今回はガラルファイヤーとのバトルです!
今週のアニポケも面白かったなぁ。来週は海か……海!?水着!?
「ジュカァァァァァァァァ!」
「グォォォォォォォォォォ!」
メガストーンの輝きが収まり出すと力強い雄叫びと共にメガシンカしたメガジュカインとメガギャラドスはその姿を現し、上空にいるガラルファイヤーに向け威嚇をし始める。
「ファァァァァァァァァイッ!」
ガラルファイヤーもそれに応えるように雄たけびを上げ目の前の2体を警戒し始める。圧倒的な強さを持つガラルファイヤーでさえも目の前でメガシンカしたジュカインとギャラドスの事を無視する事はできない様だ。
「……それで?どうするつもりだ?」
「なにがだ?」
「惚けるな。お前は俺とギャラドスのバトルスタイルを知らない。それでまともなタッグバトルを行う事など不可能だ」
ジンとアメジオは元々、敵同士の間柄だ。何度かバトルはしたことはあるがタッグバトルなど当然、経験はない。
しかもアメジオの言うようにジンはギャラドスがどんな技を使うのかどのようなバトルスタイルなのかも知らないのだ。これでは連携の取りようもない。それどころか拙い連携はかえって状況を悪化させる可能性もある。
「お前がその事を理解していない筈がない。だが、それでもお前は俺と手を組む選択をした。既に作戦の1つでも建てているのだろう?」
「ふっ……話が早くて助かるよ」
ジンもアメジオとの急造コンビで抜群のコンビネーションを披露しガラルファイヤーと闘えるなどとは端から思っていない。そうするつもりならばアメジオと組んだりせずに危険を冒してでも自分のポケモンたちのみで勝負に挑んでいただろう。
この状況で、ジンがアメジオに求めている事はただ1つだけだ。
「3分でいい。時間を稼いでくれ」
「3分だと?」
「そうだ。今からジュカインにある技を準備させる。その技の発動にはどうしてもそれだけの時間が必要なんだよ」
「……その技で奴を倒せるのか?」
「奴相手にどこまで効くのかはやってみないと分からないが、威力は保証するよ」
その技は買い出しの為に船を停泊させた際に人気のない場所で使った事がある。その為、被害はでなかったが船の上では絶対に使うことができないと判断せざる得ない程の大技だ。
当てる事さえできれば、いかに相手が伝説のポケモンであろうとも一撃で大ダメージを与え倒しきれるかもしれないという自信があった。
「どうする?難しいようなら、今から逃げても構わないぞ」
「……いいだろう。ギャラドス!」
「グォォォッ!」
アメジオの呼びかけに応え、ギャラドスはジュカインの一歩前へと出てガラルファイヤーに向かい合う。その姿を見たジュカインは技の準備を行うため、後方のジンとアメジオの直ぐ近くにまでジャンプし距離を取る。
「ところでだ……」
アメジオはジンの一歩前に出るとガラルファイヤーから目を離さず背中越しにジンに話しかける。
「時間を稼ぐのはいいが、お前たちの準備が整う前に奴を倒してしまっても構わないのだろう?」
「……ははっ……あぁ、勿論構わないさ。お前の力を見せてくれ!」
ジンの了承を得たアメジオは改めてガラルファイヤーへと向かい合う。ガラルファイヤーから発せられるプレッシャーや怒りのオーラは常人であれば恐怖心を抱き、戦意を奪わせるほどだ。しかし、アメジオは一切、表情を変える事無く堂々とした態度を崩さない。
「ファァァァァァァァァッ」
洞窟内で飛び上がったガラルファイヤーは翼を羽ばたかせると両翼からいくつもの空気の刃を生み出しギャラドスに向けて放つ。
「ギャラドス!『アクアテール』を地面に叩きつけろ!」
ギャラドスは尻尾に水を纏わせるとその場で地面を力の限り叩き付けその場で上に向かって大きく飛び上がり空気の刃を回避し、更にガラルファイヤーの上を取った。
「『こおりのキバ』!」
天井近くまで飛び上がったギャラドスは鋭く尖った牙に氷を纏わせるとガラルファイヤーの首筋に向かって牙を突き立てる。
「ファイッ!?」
効果抜群となる『こおりのキバ』をくらったガラルファイヤーは悲痛な悲鳴を上げると体を左右に激しく動かしギャラドスを引き剥がそうとする。
「ギャラドス!まだ逃がすな!」
「グォォォ!」
