安定の6日での投稿、書けない時は100文字位しか書けないのに書けるときは時は5000字位書ける。
安定してるとも言いにくいですね。
「報告は以上だ」
ハッコウシティでのバトルを終えたジンは直ぐにその場を離れブレイブアサギ号へと帰還した。船に戻るとジンは速やかにリコの安否を確認したが何も問題がない事を知ると安堵した後にメンバー全員を招集し、今日起こった出来事を包み隠さずに報告する。
『レアコイルか……くそっ!なんで気づかなかったんだ……』
例によりスマホ越しで会議に参加していたドットは自分の担当しているシステム面で敵に上を行かれてしまった事を悔やんでいる。
「……それは仕方ないだろう。敵がレアコイルを使ってくることなんて普通は予想できないさ」
ジンはフリードからの報告と過去の旅でレアコイルの影響で起こる現象を知っていたからこそ今回対応しに動くことができたが、事前情報がなければ今も船の異常は謎のままだったかもしれない。
『……もう負けない。レアコイルが原因だって分かったなら対策はある』
「レアコイル対策?そんなのあるの?」
リコやロイなどレアコイルの対策を知らないメンバーがドットにそう問いかける。
『あぁ、レアコイルが嫌がる電波があるんだ。これから、それを流す。少なくともそれで野生のレアコイルが近づいてくることは出来ない。それから、都会なんかで使われてるレアコイルの専用の警報も用意して万全の準備を進めておく』
ドットはプライドが傷つけられた様で二度と同じ失態を繰り返さない為の対策を立てる。システム面に関してはジンは専門外だがドットの説明は筋が通っていると実感した。優秀なのだとは思っていたが、予想していたよりも能力があるのは間違いない様だ。
「了解。そっちはドットに任せる。時間はどれくらいかかりそうなんだ?」
『レアコイル対策は今晩中には……その後、システムの再起動に入るから明日の昼頃までには終わると思う』
「よし!それじゃあ、明日システムの再起動が終わったら出航する。それまで、皆、十分に警戒してくれ」
フリードの言葉を最後に会議は終了する。夜遅い事もあり、メンバーはそれぞれ自室へと戻り明日に備える事となった。
「ジン、ちょっといい?」
ジンもまたポケモンたちの状態をチェックするためにウィングデッキに向かおうとすると、ロイに引き留められる。
「どうした?」
「うん。相談があるんだけど……」
ロイの相談だが、例のサンドイッチを盗んだカイデンの事らしい。ジンがハッコウシティに向かっている間に仲を深めた様だが、その際にカイデンがある問題を抱えていることに気づいたようだ。
「上手く飛べない上に高所恐怖症か……」
飛行ポケモンにとってそれは致命的な弱点だ。飛べない、高所恐怖症、どちらか1つだけでも厄介なのにそれを2つも持っている。ある意味、珍しいと言わざるを得ない。ロイはそれらをどうにかする方法がないのか知りたい様だ。
「どうすればいいかな?」
「……実際に見てみないと何ともな」
飛べない事、高所恐怖症、どちらもそうなったからにはそれなりの理由がある筈だ。直接見れば、アドバイスの1つもできるかもしれないが、現段階では難しい。特に高所恐怖症は精神的理由から来るものだ。こればかりは一朝一夕では解決できるかは分からない。
ジンの言葉を聞くとロイはあからさまに落ち込んだ様子を見せる。その姿を見るとジンとしてもこのまま放っておくのは忍びなく感じてしまったようで、明日、朝食後にロイと共にカイデンの様子を見に行くことを決定する。
***
ロイと分かれたジンは1人、ウイングデッキに来るとポケットから6つのモンスターボールを取り出し宙に投げる。ボールの中からはジュカイン、サーナイト、ボスゴドラ、ミロカロス、ライボルト、ボーマンダとホウエン地方から連れ添ったポケモンたちが姿を現す。
本来であれば、ゲットしたばかりのハッサムやコノヨザルはメンバーに固定し鍛え上げていく予定だった。しかし、今日の一件からエクスプローラーズの襲撃がある事が予想される。その時の為に効率よく動くためには長い付き合いであるこのメンバーが最適だと判断した。
「ボーマンダ、ライボルト、今日はよくやってくれたな」
「ボーダー!」
「ライボ!」
今日のバトルで活躍してくれたボーマンダとライボルトを労うと念の為、全員の状態を確認するが特に問題は見られない。これならばいつ襲撃を受けても対処は出来るだろう。
