ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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今回で50話目!まさかこんなに長く続けられるとは思っていませんでした。

これからもよろしくお願いします。


ガラル鉱山

 

 ガラル鉱山

 

 ガラル地方の内陸部、エンジンシティとターフタウンの間に存在する巨大な鉱山だ。ここに黒いレックウザがいるという噂を手に入れたジンたちは険しい山道を越え、遂にその入り口にまで辿り着いた。

 

「ここがガラル鉱山……」

 

 その大きさに全員が目を奪われる中、ロイはかつて黒いレックウザの入っていた古のモンスターボールを取り出した。

 

「黒いレックウザ……ここにいるかな?」

「可能性はある。後は直接確認すれば分かるよ」

「うん!」

 

 ロイは気合の籠った力強い声を出すとリコのフードに納まっていた新しい仲間のミブリムが体をブルブル振るわせ始める。

 

「ミブリム?どうしたの?」

「あっ……もしかして、僕の強い気持ちに反応しちゃった?」

「いや、それならここに来るまでにいくらでも反応したはずだ」

 

 フリードの言うようにロイは船からこのガラル鉱山に到着するまでの間もレックウザに会えるかもしれない、そう考え常に興奮を隠せていない様子だった。ミブリム程の感知能力はなくともその程度であればジンたちも感じ取れる。今更、こうなるのは明らかにおかしい。

 

「じゃあ……」

「レックウザの気持ち?」

「……行ってみれば分かるさ」

「そうだな。ここからは気を引き締めて進むぞ」

 

 情報が不足している為、まだ正確な答えは出せないが中に進み調査を進めれば見えてくる答えもある筈だ。そう信じてジンたちはガラル鉱山内部へと足を進めていく。

 

「へぇ……」

「鉱山の中ってこうなってるんだ……」

 

 ジンたちはガラル鉱山で作業している人々によって整備されたトンネルをトロッコの線路沿いに進んでいく。リコとロイは鉱山という初めて訪れる場所を興味深そうに見ながら歩いていた。

 

「……フリード、何か変だ」

「あぁ、ジンも気づいたか?」

 

 ここに来るまでの間にトロッゴン、モグリュー、ディグダなどのポケモンたちと遭遇したのだがその全てが、こちらからの呼びかけになんの反応も示さず我先にと足早に去ってしまう。

 

「作業員もいて人に慣れててもおかしくない筈なんだが……」

「まるで何かから逃げているみたいだ……」

 

 この先に何かがある。いや、何かがいるのが正解かもしれない。そう判断し、ジンたちは警戒を強めながら先行するロイとリコに続きトンネルを進んでいく。

 

 暫く進むと今までと違い、大きく開けた場所へと到達する。その周り一面にはきらきらと宝石の様に光る鉱石によって埋め尽くされていた。

 

「なるほど……レックウザがここに来たのはその生態に関係があるのかもしれないぞ」

 

 フリードによるとレックウザは空に飛ぶ塵や地球に落ちてきた隕石を食べると言われているポケモンだ。故に特別な力を持つガラルの鉱石にも興味を持ったと考えればここに来たことにも説明がつく。

 

「一理あるな。でも、もう1つ別の可能性もあると思う」

 

 フリードの説はレックウザの生態などから理論的に考えれば確かに一理ある。だが、ジンにはもう1つ別の可能性も頭に浮かんでいた。

 

「どんな可能性だ?」

「パルデアでコルサさんから聞いたレックウザの情報を頼りに森に行ったら、同じ古のモンスターボールを持ったオリーヴァがいた。もしかしたら、今回も……」

「っ!まさか、六英雄がここにいるのか!?」

「根拠としては少し弱い。かなり低い可能性ではあるけどな」

 

 六英雄はレックウザとオリーヴァを除いて後4体存在する。ここにその1体が、レックウザも入れて2体いる可能性も考慮した方がいいだろう。

 

「……どっちにしろ、油断はできないな」

「あぁ、リコ、ロイ、ここからは離れない様に……」

 

 ジンは背後にいたリコとロイに再度注意するように言いながら振り返るがそこには2人の姿はなかった。

 

「……あいつらどこ行った?」

「早速、はぐれちまったか……仕方ない。探すぞ」

 

 

 

***

 

 

 

 ジンとフリードは逸れてしまったリコとロイを探しながらトンネルを進んでいくが、2人は一向に見つからない。

 

