ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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予定通りちょっと遅くなりました。本当すいません。
ブルーベリー学園楽しいですね。知り合いとBP集めを何時間もやっちゃいました。

アニメでロイがレックウザに挑もうとするシーンを見て、私を含め多くの人が思ったと思いますが……バトルでレックウザを倒してゲットする場面が全く思いつかない。ゲットするとしても友情ゲットがいい所ですよね?


VSナンジャモpart2

 

「よし!まずは1体倒した!」

 

 ブレイブアサギ号ではライジングボルテッカーズのメンバーたちがそれぞれ自分のスマホロトムでジンとナンジャモのバトルの生配信を見ていた。ちなみに、当初は付いていく事をリコは望んでいたがジンに強制的に船に残らされている。

 

 スピネルの襲撃は流石にもうないだろうが、敵がまだ近くにいる可能性はある。人混みの多い中では危険な上にバトルが始まればジンもリコの事を気にしてはいられない。それならば、船で皆といた方がいい。そう判断したのだ。

 

「しかし、凄い威力の頭突きだったな」

 

 マードックが言うように『ストーンエッジ』でマルマインはダメージを受けていたが、戦闘不能にまで至らしめたのは間違いなく最後に使った『もろはのずつき』で間違いない。

 

「あぁ、ただし『もろはのずつき』は『ボルテッカー』と同じで反動ダメージのある技だがな…」

「じゃあ、何度も使えないって事?いいの?フルバトルの序盤で使っちゃって?」

「普通ならな。でも、確かジンのボスゴドラの特性は『いしあたま』だった筈だ」

 

 特性『いしあたま』、この特性を持っているポケモンは『もろはのずつき』や『すてみタックル』などの使った後に反動ダメージを受ける技を使用してもダメージを受ける事がない。

 

「その特性超お得じゃん!?だから、ボスゴドラいつも何のお構いもなくホゲータに突っ込んでくるんだ……」

「……ホンゲェ」

 

 ロイとホゲータは特訓の際、ボスゴドラがいつも何のためらいもなくタックルやら頭突きをかましてくる事ができる理由が分かったようだ。それと同時にこの先もまたあの頭突きが来る未来を想像して顔を青くしていた。

 

「カーイ……」

 

 そんな2人を微妙な顔つきで見ていたのはロイの新たなポケモンとなったカイデンだ。ロイが飛ぶ特訓に付き合っていたポケモンで特訓の成果もあり恐怖心を克服したカイデンはそのままロイと共に行く事を選びここにいる。

 

「……カイデンも直ぐに慣れるから大丈夫だよ」

「ホンゲ~」

 

 何かを悟った様な顔をしているロイとホゲータを見てカイデンは早速、ここまで付いてきてしまった事を後悔しそうになっていた。

 

「……まぁ、何はともあれジンが一歩リードってところ?」

「一応な。だが、まだ始まったばかりだ。ここからだな」

 

 ジンは既にナンジャモのポケモンを1体倒し、更に『ひかりのかべ』で特防を上げ『ステルスロック』で交代するポケモンにダメージを与える事ができる。しかし、フィールドには『エレキフィールド』が展開し電気タイプが有利で『おいかぜ』が継続中の為、素早さも相手の方が上だ。

 

 攻守でバランスがいいのはジンだが、攻撃に関してのみならば有利なのはナンジャモと言えるだろう。

 

(ジン……大丈夫だよね?)

 

 リコはジンが勝つことを疑ってはいない。しかし、リコはジンが……というよりもフルバトルを見たことがない。見た事があるのはいつもシングルバトルのみでありフルバトルなどの戦略性など何も知らないのだ。

 

(……信じてるよ)

 

 船に置いてけぼりにされた事やレディファーストなどと言って先攻を譲った時は負けちゃえなどとひっそりと思ったリコだが、いざ始まってしまえばジンの事を応援し食い入るようにバトルを見ていた。

 

 

 

***

 

 

 

「ありがとうマルマイン!無駄にしないよ!」

 

