ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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今回からガラル編スタートです!

「そらとぶピカチュウ、どこまでも高く!」に続き「マホイップのホント」もほとんどとばした展開になりますが、よければどうぞ!


VSカブpart1

 

 パルデア地方を旅立ってから幾日か経ち、テラスタルを使用した戦略やコノヨザルを含め他のポケモンたちの調整、ロイたちの特訓などに付き合いながら旅を続けてライジングボルテッカーズは遂に目的地であるガラル地方のエンジンシティ周辺へと到着した。

 

 ブレイブアサギ号で向かうのは目立つ、エクスプローラーズの追跡を回避するためにもフリードの提案によりここから先は陸路で電車に乗りダイアナがいると思われるナックルシティ周辺の古城へと向かう予定だったのだが……

 

「車両整備で運休しているみたいだな……」

 

 またしても予想外の事態により、ジンたちはこの場に足止めとなることが決定してしまったらしい。

 

(またか……今回はエクスプローラーズじゃないよな?)

 

 パルデア地方でのこともあるため、少々、用心深くなってしまったがブレイブアサギ号は念入りに調査し発信機などがないことは確認済みだ。流石に今回はただのハプニングで間違いないだろう。

 

「こうなった以上は仕方ない。みんな、今日は好きに過ごしていいぞ」

「だったら!船の部品探しに行ってくるね!」

 

 1日自由に行動できると知るとオリオは早速、メタグロスに乗るとエンジンシティに部品を買いに出かけてしまった。

 

「私たちはどうしようか?」

「う~ん……」

 

 リコとロイは初めての街な上に何の予定も無かった為、どうすればいいのか分からないようだ。その様子を見ていたマードックがある提案をしてくる。

 

「リコ!ロイ!ジン!時間があるなら買い出しに付き合ってくれないか?ガラル地方の食材を見に行きたいんだ」

「うん!もちろん!」

「いいよ!」

 

 マードックの提案を聞き、リコとロイは予定がなかったこともありすぐにその提案を了承する。しかし、ジンは……

 

「……悪いんだけど俺は別に行きたいところがある。2人とも買い物は任せていいか?」

「え?いいけど……どこに行くの?」

「折角、エンジンシティに来たんだし、ジムの様子を見に行って来るよ」

「ジム戦するの!だったら、私も行きたい!」

 

 以前、パルデアでネモやナンジャモとジンが本気のバトルを見て以来、リコはジンがバトルする姿を間近で見たいと思うようになったようで共に行動することを希望する。

 

「いや、今回は1人で行くよ。ジム戦を受け付けてくれるのか分からないしな」

 

 このガラルのジムは挑戦する順番が決まっている上に、ジムリーダーやチャンピオン、リーグ関係者などの推薦状をもらったトレーナーだけが参加できる仕組みとなっている。現状、ジンは何一つとして条件を満たしていない。これではジンがどれだけの実力があったとしても挑戦を受けてくれるのかさえ分からないのだ。

 

「……そんな訳で無駄足になる可能性もあるから、1人で行ってくる。買い物は頼んだぞ」

 

 ジンはガラルのジムチャレンジの仕組みを説明するとボーマンダをボールから出し、その背に跨る。するとボーマンダはそれと同時に空高く舞い上がり始めた。

 

「ジン!待っ……」

 

 リコはジンを引き留めようとしたが、その言葉は途中で止まってしまう。普段、大人びているジンが年相応な子供の様に楽しそうにしている姿を見て、今のジンは何を言っても止まらない。直感的にそう感じてしまったのだ。

 

「はぁぁ……後で連絡するから、ちゃんと合流してよ」

「分かった。それじゃあ、またあとで。ボーマンダ!頼む!」

 

 その言葉を最後にジンを乗せたボーマンダはエンジンシティに向けて飛び立っていく。

 

「えっと……リコ、よかったの?」

 

 ボーマンダと共に飛び去り、あっという間に小さくなっていくジンの姿を見つめていたリコにロイは恐る恐る話しかけた。

 

「うん。いいの……ジンの邪魔になりたくないから」

 

 この場でエクスプローラーズに襲われることは恐らくない。それが分かっていても自分が傍にいてはジンは警戒を決して解かない。あんなにもジム戦を楽しみにしているジンを見た後では一緒に行きたいなどとはリコには言い出せなかった。

 

