ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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結局、いつも通り8日での投稿できました……でも、来週は法事で実家に帰るので本当に更新遅れるかもしれないです


新しい仲間

 

「ぷはっ!……2人共、無事か?」

「な、なんとか……」

「口の中が砂だらけって事以外は問題ないよ……」

 

 ジン達は遺跡内に存在した流砂に飲み込まれ、先程いた場所よりも遥か下の階層にまで落ちてしまった。幸い、先に飲み込まれていた砂がクッションの役割を果たしてくれた様で全員に目立った怪我はない。

 

「そうか……って、なんだよそのゴーグルは?」

「これ?『ゴーゴーゴーグル』だ。知らないか?」

 

 ジンは流砂に飲み込まれる寸前に『ゴーゴーゴーグル』を取り出し、装着していた。このゴーグルはジンの出身地でもあるホウエン地方で生まれた物で、これを使えば砂嵐の中でも視界を良好に保つことが出来る優れものである。

 

「いや、知ってるけどよ。なんで、そんなものを?」

「万一、落ちた先に敵がいたら、やばいからな。念の為だよ」

 

 他にも理由があるとすればもはや、砂漠で旅をした時の習慣とでも言えばいいのだろうか。砂により視界を奪われそうになると無意識で装着する癖がついてしまったのだ。

 

「ん?」

 

 口の中や服に入り込んだ砂を落としているとこの階層から聞き覚えのあるリズムが響き始めた事に気付く。周囲を見渡し音の発信源に目を向けると、そこには幾つかの岩が積み重なった高台の上に捜索中であったロイとアチゲータがいた。

 

「あれは……」

「ロイ?それに……」

 

 そこにいたのはロイ達だけではない。彼の傍にはワルビアルと複数体のワルビル、そしてメグロコ達が存在しロイの手拍子のリズムに合わせて共に歌と踊りを共にしている。因みにワルビアルは1体のメスと思われるワルビルと手を取り合い踊っている。恐らく、夫婦の様な関係なのだろう。

 

「♪歌いだせ~♪メグロコ ワルビル ワルビアル~♪声を上げ~♪メグロコ ワルビル ワルビアル~」

 

 ワルビアル達はロイの歌とリズムに合わせて踊り続ける。その様子をジン達は呆然と見つめていた。行方不明になり、心配していた相手が何故か調査対象であったワルビアル達とここまで親しくなっているのだ。不思議に思わない方がおかしい。

 

「アイツ何やってるんだ?」

「歌と踊り……ロイなりのコミュニケーションじゃないか?」

「本当……ロイって不思議……」

 

 最初こそ、警戒していたリコだがロイと一緒に踊るワルビアル達を見ると自然と警戒は解けていく。目の前にいるワルビアル達は今までに見たストライク、コノヨザル、カビゴン、ドラピオンの様な自他共に認める凶暴なポケモンとは違うのではないか。そんな気持ちになっていた。

 

「ジン……私、あのワルビアル達そんなに凶暴なポケモンじゃないと思うんだ」

「……そうだな」

 

 それに関してはジンも同意だ。本当に凶暴であればロイがコミュニケーションを図ろうとも襲ってくる事が予測される。しかし、彼らにはそんな様子が一切見えてこない。こうなってくると上の階層でジンが予測したようにやむにやまれぬ事情があったのではないかという考えも俄然、信憑性が出て来た。

 

「「ワルワルビァー!」」

 

 そんな中、一体のワルビルとワルビアルが同時に声を上げる。それに続くかの様に3体のワルビルも声を上げると彼らの前に存在した大きな岩が突如として木っ端みじんに弾け飛んでいく。

 

「……今のって『ハイパーボイス』?いや、でも……」

「いや、今のは『りんしょう』だ。見覚えあるだろう?」

「そっか。だから威力がちょっと低めで……ってジン!フリードにリコも!」

 

 『りんしょう』は言うならば『ハイパーボイス』の下位互換の技だ。アチゲータも進化したての頃は『りんしょう』を覚えさせられ、その後に『ハイパーボイス』へと進化させて行ったのだ。見覚えがあって当然だろう。

 

