ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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一週間以内に投稿したいんですけど、なかなか時間の確保が難しいです……


カレー作り

 

 カビゴンとのバトルを終え、何とか目当てであったクラボの実を森の中で見つけたリコ達はキャンプ地に戻り改めてカレー作りへと取り掛かろうとしていた。

 

「木の実も集まったし!」

「これから美味しいカレーを作ります!」

「「おーっ!」」

「お……おーっ」

 

 カレー作りに対してノリノリなリコとロイ、そしてそんな2人のテンションにやや押され気味なドットが今回、カレー作りを担当している。ドットにとっては初めてのカレー作り……というよりも初めての料理だ。

 

「頑張れよ!」

「期待してるぞ!」

「楽しみにしてるよ!」

 

 キャンプ地に残ったメンバー達は既に準備を終えた様で、カレーが出来るのを心待ちにしている様子だ。船に残ったメンバーにも既に声をかけ、こちらに向かっている。全ての準備が終わる頃には全員揃って食事を迎えることが出来るだろう。

 

「よーしっ!始めるよ!」

「カレー作りに大切な事は5つ!」

「1つ食材!」

「2つ木の実!」

 

 リコとロイは割と手慣れた手つきで野菜や木の実を自分好みの大きさへと切っていくとそれぞれのカレーの中に次々、投入していく。

 

「3つ火加減!ホゲータ『かえんほうしゃ』お願い!」

「ホゲー!」

 

 ホゲータがカレーの入った鍋の底に『かえんほうしゃ』で火を付ける。カレーは一気に沸騰し、香辛料の香りが広がり食欲を刺激していく。

 

「よ、4つ……か、かき混ぜ」

 

 続いて、鍋に入ったカレーをドットがかき混ぜていく。料理に慣れていない以前に筋力が足りていない様で苦労しているが、彼女なりに精一杯励んでいる。 

 

(楽しそうだな……)

 

 そんな中、ジンはと言うとカレー作りを楽しんでいるリコ達を脇目に見ながら、1人黙々と木の実を切っていた。と言ってもこの木の実はカレー作りの為のものではない。

 

「カビィ……」

 

 先程、新たにゲットしたポケモンのカビゴン。彼は物欲しそうな表情と声を出しながらジンの事を見つめていた。

 

「……そんな声出すなよ。今、作るから」

 

 ジンはリコ達から目を離すと、切った木の実を次々に持参したポロックキットの中に詰め込み起動させる。キットが作動し数十秒ほど回転するとピンク色のポロックがいくつか排出された。

 

「ほら。完成だ」

「カンビッ!」

 

 完成したポロックを1つ掴みカビゴンに差し出すとカビゴンは早速、出来上がったポロックを口の中に放り込んだ。するとその瞬間、カビゴンの大きなお腹が一気に膨れ上がっていき嬉しそうな声を上げる。

 

「カビィ!カビィ!」

 

 カビゴンはジンの作ったポロックをとても気に入った様で、もう1つとよこせとばかりに手を差し出してくる。

 

「なんだ?まだ食う気なのか?それ1つで結構、腹が膨れる筈なんだが……」

「カビッ!」

「……分かったよ。全部、食べていいぞ」

 

 ジンの許可を得るとカビゴンは出来上がったポロックを全て掴むと口の中に放り込んだ。するとカビゴンの腹が爆発するのではないかと心配する程、一気に膨らんでいく。一瞬、食べ過ぎなのではないかと心配もしたが、カビゴンはその場に座り込むと満足そうな様子を見せながら眠りにつく。

 

(よく全部食べれたな……)

 

 ジンが作ったポロックは、カビゴンの様な大食漢用のポロックであり1つで約300kgの食事を摂ったのと同じ効果を得られるという特殊な効果を持っている。因みに普段、ジンが非常食用に持っているポロックはこれを独自に改良したものでもある。

 

 このポロックは木の実を数個程使用するだけで完成できる。普段、他のポケモン達に出している木の実よりも少ない量で済むためコスパ的にも有り難い。

 

(これでモリーに怒られないで済むか……)

 

 カビゴンの様な大食いポケモンをゲットしたなどと言えば彼女から雷が落ちる事は確定だが、今回はこうした対応策を用意している。これならば、モリーにも問題なくカビゴンを船に乗せる事を容認して貰えるだろう。

 

「さてと……」

 

 これでカビゴンの問題は片が付いた。カレー作りの方はどうなっているかとリコ達に視線を向けると鍋も煮詰まり、いよいよ終盤を迎えようとしている。

 

