ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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新作の日刊とは言え、私の書いた小説がランキング入りするなんて……読んでくれた皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

今回から「ニャオハとなら、きっと」に入ります。この話が終わるまでにジンの手持ちは全て出し尽くす予定です。



捜索

 

「……見失ったか」

 

 ジンが今いるのはブレイブアサギ号から、少し離れた場所にある港街だ。ここまでは追跡をしたが街中まで来ると、例の3人組は飛行ポケモンから降りて人混みに紛れ込み姿をくらましてしまった。

 

「…ボダー」

「お前のせいじゃないよ」

 

 実際、ボーマンダはよくやっていた。昨夜、学園で襲われてからブレイブアサギ号までジンたちを運び、その後もすぐにエクスプローラーズの追跡を行った。ほぼ丸一晩休みなしで飛び続けている。

 

「ボーマンダ、地上に降りてくれ」

「ボーダー」

 

 ボーマンダは指示に従い、ゆっくりと地面に降りていく。

 

「お疲れさん。一旦休んでくれ」

 

 エクスプローラーズがこの街に拠点を構えているのなら恐らくもうそこに逃げ込んだだろう。そうなると空からの捜索はもはや困難だ。ここからは地上から探していくしかない。

 

「となると、今度はこいつの出番だな」

「おーーーーーーーーい!」

「ん?あれは……フリードさん!」

 

 ボーマンダのボールをしまい次のモンスターボールを取り出そうとしたその時、空からリザードンに乗ったフリード、さらにその肩には船の船長が被る帽子を被ったピカチュウを乗せていた。

 

「フリードさん、どうしてここに?」

「そりゃ、こっちのセリフだ。あんまり一人で無茶なことをするなよ」

 

 話しを聞くとフリードはニャオハが攫われた事とジンが一人でエクスプローラーズの追跡に行った事を聞き慌てて追ってきたようだ。

 

「すいません。ご心配をおかけしました」

「まぁ、気持ちは分かるよ。そんな状況になったら俺も追いかけていただろうからな」

「…ありがとうございます」

 

 フリードも無茶な行動をするのは決して嫌いじゃない。ジンが取った行動も心情的には理解できていた。注意したのはあくまでも大人としての義務感からだろう。

 

「それで、エクスプローラーズは見つかったのか?」

「それが…この港で見失いました」

「…そうか。だったら、一度船に戻って出直そう。俺の仲間たちと一緒に改めて捜索をすれば、きっと」

 

 捜索するのであれば人手は多い方がいい。その為にも一度船に戻るべきだとフリードは主張する。だが、ジンの答えは決まっていた。

 

「いえ、俺はこのまま捜索を続けます」

「待て!俺達が必ずニャオハを見つけて見せる。だから…」

「フリードさん、あなた達の事は信じてますよ。あの船でポケモンたちを見た時からずっとね」

 

 最初に学校でフリードに会った時は、エクスプローラーズよりは信用できると思っただけで、まだ少しだけ疑っていた。だが、既にジンはフリードを含めたブレイブアサギ号の人たちを信用していた。

 

「あそこにいたポケモンたちは、皆自然な笑顔で生活をしていた。あなた達が普段から優しくポケモンたちに接している証拠です。ポケモンに優しく出来る人に悪い人はいないと俺は信じています」

 

 ポケモンは良くも悪くも素直な生物だ。勿論、生まれ持った性格、多少の善性や悪性という物はある。しかし、それ以上に住んでいる環境やトレーナーなどの影響を受けやすい。あの日、船で見たポケモンたちの姿こそが彼らが善良な存在だという証明になっている。

 

「…だったら」

「でも、ニャオハを見失ってからそれ程時間が経っていない。今なら、まだ俺のポケモンが匂いでニャオハを追うことができると思うんです」

 

 もし時間が経てば匂いで追えなくなる可能性もある。更に言えば、エクスプローラーズがニャオハと共にどこか遠くに身を隠すようなことをすれば捜索は不可能となるだろう。

 

 この街に留まっていたとしても、エクスプローラーズにとってニャオハはペンダントを手に入れるための貴重な手札だ。いずれは交渉を持ち掛けてくるのかもしれない。しかし、その時は完全に彼らに主導権を渡してしまうことになる。ニャオハを取り戻し、ペンダントとリコを守るためにもその状況は避けたい所だ。