 意識を失ったマルマインを回収しながらナンジャモは感謝の言葉を伝える。『エレキフィールド』があるのとないのでは電気タイプのポケモンにとって戦況は大違いなのだ。

 

「お願い!レントラー!」

 

 ナンジャモが続いて出したのはレントラーだ。フィールドに出たレントラーは出て早々に『ステルスロック』が襲い掛かりダメージを負う。ダメージを負いながらもボスゴドラを強く睨みつけた。特性は『いかく』で間違いないだろう。

 

「突っ込むよ!『ワイルドボルト』!」

「前方に『いわなだれ』だ!」

 

 レントラーは体に電撃を纏い突っ込んでくる。それに対してボスゴドラは『いわなだれ』を間に落とし、身を守る盾にしようとする。しかし、レントラーは間に置かれた岩を次々に破壊して突き進む。

 

「『てっぺき』で受け止めろ!」

 

 岩を突破してくるレントラーにボスゴドラは『てっぺき』で防御を上げると守りの姿勢を取り待ち構えた。

 

「ゴッドォ!」

 

 レントラーの『ワイルドボルト』は『エレキフィールド』の効果により威力は上昇していたが、元々耐久値の高いボスゴドラだ。『いわなだれ』を無理に突破したことで威力が落ち始めた上に『てっぺき』により更に防御を上げていた事もあり多少のダメージではあったが受け止める事に成功する。

 

 しかし……

 

「『サイコファング』!」

 

 レントラーは受け止められたのと同時に反動ダメージを受けながらも牙にサイコパワーを纏わせて右腕に噛みつき始めた。それと同時に追加効果でボスゴドラに纏われていた『ひかりのかべ』さえも破壊されてしまう。

 

「ボスゴドラ!『アイアンヘッド』!」

 

 ボスゴドラは噛まれている腕を上げレントラーを捉えると頭に力を籠めレントラーの頭に思い切りぶつける。レントラーは直接、脳にダメージを受けたことで限界を迎えそのまま口を放すとフィールドに倒れ込む。

 

「ごめんねレントラー。役目を果たしてくれてありがとう」

 

 レントラーの役目、それは間違いなく『ひかりのかべ』の破壊だ。そうするだけの理由があったことが今の会話から推測できる。

 

「2タテされちゃったか~!ジン氏!本当に強いね!」

「このまま全部倒してしまうかもしれませんよ」

「ニッシッシッシ、やれるもんならやってみてよ!ボクもこのままじゃあ終われないんだから!」

 

 レントラーの回収を終えたナンジャモは新たなボールに手をかける。

 

「行くよ!ボクの相棒!」

 

 次にフィールドに出たのはナンジャモの相棒、配信の際によく隣にいる。でんきがえるポケモンのハラバリーだ。フィールドに出るのと同時に例により『ステルスロック』が襲い掛かる。

 

「……このまま行くぞ!ボスゴドラ」

 

 『ひかりのかべ』を破壊したことから攻撃は特殊型なのは想像できる。しかもあの見た目だ。防御は高いかもしれないが素早さはそれ程ではなさそうに見える。だが、『おいかぜ』は継続したままだ。それならば鈍足のボスゴドラで様子を見ようと判断した。

 

 なのだが……

 

(……仕掛けてこない?)

 

 ハラバリーは動かない。ナンジャモも指示を出す様子もなくジンたちの動きを待っているようだ。

 

(……攻めてみるか)

 

「ボスゴドラ『じしん』だ!」

「『リフレクター』で防いで!」

 

 ボスゴドラは地面を揺らし効果抜群の『じしん』を発動した。フィールド全体が揺れ、下の海にまで波を起こさせる威力であったが、ハラバリーは『リフレクター』を発動させダメージを軽減する。だが、完全には防ぎぎれなかったようでかなりのダメージを受けていた。

 

「凄い威力……でも!これで準備完了じゃ!ハラバリー!お返しするよ!『かみなり』!」

 

 ハラバリーの特性『でんきにかえる』、これにより攻撃を受けると『じゅうでん』と同じ状態になり電気タイプの技の威力を一回だけ倍に出来る。強力な『かみなり』に特性と『エレキフィールド』の効果もプラスされ通常以上の電撃がボスゴドラに襲い掛かる。