「カレー作りに必要な最後の1つは?」

「えっ?えーっと……野菜の大きさ?」

「ハズレです!正解は……真心です!」

「ま、真心?」

「そう!はいやって!」

「こうね!」

 

 リコは胸の前で手でハートを作るとドットに向ける。ロイもリコに続く様にハートを作ると、笑顔でドットに迫っていく。

 

「……こ、こうか?」

 

 こういった事に慣れていないドットだが、2人の圧に負けた様だ。顔を真っ赤に染め上げながら、2人と同じ様にハートを作るとカレーに向けて、真心を注入していく。

 

「か、カレーって……本当に謎だ……」

 

 カシャッ

 

「え?」

 

 恥ずかしさの余り、顔を下に向けていたドットはシャッター音に気づき顔を上げる。するとそこには笑顔を浮かべながら、スマホロトムを起動させたジンが立っていた。

 

「ちょっ!?なに撮ってんだよ!?」

「いや……記念になるかなと思って」

「消せ!今すぐ消せ!?」

「…………おっと!カレーが冷めてしまう。早く食べようか」

「おーーーい!?」

 

 その後、撮影したばかりの写真をめぐり激しい攻防が行われた。今までの人生でトップ10に入るであろう黒歴史を消そうと必死に抗うドットに負けてしまい、結局、写真は消去される。因みにだが、その際、ジンは悔しがるどころか、久しぶりに勝負事で負けたなどと楽し気に言っていたそうだ。

 

 

 

***

 

 

 

 カレーを作り終えるとブレイブアサギ号からモリー、ランドウ、ダイアナの3名と船に残っていたポケモン達が合流した。全員の皿にカレーを盛り付け、ポケモンたちにもカレーをかけたポケモンフーズを配るとリコ達が作ったカレーを食べ始める。

 

「「「「いただきます」」」」

 

 ジンの皿にはリコ達とロイの作ったカレーが真ん中のご飯を挟む形で盛り付けられている。まず、リコ達の作ったカレーを口に入れると、ピリッとした辛さの中にモモンの実の甘さが合わさっており、まろやかで食べやすい味付けとなっていた。反対にロイのカレーはクラボの実が効いており、とてもスパイシーな味付けとなっている。

 

「ジン、私たちのカレーどうかな?」

 

 久々のカレーを無言で味わっていると隣に座っていたリコが少しだけ不安そうな表情を浮かべながら、そう問いかけてくる。

 

「両方とも美味いが、個人的にはリコの作ったカレーの方が好きだな」

「本当!?」

「辛さが丁度、俺の好みと合ってる。これなら何杯でも食べられそうだよ」

「よかったぁ……」

 

 ジンの答えを聞くとリコは心底、安心した様な表情を浮かべ始める。彼女の立場になると恋人に初めての手料理を振る舞ったのだ。まずいとか好みではないなどと言われるかもと不安に感じてしまったのだろう。

 

「リコ、良かったじゃないか。将来の為にも今の内から、ちゃんと胃袋を掴んでおくんだよ」

「お、おばあちゃん!?」

「まぁ、聞きなさい。ジンはちょっと大人びてるだろう?きっと同年代からはモテるだろうし、ライバルが現れる前にきちんと差を付けておかないとね」

 

 ライバル、その単語を聞いた瞬間、リコの脳裏には古城で出会ったエクスプローラーズのサンゴの顔が思い浮かんだ。古城での一件から彼女がジンに好意を抱いているのは間違いない。好きな相手に恋人がいると知れば大抵の人間は諦めるのが普通だ。しかし、リコにはサンゴがあの程度の事でジンを諦めたとはどうしても思えないのだ。

 

「……うん!おばあちゃん!私、頑張るから!」

「ははっ!それでこそ、私の孫だよ」

 

 リコとダイアナの会話をジンは微妙な顔をしながら聞いていた。リコが自分の為に頑張ってくれるのは有難い。しかし、ダイアナの言い分ではまるで自分がリコという恋人がいるのにも関わらず、他の女に気持ちが浮つくかもしれないと言っていると同じだ。

 

(そんな事ある訳……)

 

『君みたいな可愛い子にファンになってもらった上に好意まで抱いてもらって嬉しくない男はいないからな。ささやかなお礼だよ』

『リコには内緒だけど、ポケモンバトルっていう名前のデートだったら、いつでも大歓迎だ』

『それじゃあ、また会おう……サンゴ』

 

(…………あれ?)

