。

 

(この方角はハッコウシティか……まさか、本当に偶然……いや、予断をもってあたるは危険だ。念には念を入れておくか…)

 

 ジンはスマホロトムを起動し、フリードに連絡を入れる。

 

『ジン、どうした?』

「フリード、リコは近くにいるか?」

『リコならマードックと一緒に買い物に出かけたぞ。それより聞いてくれ、いきなり通信障害が戻ってシステムの再起動が出来るようになったってドットが喜んでてな』

 

(やっぱりか……)

 

 あのレアコイルたちを追い払って早々にこの進捗具合だ。船の異変はレアコイルたちのせいと考えてまず間違いないだろう。

 

「フリード、実は……」

 

 船の周囲にレアコイルの群れがいて追い払うと通信障害が回復した事、そしてそのレアコイルの1体を追跡している事など全てをフリードに伝えた。

 

『……そいつは妙だな』

「あぁ、それに追跡しているレアコイルなんだが、どうにも野生じゃなさそうなんだ」

 

 当初は野生のポケモンである可能性も考えていたが、通話中もずっと観察を続けているとその動きからトレーナーによって訓練されたポケモンである可能性が大きくなってきた。野生のポケモンでない以上、これは明らかな攻撃と考えられる。

 

 そしてジンたちを攻撃してくる集団など1つしか考えられない。

 

『まさか……エクスプローラーズか!?』

「多分な」

『アメジオ……じゃないよな?』

「絶対あり得ない」

 

 アメジオであれば、こんな手は使わない。襲撃をしてくることはあってもバトルは正面から堂々と挑むのがアメジオのやり方だ。こんな姑息な手は使わない。ジンもそしてフリードも敵ではあるがアメジオの律義さは信頼していた。

 

『ってことは別の奴か…』

「恐らくな。俺はこのまま追跡を続けるからフリードは念の為、リコの近くに張り付いててくれ」

『……大丈夫なのか?』

「問題ない。なんとかするさ」

 

 これが罠であったとしてもジンであれば、たとえボーマンダを倒されるような事態になったとしてもサーナイトの『テレポート』で脱出することが出来る。そういった意味でもこの追跡はジンの方が向いているだろう。

 

『分かった。リコの事は任せろ。無理はするなよ?』

「了解」

 

 それを最後に通話を切り、改めてレアコイルの追跡に集中する。既に船を泊めてあった森を抜けてハッコウシティ上空まで来たがレアコイルが止まる様子はない。

 

「……どこまで行くつもりだ」 

 

 レアコイルはハッコウシティまで来ると高度を下げ始め、中心街から外れた人がいない裏路地へとゆっくりと降り始めていく。ジンとボーマンダも嫌な予感がしたが、そのまま追跡し裏路地の狭い道を進んでいく。

 

(行き止まりって事は……待ち伏せか!?)

 

 ジンは咄嗟にそう判断するとボーマンダから降りて背後を確認する。予想は当たっていたようで背後には宙に浮かぶ灰色のポケモン、ブレインポケモンのオーベムが臨戦態勢に入っていた。

 

〈オーベム『あくのはどう』、レアコイル『でんじほう』〉

 

 オーベムは無線機から指示を受けると両手を前に出し『あくのはどう』を放つ。ボーマンダはそれを飛ぶことで回避するが今度はレアコイルが『でんじほう』でボーマンダに狙いを定め始める。

 

「ボーマンダ『ドラゴンクロー』!」

 

〈『サイコキネシス』〉

 

 ボーマンダは『でんじほう』を受ける前に反撃に出ようとするが、突如ピンク色のオーラがボーマンダを包み動きを止めてしまう。

 

「なに!?」

 

 動きが止まったのを確認するとレアコイルは『でんじほう』をボーマンダに向け発射する。ボーマンダは躱すことも受け止めることも出来ずに正面から受けてしまった。

 

(今のは『サイコキネシス』か……連携が出来すぎている。遠隔でトレーナーが指示しているのか……)

 

 だが、周辺にはトレーナーは確認できない。この事から推測できることは1つだけだ。

 

(無線機を使っているのか。念が入ってるな……)