 

(……素晴らしい)

 

 思わず目をつぶりたくなる程の光と威力を持った電撃をジンは素直に称賛した。これ程の威力の『かみなり』は滅多にお目に掛かれない。多大なダメージと引き換えにポケモンの特性、フィールドの状態などを利用した最高の『かみなり』と呼んでいいだろう。如何に打たれ強いボスゴドラであっても当然、この攻撃には大ダメージを受けていた。

 

 だが……

 

「嘘!?」

「……惜しかったな」

 

 ボスゴドラは辛うじて、辛うじてではあったがまだ立っていた。しかし、体中に焦げ跡があり立っているのもやっとという状態である。

 

「一撃で倒せる!ハラバリー『みずのはどう』で仕留めて!」

 

 ナンジャモの判断は正しい。もはやボスゴドラは動くのも覚束ない程のダメージだ。しかし、この状態だからこそ最高の威力を持って使える技も存在する。

 

「よく耐えた!決めるぞ!『メタルバースト』!」

 

 ボスゴドラは今受けた『かみなり』のダメージを鋼のエネルギーに変換し口から発射する。『みずのはどう』をかき消し、『リフレクター』さえも突破しハラバリーを貫いた。ハラバリーは自分が放った『かみなり』以上のエネルギーを正面から受けフィードの壁へと吹き飛ばされる。

 

「ハラバリー!?」

 

 これでナンジャモはマルマイン、レントラーに続いて相棒のハラバリーまでもがボスゴドラ1体に戦闘不能にされてしまった。形勢はどう見てもジンが有利だが、代償も当然ある。

 

「……ゴドォ……ゴドォ……」

 

 ボスゴドラはなんとか立ってはいるが、レントラーの攻撃やハラバリーの『かみなり』によりダメージは限界ギリギリのところまで来てしまっている。これ以上の戦闘は恐らく難しい。実質、戦闘不能と同じ扱いだ。

 

「……ここまでだな。戻れボスゴドラ」

 

 ジンはボスゴドラをボールに戻した。このバトル中、ボスゴドラは余程の緊急事態にでも陥らない限り再び出すことはないだろう。

 

「ジン氏!もうちょいボクの事を立ててくれてもいいんじゃない!3タテはいくらなんでもやりすぎだぞー!」

 

 ジンは未だに6体、内1体はほぼ戦闘不能だが、ナンジャモは残り3体と確かに少々一方的な展開になりつつある。

 

「それは失礼……でも、仕方ないんですよ。最近、できた彼女がいるんですけど、あの子嫉妬深くてあんまり他の女性に優しくしすぎると直ぐにへそを曲げてしまうんです。まぁ、そういう所も可愛いんですけどね」

「真剣勝負の場で惚気るなーー!」

 

 ジンが惚気るとスマホロトムのコメント欄に「リア充『だいばくはつ』しろ」、「ナンジャモ頑張れ!」などというコメントで埋め尽くされていく。ナンジャモの応援コメントとジンへのアンチコメントと分かりやすい程に差が出ていた。

 

(……少しは盛り上がってきたな)

 

 このバトルの目的は街の人たちを落ち着かせ、オリーヴァの噂を消すことにある。バトルが一方的すぎても困るのだがナンジャモはジムリーダーに相応しい使い手だ。下手に手を抜くと必要以上の被害を被る事になってしまう。そうなるくらいであれば、こうしてトークで場を盛り上げていく事も必要である。

 

「……ん?」

「うっ……」

 

 ジンとナンジャモはほぼ同時に気づいてしまった。バトル開始時にタイカイデンが展開した『おいかぜ』が今、効果を終えて消えてしまったのだ。これでナンジャモに残されたアドバンテージは『エレキフィールド』のみである。

 

(『エレキフィールド』か……消えるのを待つのも面倒だな。それじゃあ……)

 

「頼んだ!ライボルト!」

 

 ジンは3体目にライボルトを場に出す。ライボルトを目にした瞬間、ナンジャモは目を輝かせて注目し始めた。

 