 

 自分の行いを思い返してみると割と心当たりがあった。バトル終了間際でテンションが上がっていた事もあるだろうが、正直、口説いていると言われても文句は言えない事を言ってしまっている。ジンも知らなかったが、もしかすれば自分の中にはとんでもない浮気性な部分があるのかもしれない。

 

(……いや、結論を出すには早いな。うん。この事は今後、しっかり見極めて行こう)

 

「あっ……美味い……」

 

 ジンが自分の隠れた性分に気づき始めていた頃、ドットは生まれて初めてのカレーを食べると、思わずと言った様子で感想を口にする。

 

「そうでしょう?ドットの真心のおかげだね!」

「本当かよ……」

 

 ドットはそう言いながらも次々にカレーを食べていき、あっという間に皿が空になってしまう。ジンも同じく皿を空にした為、お代わりを取りに行く。

 

「ドットもお代わりするか?」

「う、うん。貰おうかな……」

「はいよ」

「食事なんて栄養が取れれば何でもいいと思ってたけど、皆と一緒に食べるとこんなに美味しんだな。ボクは知った気になってばかりで、知らないことが多すぎる。そう考えると怖くなる……」

「それならこれから学んで行けばいいだけよ」

「え?」

「知らない事が怖い……そう思えたんなら、それが第一歩だ」

 

 知らないことが怖い。これは嘗てジンも抱いた事がある感情だ。ジンは両親からポケモンは危険な面もあるから出来るだけ近づくなと言いつけられていた。

 

 しかし、ポケモンがどの様に危険なのか知らないままでいる方がジンにはずっと怖かった。そう考えたジンは親の言いつけを破り、1人でポケモンの事を調べその存在に強い興味を持つようになった。あの時、親の言いつけを破らなければジンというトレーナーは存在しなかったのだろう。

 

「心配するな。この世界はドットが思ってる以上に、楽しい事や面白い物で溢れてる」

 

 何かを知ろうと思い行動すれば、必ず良い所を見つける事が出来る。実体験からその事だけはジンは自信をもって保証することが出来た。

 

「ジンの言う通り、大丈夫だよ。楽しい事ばっかりだから。世界中の色んな事、一緒に見つけよう」

「あっ……うん!」

 

 リコとジンに言われ、元気を取り戻したドットはお代わりのカレーを口の中にかき込んでいく。すると突如、ドットの顔が真っ赤に染めあがる。

 

「うっ……」

「どう?僕の特製カレー美味しいでしょう?」

「か、辛すぎるよ……」

 

 この数日、黒いレックウザの情報を求めて部屋に引きこもっていたドット。その努力の成果こそ得ることは出来なかったが、その代わりに一緒にカレーを食べる事で今まで以上に仲を深めることが出来た。ジンたちは不思議とそんな気がしていた。

 

 

 

***

 

 

 

 エクスプローラーズの本部の一室、ハンベルに連れられアメジオを始めとしたスピネル、サンゴ、オニキス、アゲートの幹部一同がこの場所に集めらていた。全員が注目する先にはペンダントであった頃のテラパゴスや六英雄などの映像が次々に映り出していく。

 

「ダイアナから孫娘に渡ったペンダントには、我々の手から逃れカントー地方で黒いレックウザと接触しました。そして、パルデアではオリーヴァ、ガラルでガラルファイヤーと遭遇した事でペンダントはテラパゴスとして目覚めたのです」

「でも、そのテラぴょんはあいつらのとこなんだよね?」

 

 普段のサンゴであれば、ここで任務を失敗したアメジオやスピネルを罵倒していただろう。しかし、敵にはジンがいる。彼がいる限り、アメジオやスピネル程度では敵う筈がないと考えた様だ。

 

「ならば我々はライジングボルテッカーズと決着をつけテラパゴスを奪うと」

「やるやる!そういうの鬼好き!あっ!でも、ジン君の相手はサンゴだからね!」

「サンゴ!何度も言うが任務は遊びではない!」

「うっさいな!ジン君とデートの約束してんだよ!絶対譲らねーから!」

「実力行使はリスクが大きいのではないですか?」

 

 サンゴとオニキスがいつもの様に口論を始めそうになるが、そこにスピネルが新たなる作戦案を提示し始める。

 

「消極的だな……」

「あの少年ともう一度バトルするにはそれなりの準備が必要ですので、それに……」

「何か掴んだのか?」

「いえ……ですが、幸いな事に彼らはテラパゴスの価値を理解していない。ですが、こちらから下手につつき、万が一にでも情報が洩れればフリードやあの少年はその価値に気づくかもしれない。ならば、そちらは監視のみにとどめるのが得策かと」