「それに……ううん。なんでもない」

「?」

 

 ガラル地方に行くことが決まった時から、リコは自分なりにこの地方の事を調べていた。特にダイアナがいると思われる古城について、そしてジンが興味を引きそうなバトル関連の施設などについてだ。そこで判明したことがある。

 

(……この街のジムリーダーは女の人じゃないしね)

 

 

 

***

 

 

 

 エンジンシティに着いたジンは大きな歯車や蒸気機関など、なかなか興味深い街の造形などが見られたが、それらには一切目もくれずに真っすぐにこの街のジムでもあるエンジンスタジアムへと来ていた。

 

「でかいな……」

 

 目の前にあるスタジアムを見て、真っ先に浮かんだ感情がこれだ。今まで多くのジムを目の当たりにしてきたが、この規模の大きさのジムは見たことがない。ジムの見た目の影響もあり、まるで砦に挑むのではないかと錯覚させる程だ。

 

 いつまでもスタジアムを見上げていても仕方がない。そう考えたジンはエンジンスタジアムの自動ドアをくぐり受付の人に話しかけ、ジムリーダーのカブとバトルが出来ないか相談する。

 

「申し訳ありません。当ジムに挑戦するための条件をクリアしていただかなければジム戦はできない決まりでして……」

 

 受付の人の反応は予想通りだったが、ジンとしてはここで引いてしまってはここに来た意味がなくなってしまう。そもそも今のジンに順番通りにジムをめぐる時間は最初からないのだ。

 

「勿論、それは分かっています。なので勝敗に関わらずバッジはいりません。ただ、カブさんとバトルをして欲しいだけなんです」

「ですが……」

「お願いします。本人に確認だけでもしてもらえないでしょうか?」

「……少々、お待ちください」

 

 やがて、ジンの熱意に根負けしたのか受付の人はその場を後にし奥の関係者用の部屋に入っていく。どうなるのか不安に感じながらも待つこと5分、受付の人が戻ってきて結果を伝えてくる。

 

「お待たせいたしました。ホウエン地方のジン様、ジムリーダーカブがあなたの挑戦を受けるとの事です。既にカブはフィールドにて待機しております。準備がよろしければフィールドまで案内いたしますが、いかがなさいますか?」

「もちろん、今すぐ挑戦します!」

 

 ジンは即答で返事をすると受付の人に、バトルフィールドへと案内された。ジムの見た目に反しバトルフィールドそのものは普通のジムと然程変わらないがやはり目を引くのはその観客席の多さだろう。ホウエン地方で見たどのジムよりも席が多く、ガラルでどれ程ジム戦がエンターテインメントとして扱われているのかがよく分かってしまう。

 

「やぁ、待っていたよ」

 

 そんなバトルフィールドの中央には白髪交じりの髪に三白眼の目が特徴の赤いユニフォームを着た初老の男性が待ち受けていた。この男性がこのジムのジムリーダーのカブで間違いないだろう。

 

「今回はバトルを受けていただき、ありがとうございます」

「気にしないでくれ。むしろ、君の方から挑戦に来てくれて、ぼくは本当に嬉しいんだ」

 

 カブはジンの事を見つめると何やら嬉しそうな表情を浮かべ始める。

 

「俺のことを知っているんですか?」

「あぁ、勿論さ。前回のサイユウ大会優勝者のジン君だね?」

「……よく知ってますね」

「ぼくはホウエン地方出身だからね。地元で話題になっているトレーナーの事はちゃんとチェックしているさ」

 

 カブの回答を聞き、ジンはなるほどと納得した。本来、ポケモンリーグで優勝したとしても他地方のトレーナーがそのことを知っているということはほとんどない。だが、地元ともなれば話は別なのだろう。

 

「サイユウ大会での君のバトルを見た時から、いつの日か君とバトルをしたい。そう思っていたんだ」

 

 そう語るカブの目には熱い炎が宿っているように感じられる。まだバトルが始まる前だというのにこの熱さだ。カブがどれ程、このバトルを望んでいたのかがその様子から窺える。

 

「早速、バトルを始めたいところなんだが、まずは簡単にこのバトルについて説明をさせてもらってもいいかな?」

 

 特殊なルールを持っているジムは決して珍しくはない。ダブルバトル専門のジムや好きなポケモンとバトルするジムなど様々だ。なのでジンもそのことに不満はなく問題ないことを伝える。