しかし、ギャラドスは渾身の力を顎に込めガラルファイヤーに噛みつき続けた。体の深くにまで刺さったギャラドスの牙は簡単には引き抜けない。『こおりのキバ』によりガラルファイヤーは着実にダメージを与え続けていく。
***
(……予想以上だ)
アメジオたちの後方からギャラドスとガラルファイヤーのバトルを見ていたジンはアメジオとギャラドスの強さに素直に驚いていた。
アメジオたちがメガシンカを会得してから、まだそれ程の時間は建っていないはずだ。それにも関わらず、メガシンカをここまでの練度で使いこなしている姿は称賛に値すると評価せざるを得ない。
「ジュカイン、準備に入るぞ」
「ジュッカ!」
ガラルファイヤーは今、アメジオとギャラドスの相手に集中していてジンとジュカインの事は無警戒だ。今ならば、ジュカインが技の発動の為の準備をしても襲い掛かってくることはないだろう。
「『エナジーチャージ』!」
ジュカインは口元に『エナジーボール』を作り出すと、そのまま口の中に入れ込む。本来であれば、この瞬間に草のエネルギーで身体から緑色のオーラを纏い輝き出すのだが、今回は少し違う。
ジュカインは『エナジーボール』によって取り込んだエネルギーを体内でコントロールし、身体全体ではなく右腕の草にのみ徐々に集中し始める。
「……ジュカ」
「ジュカイン、エネルギーのコントロールに集中してくれ」
ジュカインはギャラドスとガラルファイヤーのバトルが気にかかる様だが、ジンからの注意を受けるとこくりと頷き、エネルギーを集中させていく。
(気持ちは分かるけどな……)
今後も敵として立ちふさがるであろうアメジオの全力のバトルだ。目に焼き付けておきたい気持ちは理解できるが、一時的とはいえ同盟を結び潰れ役を引き受けてくれているのだ。その働きを無駄にすることなどはあってはならない。
準備にかかる時間は約3分、アメジオたちがガラルファイヤー相手に懸命にバトルを続ける中、ジンたちも勝利の為に着々と準備を進めていた。
***
「ファァァァッ!」
ダメージが蓄積し始めたガラルファイヤーは、これ以上のダメージは危険だと判断しギャラドスごと洞窟の壁に向かって思い切り突撃する。当然、ガラルファイヤーもダメージを負うがその衝撃によりギャラドスは遂に牙を離してしまった。
「ファァァ……ファァッ……」
しかし、『こおりのキバ』と壁への突撃した際に負ったダメージを総合するとかなりのダメージ量だ。ガラルファイヤーは息を少し荒くし始めている。
「奴に攻撃の隙を与えるな!『なみのり』!」
攻撃の隙を与えれば先程の気力を奪う技、『もえあがるいかり』が襲ってくる。『まもる』の様な防御技がなければ回避は難しい以上、『もえあがるいかり』を使う隙を作らせず攻め続けるしかないのだ。
ギャラドスは洞窟にも関わらず、自身の下に大量の水を作り出すと巨大な津波を発生させガラルファイヤーを飲み込もうとする。
「ファァァァイッ!」
しかし、ガラルファイヤーは両翼を羽ばたかせると『なみのり』を超える大きさの竜巻を『ぼうふう』を使用する事で発生させ、逆に津波ごとギャラドスを飲み込んでしまう。
「なにっ!?」
『なみのり』を飲み込んだ『ぼうふう』はまるで渦潮の様な見た目となり中に閉じ込められたギャラドスは着々ダメージを与えられていく。
「まだだ!ギャラドス!『たきのぼり』で駆けあがれ!」
ギャラドスは渦潮状態となった『ぼうふう』の中を『たきのぼり』で駆け登るという力業で脱出するとその勢いを利用しガラルファイヤーへと向け突き進む。
「『こおりのキバ』!」
ギャラドスは再び、『こおりのキバ』を突き立てようとする。迫りくるギャラドスに対しガラルファイヤーは体全体に青いオーラを纏うとギャラドスに正面から挑み、突撃した。
「ファァァァァァァァァイッ!」
ギャラドスの『こおりのキバ』とガラルファイヤーの『ゴッドバード』のぶつかり合いはガラルファイヤーに軍配が上がり、ギャラドスは洞窟の壁まで吹き飛ばされる。
「ギャラドス!?」
吹き飛ばされたギャラドスを見てアメジオは悲痛な声を上げる。
「グォ……グォォ……」
ギャラドスは壁にもたれかかりながら顔を上げガラルファイヤーを睨みつけるが、今の攻防でかなりのダメージを負ってしまった様で息を切らし始めていた。ギャラドスの限界が近いのはトレーナーのアメジオだけでなくガラルファイヤーにも明らかだ。
「ファァァァッ!」
