ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

87 / 114

お持たせしました。今回もナンジャモ、カブと同じ様に二話に分けてアオキ戦をお送りいたします。


VSアオキpart1

 

 エントランスホールを後にしたジンは中庭にあるグラウンドへと出た。グラウンドの中央にはバトル用のフィールドがあり、既にトレーナーゾーンにアオキ、そして審判ゾーンにはオモダカが待機しており、バトルフィールドを囲う様にリコ達や見知らぬ生徒達も多く集まっている。

 

「あっ!本当に来た!おーーーい!」

 

 そんな野次馬達の中から聞き覚えのある声が聞こえた為、そちらに視線を送るとそこにはセキエイ学園のリコとジンの共通の友人であるアンの姿があった。セキエイ学園を旅立ってから通信越しでは何度か話したが、こうして顔を合わせるのは本当に久しぶりである。

 

「アン!?」

「久しぶり~」

 

 なぜ彼女がここにいるのかその理由には大いに興味があったが、今、優先すべきなのはここまで待たせてしまったアオキとのバトルである。アンとは後で話をすればいいと自分に言い聞かせたジンは軽く手を振って対応すると、そのままアオキとオモダカに近づいて行く。

 

「よろしいのですか?ご友人なのでは?」

「まぁ、そうなんですが……今はこの昂ってる気持ちを冷ましたくないので」

 

 相手はナンジャモと同じパルデア地方のジムリーダーだ。少なくとも彼女と同等の力があると予想できる。そんな相手と本気でバトルすることが出来るのだ。バトルジャンキーのジンはそう考えるだけで自然と小さな笑みがこぼれ始める。

 

「…………」

「アオキさん?どうしました?」

「いえ……少々、意外だったもので。今回のバトルの為に貴方のバトルの映像を幾つか拝見しましたが、その時の印象を素直に申しますと……年齢以上に大人びていて落ち着いた気質だと思っていました」

「そうですか?結構まだまだ若輩者ですので、バトル中はつい熱くなってしまうんですよ。お恥ずかしい限りです」

「……若い内はそれで問題ないと思います」

「そう仰って頂けると有難いです。ただ───」

 

 ジンはそこまで口にすると一旦、間を置き、アオキの目を真っすぐに射貫く。並みのトレーナーであればそれだけで怯え、態度に現れる物だが、アオキは眉一つ動かさず無表情のままだ。ジンの洞察力を以てしてもアオキの心は読めそうにない。

 

「俺はバトル中は誰よりも熱く楽しみ、それでいて頭の中は氷の様に冷たく冷静に対処する事が出来ると自負しています。年下だと思って油断や手加減はなしでお願いしたい」

 

 まだバトルが始まった訳ではないのだが、アオキの実力は本物だとジンは本能で感じ取っていた。紅蓮の如し熱い心が強者との戦いを求めている。油断や手加減などというマイナス要素の存在を氷河の如し冷徹な思考が許容する筈もなかった。

 

「……成程。向上心の強い熱い心に、冷静沈着な思考ですか。───貴方がどういう人物なのか少しだけ分かった気がします」

 

 その言葉を最後にジンとアオキは会話を終え、審判ゾーンにいるオモダカに視線を向けた。オモダカもその意図を理解した様で軽く頷くと声高らかに宣言する。

 

「それでは、これよりジムリーダーにしてパルデア四天王の1人アオキとトレーナージンによるフルバトルを開始します!」

「っ!?」

 

 ジムリーダー兼四天王、その肩書にジンは反応を示した。元ジムリーダーが四天王になったという話は聞いたことがあるが現役でその2つを兼任するなど少なくともジンは聞いたことがない。

 

「ポケモンの入れ替えは自由。6体全てのポケモンが戦闘不能になった時点でバトルは終了となります。宜しいですね?」

 

 オモダカは説明を終えるとジンとアオキに視線を送る。ジンとアオキも頷き、了承の意を示した。

 

「それでは、双方ポケモンを出してください」

「行け!ハッサム!」

「業務開始です。ノココッチ」

 

 オモダカの合図に合わせ、ジンとアオキは同時にモンスターボールを取り出し、バトルフィールドへと投げた。ジンが最初に出したのはハッサム、そしてアオキが出したのは羽の生えた細長い蛇の様な姿が特徴のつちへびポケモンのノココッチである。

