ここからキャラクターが一気に増えるけど台本形式にしなくても伝わってますか?あんまり台本形式好きじゃないんでそうしなくても分かる様に努力します
学園で謎の3人組に襲われたリコとジン、さらに途中から介入してきたリザードン使いの男性、リコのペンダントが謎の光を発生させるなどのハプニングもあったがなんとか危機を脱することに成功した。
現在、2人はジンのボーマンダに乗り、前方にいるリザードンに乗った白髪の男性の後を追っていた。安全な場所に案内するという彼の言葉を信じての行動だ。
「……ジン、本当に大丈夫かな?」
「あの人について行くことか?」
「…うん」
ジンは直感的に彼の事を信じられると感じていた。だが、リコにとって今はっきりと味方と言えるのはジンしかいない。その為、未だに行き先も目的も告げないリザードンの使いの男性に不安に感じるのは仕方のないことだった。
「…そうだな。行き先くらいは聞いておくか。ボーマンダ、リザードンの横につけてくれ」
「ボーダー!」
ジンもそれを察し、ボーマンダに指示を出す。ボーマンダは少しだけスピードを上げリザードンの真横まで移動する。
「ん?どうした?」
「あの、せめてどこに向かっているのかだけでも教えてもらえませんか?」
「ああ、悪い悪い。そういや言ってなかったな。もうすぐ見えてくるぞ」
「………」
ジンの質問に答えるようで答えていない。かと言ってはぐらかしているわけでもない。恐らく、これが彼の素の態度なのだろうと察したがリコを安心させるためにも、もう少しちゃんと答えて欲しいと思い、さらなる質問をしようとした時だった。
「っ!あれは……」
「えっ?なにあれ!?」
ジンたちは前方に巨大な飛行船を発見し、驚愕の声を上げてしまう。
「あれが、俺達の船《ブレイブアサギ号》だ!」
安全な場所とは恐らくあの飛行船の事だろう。もしも先ほどの三人組が飛行タイプや空を飛ぶ乗り物を持っていなければ安全と言っても差し支えないだろう。
「戻ったぞ。ウィングデッキ展開」
男性はスマホロトム越しに、恐らくは飛行船内の彼の仲間に指示を出す。するとブレイブアサギ号の羽部分が折り畳み、バトルフィールドの様になっていく。
「到着!」
リザードンがそのバトルフィールドに着地する。ボーマンダもそれに続き、ジンとリコもボーマンダから降りるのだった。
「ありがとう」
「お疲れさん。ボーマンダ」
(状況次第では直ぐにまた、出番があるかもしれない。その時は頼むぞ)
「おかえり」
「随分、手こずったな」
そこに船内からピンク色の髪の女性と大柄な男性が現れる。その足元には彼らのポケモンと思われるイワンコもいた。白髪の男性と大柄な男性がグータッチ後に手を上下させる。恐らくは彼らの挨拶のようなものだろう。
「あなたがリコね?」
「は、はい」
「それで、あなたはリコの友達?」
「はい。ジンといいます」
「あの、どうして私の事、というか皆さんは一体?」
リコの言葉を聞くと、女性は眉間に手を当てる。
「まさか…あんた!この子たちに何も説明してないんじゃ!?」
「あ、あれ?言ってなかったか?」
リコとジンは同時に頷く。事実、彼らの目的も行き先も何も聞かされていないのだから仕方がない。
「おいおい、どうやって連れてきたんだ?」
「フリード!」
白髪の男性、フリードを2人が攻める。どうやら、彼の説明不足はこれが初めてという訳ではないらしい。
(この人、フリードって言うんだ…)
「ホゲ!」
「パモパモ!」
さらに船内から二体のポケモンがやってくる。その内の一体はフリードのリザードンの姿を見て喜んでいるようだ。
「ホゲータ!パモまで!」
「知ってるのかリコ」
「うん。この子たちパルデア地方のポケモンだよ」
「なるほど」
パルデア地方はリコの生まれ故郷である。ジンはパルデアには行った事がないので知らないポケモンがいるのも当然だった。
「あの?どうしてパルデア地方の子がここに?」
「ああ、そいつらか?旅してる間に住みついちまったんだ。パルデアのだけじゃないぞ、ほら」
飛行船にはヨルノズク、ユキワラシ、ツボツボなどの様々な地方のポケモンが確認できる。
(旅してる間に住みついたって事は、少なくともジョウト、ホウエン、パルデア、そして今いるこのカントー地方も旅してきたってことか?一体何者なんだこの人たち)
「自己紹介が遅くなった。私はモリーだ」
「マードックだ。そしてあいつが相棒のイワンコだ」
どうやらジンたちが自己紹介をしている間に仲良くなったようでイワンコとニャオハはじゃれついていた。その様子を見て、ホゲータとパモも加わり仲良く遊んでいる。
「なんだ、あっという間に仲良しじゃないか」
(みんな、かわいい~~~……じゃなくて!)