 

 ここでこの2体を倒したとしてもトレーナーを捕まえることは出来ない。用意周到な上に用心深い、心情的には認めたくはないが厄介な敵であると認めざるを得ない相手だ。

 

〈レアコイル『でんじほう』を撃ち続けなさい〉

 

 レアコイルはもう一度『でんじほう』を準備するとボーマンダに狙いを定める。このまま攻撃を受け続ければ倒されるのも時間の問題だ。そう判断したジンは咄嗟にポケットからモンスターボールを一つ取り出し、宙に投げる。

 

「そっちが2体で来るなら、こっちもそうするだけだ!行け!ライボルト」

「ライ!」

 

 ボールから出たライボルトはボーマンダとレアコイルの間に入り込むと『でんじほう』をボーマンダの代わりに自らの体を盾にする。ライボルトの体を電撃が包み込むがライボルトには一切のダメージは入った様子はない。

 

「ライボルト!オーベムに『10まんボルト』だ!」

 

 ライボルトは向きを変えると体から電撃を発生させオーベムに向けて放つ。その威力は通常の『10まんボルト』よりも遥かに強力だ。

 

〈なるほど……ライボルトの特性『ひらいしん』で『でんじほう』を無効化した上に特攻を上げたか〉

 

 強化された『10まんボルト』を受けたことでオーベムは集中力が切れたようで『サイコキネシス』を解除してしまう。これによりボーマンダは自由を取り戻した。ライボルトは引き続きオーベムにボーマンダは正面にいるレアコイルにそれぞれ狙いを定める。

 

「ボーマンダ『かえんほうしゃ』、ライボルトはもう一度『10まんボルト』!」

 

〈レアコイル『トライアタック』、オーベム『サイケこうせん』〉

 

 『かえんほうしゃ』と『トライアタック』、『10まんボルト』と『サイケこうせん』が衝突し互いの攻撃を相殺すると煙が発生し路地全体を包み込んでいく。

 

(次はどう来る?ライボルトがいる限り、レアコイルは電気技を使えない。セオリー通りならライボルトを狙い撃ちしてくる筈だが……)

 

 ライボルトの特性『ひらいしん』は電気タイプの相手にはかなり優位に立てる特性だ。ライボルトがいる限りレアコイルは満足なバトルは出来ない。なんとしても先に倒したいと考えるのが一般的だ。

 

 その為、ライボルトへの攻撃に備えていたが煙が晴れるのと同時にレアコイルは『エレキボール』をボーマンダに向けて放つ。特性『ひらいしん』がある限り、ボーマンダに電気技が行くことはない……筈だった。

 

「っ!?ボーマンダ『ドラゴンクロー』!」

 

 本来なら『ひらいしん』によりライボルトに向かっていくはずの『エレキボール』は真っすぐにボーマンダに向かって飛んでいく。ボーマンダは撃ち落とそうとするが、その瞬間、『エレキボール』は軌道が変わり『ドラゴンクロー』を回避するとそのままボーマンダに命中する。

 

(今の『エレキボール』軌道が変化した………そうか……『サイコキネシス』で無理やり軌道を変えたのか!?)

 

 この合わせ技『サイコ・エレキボール』であればライボルトの『ひらいしん』を突破し尚且つ相手に回避をさせにくい。正に一石二鳥な技だ。

 

 更に言うならば並みの連携で出来る技ではない。それをこの場でやり遂げるレアコイルとオーベム、そしてそのトレーナーにはこんな状況でなければ素直に称賛の言葉を送りたいとジンは思った。

 

(『ドラゴンクロー』ではあの技は防げない。『かえほんしゃ』や『りゅうのいぶき』でもそれは同じ……それなら……)

 

〈レアコイル『エレキボール』、オーベム『サイコキネシス』〉

 

 レアコイルは再び『エレキボール』を発射する。それと同時にオーベムは『サイコキネシス』で操作しボーマンダに狙いを定める。

 

「ライボルト!ボーマンダに飛び移れ!」

 

 ライボルトはジンの指示を受けるとその場からジャンプし、ボーマンダの背に飛び移りしがみつく。

 