(問題なのはいつ襲って来るのかだな……)
ジンがレアコイルとオーベムとバトルをしていた頃、リコは誰にも襲われることはなかった。ジンが傍にいない状況は間違いなくチャンスであった筈だ。フリードやマードックも傍にいた為、襲うことが出来なかったという見方も出来るが、ジンはそれではいまひとつ納得ができなかった。
(ここまで入念に準備しておきながら、なにもしないなんて事はあり得ない)
船が出航してしまえばペンダントを奪うのはより困難になる筈だ。襲ってくるとしたら、やはり船が動かせない今しかない。恐らくは敵にはまだ本命である作戦があり、これまでの妨害は全てその為にあったと考えられる。
更に、今回の敵はアメジオではない。彼の様に正面から挑んでこない以上、ただ待ち受けるだけでは駄目なのだ。
(敵の次の一手を予測するしかない……)
ある程度の道筋を立てておかなければ、ペンダントを奪われリコに危害が及ぶ可能性が高い。それだけは何としても阻止しなくてはならなかった。
(……冷静になれ。まずは情報の整理だ)
リコに危害が及ぶ。それを想像しただけで怒りで頭がどうにかなりそうだったが、それを理性で必死に抑え込み、今現在持っている情報を再確認する。
バトルを見た感じでは相手は冷静で慎重な性格をしており、アメジオの様に挑発をしても通じる事は恐らくない。また、目的達成の為には手段を択ばない姿勢も見受けられた。ポケモンのレベルも高くトレーナーの力量もあるが、あれが全力であればジンには及ばない。
(それなら、俺とバトルする展開はなるべく避けたいと考えるはずだ……)
この予想が外れていたならそれはそれで構わない。その時は改めて正面からバトルするまでの事だ。今、考えるべきは最悪の事態、ジンとリコが引き離された場合の対処についてだ。
(そして、敵にはその準備は既に出来ていると考えるべきか……)
「………サーナイト頼みがある」
***
翌日、朝食を食べ終えるとジンはロイ、そして2人の様子を気にしていたリコと共にカイデンの元へと向かっていた。
「へへ、上手くいくといいな!」
ロイは昨夜、ジンと別れてから自分なりにカイデンが恐怖心を克服する方法を考えた様だ。その結果、ランドウの釣竿を借り、そこにカイデンを括りつける命綱の仕掛けを作り上げた。これを使用し、高さに慣れる特訓をしようという訳だ。
「見つけた!カイデーン!」
船から少し離れた川沿いの草むらにて、例のカイデンを発見する。飛行タイプのポケモンが草むらに巣を作るというなかなか珍しい光景だ。
(……なるほど)
カイデンを見た瞬間、なぜカイデンが上手く飛べないのか、また高所恐怖症になってしまったのかをジンは瞬時に理解した。
このカイデンは通常の個体に比べて、明らかに小さい。上手く飛べないのはそれが大きな要因だろう。そして上手く飛べない結果、飛行に対する苦手意識ができてしまい高所恐怖症に至るという悪循環が起こってしまった。そう考えて恐らく間違いないだろう。
「カイデン、見ててよ」
ロイは釣竿に付けた命綱にカイデンを模した人形を括りつけて川の中心に向けてぶら下げる様子を見せる。カイデンはその様子に興味を持ったようで、自分にもつけて欲しいとアピールまでしている。
「よし!これでばっちり!」
ロイはカイデンに命綱を付けると恐怖心を打ち消すための特訓を開始する。こうして、少しでも慣れて勇気を出せれば、いつかは仲間たちのいる場所まで飛べるようになると考えた様だ。
(思ったよりも考えてるじゃないか。アドバイスしようかとも思ったけどこの分だと必要ないな……)
ロイに頼られた時は、まだまだだとも思ったがここまでの特訓方法を自分で考える辺り、ロイもトレーナーとして着実に成長しているのだと感じさせられる。ジンはそれを少し、寂しくも感じたがそれ以上に嬉しくも感じていた。
「ロイの特訓、ジンはどう思う?」
特訓の邪魔にならない様にジンとリコはロイから少しだけ距離を取るとリコはジンに話しかけてくる。リコから見るとロイのやり方はなかなか頑張って考えたように見えるがジンから見るとどうなのか気になったようだ。
「悪くないと思う。時間はかかるかもしれないが、この方法ならいつか実を結ぶかもな」
「うん!そうだよね!」
ジンのお墨付きという事もあり、リコはこの特訓方法が間違いではないと分かると安心した様子を見せる。
