ポケットモンスター 新たなる冒険   作:malco

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今月はポケモンの放送が2回しかないのか……残念ですね


フィールドワークpart1

 

 交流戦を終えた翌日、基礎テスト合格を祝う為にテーブルシティには留守番をしているランドウを除いたライジングボルテッカーズが集結し、レストランでささやかなパーティを行っていた。

 

「遠慮しないでどんどん食べろよ!今日はお祝いだ!」

「うん!」

「美味しい~!」

 

 パスタ、ピザ、サラダなど様々な料理を皆が好きなだけ取り皿に取っていく。料理が美味しい事もさながら、久しぶりに仲間達との食事を全員が楽しんでいた。

 

「リコ、ロイ、ドット、基礎テスト合格おめでとう!ジンも3人のサポートお疲れさん!」

「ドットがナンジャモ相手に勇敢に立ち向かう姿、思い出しただけで……胸が熱くなる~~~!」

「大袈裟だよ!まだ応用テストが残ってるのに!」

「そう……だね。油断しちゃ駄目だよね」

 

 そう、テラスタル研修はまだ終わっていない。次の応用テスト、そこで合格できなければ、ここまでの努力も全てが無駄になってしまうのだ。

 

「気を休めるのも大事だよ」

「そうそう!メリハリ!」

「そうだな……今日、1日位は特訓を休みにしてのんびり過ごしていいんじゃないか?」

「本当にっ!?」

 

 今日はこのテーブルシティから動く事はない。その為、ロイは今日一日は特訓漬けになると覚悟していた。それにもかかわらず、休みを貰えるとは予想すらしていなかった様だ。

 

「あぁ、色々とやっておきたい事もあるしな……モリー、悪いんだが後で一緒にポケモン達の健康診断と薬の調達に付き合ってくれないか」

「えっ!?……も、勿論いいけど……」

「モリー?」

「では、よろしく頼むよ。リコ達が研修を受ける街の事を考えると、凍傷に効く薬なんかも仕入れておかないといけないしな」

 

 モリーの反応にリコは少しだけ違和感を覚えた様だ。普段ならば、必ず問いただしていた場面だが、ジンがまだ知らされていない研修先の情報を知っていた事に驚き、リコは思わずモリーから視線を逸らしてしまう。

 

「ジン、私たちの次の研修先の場所知ってるの?」

「いや、流石にそこまでは知らないよ。だが、残りのジムリーダーの内、2つはナッペ山にあるみたいだから、準備しておいて損はないってだけだ」

 

 ナッペ山、パルデア北部にそびえる雪山だ。中腹にフリッジジム、山頂付近のナッペ山ジムの2つが存在しており、残りのジム数から考えてこの2つにリコ達がぶつかる確率は決して低くはない。それに備えて準備して損はないと考えたのだ。

 

「ジン、その準備は後だ。悪いんだが、料理を食べ終わったら、俺はオレンジアカデミーに行く。ジン、リコ、ロイ、ドットの4人も俺と一緒に来てくれ」

「えっ?応用テストは明日からだけど?」

「言ってなかったか?クラベル校長とオモダカ理事長と会う約束をしてるんだ」

「えぇっ!?聞いてないよ!?」

 

 フリードの発言にリコ達は驚愕するが、例外が1名いた。その人物はモリーである。無論、フリードの発言には驚いていたのだが、それ以上に、今すぐ、ジンと2人きりで行動する事がないと分かり、残念な様な安心の様な相反する不思議な感情を抱いていた。

 

(お、落ち着かないと……)

 

 リコの前であまり不用意な態度を取り続ければ、いずれは自分のジンに対する気持ちがバレてしまう。それは仲間としての結束にひびを入れる最悪の結果に繋がりかねないのだ。だからこそ、自分を律する事が必要だと頭では理解している。

 

 しかし……そんな考えとは裏腹に感情は思っている通りになってくれないのが現状である。

 

(……全部、ジンのせいだ)

 

 同じテーブルで呑気に食事をしているジンをモリーは若干、鋭い視線で睨みつける。恋人がいるにも関わらず、無意識に女性を口説く女の敵、少し隙を見せれば見逃さずに入り込んでいつの間にか心を掴んで放してくれない。

 

 これで甲斐性がなければ、それを理由に離れる事も出来るが、無駄に能力があるせいで年齢の割にかなりの高収入であり、将来性も高い。性質が悪い事、この上なかった。

 