「ライボルト……ジン氏!その子って電気タイプだよね!」

「えぇ、ご存じでしたか?」

「名前は知ってるけど、見るのは初めてだよ!パルデアにはいないポケモンだもん!あ~タテガミが可愛い!目も鋭くて最高!ねぇねぇ!ボクが勝ったらライボルトの写真撮らせてよ~」

 

 ナンジャモ氏、初めて見る電気タイプのポケモンにメロメロ状態である。ライボルトはかっこいいなどと言われたことはあるが、可愛いと評されたのは初めての様で少々、困惑気味な様子を見せている。

 

「構いませんよ。バトルの後で良ければどうぞ」

「よっし!写真の為にもここから逆転だ!お願いエレキブル!」

 

 ライボルトと写真を撮るために気合を入れなおしたナンジャモが次に出したのはエレキブルだ。登場と同時に岩が襲い掛かりダメージを受ける。

 

「……エレキブルか。ライボルト戻ってくれ」

 

 相手がエレキブルである事を確認するとジンは出したばかりのライボルトを直ぐにボールへと戻してしまった。

 

「え~~また交代するの?ライボルトのバトル見たかったのに~」

 

 ジンは『エレキフィールド』の効果を利用し、更に相手側の電気系の技を無効にしようと考え『ひらいしん』の特性を持つライボルトを選んだ。しかし、エレキブルもまた特性『でんきエンジン』により電気系の技を無効にする能力を持っている。攻め手がない訳ではないが、互いに電気技が無効の状態では戦いにくいの間違いないだろう。

 

「申し訳ない。ですが、そちらと違って俺には交代を渋る理由がありませんからね」

「ムキーー!自分から『ステルスロック』仕掛けておいてそれ言っちゃうの!最初に紳士って言ったけど取り消し!本当は性格悪いでしょう!」

 

 ナンジャモに続くようにコメント欄は一気にジンに対するアンチコメントが再び起こり始める。この数分間でナンジャモファンの多くを敵に回してしまった様だ。

 

「頼むぞボーマンダ!」

 

 ジン側の4体目のボーマンダ、ボールから出ると空高く舞い上がり制空権を確保しエレキブルを鋭く睨み付ける。特性『いかく』によりエレキブルは攻撃を下げられたが闘争心は失われていない。

 

「行くよ!エレキブル!『れいとうパンチ』!」

 

 エレキブルは両腕の拳に氷を纏わせると勢いよく走り出し大きくジャンプした。

 

「上昇しろ!」

 

 しかし、ボーマンダは今よりも高い場所へと上昇する事で回避しようとする。しかし、エレキブルの狙いはボーマンダではなかった。

 

「今だよ!『ステルスロック』に向かって『れいとうパンチ』の連打!」

 

 エレキブルは空中に舞い上がっていた『ステルスロック』目掛けて攻撃を始める。左右の拳を振り回し、あっと言う間に『ステルスロック』は粉々にされてしまった。

 

「……お見事です」

 

 『ステルスロック』に直接攻撃する。ジンもこの手は予測していなかったため素直に賞賛の言葉を送った。

 

「ニッシッシッシ、いつまでもやられっぱなしじゃないよ。これでボクも入れ替えに躊躇わないですむしね!」

 

 そう言うとナンジャモはエレキブルをボールに戻し再びタイカイデンを出す。それとほぼ同時に『エレキフィールド』の効果が消え通常の状態へと戻っていく。どうやらナンジャモは時間が迫っていた『エレキフィールド』の活用よりも『ステルスロック』を攻略し後続へのダメージを減少させる事を選んだ様だ。

 

「接近しろ!『ドラゴンクロー!』」

「タイカイデン!もう一度『おいかぜ』お願い!」

 

 タイカイデンはボールから出るのと同時に翼を羽ばたかせる。ボーマンダは『ドラゴンクロー』で阻止しようとしたが、タイカイデンはそれを回避し『おいかぜ』の発動した。

 