「あ、あの!すみません!」
リコがこの状況について詳しく聞こうとする。しかし、突如、フリードのスマホロトムからアラームが鳴り始める。
「ちょっと、ごめん。1…2…3…まさか、さっきの奴らか?操舵室に行く。船を出すぞ!」
先程のアラームは明らかな警戒音、3人、さっきの奴ら、これらの単語から導かれる答えは一つしか考えられない。
「さっきの3人組が追ってきたんですか?」
「ああ、恐らくな。ヨルノズク!周囲の警戒を頼む!奴らはまだ諦めちゃいない」
「フリード、奴らってなんだ?学校で何があった?」
「詳しい話は後だ。マードックは下を見てくれ!モリーはポケモン達とその2人を頼む!」
フリードはマードックとモリーに次々と指示を出していく。非常時におけるこの判断力と指示能力から見て、彼がこの船の司令塔なのだとジンは確信した。
「進路に嵐が発生してるって、オリオがテンパってるけど?」
「なんとかする。行くぞリザードン」
フリードが指示を出し終えるとそれぞれが自分の役割を果たすために行動を開始する。
「ふむ……結局、何も聞けなかったな」
「う~……なにが起きてるのか知りたいのに…」
「あんたたち!いつまでそこにいるの!早くきな!」
現在の所、2人にはやれることがない。情報を掴みたいところではあったが、仕方なく指示に従うことにした。
***
モリーに案内され、展望室まで避難するが突如、飛行船内の電気が消えてしまう。
「停電!?」
「こんな時に…」
ついていない。謎の集団に追われ、飛行船に乗って安心と思えばさらに追撃を受け、そして次に停電だ。
(……もう一個くらい何か起こりそうな気がする)
ジンはかつてホウエン地方を旅していた際に、様々な事件や災害に巻き込まれたことがある。
宿泊したポケモンセンターにポケモン泥棒が現れバトルすることになったり、乗っていた船が嵐で沈没しそうになったり、森で遭難し空腹で倒れそうなときに大量のポケモンに襲われたりと、もうこれ以上ひどくなることはないだろうと思った矢先に必ず何かが起こる。それがジンが旅を通して学んだ鉄則とも言えた。
(不安にさせても可哀そうだし、黙っておくか)
この船の船員たち働きによっては、もしかしたら、このままうまい具合に逃げ切れる可能性も当然ある。既に不安でいっぱいのリコの精神安定の為にもそうなることをジンは期待した。
「ホー!ホー!ホー!」
しかし、その願いは見張りについていたヨルノズクの鳴き声と共に消滅する。
(………ふっ……短い……そして愚かな望みだったか)
どうやら、この世界にはジンやリコの様な旅人たちに試練を与えて楽しんでいる趣味の悪い神様がいるのかもしれない。ジンは思わずそう考えてしまった。
決して、アルセウスの事を非難して言っているのではないという事は彼の名誉の為に明記しておく。
「ついにおでましか!」
モリーは望遠鏡を使いヨルノズクの警戒を示した船の後方を確認する。そこにはアーマーガアとエアームドに乗ったアメジオたちがこちらに向かっていた。
「あいつら、《エクスプローラーズ》じゃん!」
昔、ホウエン地方で悪事を働いたマグマ団、アクア団、そしてカントーで暗躍するロケット団の存在ならばジンは知っていたがエクスプローラーズなる組織には聞き覚えがなかった。
「エクスプローラーズ……リコ知ってるか?」
「ううん。全然聞いたこともない」
(リコも知らないってことはパルデア地方の組織でもない……いや、一般人には知られていない組織の可能性もあるか)
「また無茶を…でも、それしかないか。オリオ。後はあんた次第だな」
ジンがエクスプローラーズなる組織について考えている間に船の方針が決まったようだ。モリーが電話で話をして直ぐに船全体のスピードが上がり、進行方向が右に大きく動いて行く。
「…このままだと雷雲に突っ込むな」
「ええっ!」
ジンの呟きを聞きリコは驚愕する。リコは飛行船の事など何も知らないが常識的に考えて雷雲は避けるものだという事位なら理解できる。
