こんなに早く小説を書けたの初めてかもしれないです。こういうの筆が乗るっていうんですかね?
先日の湖での一件の後、リコはジンのアドバイスに従ってまずはニャオハの観察を始めていた。ニャオハに一日ついて行き、どんな行動をとるのか、どんな事が好きなのか、どこがお気に入りの場所なのかなど知れることは全て知るつもりのようだ。
(確かに知ることから始めろとは言ったけど、ひたすらついて行って行動をメモするって、やり方が真面目ちゃんだな)
だが、リコはそのやり方でいい。自分なりに考えたうえで行動を起こしたのだ。なにもしないよりもその方がずっといいに決まっている。しかし、リコの身体能力は普通の少女と変わらない。ニャオハに置いて行かれることもしばしばあるようだ。
「なんだ?またニャオハどこかに行ったのか?」
「うん。でもニャオハには何か所かお気に入りのひなたぼっこ場所があるんだ。そこに行けば見つかると思う」
「ほ~」
リコにニャオハの事を知る様にアドバイスしたのはジンである。だが、まさかたった数日でそこまでの情報を手に入れるとは思っておらず、思わず感心してしまった。
「じゃあ、ニャオハ探しに行ってくるね!」
「ああ、頑張れ」
「うん!」
ニャオハを探しに行くリコとそれを見送るジン。
(ちょっと心配だけど、今は見守ることにするか)
本音を言うと、ジンは一緒に探しに行きたいとは思っていた。だが、リコはニャオハの事を知るために頑張り始めている。ならば、ただ手助けするだけでなくここはリコとニャオハの事を信じて見守る選択をしたいと思った。
寮の門限を過ぎた頃、ジンは寮を抜け出そうとしていた。特に理由があったわけではない。ただ、何となく眠れなくてまたあの湖を見たくなったのだ。物陰に潜み、警備員の目線に気を配り、物音を建てずに息を殺して見つからない様に行動をしていく。
ちなみに、段ボールは被っていない。
敷地を抜け出し、茂みに入り進んでいくとあの湖が見えてきた。湖は夕方に見た時とは違い、星空を反射しており以前とはまた違う美しさであった。しばし、湖に気を取られていると少し離れた場所から聞きなれた声が聞こえてきた。
(……ひょっとして)
「ニャオハ『このは』!」
「ニャー!」
ニャオハの首元から緑の葉が湧き上がろうとするが、それは直ぐに消えてしまう。
「う~ん。駄目か~」
予想通りリコとニャオハだった。どうやら、技の特訓の最中らしい。
(夜中も特訓か。思ってた以上に根性がありそうだな。だけど…)
技が不発で落ち込むリコ、そしてニャオハは飽きてしまったのか近くの岩で爪とぎを始めてしまう。
(仲は良くなったみたいだけど、連携はまだまだみたいだな)
それは時間をかけて磨いていくしかないのも事実である。だが、お手本の様なものがあればそれを目指して活動することも可能になる筈だ。
(見守るって決めたばかりだったけど、少しだけ手助けしてみるか……でも、その前に)
ジンは一瞬悪い表情をすると、こっそりとリコの背後に回っていく。そして大きく息を吸うと大声で叫ぶ。
「こらーーー!今何時だと思ってるんだ!生徒は早く寮に戻りなさい!」
「きゃっ!ご、ごめんなさい」
リコは反射的に背後の声の人物に頭を下げるとゆっくり相手の表情を窺う。
「………………」
「門限を破っちゃいかんよ。この不良生徒め!」
「……ジン、何やってるの?」
「口うるさい生活指導員ごっこ」
自分がからかわれていた事に気づくと、リコはだんだんと怒りの感情が心から溢れてくる。
「もう!本当にびっくりしたんだから!」
「ははは」
「笑ってごまかさないで!」
ぽかぽかとジンを叩くリコ、だが、相手のジンには効果はいまひとつのようだ。いまひとつである以前に楽しんでいるようにすら見受けられる。
「悪かったよ。それで技の特訓してたのか?」
「……うん。でも、ニャオハが飽きちゃったみたいだし、今日はもうここまでにしようかなって」
「ニャァ?」
「そう?それなら二人に良い物見せてやるよ」
「「?」」
「出てきてくれ」