 

「それではバトル開始!」

 

 バトル開始の合図と共に、ハッサムはその場から駆け、真っ直ぐにノココッチに向かって突き進む。

 

「『バレットパンチ』!」

 

 ハッサムは鋏を弾丸の様に固く握り締めるとノココッチの顔面に高速でパンチを叩き込んだ。ノココッチは『バレットパンチ』の威力に負け数メートル後方へと吹き飛んでいく。

 

「追撃しろ!『インファイト』だ!」

「ノココッチ『へびにらみ』です」

 

 更なる攻撃を仕掛けようとハッサムは急接近していく。しかし、アオキは焦る様子を見せずに冷静に次の指示をノココッチに出した。ノココッチもそれに応え、ダメージを受けた体を起こし胸の渦巻き模様を青く光らせ始める。

 

「ハッサム!攻撃中止だ。目を瞑れ」

 

 『へびにらみ』を受ければ麻痺状態へと陥ってしまう。まだまだ序盤のこの段階でハッサムが状態異常になるのは避けたいと考えたのだろう。ハッサムはその場で動きを止め目を瞑る事で『へびにらみ』を回避する。

 

「確かにその状態では『へびにらみ』は効きませんね……ですが、隙だらけです。『ハイパードリル』」

 

 ノココッチは尾を軸として独楽のように回転するとハッサムに向けて突き進む。アオキの言う様に今の目を瞑ったハッサムは隙だらけだ。だが、その程度の事は当然、ジンも承知している。回転しながら近づくノココッチを冷静に観察し、ハッサムとぶつかる寸前に新たな指示を出した。

 

「…………今だ!『つるぎのまい』!」

 

 ハッサムは両腕を体の前でクロスするとその場で回転し始める。そのまま『ハイパードリル』で接近したノココッチと一瞬、ぶつかり合うがハッサムは回転の力を利用しそのままノココッチを受け流す事に成功する。

 

「……やりますね」

 

 攻撃技を変化技で受け流す事もそうだが、ハッサムにダメージはほぼなく、それどころか『つるぎのまい』で2段階上昇させた。この一連の流れだけで言うならばジンとハッサムが上を行ったと言っていいだろう。

 

「戻ってください」

 

 しかし、まだ勝負は始まったばかりだ。このままでは流れを持っていかれると判断したアオキは一旦、ノココッチを回収すると新たなポケモンをフィールドへと出した。

 

「モォォッ!」

 

 アオキが次に出したのは、あばれうしポケモンのケンタロスだ。しかもパルデアに幾つか存在するリージョンフォームではなくカントー地方でもよく見られる通常のタイプである。ケンタロスはフィールドに出ると鋭い視線をハッサムに向け威嚇をしてくる。その影響で心なしかハッサムは怯んだ様子を見せた。

 

(冷静だな……)

 

 ジンに流れを渡さない様に速やかにポケモンを入れ替えた事、そして『つるぎのまい』で攻撃を上げたハッサムから少しでも攻撃を下げる為の『いかく』の特性を持ったポケモンの選出。どれも理にかなっている。アオキは確かに熱くなるタイプではないが、逆に言えば妙に熱くなり判断を誤ったりしないという長所でもある様だ。

 

「ハッサム、戻ってくれ」

 

 アオキがポケモンを入れ替え、流れを変えようとするならばジンもそれを阻止する為に動き出した。ハッサムを一旦、回収し新しいポケモンをフィールドへと出す。

 

「頼むぞ。ドラピオン!」

「ドラァッ!」

 

 ジンは2体目のポケモンにドラピオンを選出した。一際大きいサイズのドラピオンの登場にアオキや審判のオモダカも無表情でこそあったが、僅かに驚いた様子を見せる。

 

「今度はこちらから行きます。ケンタロス『じしん』です」

 

 ケンタロスは両前足を高く上げると力一杯に地面を踏みつけた。それと同時に中庭を揺らす程の振動が発生し始める。唯一の効果抜群の大技を喰らう訳に行かないとドラピオンは咄嗟にその場で大きくジャンプし回避する。

 

「そこです。『レイジングブル』」

 