ガラルファイヤーは天井付近まで上昇すると両翼を大きく広げ怒りを炎の様な邪悪なオーラへと変換し解き放とうとする。傷だらけのギャラドスには『もえあがるいかり』を阻止する事も回避することも出来ない。
「……ここまでか」
アメジオが悔しさをにじませながら、そう呟いた正にその時だった。
「いや、よく耐え抜いてくれた」
「っ!」
アメジオは背後からかけられた声につられ後ろを振り返る。そこにはジンと『エナジーチャージ』で取り込んだ草のエネルギーのコントロールを完全に終了したメガジュカインが控えていた。
「選手交代だ……行くぞ!ジュカイン!」
「ジュカッ!」
ジンの掛け声に合わせジュカインは腰を低く落とし左足を前に出し構えを取ると右腕を高く掲げる。その瞬間、『エナジーチャージ』によって溜めこまれたエネルギーが右腕の草に集中し巨大な『リーフブレード』へと変化した。
「『夢想・樹海新生』!」
ガラルファイヤーが『もえあがるいかり』を使用したのとほぼ同じタイミングでジュカインはその場を駆け抜ける。『もえあがるいかり』が洞窟全体を包み込むよりも早く、まるで『しんそく』を使用したのではないかと思うほどのスピードでガラルファイヤーの元に到達するとその勢いのままにガラルファイヤーの両翼を連続で斬りつける。
「ッ!?ファァァァァァイッ!?」
ガラルファイヤーは斬りつけられたことでようやくジュカインが接近していた事に気づいたようだが既に遅い。両翼を斬りつけられ攻撃を中断させられたガラルファイヤーは悲痛な叫び声を上げながら地面へと落下してしまう。
洞窟を駆け抜け、ガラルファイヤーをすれ違いざまに切り裂いたジュカインは左腕で地面を掴み勢いを殺し踏みとどまると強化された右腕の草を地面に叩きつけ草のエネルギーを流し込む。地面に流し込まれた草のエネルギーは何本もの太い蔦の様な姿に変貌し落下していくガラルファイヤーを覆い尽くし絞めつける。
「決めろ!ジュカイン!」
ジンが合図を送るとガラルファイヤーを覆い尽くした蔓の中心部に草のエネルギーが一気に集中し始める。蔓の中心部から緑色のオーラが溢れだし、次の瞬間に蔓を全て吹き飛ばすほどの巨大な爆発を発生させた。
爆発音と衝撃、そして爆発の際に飛び出した緑色のオーラが洞窟内に充満していく。ジンとアメジオがその中心部に視線を向けるとそこには両翼を広げうつ伏せになって倒れるガラルファイヤーの姿があった。
「ファ……ファァイッ……」
ガラルファイヤーは倒れてこそいるが、まだ意識は失っていなかった。か細いながらも声を上げ、必死に飛び上がろうともがいている。
(あれを受けて、まだ意識があるのか……)
戦闘継続は難しそうに見えるが伝説のポケモンが相手では完全に意識を奪わなければ安全とは言い切れない。
「ジュカイン!『リーフブレード』で……!?」
ジンはジュカインにとどめを刺すように指示を出そうとしたがジュカインに視線を向けた瞬間にその指示を中断してしまう。
「……ジュウゥ……ジュカァ」
ジュカインはメガシンカだけでなく『エナジーチャージ』による強化が解けて通常の状態に戻っている上に息を荒くしながら片膝を突いてしまっている。ジンの声でジュカインはなんとか立ち上がり構えを取るが『夢想・樹海新生』はやはり思っていた以上に体への負担が大きかったようだ。
(……ここら辺が潮時か)
「……ジュカイン、もういい」
残ったエネルギーを両腕の草に集中し『リーフブレード』を作ったジュカインをジンは制止させる。
「ジュカ?」
「もう目的は果たした。これ以上は必要ない」
少し冷静になり考えてみれば、当初の目的はリコたちが逃げ切るまでの時間を稼ぐことにあった。その目的は既に果たしリコたちは既に鉱山を脱出している筈だ。これ以上、ガラルファイヤー相手に戦いを続ける必要はない。
それにガラルファイヤーはオリーヴァと同じ六英雄のポケモンだ。恐らくはこの旅のカギとなるポケモンの1体であり今後はできれば協力関係を結びたい相手でもある。ここで戦闘不能にまで追い込み必要以上に恨みを買うのは出来れば避けたいところだ。
「……ジュッカ」
「あぁ、よくやってくれた。戻ってくれ」
ジュカインもジンの考えを察した様で大人しくモンスターボールへと戻っていく。その様子を見たガラルファイヤーは意図が理解できなかったようでジンの事を睨みつける。