「今度はこっちの番!『ほうでん』!」

「『りゅうのまい』で受け流せ!」

 

 タイカイデンから発生した電撃は真っ直ぐ向かうがボーマンダはその場で体を回転させながら『りゅうのまい』を発動し『ほうでん』を受け流す。

 

「え!?そんなのあり!?」

 

 これは以前、離島にてハッサムに進化する前のストライクがライボルトの電撃を受け流す時に使っていたやり方をボーマンダ流にアレンジしたものだ。しかもストライクと違いボーマンダはこれを空中で無駄なく行うことが可能である。

 

「『りゅうせいぐん』!」

 

 ボーマンダは頭を上に向けるとエネルギーを集中し打ち上げる。打ち上げられたエネルギーは空中で爆発し隕石の様に落ちていきタイカイデンに襲い掛かった。

 

「避けて!」

 

 タイカイデンは『おいかぜ』の影響もあり、その素早い動きで迫ってくる『りゅうせいぐん』を次々と回避していく。

 

 しかし……

 

「今だ!」

 

 突如、ボーマンダがタイカイデンの真上へと急接近する。避ける事に夢中になっていたタイカイデンは『りゅうせいぐん』に紛れて接近していたボーマンダに気づかなかったようだ。

 

「逃がすな。押さえつけろ」

 

 タイカイデンは咄嗟に回避しようとしたがボーマンダはそれを許さない。両翼を両足で押さえつけた上で噛みつき、そのまま急降下し地面へと叩きつけた。

 

「とどめだ!『りゅうのはどう』!」

 

 地面に叩きつけられた衝撃、それに続く形で至近距離から放たれた『りゅうのはどう』を受けタイカデンは遂に力尽きその場で意識を失ってしまう。ナンジャモはこれで4体目も戦闘不能となった。

 

(残りのポケモンはエレキブル、そしてまだ姿を見せていない最後の1体……)

 

 ナンジャモはタイカイデンを回収すると再度、エレキブルを投入する。どうやら最後の1体はギリギリまで出さない方針の様だ。

 

(……まぁ、いい。まずはエレキブルからだ) 

 

 フィールドでは上空からボーマンダが地上からエレキブルが互いに睨み合いをしている。先に動いたのは『おいかぜ』の影響で素早さを上げたエレキブルだった。

 

「『れいとうパンチ』!」

 

 エレキブルは勢いよく飛び上がり氷を纏った拳で殴りかかるがボーマンダは上昇しこれを回避する。接近技主体のエレキブルはこうして近づいて攻撃するしかないが、こうなると制空権を支配するボーマンダの方が圧倒的に有利となる。

 

「『りゅうのはどう』!」

「『れいとうパンチ』で受け止めて!」

 

 ボーマンダは上空より地上に着地したエレキブル目掛けて『りゅうのはどう』を発射する。エレキブルは氷を纏わせた両拳を迫ってくる『りゅうのはどう』へとぶつけた。互いの技がぶつかり合い、相殺すると爆炎が起こり煙がフィールドを包み込む。

 

(……どこから来る?)

 

 煙のせいでエレキブルの姿は見えない。しかし、空中にいるボーマンダの姿は相手からは丸見えだ。このままではどこから、いつ攻撃されるのかも分からない。

 

「今だよ!『れいとうパンチ』!」

 

 突如、煙の中からエレキブルがジャンプしボーマンダの背後に現れる。ボーマンダは咄嗟の事で対処が間に合わず、効果抜群の『れいとうパンチ』をくらい地面へと叩きつけられた。

 

「ここで決めるよ!『サンダーダイブ』!」

 

 このバトルが始まって初めてエレキブルがボーマンダの上を取る事に成功するとエレキブルはそのまま体を帯電させ上空からボーマンダにのしかかろうとする。

 

 ボーマンダにとって4倍の弱点である氷タイプの技を決めて地面に叩きつけたのだ。攻め時と考えるのは正しい。しかし、ボーマンダにはまだ戦う力が残されていた。

 

「ボーマンダ!『りゅうせいぐん』!」

 