ジンはポケットに手を入れるとモンスターボールを取り出し、宙に放り投げる。
「ジュカ!」
モンスターボールから出たのは緑色の体に顎とお腹に赤の模様、背中に黄色く丸いタネが2個ずつ縦に3列並び腕には葉っぱが生えているポケモンだ。さらに首元には変わった模様の石が付けられた緑色のスカーフを巻いている。
「このポケモンは?」
リコはスマホロトムを取り出し、ポケモンの事を調べる。
『ジュカイン みつりんポケモン キモリの最終進化形 腕に生えた葉っぱは大木もスッパリ切り倒す切れ味。 密林の戦いでは無敵』
「俺の相棒のジュカインだ」
「ジュカ」
目の前のジュカインはものすごく強い。ポケモントレーナーとしての日が浅いリコやレベルの低いニャオハですら理解できた。
「二人ともよく見てろよ」
「「?」」
ジンはジュカインにアイコンタクトを送るとリコたちに背を向け、湖へと視線を送る。
「ジュカイン!『リーフストーム』」
「ジュッカァ!」
先程、ニャオハが一瞬だけできた『このは』とは比べ物にならないほどの量と威力の尖った葉で嵐を巻き起こし湖に向かって飛ばす。あまりの威力に、湖が割れ大量の水飛沫が飛び散る。
「………凄い」
「ニャー!」
あまりの威力の『リーフストーム』に言葉をなくすリコ、そしてその光景を目をキラキラさせながら見るニャオハ。
「今の『リーフストーム』は言うならば『このは』の威力を強力にしたものって思ってくれていい」
「えっ!そうなの?」
(信じられない。全然違う物に見えたのに)
「どうだ?ニャオハ、あれできるようになりたいか?」
「ニャー!」
「だったら、地道に特訓していくしかない。だけど残念、リコは今日は終わりにするって言ってたから今日はお預けだな」
その瞬間、ニャオハはリコの前で何度もジャンプをしながらやる気をアピールする。
「ニャーニャーニャー!」
「ニャオハ?」
「どうするリコ?ニャオハはやる気みたいだぞ」
(そうか。ジンはこの為に……)
「……うん!続けよう!行くよニャオハ!」
「ニャーー!」
リコとニャオハは特訓を再開する。時々、ジンの助言やジュカインの手本も見せてもらいつつの特訓は二人でやっていた時よりも格段に速いスピードで上達していくのがリコにも分かった。
そして……
「ニャオハ『このは』!」
「ニャ!」
ニャオハから複数の葉が舞い上がり的にしていた岩に命中する。
「で、できた!やった!できたよニャオハ!」
「ニャーーー!」
よほど嬉しかったのかリコとニャオハはお互いを抱きしめあって喜んでいる。それを見たジンとジュカインもリコたち程ではないが成功を喜び、こっそりグーにした手をぶつけ合う。
「ジン、ジュカイン!ありがとう、2人のお陰だよ!」
「ニャー!」
「どういたしまして。だけどリコとニャオハが頑張ったからだよ。な、ジュカイン」
「ジュカ」
「えへへ」
本当にうれしそうに笑うリコ、その笑顔からどれだけ本気で特訓をしていたのかが窺える。しかし、次の瞬間、足の力が抜けたようにその場に座り込んでしまう。
「あ、あれ?」
「おいおい、大丈夫か?」
「う、うん。何か急に力が…」
「……ケガはなさそうだな」
一応、簡単な診断を行うがケガはない。恐らく、特訓に集中するあまり体力の限界を超えていたのだろう。
「少し、休もう。そしたら寮に戻って今日はゆっくり休んだ方がいい」
「うん。そうするね」
「ニャ~」
「ニャオハ…ありがとう。大丈夫、ちょっと疲れただけだから」
(……根性はあると思ってたけど、思ってたよりも頑張り屋だな。今度からその辺りも注意しながら特訓しないと)
「ほい」
ジンは寮から出る際に冷蔵庫の中から勝手に持ってきていたペットボトルをリコに差し出す。
「おいしい水だ。飲んでいいぞ」
「え?でも…」
「まだ、口は付けてないよ。疲れてるんだし、遠慮しないでもらってくれ」
「……ありがとう、ジン」
リコはジンから貰ったおいしい水をゆっくり飲んでいく。飲み物の効果もあり、先ほどよりも少し顔色が良くなる。