「もう行っていいぞ……」
「ファイ?」
「本当はお前と話がしたかったんだが、それをするのは今じゃない」
ガラルファイヤーは戦闘不能寸前までダメージを受けたことで先程よりは落ち着いているが、それでもまだ強い怒りを発している。話し合う事で協力を取り付ける必要があるが、その為には六英雄と何らかの関りがあるペンダント、そしてオリーヴァの入った古のモンスターボールが必要だ。
「俺たちはまたここに来る。どうしても決着をつけたいんだったら、その時に相手になってやるよ」
ガラルファイヤーは無言でジンの事を睨みつける。ジンもその視線から逃げる事無くそれを受け止める。互いに無言のまま数秒間の睨み合いは続き、やがてガラルファイヤーは体をふらつかせながら飛び上がり、ここに入ってきたトンネルへと戻り姿を消した。
「……流石に疲れたな」
ダークライに続き連続で行われた伝説のポケモンとのバトル、終わったと思った瞬間にとてつもない疲労感が体を襲い始め、ジンは壁を背にその場に座り始める。
「……なぜ、奴を逃がした?」
ジュカインとガラルファイヤーのバトルを見守っていたアメジオは傷だらけになったギャラドスを回収すると座り込んだジンを見下ろしながら、そう問いかける。
「こっちにも色々と事情があるんだよ」
以前までであれば、ガラルファイヤーを倒しゲットすればそれだけで解決だったかもしれない。しかし、今のジンにはリコを守り抜き仲間たちと共にペンダントの謎を解き明かすという目的もある。ただ、バトルをし勝利すればいいという訳にはもういかないのだ。
「あぁ、そう言えばバトルの続きをするんだったな?始めようか?」
「…………いや、もういい」
「なに?」
アメジオとの約束を思い出したジンはその場から立ち上がり傷を負ったジュカイン、サーナイト、ボーマンダ、ダークライ以外のモンスターボールへと手を伸ばそうとするがアメジオはバトルを拒否した。
「どういうつもりだ?」
「……業腹だが認めよう。今の俺ではまだ、お前には勝てない」
ジュカインが最後に見せた『夢想・樹海新生』という技、更にはガラルファイヤーからアメジオたちを守る際に出てきたダークライの存在。不確定要素が多い上にアメジオが強くなったのと同じようにジンも同じく……いや、それ以上に強くなっていた。その事を認める事が出来ない程、今のアメジオは弱くない。
「……帰るなら好きにしていいぞ」
アメジオは紛うことなき敵だ。しかし、この一戦に限りは同盟を結んだ相手でもある。そのアメジオがバトルを望まない以上、ジンから仕掛ける事は躊躇われる上に連戦に次ぐ連戦でジンも既に限界が近い。帰る相手を追いかける程の体力は残っていないのだ。
「俺は強くなり、またお前の前に現れる。それまで誰にも負ける事は許さん」
アメジオはそう言い残すとジンに背を向け洞窟内を歩きだし、ガラルファイヤーが来たのとは別のトンネルへと入り姿を消した。
「……やれやれ」
言いたいことだけ言い、こちらには何も言わせずに立ち去っていくアメジオを見てジンはついそんな言葉を呟いていた。
「でも……少し、楽しいな……」
この感覚は以前までの1人旅をしていた頃には感じなかった感覚だ。同等とまでは言えないが自分に近い実力を持ち、少し見ない間に強くなり自分に迫ろうとする相手、そんな相手はホウエンにいた頃は存在しなかった。
ジンと同年代の子供たちはジンとバトルすればその強さと才能に憧れはしても勝とうとは考えなかった。最初はリベンジを誓った子もいた様が、何度か負けジンの強さを見る度に最後は諦めてしまう。そんな中、何度敗北しようとも強くなり挑み続けるアメジオという存在はジンにとって初めてのライバルと言える相手かもしれない。
「これが……ライバルか」
アメジオはまたジンに勝利するために強くなる。その時に備え自分も強くならなければいけない。そう考えるだけでジンはアメジオと再び、再戦する時を楽しみに感じ始めていた。
ジュカインの使用した『夢想・樹海新生』はポッ拳に出てくる技です。私はポッ拳をやったことはなかったのですが、読者様の1人から紹介して頂いたので参考にさせて頂きました。
☆9
クレイトスさん
高評価ありがとうございます
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