 ジンとフリード、どちらも冒険の経験はあるがここは初めて訪れた鉱山だ。地図もなくあてもなく探すにはやはり限界がある。

 

『ロトロトロト』

 

 そんな時、突如、フリードのスマホロトムに着信が来る。電話をかけてきたのは現在、行方不明になっているリコからだった。

 

「リコ!お前たち、今、どこにいる?」

『ごめん。迷っちゃったみたい……』

「はぁ……周りに何か目印になるものはないか?」

『えっと……こんな感じ』

 

 リコはスマホロトムを操作し、現在、自分たちのいる場所の画像を送ってくる。しかし、素人目には同じような入り口ばかりであまり参考になりそうにもなかった。

 

「全く分からんな……」

「……道は2つある。一旦、分かれて探してみるか」

 

 ジンたちの目の前には2つのトンネルがある。リコたちはどちらかに進んだはずだ。手分けして探し、後々合流した方が早く済む可能性が高い。

 

「そうだな。リコ!探しに行くからそこを動くなよ」

『分かった。待ってるね』

 

 その言葉を最後に通信を切り、ジンとフリードはそれぞれ左右に分かれ別行動を開始した。

 

 

 

***

 

 

 

 別行動を開始してから約10分程経過した。ジンはトンネルを道なりに進んでいくがリコとロイは見つからない。それどころか痕跡さえ発見出来なかった。

 

「……この道は外れだったか」

 

 一旦、引き返してフリードと合流しようかと考え始めるとトンネルが徐々に広くなっていき、先程と同じように大きく開けた場所へと到達する。

 

「あれは……」

 

 辺りを見回すとそこには大型のテントが張られているのを発見する。何か情報が得られると思い近づくとそこから鉱山の作業員と思われる男性数名とそのポケモンと思われるドッコラーたちが顔色を悪くしながら出てきた。

 

「……君、こんな所でなにをしているんだ?」

「人を探しに来たんです。俺と同い年位の帽子をかぶった男の子と黒髪で髪留めをして水色の瞳の可愛い女の子なんですけど見てないですか?」

「いや、悪いが見てないな……」

「そうですか……あの……顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」

「……大丈夫じゃないな。本当は仕事しないといけないんだが、とても無理だ……」

 

 鉱山での仕事は重労働であることは想像できる。しかし、目の前の人たちの疲労はどう見ても尋常ではない。

 

「ここで一体何があったんですか?余計なお世話かもしれませんが、労働環境に問題があるようでしたら専門の相談窓口に連絡した方が……」

「いや……そうじゃないんだ。今朝、巨大な翼を生やしたポケモンが現れてから全員、何だか気力がなくなってしまってね」

 

(巨大なポケモン……気力……)

 

 何らかのポケモンの力が影響を与えているのは確かなようだ。巨大な翼という事は恐らくは飛行タイプ、もしくは虫タイプかドラゴンタイプの可能性がある。

 

 しかし、気力を奪うなどという事はどちらかと言えばエスパータイプや悪タイプのポケモンが行う事だ。それでいて巨大なポケモン、ジンの知識の中にはその様なポケモンは存在しない。

 

(これは……本当に六英雄かもしない)

 

 オリーヴァの様な超常的な力を持つ特別なポケモンが存在し、何かを行っている可能性は否定できない。しかし、作業員の話はそれだけでは終わらなかった。

 

「私は、ここ一帯の現場責任者でね、このまま作業するのは不可能だと思って特例で休憩時間を作りテントに戻ったんだ。そこで暫く休んでいたら、急に目の前が真っ暗になって眠気が襲ってきて……こ、今度は悪夢が見えるように……」

「悪夢……ですか?それは一体?」

「こ、言葉にするのも恐ろしい!?」

 

 現場責任者の彼だけでなく他の作業員やドッコラーたちも体を震わせながら怯えた表情を見せ始める。どうやら思い出す事さえもしたくない様だ。

 

「い、言えることは1つだけだ。夢の中で『出て行け ここから出て行け』と何度も言われたような気がする。これ以上は耐えられそうにない……だから、私たちは他の作業員たちもできるだけ拾って山を降りるところなんだ……君はどうする?友達が心配なのは分かるが、ここは危険だ。私たちと一緒に来た方がいいんじゃないか?」

「……気持ちは嬉しいんですが、俺はこのまま先に進みます。ポケモンセンターに連絡して入り口付近に迎えを頼んでおくので気を付けて進んでください」

「……ありがとう。どうしてもと言うのであれば止めはしないが……気を付けてな」

 

 作業員たちはそう言い残すとジンが進んできた道をゆっくりと進んでいく。その足取りには少々、不安も感じさせたが彼らはここを仕事場にしている。ゆっくりと時間をかけながらでもきちんと出口に向かって行けるだろう。

 

(気力がなくなり、悪夢を見る……同一のポケモンの仕業なのか?)