(多分、これが一番いいやり方だ。他の方法もあるにはあるけど、荒療治過ぎる)
具体的に言うと、カイデンの抱いている高い所への恐怖心をそれ以上の恐怖を与えて払拭するという方法だ。例えば、ボーマンダに括りつけて『りゅうのまい』などで素早さを最高値にまで上げた状態で空を最高スピードで駆け抜ける。
これが上手くいけばカイデンは現在、抱いている高い所への恐怖心を打ち消すことができるかもしれない。尤もこの方法は代償も大きく、トラウマを増やすだけの可能性もあるし上手くいくかどうかは半ば賭けの様な要素もある。
(だから、最後の最後……本当にもうどうすることも出来ないって状況になるまでは提案しないでおくか)
ジンとしてもできればこの方法は使いたくない。ロイの特訓が上手く行くことを祈りながら見ていると突然、リコのスマホロトムに通知音がなる。
「店からのお知らせ?これって……秘伝:からスパイスだ!」
昨日、リコがマードックたちと買い物に行った際に唯一手に入らなかったものでマードックが欲しがっていたスパイスだ。しかもそれが数量限定での販売、これを知ってしまった以上買いに行かないという選択肢はリコにはなかった。
「私、ちょっと買ってくる!」
「それなら、俺も行くか。ここにいても多分、やることなさそうだし」
ロイの特訓方法は時間はかかるが安全だ。よっぽどのハプニングでもない限り、ジンに出番は来ない。それならば、狙われる可能性のあるリコについていた方が遥かにいい。
「それじゃあ、ジンも一緒に行こう。ロイ!私達、買い出しに行って来るね」
「何かあったら連絡してくれ。直ぐに戻ってくるから」
「うん。2人ともいってらっしゃーい」
***
カイデンの高い所への恐怖心をなくすための特訓を続けるロイを残し、ジンとリコはハッコウシティへと来ていた。
「店は近いのか?」
「うん。もう少し先かな?まだ残ってるといいんだけど……」
マードックの欲しがっていた秘伝:からスパイス、どれ程、貴重な物なのかはジンたちには分からなかったが数量限定となっている辺りからそれなりの人気商品であることは間違いない。手に入れる為に少し駆け足になりながら地図に示された店へと向かう。
「っ!止まれ!」
リコの前を走っていたジンは突然、四方から敵意をぶつけられたことに気づき、リコを制止させる。するとジンたちと同い年位の少年たちが複数人現れジンたちの進もうとしていた道と背後を塞いでしまう。
(なんだ?エクスプローラーズか……)
ジンはリコを自分の背中に回し盾になれる配置を取った。ポケットにあるボールに手をかけ、いつ戦闘が始まっても対処できるように準備する。
「やっぱり間違いない!こいつがジンだ」
少年たちの1人がスマホロトムの画面とジンを見比べた後、そう発言すると周りにいた少年たちは全員、鋭い視線をジンに対して向け始める。
「……なにか用か?」
ジンは警戒を強めながらも殺気に怯える事無く要件を訪ねると、ジンたちの正面にいたリーダー格と思われる少年が一歩前に出る。
「お前だろ!ネモさんとバトルして偶然にも勝ったホウエン地方のトレーナーのジンってやつは!」
「……まぁ、ジンであってるけど」
「やっぱりか!ネモさんが本気だったら、お前なんかに絶対に負けるわけないんだ!」
「そうだ!ネモさんはパルデア地方最強のトレーナーの1人なんだぞ!」
「俺達とバトルしろ!お前がネモさん以下のトレーナーだって証明してやる!」
ジンがネモとバトルしたことを認めると少年たちは一斉にモンスターボールを構え、勝負を挑んでくる。エクスプローラーズの襲撃かと警戒していたが、どうやら単なるネモのファンたちの様だ。
「ぐ、偶然って!あなた達にジンのなにが分かるんですか!?」
少年たちに対してリコは声を荒げて反論する。恋人のジンが中傷されたことに対する怒りもあったが、それ以上にあの場で2人のバトルを見ていたものの1人としてあのバトルが偶然などという言葉だけで済ませるのは容認できなかった。
「うるさい!関係ない奴は黙ってろ!」
「これはパルデアの威信をかけた戦いだ。邪魔するなよ!」
リコの言葉も残念ながら少年たちには響かなかった様だ。というよりも最初から聞くような耳は持っていらしい。ジンやリコが何を言っても恐らくは意味はないのだろう。彼らの暴走を止められるとしたら、それこそネモだけだ。少年たちの様子からそのことを悟ってしまった。