 ボーマンダは首を上に向けエレキブルに狙いを定めると『りゅうせいぐん』を発射する。本来『りゅうせいぐん』は竜の力を溜めこんだ光球が上空で分裂し広範囲を襲う技だ。しかし、今回は違う。打ち上げられた光球は分裂する事無くエレキブルへとぶつかり合った。

 

 『サンダーダイブ』と『りゅうせいぐん』がぶつかり合い、爆炎が空中を包み込む。どちらも強力な技ではあるが今回は分裂を起こす前の最大威力を誇った状態であった『りゅうせいぐん』が上を行った。爆炎の中からエレキブルが落ちてボーマンダのすぐ近くに仰向けで倒れ込む。

 

「……げげ!エレキブルまでやられちゃった!?ちょっぴりピンチかも!?皆の者、ボクの応援してー!」

 

 『サンダーダイブ』を指示した時、ナンジャモはエレキブルの勝利をほぼ確信していた。それだけにこの敗北は精神的にもとても重たくのしかかる筈なのだが、ナンジャモはそんな様子を微塵も感じさせない明るいテンションでリスナーと観客たちに呼びかける。

 

(ふっ……強いな)

 

 状況を見ればジンはダメージを負ってはいるもののまだ1体もポケモンを失っていない。ここからの逆転は難しいのが現実だ。しかし、ナンジャモはそれを感じさせずまだ勝てるのではないか?と周りにそう思わせている。確かな実績と信頼がそれを成り立たせているのだ。

 

「行くよ!ジン氏!この子がボクの最後のポケモンだ!お願い!ムウマージ!」

 

 ナンジャモの最後のポケモンはムウマージだ。タイプはゴーストタイプ、電気タイプのジムリーダーが最後に使う事には普通であれば違和感を感じる。

 

(……なるほど。そういう事か)

 

 しかし、ジンはコルサとロイのバトルを既に一度見ている。そこで起こったパルデア地方ならではの現象、そのことを考慮すれば最後の切り札がムウマージである事も頷ける。

 

「ムウマージ、それがナンジャモさんのエースですか?」

「その通り!勝負はここからなんじゃ!絶対逆転しちゃうよ~!」

「……そうですか。それなら、俺も最強のポケモンで挑みます」

 

 ジンはそう言うとボーマンダをモンスターボールに戻し、最も長い付き合いであり最も信頼の寄せる相棒、ジュカインをフィールドに出す。

 

「ジュカイン、俺の最強のポケモンです」

「いいね!いいね!エース対決!ここまでやられっぱなしだもん!ここから盛り上げないと視聴者の皆に申し訳が立たないからね!ボクたちも全力を見せちゃるぞ!」

「望むところです。ジュカイン!俺達も全力を見せるぞ!」

 

 ジンはペンダントをナンジャモはテラスタルオーブを取り出す。ペンダントのキーストーンとテラスタルオーブはそれぞれ所有者が触れた瞬間に輝き始めた。

 

「限界を超えろ『メガシンカ』!」

 

 スカーフに付いたメガストーンが輝き出し光がジュカインを包み込む。やがて光が収まり出すとそこにはメガジュカインが姿を現した。

 

「出でよ!ひらめき豆電球!『テラスタル』!」

 

 ナンジャモが投げたテラスタルオーブが頭上に来るとムウマージは無数のクリスタルに体を包まれる。クリスタルが弾けるとそこには体を宝石の様に輝かせ頭に豆電球を生やした姿となり現れた。

 

(やはり、テラスタルか。あの形状から見て予想通り電気タイプで間違いない。それに確かムウマージの特性は……)

 

 ムウマージの特性は『ふゆう』だ。この特性を持つポケモンは地面タイプの技を受け付けない。つまりはこの瞬間、ムウマージからは弱点が消えたことを意味している。

 

(面白い事を考える。これがナンジャモさんの全力か……)

 

「これがメガシンカ!生で見るのは初めて!『テラスタルVSメガシンカ』これ絶対バズるよ!」

 

 ナンジャモだけではない。コメント欄も観客たちもパルデアでは滅多にお目にかかれ無いメガシンカに興奮している様だ。

 