「ロイ、凄いじゃないか!ワルビアル達と仲良くなるなんて」

「ううん。僕じゃなくてアチゲータと歌のお陰だよ!こんなに仲良くなれたしね!」

「ワルビィ!」

 

 ロイは隣にいた口に草を咥えたワルビルと肩を組みながら、仲の良さをアピールしてくる。それは一向に構わないのだが、よく見るとそのワルビルは身体に微妙に火傷の様な跡とダメージがあるのが伺える。

 

「……なぁ、そのワルビル、ちょっと傷ついてないか?」

「あっ!やっぱり分かっちゃう?実はさっきまでちょっとこいつとバトルしてたんだ!でも、今じゃすっかり仲良しだよ!」

 

 どのような経緯で先程までバトルしていた野生のポケモンとここまで仲良くなったのかは聞けていない。だが、彼らの様子から見てロイとワルビアル達の相性が良かったのだろうという事は想像できる。

 

(これも一種の才能か……)

 

 恐らくだが、ジンではこの様なやり方で彼らと仲良くする事は出来ない。ロイの様に純粋だからこそ出来るやり方と言えるだろう。

 

「あのさ……ワルビアル達と一緒に歌って楽しいって気持ちが伝わって来たんだ。ワルビアル達は絶対に凶暴なポケモンなんかじゃないよ!」

 

 彼らと共に歌い、踊った事でロイは彼らの本質を知ったのだろう。だからこそ、ワルビアル達が意味もなく人々を襲ったとは考えられないと思い至った様だ。

 

「……お前がそう感じたんなら俺達も信じるよ」

「そうだな……取り合えず、原因を探ろうか?」

「私も手伝うよ!」

 

 ロイの真剣な表情の頼みをジン達は快諾する。だが、その時、突如として遺跡が大きく揺れ始めた。天井は一部が崩れかかり騒音と振動が響き割っていく。

 

「な、なに?」

「発掘現場の作業が再開されたのか……まさか、ここまで騒音と振動が伝わってくるなんて……」

 

 発掘の騒音と振動はこの階層にいる身としては非常に脅威と言わざる得ない。天井は一部、崩れそうになっており、このまま作業が進めば完全に崩落する可能性すらあり得るだろう。そうなればここを住処にしているワルビアル達にとっては死活問題だ。

 

(……こりゃ、重機を壊してでも止めたくなるな)

 

 恐怖心から泣きわめくメグロコ達を落ち着かせようと必死なワルビアル達を見てしまうと彼らの行動理由にも納得が出来る。毎度毎度、こんな騒ぎが起きて何もするなという方が無理な話である。人間社会で例えるならば、事前の断りもなく自宅の隣で重機による建造物の解体工事が行われる様なものであろう。

 

「……ワルッ!」

 

 騒音と振動が続く中、ワルビアル達は何かを決意したかのような表情を見せるとメグロコ達とタマゴを巣に戻すと遺跡をよじ登り始める。

 

「ワルビアル達は人を襲ったんじゃなくて、この音を止めたかっただけなんじゃない?」

「多分、そうだろうな。そう考えればこれまでの連中の行動にも納得がいく」

「……だとしたら、まずいな。次にワルビアル達の襲撃を受けたら速やかに退治するって言っていたぞ」

「っ!?ワルビアル達を止めないと!」

 

 彼らと交流し仲を深めたロイは誰よりも先にワルビアル達の後を追い始める。ジン達もそれに続き、地上を目指すが、ワルビアル達の様に素早く登ることは出来ない。結局、ジン達はワルビアル達から数分程、遅れて外に出るのだが、その時には既に事態は動き始めていた。

 

 

 

***

 

 

 

 遺跡の発掘現場、ここではワルビアル達によって破壊された重機を修理を終え、既に作業が再開され始めていた。

 

「「「「「…………」」」」」

 

 だが、そんな彼らの直ぐ近くには5体のポケモンが地中に潜り身を潜めていた。その正体は勿論、作業を止めに来たワルビアル達である。

 

「ガウッ?」

 

 最初に異変に気付いたのは作業員のポケモンのレントラーだ。レントラーの目は特殊であり透視能力が備わっている。それは勿論、砂の下でさえも例外ではない。

 