 

「それ程、難しい事じゃないよ。確認事項があるだけだ」

 

 そう言うとカブは今回のジム戦について説明し始める。本来、ガラルのジムは本番のジム戦の前にジムチャレンジというものに挑み、それをクリアしなくてはならない。しかし、今回は非公式のジム戦だ。ジムチャレンジなどは無しにし、今すぐにカブとのバトルに挑むこととなる。

 

「その代わり、君が勝利したとしてもバッジはあげられない。得られるのはバトルの経験のみとなる。それで本当に構わないかい?」

「もちろんです。お願いします!」

 

 ジンとしても勝利したとしても流石にバッジまで貰えるとは最初から思っていなかった。更に今すぐバトルをする以上、観客が集まり情報が漏れることもない。むしろ、願ったりかなったりの状況だ。

 

「よろしい。それではバトルのルールだが、使用ポケモンは5体、入れ替え自由でどうだろう?」

「分かりました!」

 

 ジンとカブはルール確認を終えるとフィールド中央から、それぞれ左右の位置へと移動する。

 

 使用ポケモン5体、入れ替え自由、どう考えても全力でのバトルだ。ガラル地方のジムリーダーの中でもかなりの経験と実力を誇り、ジム戦の登竜門とまで呼ばれる人との全力のバトルだ。ジンのテンションは一気に最高潮まで上がっていく。

 

「ジンくん……普段、ぼくはジムリーダーとして多くのチャレンジャーの壁として立ちふさがる立場にある。だが、今日は違う!一人のポケモントレーナーとして全力で君に挑ませてもらうよ!」

「望むところです……俺にもそう簡単に負けられない理由があります!」

「あぁ、君の目を見れば分かるよ。冷静でありながらバトルを前にして君の瞳はとてつもなく熱く燃え上がり、そして強大な信念を宿している。そう伝わってくるんだ」

 

 そう言うとカブは気合いを入れるため、自分の両頬をバチンと叩きつける。フィールドの反対にいたジンにまで響くその音から、カブがどれほど気合いを込めたのかが伝わってくる。

 

「さぁ、準備はいいかい?」

 

 カブは腰からモンスターボールを1つ取り出し構える。それに続くようにジンもモンスターボールを取り出した。

 

「ジン君!最高のバトルにしよう!」

 

 その言葉を合図にジンとカブは同時に構えていたモンスターボールをフィールの中央に向かって投げつける。

 

「行け!コータス!」

「頼むぞ!ミロカロス!」

 

 カブが出したのは真っ黒な甲羅と赤褐色の身体を持つ陸ガメのような姿をした、せきたんポケモンのコータスだ。ジンにとっても見慣れたホウエン地方のポケモンである。それに対してジンの先発は相性のいい水タイプのミロカロスだ。

 

「ミロカロスか……コータスが不利だね」

 

 そう、相性だけで見ればミロカロスの方が圧倒的に有利なのだが、ジンの表情は優れない。コータスがフィールドに出た時に室内の温度が一気に上昇したことで気づいてしまったのだ。

 

(特性は『ひでり』か……)

 

 『ひでり』が発動すると日差しが強くなり天候が晴れの状態になる。その状態になると炎タイプの技が強化され、更に水タイプの技が軽減するという効果もあるのだ。

 

(長くいられると面倒だな……)

 

「一気に倒すぞ!ミロカロス『ハイドロポンプ』!」

「コータス!『かえんほうしゃ』!」

 

 フィールドの中央にて互いのポケモンの口から発射された『ハイドロポンプ』と『かえんほうしゃ』が衝突する。数秒間、押し合いを続けるが最終的に『ハイドロポンプ』が『かえんほうしゃ』に打ち勝ち、そのままコータスに命中する。

 

「くっ……威力が落ちてなお、この破壊力か」

 

 確かに『ひでり』により、ミロカロスの水技の威力は下がっている。だが、それでもまだ撃ち負ける程ではなかった。

 

 しかし……

 

「よく耐えたコータス!まだ行けるね?」

「コォォォ!」

 

 コータスはかなりのダメージを受けた様だが、まだ戦うことに支障はない様だ。本来であれば『ハイドロポンプ』は一撃でコータスを戦闘不能に出来る程の大技なのだが、『ひでり』の状態は完全にコータスに味方をしていた。

 

「コータス『ステルスロック』!」

 