「な、なんで雷雲なんかに!?」
「追っ手を振り切るためだろうな。このまま何もせずにいても追いつかれるの目に見えてるし」
「そんな……」
「もう進路は変えられない。腹をくくるしかないな」
「ど、どうしてそんなに余裕そうな態度でいられるの!?」
ジンはさも当然のような態度で現在の状況を受け入れている。リコにはそれが不思議でたまらなかった。
「リコ、覚えておくといい。旅をしているとな、こういう災害に巻き込まれるなんて事はしょっちゅう起こるんだよ。だけど、自分にできる最善を尽くせば大抵の事は何とか乗り切れる。今、俺達にできる最善はこの船の人たちを信じる事だけだ。だから、無事に乗り越えられることを信じて待とう」
「あんた肝が据わってるね」
「皆さんには負けますよ」
はははと笑いあうジンとモリー、その姿を見て一人置いてけぼりをくらうリコ
(う~……この船の人たちも豪快だけどジンも同じ位、豪快だ…)
暫くして、船は雷雲へと突入する。展望室の窓には雷雲が広がり、雨水が大量に張り付く。リコは窓から見える外の様子を不安げに見ていた。すると船の後方に三体の飛行ポケモンとそれに乗るトレーナーが攻撃を仕掛けているのを発見する。
「あの…来てます!」
(まさか…飛行船を盾にして風を躱して近づいてきたのか?執念深い事だな)
「くっ!フリード、エクスプローラーズがウィングデッキに!………駄目、電源が死んでる。仕方ない。あんた達はここにいて!」
「何をする気ですか?」
「手動でたたむ」
「待った」
モリーはそう言うと扉を開けて外に出て行こうとするが、扉から出ようとするモリーをジンは腕を掴み止める。
「なに?急いでるんだけど?」
「もう間に合いませんよ」
エクスプローラーズは既にそこまで来ている。先ほどからバリアーに攻撃をし続けていて、あと数発も攻撃すれば破られるだろう。今から、あの巨大なウィングデッキを女性が手動で動かしていたらバリアーを破り侵入されるのは目に見えている。
「っ!じゃあ、どうするのさ!」
バンッ!という音と共にバリアーが破られ、エクスプローラーズの三人がウィングデッキに侵入してくる。
「入ってきた…」
「くっ…どうする」
「さっき、言ったでしょう?最善を尽くすって、事ここに至っては迎え撃つほか道がない」
ジンはそう言うとポケットからモンスターボールを一つ取り出し、扉から外に出る。
「ちょ、ちょっと…あんた!」
「モリーさん、ここのポケモンたちとリコをお願いします。俺は奴らの相手をしてきます」
「…大丈夫なの?」
「楽勝ですよ」
虚勢…という訳でもない。
ジンは学園での3人の内2人のバトルは見た。リーダー格のアメジオは実力はまだ完全には把握しきれてはいないが、一騎打ちを好む傾向がありこちらから誘えば乗ってくるだろうという確信があった。
後の2人、ジルとコニアだがジルとは既にバトルもして実力も大体把握できている。コニアだけ情報がないがジルと実力にそれ程の差がないなら対処は可能だとジンは判断していた。
「で、でも…」
「リコ」
「…………」
「信じてくれ。なんとかするさ」
笑顔でそう言い切るジン。リコはその笑顔の前でなにも言いだすことが出来ず、ウィングデッキまで降りていくジンを黙って見つめている事しか出来なかった。
(ジン………あれ?……………ちょっと待って!この展開………ペンダントを巡って追い回されて……そんなピンチの状況でジンに守られるなんて私………私………物語のヒロインですか~~!?)
「……………リコ、あんた凄い顔になってるけど大丈夫?」
やはり、リコは自分が思っているよりも感情が顔に出るタイプだと考えられる。
リコの「物語のヒロインですか~」ってセリフは本当に好きです。
☆10 光蓮さん
☆9 転凛虚空さん、のほっほんさん、櫛菜さん、リーサさん
高評価ありがとうございます。