「グルル……」

 

 僅かな気配を感じたレントラーは目を輝かせると透視能力を発動させた。その結果、砂の中に潜むワルビアル達を早期に発見する事に成功したのだ。

 

「ガォーーッ!」

 

 レントラーは速やかに雄叫びを上げ、彼らの存在を作業員全員に知らせる。それにより、作業員たちは事態を把握し事前に決めていた様にワルビアル達を退治する準備へと取り掛かった。

 

「ワーーールッ!」

 

 自分達が潜んでいる事がばれたワルビアル達は砂から飛び出すと速やかに戦闘態勢へと移行する。まずは、3体のワルビルが作業員たちに向かって突き進んだ。アチゲータとバトルしたワルビルを中央に置き、その左右を残りの2体がカバーしている。

 

「チラーミィ!『マジカルシャイン』!」

「ホルード!『アームハンマー』!」

 

 作業員たちを守る為に彼らのポケモンであるチラーミィとホルードが前に出た。まず、チラーミィは『マジカルシャイン』を発動し、眩い光を放つ事でワルビルたちの動きを止めようとする。

 

「ッ!?ワルッ!」

 

 中央にいたワルビルは瞬時に危険を察した様で、慌てて後方にジャンプした為、難を逃れたが残りの2体は『マジカルシャイン』を受けてしまいその場で足を止めてしまう。更にそこにホルードの『アームハンマー』が炸裂し、2体のワルビルはその場に倒れ込んでしまった。

 

「……ワルゥ」

 

 なんとか回避に成功したワルビルもその場で片膝を突いており、動けそうにない。表面上は大丈夫そうであったが、先程のアチゲータとのバトルでのダメージが完全には抜けきっていないのだろう。

 

「「ワルゥゥゥゥゥ!」」

 

 倒れ込んだ仲間たちの姿を見たワルビアルとワルビルの夫婦は完全に怒りに囚われてしまった。ワルビルはチラーミィにワルビアルはホルードに向かって突っ込むとそれぞれ『かみくだく』と『とっしん』を繰り出す。

 

 それぞれの技が命中し、チラーミィとホルードはその場から吹き飛ばされ岩壁へとぶつかる。2体は壁を背にしたまま一歩も動く様子を見せない。完全に戦闘不能の状態だ。

 

 その後もワルビアルとワルビルの夫婦は怒りのままに攻撃を続ける。ポケモンを倒すと次の目標を重機に絞った様で次から次へと破壊し続けた。

 

「ワルビル!ワルビアル!駄目だ!」

 

 ジン達が追いついたのは正にその時である。ロイは必死にワルビアル達に声をかけるが、彼らが止まる様子はない。それどころかロイの声すら聞こえていない様だ。

 

「……まずいな、ワルビルもワルビアルも『あばれる』を発動してる」

「ジン!なにか止める方法はないの?」

「『あばれる』を使用したポケモンは一定時間、暴れ続ける。一般的に『あばれる』を使用したポケモンを止めるには戦闘不能にするか疲れ果てて混乱するのを待つしかない……このまま放って置く訳にも行かないし、やるなら前者だな」

 

 勿論、戦闘不能にするのは容易い事だ。ジンのポケモン達の力を借りれば直ぐにでも終わらせられるだろう。だが、その場合ワルビアル達を必要以上に傷つける事になってしまう。

 

「だ、駄目だよ!ワルビアル達は巣と子供たちを守ろうとしただけなんだ!」

「……まぁ、そうなんだがな」

 

 ジンとしても今回ばかりはバトルで解決する事は避けたいと思っていた。彼らがジンが興味を持つほど、強くないというのも理由ではあるが、ワルビアル達にも事情があると理解したからこそ、バトル以外の道で解決したいと考えている。

 

(しかし、どうするかな?)