 

 ポケモンセンターに連絡を入れ終えるとジンは今、手にした情報を整理し始める。

 

(いや、気力を奪われたのは巨大な翼を生やしたポケモンの影響なのは恐らく間違いない。悪夢を見るようになったのはその巨大なポケモンが去った後の事だ。つまり……ここには謎の力を持ったポケモンが2体存在する事になる)

 

 巨大な翼を生やした巨大なポケモンが現れたのは今朝の事、だとすればこの近くにはいないかもしれない。しかし、悪夢を見せたポケモンは、まだ近くにいるかもしれない。

 

(急に目の前が暗くなって眠くなったか……これがもしポケモンの技だとしたら対策は出来る)

 

「出てきてくれ!」

「サナッ!」

「サーナイト『しんぴのまもり』だ」

 

 サーナイトをモンスターボールから取り出すと『しんぴのまもり』を指示すると体から緑色のオーラを出し自身とジンを包み込む。『しんぴのまもり』は状態異常から守る技、作業員たちを眠らせたのがポケモンの技であればこれで防げるはずだ。

 

「……サナ」

「あそこか……」

 

 ジンが指示するまでもなくサーナイトは警戒を強め、いくつにも分かれて存在するトンネルの内の一つを凝視している。そこから強い力を感じ取っている様だ。

 

「……行くぞ」

 

 ここで引き返しフリードと合流するという選択肢も当然ある。しかし、トレーナーとしての本能と好奇心がこの先にある何かをこの目で今すぐに見てみたいと訴えていた。

 

 ジンたちは警戒を強めながら一本のトンネルを進んでいく。足を一歩前に進めるたびに感じ取っていた力は強まりつつあった。やがてトンネルを抜けると再び、大きく開けた場所へと到達する。

 

「……サーナイト、気づいてるよな?」

「サナッ!」

 

 トンネルを抜け、この場所に足を一歩踏み入れた瞬間、先程まで感じていた力は比べ物にならない程に強くなった。しかも、それだけではなく今までになかった鋭い視線さえも今は感じ取れる。

 

「「…………」」

 

 ジンとサーナイトは全体を見渡せる中央まで移動すると辺りを見渡しながら、奇襲に警戒しいつでも戦闘に入る事が可能なように準備に移る。

 

 そうして、警戒しながら待つこと5分程……その時は突然、訪れた。

 

「っ!?」

 

 ジンたちの真上の天井に影が現れ、中から1体のポケモンが姿を現した。そこから現れた白髪の様な頭部に黒い衣を纏ったまるで死神の様な姿をしたポケモンは両腕を上げるとその中心に巨大な黒い光球を生み出すとそこから小さな光球をまるで弾丸の様に何発も放ち始める。

 

「………!」

 

 その攻撃はジンとサーナイトに命中するが両者には何の異変も起こらない。正体不明のポケモンもその事に驚いた様子を見せ、一旦、攻撃を中断する。そこでようやくジンは自分たちが相対しているポケモンの正体に気づくことができた。

 

「成程……正体はお前だったか」

 

 攻撃が止むとそのポケモンは天井からゆっくりと降下し始める。ジンはその隙にスマホロトムを取り出し、目の前に現れたポケモンについて検索を始める。

 

『ダークライ あんこくポケモン 悪タイプ 深い眠りに誘う力で人やポケモンに悪夢を見せて自分の縄張りから追い出す』

 

(……ここがガラル地方だったから無意識のうちに除外していたが、よくよく考えれば、悪夢を見せるポケモンと言われれば第一に考えるべきだったか)

 

 本来、ダークライはシンオウ地方に伝わる幻のポケモンであり、その地方に存在する新月島に生息していると言われている。

 

 しかし、過去にシンオウで開かれたポケモンリーグでダークライを使用したトレーナーもおり、新月島以外の場所やカロス地方での発見例も存在する以上、複数体のダークライが存在しシンオウ以外の地方にいたとしてもあり得ない事ではないのだ。

 

(……強いな)

 