「ねぇ、ジン」
「うん?どうした?」
「さっきから、気になってたんだけどジュカインが巻いてるスカーフって何か特別な物なの?」
「いや、スカーフは普通のやつだよ。大事なのはスカーフについてる石の方だ。あれは俺とジュカインの絆の証みたいなものなんだよ」
「絆の証?」
「そう」
ジンは制服の胸元に手を入れるとそこからペンダントを取り出す。ペンダントにはジュカインのスカーフについているのと同じような石が付けられていた。
「この二つの石が絆の証、それがどういう意味なのかはそのうち見せてやるよ」
(ジンとジュカインの絆の証……なんだか、羨ましいな)
休憩を終えると、リコたちは茂みを越えて学園の敷地内まで戻る。寮の前でジンと別れ警備員に見つからない様に移動したリコは自室まで戻ってきていた。
(ジンのペンダント……似合っててかっこよかったな)
先程のジンのペンダントの事を思い出し、リコはベッドの下に置いていた箱を取り出すと、ふたを開け中に入っていたペンダントを眺める。
「どしたの?」
「うわっ!」
物音で起きてしまったのかルームメイトのアンがリコの背後から話しかけてくる。
「ごめん、起こしちゃった?」
「気にしないで~何それ?」
「えっと…お守り」
「お守り?」
「おばあちゃんから貰ったんだ。私の事、守ってくれてるんだって」
「へぇ~触ってもいい?」
「うん」
アンは箱からペンダントを取り出すと、リコの前に垂らしつけている所を想像する。
「何でしまっとくの?絶対似合うのに!」
「うん…私にはまだ早いかなって…」
「ふ~ん?じゃあ、何で見てたの?」
「え?」
思ってもみなかった返しにリコは動揺を露わにしてしまう。
「うん?どしたの?」
「えっと……さっき、ジンにニャオハの特訓に付き合ってもらってたんだけど、その時ジンがペンダント持ってるの見て、なんか久しぶりに見たくなったっていうか」
リコの答えを聞くとアンは途端にニヤニヤと悪そうな顔をする。
「へぇ~こんな夜中にデートしてきたんだ~」
「で、デート!ち、違う!そんなんじゃないから!特訓に付き合ってもらっただけ!」
「照れることないじゃん。それでジンとお揃いになるようにペンダント取り出してたんでしょう?」
「だ、だから違うってば~」
リコは顔を真っ赤にすると手をブンブン回しながら強く主張する。
「そ、それにジンだって、私の事なんて……何とも思ってなんか…」
「そうかな~」
(私から見るとジンはリコの事、好きっぽいけどな~)
アンから見るとジンがリコの事を好きなのは間違いないと思っている。そして、リコも色々と面倒を見てくれているジンに対して想いを寄せていると思っていた。ただ、残念なのは二人ともそのことに対して無自覚なことだろう
(まぁ、ポニータに蹴られるのもガーディに噛まれるのも嫌だし、この辺にしておいてあげようかな?)
だが、アンはそれ以上は追及しなかった。本人のいない所で他人が人の恋愛感情をばらすのはよくないと思ったのは間違いない。
(しばらくは、この状態を見てる方が面白そうだし!)
それと同時に2人が互いの恋愛感情を自覚したときの反応を見たいと思ったのは本人しか知らない。
その日以降も湖はジンとリコの秘密の特訓場所となり放課後や夜中に二人は寮から抜け出し、技の特訓や実戦形式のバトルなどを行うこととなる。
そうして過ごしていくうちに、ジンたちがセキエイ学園に通うようになってから幾日が経ち生徒たちは初めての大型連休を迎えることになる。
「ここか」
そして今、一人の少年がこのセキエイ学園を訪れていた。彼との出会いによりジンとリコは全く予想のしていなかった事件に巻き込まれる事となる。
ジンとリコの物語に大きな変化が起きようとしていた。
手持ち
ジュカイン
???
???
???
???
???
ジン君の相棒はジュカインでした。リコの相棒がニャオハだし、やっぱり草タイプにしたかったんです。
☆9 ただコナさん、テト·ストラトスさん、スルメ以下さん
高評価ありがとうございました!