 

 バトル以外で穏便となると、いつもであればサーナイトのエスパー能力の出番なのであるが、相手は悪タイプも持つワルビアル達だ。エスパー技では止められない。ダークライで眠らせようにも今はオダマキ博士に「もう1度、悪夢が見たいから」としつこく頼まれて、いやいや仕方なく研究所に預けている。

 

(こうなったら……気は進まないが、ボスゴドラとカビゴンに耐えて貰いながら落ち着くのを待つしかないか)

 

 ジンのポケモンの中でも耐久性に秀でた2体だ。彼らならワルビアル達が疲れるまで耐え切る事も容易だと信頼している。特にジュカインやサーナイトに次ぐ古参であるボスゴドラには生半可な攻撃は通用しない。それこそ、4倍ダメージの弱点となる地面タイプの技を受けたからと言って、一撃で倒れる様なそんなヤワな鍛え方をした覚えもないからだ。

 

「アチゲェェェェ!」

 

 ジンが2つのモンスターボールに手を伸ばそうとするとその瞬間、アチゲータがワルビアル達の元へと走り始める。

 

「……どうする気だ?」

 

 アチゲータはワルビアル達の傍に移動するとその場で足踏みをしリズムを取りながら、先程、遺跡で彼らと一緒になって行っていた歌を歌い始める。

 

「アチゲータ……」

「心を落ち着かせて『あばれる』を解除させるつもりか?いや、だけど……」

 

 そんな事が可能なのか。少なくとも、『あばれる』という技の仕組みを考えれば不可能だ。だが、アチゲータは本気でそれをなそうとしている。

 

(……少し、様子を見るか)

 

 必死に歌い続け、声がかれそうになっても尚、歌うことをやめないアチゲータ、その頑張りを見て不可能だからやめろと言う程、ジンも無粋ではない。

 

「……ん?」

 

 必死で歌い続けるアチゲータの傍には巣に残してきた大量のメグロコ達が集結しワルビアル達に声をかけ始める。更に、それだけではなく懸命にワルビアル達を止めようと頑張るアチゲータに感化されたのだろう。遺跡の中でバトルをしたワルビルも一緒だ。

 

「ア……アチ……ゲェ……」

 

 アチゲータ達も歌い続けたが、ワルビアル達は止まらない。やがて、ずっと歌い続けたアチゲータは喉を痛めたようで足踏みを辞め、咳き込み始めてしまう。それでも、アチゲータは諦めていない様で歌おうと必死にあがき続けている。

 

「負けるな!アチゲータ!頑張れぇぇぇ!」

「ア……アチゲェェェェ!」

 

 アチゲータの必死な姿を見たロイはそう叫んだ。ロイの声援が届いたのか、アチゲータは力を振り絞り、再び、声を上げた。だが、その瞬間、ホゲータの歌声は、ピンク色の音波となりハートや音符などのエフェクトを纏いワルビアル達に向かっていく。

 

「これって……」

「間違いない……『チャームボイス』だ!」

 

 同じ音波を利用した技だが『ハイパーボイス』ではない。それよりも弱く、威力だけで言えば『りんしょう』に近い技だ。

 

(だが、『チャームボイス』では威力不足……いや、待てよ)

 

 『チャームボイス』は魅惑の鳴き声で相手に精神的なダメージを与える技だ。特訓で身に着けた『ハイパーボイス』よりも威力は劣るが、興奮状態になったワルビアル達の精神にダメージを与え、我に返る切っ掛けを作る事がこの技ならばできるかもしれない。

 

(……やれるのか?)

 

 『チャームボイス』はワルビアル達に命中し、辺りを砂煙が包み込んだ。その様子を全員が固唾を飲みながら見続ける。やがて砂煙は晴れ、中からワルビアル達が現れるが、2体は既に暴れるのをやめ冷静さを取り戻していた。

 

 それを確認するとメグロコ達は一斉に、ワルビアル達に近づいて行く。メグロコの存在に気付いたワルビアル達もメグロコを抱きかかえるとあやし始めた。

 

「どうやら落ち着いた様だな……」

「よかった……」

「全く……驚かせてくれるな」

 

 学説的に考えれば、あり得ない展開だ。だが、ポケモンという不思議な生き物は常に学説通りになる訳ではない。この一件はそれを証明したと言っても過言ではないのだろう。

 

「……ア……アチゲェ……」

 

 正真正銘、力を使い果たしのだろう。アチゲータはその場に倒れそうになるが、それを隣にいたワルビルが支えるとそのまま抱えロイの元にまで運んできた。

 