「一理ある」

 

 スピネルの出した代案に真っ先に賛成の意を示したのはアメジオだ。彼とスピネルのそりが合わないのはこの場にいる全員の周知の事実だ。それだけにアメジオがスピネルの事を支持したのは予想外だったらしく提案したスピネルも含め、全員が驚いた様子を見せる。

 

「アメジオ様、理由をお聞かせ頂けますか?」

「オリーヴァ、ガラルファイヤーを目覚めさせたのはペンダントではない。黒いレックウザだ」

 

 この可能性はジンもガラル鉱山で僅かにではあるが懸念していた事だ。オリーヴァだけでは確実性に欠けたが、ガラルファイヤーとの遭遇から見ても可能性はかなり高い。

 

「レックウザとの接触による目覚め……」

「テラパゴスを追っては後れを取る。先んじるには黒いレックウザを追う他ない」

「兵は拙速を尊ぶ。よいだろう」

「私もそれが最善かと存じます」

「良い提案だ。首の皮一枚繋がったな」

 

 アメジオの主張はかなり的を射ており、説得力を感じさせた。その証拠に癖ありだらけのエクスプローラーズ幹部達でさえ、アメジオの策に賛成していく。

 

「つまり……皆で追いかけるって事?」

「お前たちは好きにしろ。最初にレックウザに辿り着くのは俺だ」

 

 アメジオはそう言い残すとその場から背を向け、部屋の外へと向かっていく。どうやら言葉通り、この場にいる者たちとは協力せずに単独で行動を行う様だ。

 

「ふ~ん。じゃあ、サンゴも暫く自由行動でいい?」

「……お前まで何を言っている」

「だってさ~暫くの間はレックウザの情報を探すんでしょう?そういうのはスピネルやアゲートの領分でサンゴやることないじゃん。だったら、今の内にやれる事をやっておきたいし~」

「やれる事だと?」

「うん!その為にホウエンかカロスのどっちかに行ってきまーす!」

 

 ホウエン、カロス、異なる2つの地方、その共通点とは何か?それを考えた時、サンゴの真横にいたオニゴーリを見てハンベルに1つの可能性が思い浮かんだ。

 

「サンゴ様、もしや……」

「えへへ~女はね~好きな人の前では何時だって最高に綺麗な状態でいたいんだ。サンゴがもっと強くて綺麗になる為には、絶対あれが必要なんだ~……いいでしょう?」

 

 サンゴは惚れている男を思い浮かべると顔をやや赤面させ、悶々とした表情をしながらそう問いかけてくる。もはや、こうなっては止められそうにない。そう感じたハンベルは大きくため息を尽きながらしぶしぶ許可を出すのだった。

 

 

 

***

 

 

 

「アメジオ様!」

「どうでしたか?話し合いは?」

 

 アメジオが部屋を出ると外で待機させていたジルとコニアが出迎える。アメジオの事を心配していたのだろう。彼が何事もない様子で部屋を出てきたことに一先ず安堵している様だ。

 

「今までと同じだ。黒いレックウザを追うぞ」

 

 アメジオのその言葉に2人は安心する。ここまで独断専行で行動していたのを罰せられるのではないかと不安を抱いていたが、アメジオの様子から見ても正式に許されたのだと解釈する。

 

「ただし、ここからは他の奴らも動き出す」

「え?他の幹部の方々もですか?」

「そうだ。だが、誰よりも先に俺達が黒いレックウザに辿り着く。2人共、覚悟はあるか?」

「勿論です!」

「私もどこまでもお供いたします!」

 

 アメジオはジルとコニアを引き連れ、その場を去っていく。彼の狙いは黒いレックウザ、そして……

 

(ジン……)

 

 アメジオは当然、ジンへのリベンジを諦めていない。しかし、今のままでは勝てない事も理解している。ただでさえ、実力に開きがあったというのに伝説のポケモンのダークライまでも手中に収めてしまった。このまま挑めば負けは確実だ。

 

 だが……

 

(黒いレックウザを手に入れれば……)

 

 伝説には伝説で対抗する。そして黒いレックウザをゲットすれば、手持ちのポケモン達も更なる成長を期待できる。その時こそが、ジンへのリベンジの時となる。

 

(黒いレックウザ、そしてジン……待っていろ!)

 





アメジオの黒いレックウザをゲットしようとしている理由はオリジナルになってます。

また次回もよろしくお願いします。
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