「仕方ないか。リコ、悪いんだが先に行っててくれ」
「……この人たちとバトルするの?」
「しないと許してくれそうにないしな……そんな顔するなよ。こういう事は偶にある」
ジムリーダーなどの中にはその町に住む人々から絶対的な人気を集めてアイドル並みの扱いを受けている者もおり、ジム戦をしに来ただけなのに町の人々が挑戦させまいとしてバトルを挑んでくる人だっている。
多くのトレーナーやジムリーダーを倒してきたジンにとって、この手の因縁を付けられるのも初めてではないのだ。
「俺はここでお前たちとバトルするから、彼女は通ってもいいよな?」
ジンが少年たちに問うと、少年たちは互いに目配せすると道を少しだけ開く。リコだけであれば通っても問題ない様だ。
「リコ、悪いんだが買い物は頼んだ」
「うん!こんな人たちに負けないでよ!」
リコはそう言うと、開かれた道を進み目的地であった店のある場所へと向かっていく。リコが通ると少年たちは再び道を塞ぎジンを取り囲む。
「始めるぞ!まずは俺が相手だ!」
正面にいたリーダー格の少年が真っ先に勝負へと名乗り出た。どうやら、多数で囲んではいるがバトルで一斉に襲い掛かるほどの悪党ではないらしい。
「行け!オラチフ」
ボールから出てきたのはギザギザした牙がむき出しで特徴的なしかめっ面をした犬の様な姿をしたわかぞうポケモンのオラチフだ。
(パルデア地方の悪タイプのポケモンだったな。さて、こっちは……)
「朝からずっとお前がここに来るのを待ってたんだ!オラチフ、絶対に倒すぞ!」
(……なに?)
「ちょっと待て、俺を見つけたのは偶然じゃないのか?」
「あ?お前が昨日、この街でバトルしたのを目撃したって情報がネモさんのファンクラブに送られてきたんだよ。だから、俺達は……おい!聞いてるのか!」
リーダー格の少年が話している途中でジンは少年の事を無視して昨日の事を思い出し始める。
(昨日、街に入る時と出た時はボーマンダに乗って空を飛んでいた。その時に見つからる可能性はほぼない。バトルをしている時も周辺には気を使っていたが、人もポケモンの気配もなかった……)
ジンが見落としていた可能性もゼロではない。だが、あの時のバトルの事を知っていてその情報を利用する相手には1人だけ心当たりがあった。
「……そういう事か。やってくれるな」
「おい!いい加減にバトルを始めるぞ!」
「勿論だ。約束は守る。だが、ルールを変更しよう」
ジンはポケットからボールを出し宙に投げる。出てきたのは相棒であり、ジンの最強のポケモンのジュカインだ。ジンとジュカインは囲んでいた全ての少年たちを強く睨みつけると高らかに宣言した。
「全員、ポケモンを出せ!纏めて相手をしてやる」
「ふ、ふざけやがって!やれるもんならやってみろ!」
その言葉を合図に少年たちは次々とポケモンを繰り出し、ジュカインを囲むように陣形を組み始めた。
「速攻で終わらせるぞ!『リーフストーム』!」
「ジュッカァァァァァ!」
***
一方、ジンと分かれたリコはニャオハと共に目的地であった店の近くにまで来ていた。このまま進めば数分としないうちに店に到着する。
「……失礼な人たち」
先程の少年たちの態度を思い出すと、また怒りがこみ上げてくる。自分の推しているトレーナーが負ければ悔しいのは理解できるが、それを偶然などと言って因縁をつけるのはあまりにも失礼な行動だ。
「……ニャ~」
「あ、ごめんね。ニャオハ」
腕に抱いていたニャオハが声を上げるとリコは冷静さを少しだけ取り戻す。
(大丈夫……ジンがあんな人たちに負けるわけない)
ポケモンバトルをすれば、あの少年たちはジンに敗れてジンの強さを思い知る事になる。リコが何かをする必要はないのだ。
ジンは直ぐに追いつくと言っていた以上、バトル中に遊びも技を試すようなこともしない。強力な技で速やかに倒してしまうだろう。そうなってしまえば……
(むしろ、バトルに負けて傷つくことになるあの人たちのポケモンたちの方が心配かも……)
そう考えれば、少年たちへの怒りも消えてくる。むしろ、バトル後には同情したくなってしまう可能性すらあった。
「地図だと……この先だ!」
そうこう考えている内に目的地であった店の近くまで来ていたようだ。地図を見ながら路地を曲がり、ゆっくり進んでいく。しかし、そこには袋小路になっており目的の店は存在しなかった。