 目の前に現れたダークライからは強いプレッシャーを感じる。少なくともパルデア地方で出会った森のオリーヴァ以上の強さ、今までに出会ったポケモンの中でトップクラスの強さであることに疑いはなかった。

 

「ダーク!」

「『ムーンフォース』!」

 

 黒い光球『ダークホール』が効かないと判断したダークライは今度は直接ダメージを与えようと手から黒と紫の光線『あくのはどう』を発射する。それに対しサーナイトは『ムーンフォース』を放ち、相殺する。

 

「今度はこっちの番だ!『はどうだん』!」

 

 サーナイトは両腕を前に出し青い光球を作り出すとダークライに向かって放つ。ダークライに向かって『はどうだん』は真っすぐに突き進むがダークライは反撃せず、地面に存在する自身の影に身を潜め始める。

 

 肉体が完全に影に潜んだのとほぼ同時に『はどうだん』は影のあった場所に命中するがその時には既にダークライの影は存在しなかった。ジンは瞬時に辺り一帯を見渡す。すると人間ほどのサイズの動く影がサーナイトの背後に回り込もうとしている事にいち早く気づくことに成功した。

 

「っ!サーナイト!『まもる』!」

 

 背後に回り込んだダークライは体を影から瞬時に出すと今度は両腕にエネルギーを集中させ『シャドーボール』を放つ。サーナイトはジンの指示で咄嗟に『まもる』を展開したことでダメージを受ける事は免れる。

 

(早い……)

 

 ダークライは再び、影に身を潜めサーナイトから距離を取り攻撃の準備に入っている。この戦法は以前、アメジオのソウブレイズが『ゴーストダイブ』で使用したものと似ているが素早さに置いては圧倒的にダークライの方が上だ。

 

(『まもる』は連続での使用は難しい。あの素早さの相手に守り続けるのは不可能……かと言って不用意に攻撃しても命中させるのは難しいか……)

 

 しかし、ダークライはデータ上、他の伝説・幻のポケモンたちと比べれば決して打たれ強いポケモンではない。生半可な攻撃では駄目だが、サーナイトの効果抜群の最も強力な技をぶつける事が出来れば勝機はある。

 

(その為にはまず、ダークライの動きを止め隙を作らせるしかない……だったら!)

 

「サーナイト!もう一度『はどうだん』!」

 

 サーナイトは再び、『はどうだん』を生成するとダークライに向かって放つ。当然、このままでは先ほどの様に躱されるのは目に見えている。ダークライも当然の様に影に身を潜め回避の準備に入った。その瞬間、ジンは更なる指示を出し始める。

 

「『みらいよち』!」

 

 サーナイトは目を青く光らせるとダークライに接近しつつあった『はどうだん』に向かって『みらいよいち』を発動する。それと同時に『はどうだん』は消え去っていく。

 

「……ダーク?」

 

 突然、姿を消した『はどうだん』にダークライは困惑した様子を見せるが、攻撃が来ないのだと分かると影に潜みサーナイトの死角に移動すると両腕に『シャドーボール』を生み出し、攻撃を仕掛け始める。

 

「『まもる』!」

 

 迫ってくる『シャドーボール』を『まもる』で防御する。しかし、サーナイトが守りに入ったのを見るとダークライは再び、『シャドーボール』を作り出し更なる追撃を仕掛けてくる。

 

(ここは逃げに徹するしかないか……)

 

「『かげぶんしん』!」

 

 サーナイトは『かげぶんしん』で洞窟内に無数の分身体を作り出し『シャドーボール』を回避する。だが、それを見たダークライは瞬時に影に潜むと洞窟の中央に移動し両腕から『あくのはどう』を発射しながら回転し始める。

 

 『あくのはどう』は洞窟にいたサーナイトの分身たちを次々に命中させ、あっという間にほぼ全ての分身体を消し去っていく。

 

「『ひかりのかべ』だ!」

 

 『ひかりのかべ』を展開し防御の体勢に入るが、ダークライの放つ技はどれも強力な物ばかりで完全に防ぎきることは出来ず爆炎を起こしサーナイトを包み込んだ。

 

「サーナイト!?」

 

 爆炎が消え去るとそこには体中に傷ができ片膝を地面につける程のダメージを負ったサーナイトが現れる。限界が近いのは誰の目にも明らかだ。

 

(もう少し……あと少し……)

 

「ダァァク!」

「ここは耐えろ!『まもる』!」

 

 サーナイトは満身創痍であり、避ける力もなくあと一撃で仕留める事が出来る。そう確信したダークライはその場から『シャドーボール』を作り出し、サーナイトに向け発射する。これは『まもる』によってなんとか防御したが、ダークライは既に新しい『シャドーボール』の生成に入っており、もはやサーナイトには打つ手が残されていない。

 

(ここまでか……)

 

 ジンがそう覚悟を決めた瞬間、一陣の風が洞窟内に起こる。

 

(っ!?来た!)