 

「まだ、この街のどこかにニャオハがいる。探すなら今しかないんです」

「……分かった。だったら、俺も一緒に」

「いえ、フリードさんは一度船に戻ってこのことをリコや他の人たちにも伝えてください」

「それは…」

「リコはニャオハの事を心配している筈です。捜索は続けている、希望はあるから信じてくれ。それだけでも伝えて欲しいんです」

「………」

「それにフリードさんも言ってたでしょう?人手は多い方がいいって、俺が失敗した時は改めて捜索の手伝いをお願いします」

 

 ジンはフリードの目を真っすぐに見つめお願いする。数秒間、見つめるとフリードは大きくため息をつく。

 

「分かった分かった。俺の負けだ」

 

 ジンの目を見て説得は無理だと判断し、両手を上げ負けを認める。

 

「フリードさん…」

「ただし、一つだけ約束しろ。奴らのアジトを見つけても一人で突撃したりするなよ。何かあれば俺のスマホロトムに連絡してくれ」

 

 そう言うと、フリードはポケットから紙を取り出すと番号をメモしジンに押し付ける。

 

「…分かりました」

「リザードン、キャップ、船に戻るぞ!」

「リザ!」

「ピカッ!」

 

(……このピカチュウ、キャップって言うのか)

 

 フリードは再びリザードンに乗るとキャップと言うニックネームのピカチュウを肩に乗せ共に船に戻るために空へと飛ぶ。

 

「フリードさん!リコの事よろしくお願いします!」

「任せろ!俺の仲間たちとお前さんのジュカインもついてる」

 

 その姿が見えなくなるまで見送ると、ジンはフリードに背を向け、街中へと向かっていく。

 

(…すいません。フリードさん、約束はもしかしたら守れないかもしれないです)

 

 一人で突撃はしないつもりではある。だが、それは状況次第だとジンは考えていた。アジトを上手い事発見したとして、もしニャオハを連れて更に遠い場所に行こうとするなら、もしニャオハに手を出しケガをさせようものならどんな状況であれ行動を開始するつもりでいた。

 

「頼むぞ!ライボルト」

「ライ!」

 

 垂直に逆立った黄色の鬣が特徴のほうでんポケモンのライボルト、ジンの手持ちの一体だ。ガーディやイワンコなどと同じ所謂、犬ポケモンであり匂いを嗅ぎ分ける事を得意としている。この状況においては最も適したポケモンだ。

 

「ライボルト、落ち着いて聞いてくれ」

「ライ?」

「リコのニャオハが攫われた」

「ライ!」

「攫った奴らは恐らくこの街のどこかにいる。お前ならニャオハを匂いで探せるよな?」

「ラーイ!」

 

 任せろ!とばかりに返事をするライボルト、普段からニャオハと仲が良く一緒に日向ぼっこをしている。鼻が利くライボルトならばきっとニャオハを見つけ出せるとジンは判断した。

 

「ライ!」

「そっちか」

 

(待ってろよ、ニャオハ……必ず見つけてやるからな)

 

 

 

***

 

 

 

『わ~綺麗!』

 

 これはリコが学園に来るよりも前の出来事、まだペンダントを貰っていない頃の記憶だ。この時はまだリコの祖母がペンダントを持っている。

 

『いつかリコもこれを付けて冒険に行く日が来るんだろうね』

『来るかなぁ?冒険って怖いよね?』

『怖いのは最初の一歩だけ。踏み出せば見たことない景色が広がっていて怖かったことなんて忘れてしまうもんさ…ポケモンが一緒ならきっと大丈夫』

 

(おばあちゃん…)

 

 その言葉を最後にゆっくりと目を覚ます。リコは久しぶりに祖母の夢を見ていた。昨夜から、祖母からお守りとしてもらったペンダントを巡って様々なことが起きていた事が原因だろう。

 

(ここは…)

 

 リコの部屋ではない。ブレイブアサギ号の一室だ。ニャオハを攫われた後、船の一室を与えてもらいそこで休ませてもらっていた。

 

(いない…)

 

 いつもであれば、同じ布団の中で寝ている筈のニャオハはそこにはいなかった。

 