「まだですよ」

「え?」

「言ったでしょう?俺たちの全力を見せるって……ジュカイン!やるぞ!」

 

 ジュカインは頷くと口の周りに草のエネルギーを収縮し緑色の光球、『エナジーボール』を作り出した。

 

「『エナジーチャージ』!」

 

 ジュカインは『エナジーボール』をそのまま口の中に入れ飲み込んだ。すると一瞬の間を置きジュカインの体が緑色に輝き始めオーラが立ち昇り始める。

 

「な、なんじゃ!?」

 

 メガシンカともテラスタルとも違う。今までに見た事のないジュカインの変貌にナンジャモは本気で驚いている様だ。だが、それも無理はない。メガシンカだけでなくこの『エナジーチャージ』も公式の場で使うのは初めてなのだから。

 

「最初に言っておきます。この状態になったジュカインは手を抜くことができない。申し訳ありませんが、このバトルは次の一撃で終わらせます」

「っ!?」

 

 はったりなどではない。目の前のジュカインから発せられているオーラや威圧感がそれが事実であると物語っている。勝算は限りなく薄い。それでもナンジャモは1人のトレーナーとしてジムリーダーとして逃げるという選択はあり得ない。

 

「……上等!行くよ!ムウマージ!」

 

 弱気になりかけていた自分の気持ちに活を入れ、ナンジャモとムウマージはジンとジュカインに挑む覚悟を決めた。中途半端な技では勝てない。自分たちの持ちうる最強の技を持ってこの強敵に挑むしかない。

 

「ムウマージ『テラバースト』!」

 

 ムウマージの頭上の電球型のテラスタルジュエルが砕け光る稲妻のようになり、口元に集めた黄色の光の粒子にオーラを纏わせ激しい電撃を放出する。放出された電撃は真っすぐにジュカインへと向かって突き進む。

 

(……美しい)

 

 そのオーラを見てジンが感じたのは純粋な気持ちだった。美しい程の輝きを放ちながら突き進む電撃、威力も申し分ない。直撃すれば大ダメージは免れない程の電撃はジュカインに正面からぶち当たり爆炎が巻き起こる。

 

(それだけに惜しいな……)

 

 もしも、この技を受けていたのがジュカインでなかったならばあるいは倒されていたかもしれないと素直に認める事が出来る程の技だった。だが、今回ばかりは使いどころが……いや、相手が悪かったとしか言いようがないだろう。

 

「……………」

 

 ナンジャモが観客たちや視聴者がこのバトルを見ていた全ての者がバトルフィールドの様子を窺う。やがて、爆炎は少しずつ晴れていく。その中心にはダメージが一切ない。無傷のメガジュカインが立っていた。

 

「……うそ」

 

 ムウマージにとって渾身の一撃であったことは間違いない。だが、メガジュカインの特性は『ひらいしん』、メガシンカに対する知識の少なさ故に起こった選択ミスだ。だが、残念ではあるが例え他の技で挑んでいたとしても恐らく結果は変わらなかっただろう。

 

「これで終わりだ。『リーフストーム』!」

「ジュカァァァァァァァァァァ!」

 

 メガジュカインは雄たけびを上げながら尻尾をミサイルの様に発射する。発射された尻尾は回転しながらも緑色のオーラを発し続ける。威力もさることながらその緑色の輝きは『テラバースト』にも決して劣ってはいなかった。

 

 極限にまで威力を高めたジュカインの『リーフストーム』は真っすぐムウマージに向かって突き進み、直撃する。巨大な爆発が起こり、そのままムウマージはナンジャモの後方の壁に吹き飛ばされた。

 

「ムウマージ!?」

 

 ナンジャモが慌てて駆け寄るとムウマージは既に目を回して意識を失っていた。

 





取り合えずナンジャモとのバトルはこれにて終了です。あとはバトル後の会話とパルデアからの旅立ちを書いたらパルデア編は一旦、終わりですね。なんとか今年中に終わらせられるように頑張ります。

☆9
火力万能主義さん

高評価ありがとうございます。

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