 

 その瞬間、ダークライの頭上より『みらいよち』により未来に飛ばされていた『はどうだん』が落下しダークライに命中すると地面に叩きつけられる。このバトルが始まって以降、ダークライが初めて大きな隙が見せた。

 

(今しかない!)

 

 ジンはポケットからテラスタルオーブを取り出しエネルギーを収縮させるとサーナイトの頭上に投げつける。無数の結晶が包み込み、弾けるとそこには頭上にハートの形をしたジュエリーの様な物を生やしたサーナイトが現れる。

 

「決めるぞ!『テラバースト』!」

 

 テラスタルジュエルが砕け、ハートのエフェクトと共に未だに倒れているダークライの周辺にピンク色のエネルギーが収縮し始める。ダークライは咄嗟に影に逃げ込もうとするが、それよりも早くエネルギーは溜まり洞窟を揺るがすほどの大爆発を引き起こした。

 

「………」

 

 サーナイトは今の技で力の全てを使い果たした。ここで起き上がってくればもう戦う術はない。倒れてくれ、心の中でそう祈りながら爆発の中心地に視線を集中する。やがて煙が晴れるとそこには地面に仰向けに倒れ込むダークライの姿があった。

 

「行け!モンスターボール!」

 

 倒れ込んだダークライに向かってモンスターボールを投げつける。モンスターボールに命中したダークライは赤い光線と共に吸い込まれていく。その後、モンスターボールは左右に数回揺れると、カチリという音と共に動きを止めた。

 

「………ふぅ……ダークライ、ゲットだ」

「……サナ」

 

 ダークライがモンスターボールに納まるとジンとサーナイトは疲労感からその場に座り込む。座り込むのと同時にサーナイトのテラスタルは解除され通常の状態へと戻った。強い敵とのバトルは何度も経験しているが、ダークライは黒いレックウザ以来の強敵で間違いないだろう。

 

「あと少し、『みらいよち』が遅かったらやばかったな……」

 

 本来、『みらいよち』とは念力の塊を未来に送り攻撃するという技だ。しかし、ダークライは悪タイプのポケモン、普通に『みらいよち』を使ったのではダメージを与えられない。その為、サーナイトは念力の塊で『はどうだん』を包み込み一緒に未来へと転送させる方法を取った。

 

 如何にダークライが素早いとはいえ、見えない場所からいつ来るのかも分からない攻撃に対応する事は出来ない。半ば賭けの様に使った技であったが、この結果を見れば大成功と言えるだろう。

 

「サーナイト、ご苦労さん。ゆっくり休んでくれ」

 

 ジンはゆっくり立ち上がるとサーナイトをボールに戻しポケットにしまうと改めてダークライの入ったボールを拾い上げる。

 

「……出てこない」

 

 ボールの開閉スイッチを押してみるがダークライがボールから出てくる様子がない。中にいるダークライが拒んでいる様だ。

 

(まぁ、後でいいか……)

 

 ダークライから詳しい話を聞きたい所ではあったが、この洞窟にはまだ謎のポケモンが1体潜んでいる。そのポケモンの正体までは分からないが、このダークライと同等の強さを秘めている可能性もあった。今のリコたちではまず対処しきれない。

 

(まずはフリードと合流だ……ん?)

 

 ダークライの入ったボールをしまい、ここまで来るのに使ったトンネルへ引き返そうとすると反対方向のトンネルから足音が近づいてくる事に気づく。

 

 リコやロイが洞窟内で道に迷い、こちら側に来たのではないか。そんな僅かな希望もある為、足音の正体を確認しに行く。そこから現れたのは残念ながらリコやロイではなかったが全く知らない相手という訳でもなかった。

 

「……アメジオ」

「久しぶりだな。この時を待っていたぞ」

 





ハッサム、コノヨザルに続く3体目のこの小説オリジナルポケモンでダークライをゲットさせてみました。

なぜ、ダークライがここにいるのかについての解明はもう少し先になると思います。

☆10
烈火の明星さん

高評価ありがとうございます

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