ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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今回、ジン君の手持ちの2体目が登場します。本当はアニメがもっと進行してから徐々に出そうと考えていたのですが、予定を変更して出すチャンスを見つけたらどんどん出していこうと思います。


大型連休へ

 

 セキエイ学園付近の湖、ジンとリコは今日も夜中に寮を抜け出して2人で特訓を行っていた。

 

「ニャオハ『このは』!」

「ニャーン!」

 

 ニャオハから放出された大量の緑の葉が相手のポケモンへと向かっていく。

 

「くるぞ!ボスゴドラ『てっぺき』!」

「ゴドッ!」

 

 それに対しジンのボスゴドラは両腕を前方でクロスガードし、受け止める。ニャオハの『このは』はボスゴドラの全体を飲み込みその姿を隠してしまう。それから、数秒間その状態が続くがニャオハの体力が底をつき『このは』が徐々に消えていく。

 

「……ゴドラ」

 

 そこには、体の何カ所かに僅かではあるが傷を負いながらも両足で地面にしっかり立つボスゴドラがいた。

 

「…ニャ~ン」

「う~ダメだ。全然効いてない…」

 

(いやいやいや、効いてるから)

 

 ボスゴドラは鋼・岩タイプ、草タイプの攻撃は等倍の威力ではある。しかし、ボスゴドラはジンの手持ちの中で間違いなくナンバーワンの耐久力を誇っている。本来なら、『このは』程度の技ならダメージを受けることもない筈だった。

 

 しかし、湖での秘密の特訓を始めてからというもののニャオハの成長には目を見張る物がある。

 

(ていうかあれ、本当に『このは』か?)

 

 ニャオハの使う『このは』は、ジュカインの『リーフストーム』にこそ遠く及ばないが、ジュカインが使う『このは』よりも明らかに威力も規模も大きい。努力の成果であることは間違いないが、ニャオハのポテンシャルの高さにジンたちは驚愕していた。

 

「切りもいいし、一旦休憩にしよう」

 

 まだまだ問題はないが、これ以上続けるとボスゴドラにも無視できないダメージが出てしまう可能性がある。ジンはそう判断した。

 

「ほいよ」

「ありがとう!」

 

 ジンとリコは持参したおいしい水を飲む。一緒に特訓を始めた日以降、リコは特訓後に飲むおいしい水が秘かにお気に入りになっていた。

 

「ニャ~ン」

「…ジュカ」

「……ゴドラ」

 

 ジュカインとボスゴドラは背中合わせに座り、ニャオハはジュカインの尻尾の上にのり休憩している。自分の尻尾で休憩し毛繕いまでし始めるニャオハを若干複雑そうに見るジュカインとボスゴドラであった。

 

「ご、ごめんね!ニャオハ降りてきて!」

「いいよ。気にしなくて、それにしても随分なつかれたな」

 

 始めて特訓を開始した日からニャオハはジュカインにべったりくっついていることが多くなった。『リーフストーム』を放つジュカインがニャオハにはとても眩しく見えていたらしい。

 

 そのため、最初はジュカインがニャオハの特訓の相手を担っていたのだが、特訓の度に威力を上げていくニャオハを見てジンは命中率を上げる特訓には素早さ重視のジュカイン、威力を上げる特訓には耐久力が高いボスゴドラを当て役割を完全に分けることとした。

 

「仲がいいのはいい事さ。ジュカインも本気で嫌がっちゃいないよ」

「そ、そうなの?」

「ああ、むしろ相手してくれなくなったら寂しさを感じちゃうタイプだよ。ジュカインは」

 

 しかし本人は絶対にそのことは認めないだろうともジンは思っている。そのためニャオハくらい堂々と関わってくれる方がありがたいのだ。

 

「しかし、大分よくなったじゃないか。前までは動かない岩に当てるので精一杯だったのに今はちゃんと動いてる相手に当てる精度にまでなってきてるよ」

「そうかな?でも、ジュカインには全然当たんないし、ボスゴドラには全然ダメージ与えられてないし…」

「それは相手がジュカインやボスゴドラだからだよ。他の生徒のポケモンならもっとダメージを受けてるさ。そんなに不安なら他の生徒たちにバトルを挑んでみたらどうだ?」

 

 同期で学園に入ってきた生徒たちとだったらレベルにそれ程の差はない。むしろ、ジンとの特訓の成果もあり、ニャオハのレベルは新入生たちのポケモンの中では少し高い。言い方は悪いが、格下とのバトルはいい経験値稼ぎになるだろう。授業でバトルを行うこの学園ならそれも難しくない。

 

「アンとなら何度かバトルしてるんだけど…」

「アン以外のやつとは?」

「………………」

「……まさかアン以外とは一度もバトルしてないのか?」

「だ、だって~」

 

 根性があるような行動をするかと思えば、妙な所で人見知り引っ込み思案モードを展開していた。もう大型連休まで日数もなくバトルの授業は行われない。ジンとしては出来るだけ早く自分やアン以外のポケモンとバトルの経験を積んでほしいと思っていた。

 

「リコ、次の大型連休だけどなにか予定は?」

「えっと、特にないかな。お父さんもお母さんも忙しいだろうから今回は帰らないことにしたし」

「そうか。それなら休みの間、俺と一緒に少し旅に出てみないか?」

「えっ?旅!」

「そうだ。カントー地方にいくつかあるバトルスポットをめぐる予定だったんだけど一緒に行かないか?」

 

 今のニャオハにはできるだけ多く相手とバトルをした方がいい。同じ相手ばかりだと変な癖がつく可能性もあり、同じくらいの強さや少し格上の相手とのバトルによって成長することもあり得る。