「ニャオハ…」

 

 不意に寂しさからかそう呟くリコ、すると頭に優しく手が置かれる。

 

「ジュカ…」

「ジュカイン…」

 

 その正体はジンのジュカインだった。ジンはジュカインにリコの事を頼み、船を降りて行った。その為、昨夜からずっとリコの傍で見守っていた。

 

「ありがとう。大丈夫だよ、ジュカイン」

「ジュカ…」

 

 心配そうに見つめるジュカインにそう返すリコ

 

『心配するな。ニャオハは必ず取り戻す。行け!ボーマンダ』

 

(大丈夫…ジンがニャオハを追ってくれてる。きっと手がかりを掴んでくれる)

 

 リコにはここから移動する方法がない。だから、今は信じて待つしかなかった。

 

(絶対にニャオハを取り返します)

 

 だが、その決意だけは誰にも負けていなかった。制服に着替えジュカインと共に外に出るリコ。そこには船のメカニックであるオリオや昨夜会ったマードックやモリーがいた。

 

「あの…私…」

「ニャオハを取り返しに行くんだろう?」

「え?」

「今、フリードがジンとエクスプローラーズを追ってる」

「そういうことだ。気持ちだけ焦っても碌なことない」

 

 3人ともリコの事を気遣ってくれている。そのことがリコの心を温かくしてくれた。

 

(やっぱり、この人たち悪い人じゃないのかも…)

 

「きっとフリードがニャオハの手がかりとお友達も見つけてきてくれるから」

 

 オリオが励ますと、上空にリザードンの影が通る。タイミングよく、フリードが船に戻ってきたようだ。

 

「噂をすればだな」

 

 甲板にリザードンが着陸し、フリードも皆に加わる。だが、リコの期待は叶わずそこにはニャオハやジンの姿はなかった。

 

「よぉ!起きたか」

「あのニャオハは?それにジンは?」

「ジンはここから近くの港で見つけた。だが、エクスプローラーズは見失ってしまったみたいだ」

 

 見失った。その言葉がリコに重くのしかかる。ジンの事を責めているわけではない、しかし、現状唯一の希望であったジンの失敗はいまのリコには与えるダメージは大きかった。

 

「…そうですか」

「それで、あの子はどうしたんだ?」

「一度、ここに戻るように言ったんだがな。今なら、まだニャオハを見つけられるかもしれないから捜索を続けるってよ」

「おいおい、大丈夫なのかよ…」

「まぁ、無茶はしないって約束したしな。何かあれば連絡するように言ってあるし大丈夫だろう。それから、リコ」

「は、はい」

「ジンからの伝言だ。『捜索は続けている、希望はあるから信じてくれ』だそうだ。色々あってきついだろうけど、もう少しだけ、あいつの事信じてやってくれないか?」

「はい!」

 

 希望はある。その言葉がリコに勇気と希望を与えた。ジンは何一つ諦めていない。今でもニャオハを探している。

 

(……ニャオハ……ジン……私も絶対に諦めない!)

 

 今はまだ手がかりがなくてもリコはニャオハの事を諦めたりなどしない。希望はある。ジンのその言葉を信じていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは港街から少し歩いた場所にある、とある施設…ジンはライボルトにニャオハの匂いを探ってもらい、最終的にこの施設にたどり着いていた。

 

「ライ!」

「あそこか…」

 

 希望は確かに残っていた。

 





手持ち

ジュカイン 
ボスゴドラ
ボーマンダ
ライボルト
???
???

4体目はライボルトです!なんかメガシンカ枠ばっかりになってますね。私がルビー時代から好きだったポケモンたちが結構な確率でメガシンカ枠になってるだけで決して狙ってるわけではないです。

今後の更新頻度についなのですが、少々職場での環境に変化があり色々忙しくなりそうなので最低でも週に1度のペースに落としていこうと思います。早く上がれば、完成次第投稿していくつもりですので、今後もよろしくお願いします。

☆9
ほら猫さん、R.N.さん、水代さん、Soundeightさん、柿種 夏さん、狩る雄さん

☆10
ゼノさん、ガンダムネコさん、マザーズロザリオさん

高評価ありがとうございます。
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