 ジャンプした為、ドラピオンには地上に降りるまで次の行動に移ることが出来ない。それを見抜いたアオキは速やかに新たな攻撃を指示する。ケンタロスは怒り狂う暴れ牛の様な強烈な勢いでドラピオンの落下地点へと向けて走り出した。

 

「『クロスポイズン』で迎え撃て!」

 

 ジンも咄嗟に回避する事は出来ないと判断し即座に指示を出す。ドラピオンは両腕をクロスさせ毒を両腕に集中させると突き進んでくるケンタロスに向けて構えた。

 

「ドッラァ!」

「モオォォッ!」

 

 『クロスポイズン』と『レイジングブル』は激しくぶつかり合う。しかし、勢いを付けていた分ケンタロスに分があった様だ。押し合いに敗北したドラピオンはトレーナーゾーンの直ぐ近くにまで吹き飛ばされ行く。

 

「ふむ……中々のパワーだ」

「ドラァァ……」

「ドラピオンまだ行けるな?」

「ドララァッ!」

 

 ドラピオンは当然!とばかりに両腕を上げる。今の攻撃でダメージは多少負ったが、まだまだ余裕がありそうだ。

 

「一気に畳み掛けます。もう一度『じしん』」

 

 ここで一気に勝負を付けようとケンタロスは再び、『じしん』を発生させる為に両前足を高く上げた。ドラピオンとケンタロスまではかなりの距離が開いている。このタイミングでならば邪魔される事無く発動できると考えたのだろう。

 

 しかし、ドラピオンとて伊達に砂漠で地面タイプのポケモン達に喧嘩を売って聞いた訳ではない。特に『じしん』を放とうとするポケモンの動きを阻止する方法は心得ていた。

 

「『ミサイルばり』だ!」

「ドッラァ!」

 

 ドラピオンは両腕の爪から連続で『ミサイルばり』をケンタロスの両前足に向けて放った。決して威力は強くはない。だが、狙いはダメージではなくケンタロスの動きを阻害する事にあるのだ。

 

「モォォッ!?」

 

 狙い撃たれたかの様に両前足に集中して『ミサイルばり』を受け、ケンタロスは力を上手く籠める事が出来ずに『じしん』は不発に終わってしまう。その僅かな隙をジンは見逃さなかった。

 

「流れを変えるぞ!『どくびし』!」

 

 ドラピオンは口に毒のエネルギーを集めると空中に向けて放つ。毒の塊は空中で分散し、フィールドへと降り注いだ。その瞬間、フィールドにいたケンタロスの体が紫色のオーラが纏い、途端に苦しみ始める。

 

「これは……」

 

 『どくびし』により、フィールドが毒で包まれて行く。この効果により、今後、フィールドに出るポケモンは毒・飛行・鋼タイプや一部の毒の効かない特性を持つ者などを除き毒状態になる。ケンタロスも当然、例外ではない為、毒状態になった様だ。

 

「一気に攻めろ!『クロスポイズン』!」

 

 ケンタロスは毒状態になり上手く体を動かす事が出来ていない。その隙を逃さず、ドラピオンは一気に接近すると強烈な『クロスポイズン』を打ち込んだ。特性である『スナイパー』、そしてジンがテペンから買い取り、ドラピオンに与えた『ピントレンズ』の効果で攻撃は急所へと入った。

 

「『つじぎり』!」

 

 急所に攻撃が入り、ケンタロスは既に倒れる寸前だ。そこに追い打ちを掛ける様に勢いよく近づき、すれ違いざまに右腕の爪でケンタロスを切り裂いた。数秒間、時が止まったかの様に両者は動きを止めていたが、ケンタロスはそのまま力尽きたかの様に横向きに倒れていく。

 

「ケンタロス戦闘不能!」

 

 ケンタロスは目を回しており、起き上がる様子はない。そう判断したオモダカのジャッジによりケンタロスの敗北が決定した。

 

「……お疲れ様です」

 

 アオキはケンタロスをモンスターボールに回収すると労いの言葉を軽く掛け、新たなモンスターボールを取り出し宙に投げる。

 

「ムクホォッ!」

 

 アオキが次に出したのは大型の鳥の様な姿をした、もうきんポケモンのムクホークだ。ムクホークはモンスターボールから出るのと同時に空に舞い上がり、ドラピオンを鋭い視線で威嚇してくる。どうやらこのムクホークも『いかく』の特性を持っているらしい。