 コータスはジン側のフィールドの空中に無数の岩を浮かべる。ナンジャモ戦でボスゴドラが使った技だ。これによりジンはポケモンを交代するたびにダメージを受けてしまう。『ステルスロック』が発動したのを確認するとカブはコータスをモンスターボールに引っ込めてしまう。

 

「次は君だ!行け!キュウコン!」

 

 カブがコータスに代わって出したのは、金色の毛並みと九本の尻尾、赤い眼を持ったきつねポケモンのキュウコンだ。

 

(……なるほど)

 

 キュウコンがでた瞬間、ジンはカブが次に何を狙っているのかを予測する。狙いは恐らくこの『ひでり』状態からノータイムで『ソーラービーム』を撃つことにある。命中すれば水タイプであるミロカロスには大ダメージになる事は確実だ。

 

「……ミロカロス戻ってくれ」

 

 ジンは少し悩んだ末にミロカロスをボールに戻した。次のポケモンが『ステルスロック』でダメージを負うことは承知しているが、カブを相手に唯一の水タイプであるミロカロスを序盤から失うリスクはできるだけ避けたいと考えたのだ。

 

「いいのかい?次のポケモンがダメージを負ってしまうよ?」

「覚悟の上です」

 

 ミロカロスのボールをポケットにしまうとジンは新たなモンスターボールを取り出した。

 

「初陣がこんな形ですまない……頼むぞ!コノヨザル!」

 

 ジンが次に出したのはコノヨザルだ。この場面で出すことについては少々、不安もあるがここ数日のコノヨザルの成長と調子の良さを考慮すれば決して勝率は低くない。ジンはそう判断した。

 

「ブギャッ!」

 

 フィールドに出るのと同時に無数の岩がコノヨザルを襲う。以前までのコノヨザルであればこのダメージで既に怒りに飲まれていたかもしれないが、特訓の成果もあり感情のコントロールが出来ている様だ。

 

「キュウコン!『かえんほうしゃ』だ!」

「させるか!『シャドーパンチ』!」

 

 キュウコンは早々に『かえんほうしゃ』を放とうとするが、コノヨザルはそれよりも先にキュウコンの顔面に『シャドーパンチ』を放つ。『シャドーパンチ』はキュウコンの顔面に命中し、『かえんほうしゃ』の発射を阻止する事に成功する。

 

「ならば『ほのおのうず』だ!」 

「コノヨザル!跳べ!」

 

 態勢を立て直したキュウコンは続いて『ほのおのうず』でコノヨザルを炎に閉じ込めようとするが、コノヨザルは上空に大ジャンプし回避する。当然、キュウコンもその様子を黙って見ているわけじゃない。顔の向きを動かし『ほのおのうず』で再度、追い打ちをかける。

 

「コノヨザル!『ステルスロック』に向かって『インファイト』!」

 

 上空に上がったコノヨザルはそこで手足を乱打し、空中に浮かび上がっていた『ステルスロック』に攻撃すると、そのまま下にいたキュウコン目掛けて叩き落していく。その岩の破片たちは『ほのおのうず』を強制的にかき消しキュウコンに命中する。

 

「なにっ!?」

 

 本来、コータスの技であった筈の『ステルスロック』をまさか攻撃に利用してくるとは、長年の経験を持つカブにしてみても予想外の事だったらしい。

 

「決めるぞ!『ドレインパンチ』!」

 

 地上に降り立ったコノヨザルは未だにダメージの影響で動きが鈍ったキュウコンに近づくと渾身の右ストレートを決める。『ドレインパンチ』の効果でダメージを回復した上にキュウコンにダメージを与え、数メートル後方まで吹き飛ばした。

 

「キュウコン!?」

 

 吹き飛ばされた先のキュウコンをカブが慌てて確認すると、そこには目を回して倒れているキュウコンがいた。

 

 非公式に誰に知られることもなく始まった、エンジンジムでのジンとカブのバトルはジンが先手を取る形で始まった。

 





色々、考えたのですがジンだけリコたちと別行動させ一人でカブとバトルする展開にしてみました。カフェに行っても新しいポケモンも出せないし、原作をひたすらなぞるだけになっちゃいそうなのでこれで行こうと思います。

☆9
すしざんまいさん

高評価ありがとうございます。

作品の要望などあれば気軽にメッセージを送ってください。
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