「ボーマンダ飛べ!」

 

 ボーマンダは翼を広げると建物の屋上付近まで飛び上がる。『エレキボール』もその後を追うように空中まで上がってきた。それを確認するとボーマンダは空中で停止し、下から向かってくる『エレキボール』を正面に捉える。

 

「『ぼうふう』!」

 

 翼をはためかせ強烈な風を舞い起し、『エレキボール』を包み込む。『ぼうふう』という強力な上に広範囲の風の前では『サイコキネシス』で操っていようと関係ない。勢いに負けた『エレキボール』はそのまま地上へと叩き落とされる。

 

 更に『エレキボール』を叩き落とした際に『ぼうふう』の余波を受けた様でレアコイルとオーベムはダメージを受けて体勢を崩してしまう。

 

〈なに!?〉

 

 ボーマンダは『エレキボール』が地面に落ちたのと同時に急降下を開始する。ボーマンダが狙うのは未だに立ち上がれていないオーベムだ。

 

「『ドラゴンクロー』!」

 

 ボーマンダは両前足を鋭く巨大な爪に変化させると急降下の勢いを利用してオーベムに渾身の威力の『ドラゴンクロー』をお見舞いする。

 

「ライボルト!」

 

 ジンの合図を受け、ボーマンダにしがみついていたライボルトは背中から飛び降りると残ったレアコイルに向けて走り出す。

 

〈くっ…『トライアタック』!〉

 

「『オーバーヒート』だ!」

 

 ライボルトの口から『かえんほうしゃ』とは比べ物にならない程、強力な炎が発射される。タイプ不一致の技ではあるが元々、強力な上に『ひらいしん』の効果で特攻が上昇した『オーバーヒート』は『トライアタック』を打ち破り、レアコイルを炎が包み込み大ダメージを与える。 

 

 オーベム、レアコイルは共に攻撃を受けると地面に倒れ込んでいく。戦闘継続はどう見ても不可能だ。

 

「バトルは終わりだ。そろそろ姿を見せてくれないか?」

 

 ジンはまだ姿さえも現さないトレーナーにそう問いかけるが、返事はない。

 

(……返事はなしか。いや、ある訳ないか)

 

 レアコイルのトレーナーに直接会い情報を探るのが当初の目的だったが、相手のトレーナーの性格から考えてこの場で直接会うのはもう難しいだろう。それなら、せめてポケモンたちが持つ無線機から何か情報が得られないかと考え近づこうとすると倒れていたオーベムが体をふらつかせながら立ち上がろうとしていた。

 

 再びバトルをするつもりかと思い警戒するが、オーベムは近くに倒れていたレアコイルの近くまで移動すると『テレポート』を発動し2体揃ってその場から姿を消してしまう。

 

「逃げたか……やれやれ、面倒なことになったな」

 

 この相手はアメジオとは明らかにタイプが違う。正々堂々としたバトルなどする気もなく目的達成の為ならば手段を択ばない。ある意味、悪の組織としては正しい姿だ。

 

(これで終わる筈がない……)

 

 大量のレアコイルを用意してまでこちらの足止めをしてくるような相手だ。これはあくまでも本来の作戦を実行するまでの小手調べであると考えるべきだろう。

 

(守ってるだけじゃ勝てない。こっちも作戦を練る必要があるか……)

 

 

 

*** 

 

 

 

「エースのジュカインだけではない。他のポケモンも総じてレベルが高く経験値も豊富、やはり一番の難関はこの少年のようですね」

 

 画面越しに今のバトルを見ていたスピネルはやはりジンこそがこのミッションにおいて一番の障害になると改めて認識していた。その時、シュンという音と共に傷ついたレアコイルとオーベムがスピネルの背後に『テレポート』で移動してくる。

 

「ご苦労様です。戻ってください」

 

 スピネルはそう言うと傷ついたレアコイルとオーベムをボールに戻す。

 

「まぁ、いいでしょう……彼のポケモンたちの力も見る事が出来ました。この借りはいずれ……」

 





リコとイチャイチャさせるのも楽しいけど、やっぱりバトル書いてる時が一番楽しい気がします。

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