「アチゲータ!大丈夫?」

 

 ロイは直ぐにアチゲータの全体をチェックする。かなり疲労がたまっている様だが、特別問題は見られない。暫く休めば体力も回復し、喉も元に戻るだろう。

 

「凄いよ!新技ゲットだ!」

「アチゲ~……」

「ワルビィッ!」

 

 新技をゲットした事をロイ達は素直に喜んでいる。技が1つ増えただけ大袈裟と考える者もいるかもしれないが、技は増えれば増えるだけ様々な戦略を練る事が出来るのだ。

 

(『チャームボイス』か……意外な拾い物だったな)

 

 元々、ジンがアチゲータに『りんしょう』や『ハイパーボイス』を覚えさせる様に特訓したのは、アチゲータが更なる進化をした場合を見据えての事だ。最終進化形のラウドボーンは専用技に『フレアソング』という技がある。

 

 歌いながら炎を操る技の為、既に『かえんほうしゃ』や『だいもんじ』を使えるアチゲータがこの技をマスターするには音系の技が必要だと考えた為だ。

 

(会得した『チャームボイス』はその特訓の副産物とも言える。だが、フェアリータイプの技だし、レックウザには有効だ……今は流石に無理だが、数日時間を置いたら威力上昇の特訓を進めて見るのも悪くないな。取り合えず……1時間位歌わせ続けてその後、音系の技だけに絞らせた実戦形式のバトルを……)

 

「ひっ!きゅ、急に寒気が……」

「アチゲッ!」

「ワル?」

 

 なぜだか見当もつかなかったがロイとアチゲータは途端に嫌な予感が全身を覆い尽くし、小さな悲鳴を上げてしまう。その様子をワルビルは不思議そうに眺めていた。

 

 

 

***

 

 

 

「……そんな事が起こっていたとはな」

 

 ワルビアル達が落ち着きを取り戻した為、ジン達は依頼人である学者に今回の顛末をありのまま伝えた。フリードの知り合いというだけあり、気のいい人だ。事情を知ると一定の理解を示してくれた様で今後はしっかりと対策を練ってくれるらしい。

 

「しかし、そうなると岩を運んでもらうのは、もう少し待ってもらうしかないか……」

 

 ワルビアル達の巣に影響を与えない様にとなると作業は大幅に遅れを取る事になる。そうなれば当然、岩を運ぶのも後に回されてしまうという事だ。

 

「よろしいでしょうか?」

「ん?なんだね?」

「岩をどかすだけでいいなら、俺のポケモンの力でも可能ですよ」

「なに?本当かい?」

「えぇ、依頼では飛行船でという事でしたが、速やかに終わらせるので変更しても構わないでしょうか?」

「勿論だ。岩さえどかしてもらえるならこちらは何でも構わないよ」

「了解しました……サーナイト!」

 

 依頼人の了承を得た為、ジンはモンスターボールを取り出すと宙に投げ、サーナイトをその場に出す。

 

「『サイコキネシス』であの岩をどかしてくれ」

「サナッ!」

 

 サーナイトは『サイコキネシス』を発動させると、発掘に邪魔だった岩を次から次に宙に浮かび上がらせ、邪魔にならない場所へと移動させていく。

 

「おぉっ!素晴らしい!これだけの岩をこうも簡単に……これで作業を再開できるよ!フリード、約束通り依頼料は口座に振り込んでおくからな」

「はい!ありがとうございます!」

「ご用があればいつでもどうぞ。場所と仕事内容によっては少々、割高になる可能性もありますが、全身全霊を込めて仕事をさせて頂きます」

 

 これにて依頼されていた仕事は完了だ。当初の予定とは少し違う上に予想外のアクシデントも発生したが、概ね上手くいったと言っていいだろう。

 

「ワルビアル!ワルビル!メグロコ!またね~~!」

 

 仕事を完了し、ワルビアル達の問題も解決した為、彼らに別れを告げブレイブアサギ号に帰還しようとしたのだが……その後、1体のポケモンが付いてきてしまった。

 

「ワルッ!」

 