 

「……それって2人でってこと?」

「?ポケモンたちは当然一緒だけど、トレーナーは俺達だけだな」

 

(ジンとの二人旅………)

 

「い、行こうかな?」

 

 リコは数秒考えたのちに、少し顔を赤くすると旅へ行くことを了承する。

 

「そうか!旅の事は任せてくれ。前にも言ったけど旅の経験があるんだ」

「う、うん。よろしくね」

 

(連休の間、リコに会えないのかなって思ってたから。ラッキーだな)

 

(う~~勢いで一緒に行くって言っちゃったけど、大丈夫かな?でも、ジンとは一緒にいたいし…)

 

 

 

***

 

 

 

 セキエイ学園のバス駐車場に多くの生徒が荷物を持って集まっていた。明日からの大型連休の為、帰省する生徒たちだ。

 ジンとリコは帰省せずに学園に残ることが決定していたが、リコのルームメイトのアンを見送るために来ていた。

 

「ひっさしぶりの実家だ~ゴロゴロしよっと!」

 

 いつもの事である。

 

「あとミジュマル紹介しないと」

「ミジュ!」

 

 ミジュマルもアンの両親に会うのを楽しみにしているようだ。アンのカバンに乗っかりながら元気に返事をしている。

 

「リコとジンは折角の休みなのに実家に帰らないの?」

「私はまだいいかな。お父さんもお母さんも忙しいだろうし」

「俺もまだいい。折角、カントーに来たんだ。この休みに色々見て回りたいしね」

「そっか。旅に出るんだもんね。ジン、旅の先輩なんだからリコの事ちゃんと守ってあげてよ」

「ああ、勿論だ」

「うん。ジンは頼りになるから大丈夫だよ」

「頼りになるか~にっひひ、リコ~」

「な、なに?アン凄い悪い顔してるけど?」

「そんな事どうでもいいからさ、ほらほら」

 

 アンはリコの呼び寄せると耳元でジンに聞こえない程度の音量で話しかける。

 

「折角の二人旅なんだから、ちゃんとアピールしないとダメだよ~」

「なっ!だ、だから、そんなんじゃないってば!」

「またまた~本当は誘ってもらえて嬉しかったくせに~」

「だ、だって、最近はずっとジンと一緒だったから、ジンがいないと寂しいって思ってた所で誘ってもらえたから…」

 

(リコ気づいてないのかな?今、ほとんど自白したようなもんだと思うけど?)

 

「帰ってきたら、どこまで進んだのか教えてね!」

「もう!アン!」

 

 女子2人が秘密の話をしている中、一人置いてけぼりをくらうジン。盛り上がっている事だけは分かり会話の内容に非常に興味を抱いていた。

 

「おーい、何の話だ?」

「な、なんでもないから!」

「ざんね~ん。ガールズトークの内容は男子には内緒!」

 

 この上ない差別であった。性別の違いなど本人にはどうしようもない事だ。しかもジンもお年頃、ガールズトークの内容には興味津々である。

 

「そんな拗ねたような顔しないの!じゃあジュカイン、ニャオハ、ジンとリコを頼んだよ」

「ニャン」

「ジュカ」

 

 アンはニャオハとジュカインと握手をするとバスに乗り込んでいく。

 

「それじゃあね~2人とも旅楽しんできて!」

「ああ」

「アンも楽しんできてね」

 

 ジンとリコはアンがバスに乗っていくのを見送るとそれぞれ明日の準備の為に一旦、寮に戻ることにした。

 

「なぁ、さっきなに話してたの?」

「………………ないしょ」

 

 ジンは結局教えてもらえず、もやもやした気分のまま寮に戻るのだった。

 

 

 

***

 

 

 

 リコと別れ寮の自室に戻ってきたジン。明日の旅立ちに備え荷物の準備をしていた。着替え、食料、医薬品、地図、モンスターボールなど最低限必要なものをカバンに詰め込む。

 

「まぁ、こんなもんか」

 

 荷物の準備は終了し、明日に備えて今夜の特訓は中止にしたので特にやることは残っていない。早めに夕食でも取ろうかと思っているとスマホロトムから着信がなる。スマホを手に取ると、画面にリコの顔が映し出されている。

 

「リコ?どうs」

『ジン、助けて!』

 

 電話に出ると余程、焦っているのかジンの言葉を遮り助けを求めてくる。尋常じゃない事態なのは間違いない。

 

「落ち着け、どうした?」

『今、寮に怪しい人が来てて、その人おばあちゃんの知り合いだって言うんだけど絶対怪しくて、それで…』

「リコ、今どこにいるんだ?」

『ま、まだ、私の部屋の中、その人には外で待ってもらってるんだけど…っ!』

 

 突如、リコの声は途切れて物音だけが電話口に聞こえてくる。ジンは思わず、誘拐や強盗などの最悪の事態を想像してしまう。

 

「リコ!リコ!大丈夫か!?」

『だ、大丈夫。多分、さっきの人が部屋の前に来たから窓から出て屋根に移ったんだけど…』

「そこに隠れてろ、すぐにそっちに行く」

 

 ジンは通話を切ると部屋を飛び出し、女子寮へと向かう。

 

「頼むから、間に合えよ」

 

 今、物語は大きく動き出そうとしていた。

 





手持ち

ジュカイン 
ボスゴドラ
???
???
???
???

☆9 石ころAさん、コルイディグンさん、わけみたまさん、櫛菜さん

高評価ありがとうございました。
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