 

(ノココッチ、ケンタロス、ムクホーク……ノーマルタイプの使い手か?センリさんを思い出すな)

 

 センリとは嘗てホウエンを巡っていた際に対戦したジムリーダーでノーマルタイプの使い手だ。次期四天王候補とまで呼ばれる存在で『なまけ』を克服したケッキングという常軌を逸したポケモンを操る彼とのバトルではとても苦戦した記憶が鮮明に残っている。

 

 ノーマルタイプとは特徴がない事が特徴などとも言われるが、オールラウンダーという見方も出来る。それをエキスパートタイプとするジムリーダーや四天王は基本的に厄介な存在である。今までの経験からその事を理解しているジンは、より一層アオキに対して警戒を強めた。

 

(しかし、ムクホークか……これでは『どくびし』の意味がないな)

 

 アオキの他の手持ちが何なのかジンには知る由もないが、『どくびし』が撒かれているフィールドに通常のポケモンを繰り出す気にはなれないのだろう。その為、『どくびし』で毒状態にならないムクホークを出すのは非常に合理的な選択だ。

 

(……あれを試してみるか)

 

 ジンは新たにポケモンをゲットする度に過去に行われた映像の残っている公式戦やネットに投稿されている動画などを見てバトルの研究を日頃から行っていた。当然、ドラピオンも例外ではなく、調べた際にこれと全く同じ状況が存在したのだ。

 

(……悪いが無理にでもこちらの戦い方に付き合ってもらうぞ)

 

 ジンは即座に脳内で作戦を組み立て、この状況でも『どくびし』を活かす為の作戦を練り上げた。後は実行に移すだけである。

 

「『ミサイルばり』だ!」

 

 ドラピオンは両腕の爪を白く光らせるとその先端から複数本の針を発射し空中にいるムクホークへと襲い掛かる。しかし、ムクホークは軽やかな動きで空中を飛び回り全ての針を回避して見せた。針が全て打ち出され一瞬、隙が生まれた瞬間を見計らいアオキは新たな指示を出し始める。

 

「『ブレイブバード』です」

 

 ムクホークは青いオーラを身に纏うと羽を折り畳み低空飛行でドラピオンに真正面から一気に突撃してくる。それに対し、ドラピオンは技を出すどころか構える事さえせずに迫りくるムクホークを待ち受けた。

 

「……今だ!」

 

 ムクホークとドラピオンがぶつかると思われた瞬間、ドラピオンはジンの合図に従い上半身を屈め『ブレイブバード』を回避する。そのままムクホークは驚愕しつつも通り過ぎ新たなる攻撃を行おうと反転しようとするが、その瞬間、ドラピオンは尻尾を操りムクホークを捕らえる。

 

「『クロスポイズン』!」

「ドラァッ!」

 

 ドラピオンは柔軟な体を活かして180度頭を回転させるとムクホークを視界へと捉えるとそのまま、毒を纏わせクロスした腕を振り抜いて刃を飛ばす。

 

「ムクホッ!?」

「フィールドに叩きつけろ!」

 

 ドラピオンは尻尾で掴んだムクホークを最大限の力を込めて地面に叩きつける。その瞬間、ダメージにプラスされる形で本来は飛行タイプには効果がない筈の『どくびし』が発動しムクホークは毒状態へとなってしまう。

 

「『じごくづき』!」

「っ!?ムクホーク!『インファイト』!」

「む、ムクホォッ!」

 

ドラピオンはとどめを刺そうと更なる攻撃を仕掛けようとしたが、アオキの声に反応したムクホークは残されていた力を振り絞ると両翼や足を振りかざしながら反撃し、『じごくづき』を相殺するとそのまま空中へと舞い上がっていく。

 

「逃がしたか……」

 

 ジンとしては今の一撃で勝負を付けるつもりだった。あの状況から回避するとは流石は四天王のポケモンと評価せざるを得ない。だが、ムクホークは既に体力の限界だ。後一撃、いや、このまま何もしなくても遠くない内に倒れるだろう。

 

「……ジンさん、貴方のお望みでもありましたし、ちょっとはやる気を出しましょう」

 

 アオキはそう言うと緩んでいたネクタイに手を当て強く締め直した。アオキの中でスイッチが入ったのは間違いない。しかし、相変わらずその表情からはやる気を感じさせない。

 