 そのポケモンはアチゲータとバトルし、歌と踊りを通じてロイと仲良くなった口に草を咥えたワルビルだ。ワルビルはロイの前に躍り出ると両腕を広げながら、何かを必死に伝えようとしている。

 

「ワルビル?もっと一緒にいたいけど、僕たちはそろそろ行かないと行けないんだ……」

「ワルッ!ワルワル!」

「え、えっと……」

 

 ロイはまた歌と踊りに誘われているのだと勘違いしている様だが、端から見ているジン達からするとワルビルの行動理由については明白だ。

 

 実際にバトルし、自分を負かした上に家族であるワルビアル達の事を助け敵対していた人間達との間を取り持ってくれた事に恩義を感じたのだろう。だからこそ、ワルビルはある決断したのだ……ロイにゲットされ彼と共に冒険に出ようと。

 

「ロイ、ワルビルはお前にゲットして欲しいんだと思うぞ」

「えっ?……そうなの?ワルビル?」

「ワルッ!」

 

 ようやく自分の考えが伝わった為か、ワルビルは大きく頷きながら笑顔を浮かべている。

 

「本当にいいの?家族と離れ離れになっちゃうよ?」

「ワルビィッ!」

「……うん!分かったよ!」

 

 ロイの最終確認を受けてもワルビルの決意は揺らぐ事はない。ワルビルの強い意思が伝わったのか、ロイはポケットからモンスターボールを取り出すとワルビルに向けてゆっくりと投げた。

 

「ワッルゥ!」

 

 そのモンスターボールにワルビルは自分から飛び込んでいく。そして、そのまま衝突するとモンスターボールは開き赤い光線はワルビルを包み込むとボールの中に入って行く。

 

「よしっ!ワルビルゲットだーーー!」

「ロイ!おめでとう!」

「これで3体目のポケモンだな!」

 

 フリードの言う様にアチゲータ、タイカイデンに続くロイにとって3体目のポケモンがこのワルビルだ。レックウザの弱点を突けるタイプではないが、これはこれで悪くない。アチゲータとタイカイデンの弱点である岩タイプに有利に働くという利点がある。

 

 それに仮にレックウザとバトルする機会があったならば、以前のアメジオのバンギラスの様に『ストーンエッジ』で注意を逸らし、味方のサポートも可能になる。更に『ドラゴンタイプ』の技も覚える為、アタッカーにする事も出来る。やり方によっては大いに戦力になる事が期待できるポケモンだ。

 

「ロイ、スマホロトムでワルビルの情報を見せて見ろ」

「あっ!そっか、ゲットしたポケモンの事が分かるんだっけ。えっと……」

 

 ロイは慣れない手つきでスマホロトムを操作し、ワルビルの情報を見せ始めた。そこにはワルビルの特性、能力値、覚えている技などが一覧となって映し出されている。

 

「特性は『いかく』か……へぇ、『りんしょう』の他にも『ストーンエッジ』、『ドラゴンクロー』、『かみくだく』それに『じしん』、結構いい技を覚えてるな。能力値もまぁまぁだ……これは中々、鍛え甲斐がありそうだな」

「じ、ジン!ワルビルは仲間になったばっかりなんだから、お手柔らかに頼むよ!」

 

 ジンが悪魔の様なサディスティックな笑みを見たロイは顔を青くすると必死な形相でそう頼み込んでくる。

 

「安心しろ。まずは、どのあたりまでが限界なのかを探る所から始めるよ。本当の意味で無茶をさせるのはその後だから。どこまで持つのか楽しみだよ」

「それ全然、安心できないんだけど!?」

 

 こうしてロイは新しくワルビルを手持ちに加えた。仕事の報酬も貰え、アチゲータは『チャームボイス』という新しい技を覚え、戦闘経験も積むことが出来た。危険な目にもあったが、間違いなく大きな一歩を踏み出すことが出来たと言っていい。

 

 新しい仲間を加え、パルデアを目指すライジングボルテッカーズの冒険はまだまだ続く。

 





オリジナル要素としてロイに3体目の手持ち、ワルビルを追加させました。1回バトルしてるけど、一応これも友情ゲットって感じなんですかね?

☆8
一般通過もぶおじさん さん

高評価ありがとうございます

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