「行き止まり?地図だとここの筈なんだけど……」
道を間違えたのかと思い、一旦、ここから出ようと来た道を戻ろうとするがその瞬間、背後にいた人物とぶつかってスマホロトムを落としてしまう。
「あっ……」
「失礼!大丈夫でしたか?」
「こちらこそ、ごめんなさい。大丈夫です」
リコはぶつかった人物、長身で眼鏡をかけ傍にはブラッキーを連れた男性に謝ると落としたスマホロトムを拾おうとする。
(よかった。壊れてない)
手に取ったスマホロトムに異常がないのを確認し、顔を上げるとそこには先ほどまではいなかったポケモン、オーベムが両腕をリコに向けて浮いていた。
「……え?」
リコとニャオハは突然の出来事に驚き、体が硬直してしまった。するとオーベムは両腕の三色の指を点滅させる。
オーベムは強力なサイコパワーで相手の脳を操り、記憶を書き換えてしまうという恐ろしい能力を持つポケモンだ。今、正にオーベムはリコの記憶を書き換え、これまでの学園やパルデアまでの冒険の記憶を失っていく…………筈だった。
「オベ!?」
「なに!?」
記憶を奪おうとしたオーベムを左横から黒い光球が襲い掛かる。突然の攻撃にオーベムは対処できず攻撃を受け路地の奥へと吹き飛ばされる。
「……あ」
オーベムが離れた事でリコとニャオハは意識を取り戻す。慌てて光球が飛んできた方に視線を送ると見慣れたポケモンが怒りの形相を浮かべていた。
「さ、サーナイト!?」
サーナイトは『テレポート』を発動し、リコとニャオハの近くに移動すると2人を連れ再度『テレポート』し男性から距離を取る。
「馬鹿な!?なぜここに!?あの少年はまだ……」
「サナ!」
長身の男性、スピネルの言葉を遮りサーナイトは両手の前に再度、黒い光球『シャドーボール』を作り出す。ブラッキーは咄嗟にスピネルの盾になろうと前に出るが無意味だ。
サーナイトは作り出した『シャドーボール』をスピネルにではなく上空に向けて放つ。放たれた『シャドーボール』は空高く上がると花火の様に爆発した。
「これは……少々、まずいですね。ブラッキー『あくのはどう』」
リコ、ニャオハ、ブラッキーにはサーナイトの意図は分からなかったがスピネルにだけはその行為の意味が理解出来た様だ。今の『シャドーボール』でこの場所が知られてしまった。早急に目の前にいるサーナイトを倒し、ペンダントを奪わなくてはならない。そう考えブラッキーに指示を出す。
「ブラッ!」
ブラッキーは体から悪意に満ちたオーラを発し攻撃を仕掛けるが、サーナイトは『まもる』を発動し『あくのはどう』を防ぐ。
「もう一度『あくのはどう』です!」
『まもる』は連続での使用が困難な技だ。その為、連続で攻撃を仕掛けるのは正しい選択ではある。だが、ジンの特訓を長年受けたサーナイトはジンの指示がなくても自分で考え行動が取れるポケモンだ。ただ、防御するだけで終わる筈がない。
「サーッナ!」
サーナイトは『あくのはどう』に対し相性のいい『ムーンフォース』を使用し『あくのはどう』を打ち消し、更にその勢いのままブラッキーに攻撃を当てダメージを与える。
「ブラッキー!?このままでは……」
スピネルは少し焦った様子を見せる。だが、彼の立場になればその気持ちは理解できる。既にサーナイトの技でここの場所は知られ、バトルが始まり数分が経過してしまった。このまま無為に時間が過ぎて行けばスピネルにとって最悪の事態は免れない。
そして、その時は唐突に訪れた。
「このままでは……どうなるんだ?」
「っ!?」
声のした上空に視線を向ければ、スピネルが最も警戒していたジンがボーマンダに乗りスピネルを冷たいまなざしで睨みつけていた。ボーマンダはゆっくり地面へと降下していき、遂にリコやサーナイトのすぐそばにジンは辿り着いたのだ。
「やっと追いついた……さぁ、覚悟はいいか?」
最初は原作通りリコが記憶を失うが、ジンと顔を合わせたことで全てを思い出す……みたいな展開で書こうと思ってたんですが、ここまでヒントを得ながら何の対策もしないジンを書きたくなかったのでこんな展開になっちゃいました。
後悔はしてません!
☆10
NEO 0805さん
高評価ありがとうございます。
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