(……この人にちょっと興味が出て来たな)

 

 アオキと言う人物の人間性が理解できない事に当初は不気味さを感じていたジンだが、ここまで来ると最早、興味対象に変わりつつあった。出来る事ならバトルを終えた後にでも感想戦として彼の人となりや思考を知りたいと思い始めている程である。

 

「社会人お得意の技!出してもよろしいでしょうか?」

 

 決め技が来る。アオキの言動からその事を理解したジンは緩み始めていた己の心を律し、最大限の警戒態勢に入る。

 

「ムクホーク!『からげんき』です!」

「ムクホッ!」

 

 先程までと違い、僅かに力の入った声でアオキは指示を出した。ムクホークは雄叫びを上げると炎の様なオーラを纏ってドラピオンに向けて突撃してくる。『からげんき』は状態異常の時に威力が上昇する技で今のムクホークは毒状態である。威力は通常時よりも大きく上昇している様だ。

 

「ははっ……」

 

 予想以上の威力で突っ込んでくるムクホークとアオキの発言の面白さからジンは思わず笑みをこぼすが、一瞬で切り替えるとドラピオンに新たな指示を出した。

 

「迎え撃てドラピオン!『つじぎり』!」

 

 それに対し、ドラピオンは正面からそれを迎え撃つべく駆け始めた。ドラピオンの素早さでは最早、ムクホークからは逃げ切れない。防御を固めてもあの威力では突破されるのは目に見えている。ならば、敢えてこちらも逃げずに立ち向かうのが最良の道である。

 

 威力で言えば状態異常が加わった『からげんき』が勝利する。しかし、ドラピオンは『ピントレンズ』と特性の『スナイパー』により『つじぎり』は急所に大幅に当たりやすくなっている。勝機は十分にあり後はどちらの技が決まるのか、その一点に勝負の行方は掛かっていた。

 

「ドラッァァァァァ!」

「ムクホォォォォ!」

 

 フィールドの中央にてドラピオンの『つじぎり』、ムクホークの『からげんき』がぶつかり合う。激しい衝撃音と爆発が起こり、爆煙がフィールドを包み込んだ。

 

「……………」

 

 ジンとアオキ、そしてバトルを観戦していた全ての者達が固唾を飲んでフィールドを見つめている。やがて、爆煙は徐々に晴れていきフィールドの様子が見えてきた。

 

「ドラ……ドラァ……」

「ムクホ……ムクホォ……」

 

 ドラピオンとムクホークは爆発の影響で、体中の至る所に火傷の痕を作り肩で息をしながらも互いに鋭い視線を相手に向けて立っていた。

 

「ドラァ……」

「ムクホォ……」

 

 ドラピオンとムクホーク、両者はまるで示し合わせたかの様に同じタイミングで体を大きく揺らし、そのままゆっくりとフィールドへと倒れ込んでいく。

 

「……ムクホーク、ドラピオン、共に戦闘不能!」

 

 審判のオモダカは両者の様子を確認すると引き分けのジャッジを下した。ドラピオン、ムクホーク共に既に意識はなく、これ以上のバトル継続は不可能な様だ。

 

「ドラピオン、よくやってくれた」

「ムクホーク、お疲れ様です」

 

 ジンとアオキはそれぞれ労いの言葉を掛け、ポケモンをモンスターボールへと回収する。ジンはドラピオンの入ったボールをポケットにしまうとそっとアオキに視線を向けた。

 

(まだ序盤戦を終えただけだが、恐らくナンジャモさんやカブさんよりも強い。流石は四天王って所か……)

 

 ジムリーダーとのバトルはいつも自分を楽しませくれる。ましてやアオキはジムリーダーであるのと同時に四天王さえも兼任するという疑いようのない実力者だ。まだまだこんなものではない。この先、どんな強敵を出してくれるのか、そう考えるだけでジンは自然と笑顔がこぼれて来るのだった。

 





いつも遅くてすいません。出来れば二週間以内の更新を目指したいと思ってはいるんですが、なかなか難しいですね。

☆9
暁の赤光さん

☆10
禁断覇王さん、遼 彼方さん、ヨウヘイさん

高評価ありがとうございます

作品の要望などあれば気軽にメッセージを送ってください
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。