「ふぅ……」

 

 しかし、そんなモリーの恨み節に気づく事もなく、料理を食べ終えたジンは満足そうな顔をしている。ジンは敵意・殺意などの悪意に対しては、かなり敏感なのだが、女性からの怒りは経験が薄いらしく全く気付いた様子はない。その反応が益々、モリーを苛立たせるのだった。

 

 

 

***

 

 

 

 レストランで食事を終えたジン達5名は、オレンジアカデミーの校長室へと来ていた。そこには既にクラベルとオモダカが来ており、ジン達は改めて挨拶とここに来るまでの経緯を説明する。

 

「そうでしたか。貴方達はフリード博士と一緒に冒険を……」

 

 校長室のデスクにはクラベルが座っており、その背後にオモダカが立っている。立場的に理事長の方が偉いのにその立ち位置でいいのかと思わなくもなかったが、わざわざ口に出す必要はないとジンは判断した。

 

「本日はお時間を作って頂き、ありがとうございます」

「いつでも歓迎しますよ」

「ポケモン博士としてのご活躍、私も拝見しております」

 

 こう見えて意外とポケモン博士としての仕事をしているのが、フリードだ。旅の合間にフィールドワークをし、制作したポケモンの分布図などは、各方面で中々の評価を得ている。もっともそれが全くと言っていい程に稼ぎに繋がっていないのは、商才がないと言わざるを得ないのだが。

 

「何でもテラパゴスについて聞きたいことがあるとの事ですが?」

「パ~ゴ?」

 

 自分が呼ばれたと勘違いしたのか、リコの持っていた鞄からテラパゴスが顔を出してしまった。その姿を見た瞬間、クラベルとオモダカに衝撃が走る。

 

「なっ!?」

「本物のテラパゴス!?」

 

 パルデアでも知識、経験共にかなり豊富な立場にいる彼らだが、今では生息すら確認されていないテラパゴスの姿を見るのはこれが初めての事らしい。

 

(出てきてしまったか……)

 

「あなた方は、一体どこでそのテラパゴスを?」

 

 オモダカの問いにリコは一瞬黙りジンを見つめた。その意図を察したジンは軽く頷く。出来ればテラパゴスの事は秘密にしておきたかったが、こちらが情報を貰う以上、黙り続けるのはフェアとは言えないからだ。

 

「実は……」

 

 リコは、祖母であるダイアナから貰ったペンダントがある日、姿を変え、今のこの姿になった事を簡単にだが説明した。

 

「なんと……不思議な……」

「リコさん、貴女のもとで蘇ったという事ですね?」

 

 クラベルもオモダカもテラパゴスに興味津々の様だが、ジン達にとって本題はここからだ。

 

「パルデアには、嘗てテラパゴスが目撃された記録があると伺いました。ポケモンリーグ委員長でもあるオモダカさんであれば、なにかご存じではないかと思いまして」

 

 フリードの問いかけを受け、オモダカは持っていたタブレット型のスマホロトムを操作する。すると校長室にあるテレビの画面がつき、そこには古い資料の画像が映し出された。

 

「これは、テラパゴス……それにこの姿は……」

 

 資料の左側には通常のテラパゴス、そして右側には黒いレックウザが暴れ出した際に見せたもう1つの姿と思われる絵が描かれている。

 

「記録によると、通常は資料の左側の姿ですが、バトルの際にはこの様に体を変化させていたと考えられています」

「詳しいデータはないのですが、テラスタルと深く関係のあるポケモンの様です」

「テラスタルと?」

「えぇ、大陸の中央部に我々が管理するパルデアの大穴が存在しまして……」

 

 画面が資料から空中からの写真へと入れ替わる。そこは、巨大な岩壁で全周くまなく覆われている上に表層は厚い雲に覆われている。写真からでは内部の様子は殆ど分からない状態だ。

 

「その最深部、通称:エリアゼロ。そこで嘗てテラパゴスと思しきポケモンが目撃され、スカーレットブックへと記されました」

「スカーレットブック……それって!」

 

 ドットは置いてある荷物の中から、1冊の本を取り出し、オモダカへと差し出した。

 

「図書館で見つけたんですけど」

「丁度いいですね……見てください」

 

 オモダカはスカーレットブックを開き、目的のページを見つけるとそのページをジン達に見せる。そこには、まるで宇宙に浮かぶ星の様な形のポケモンの絵が記されていた。

 

「これが、テラパゴスの第三の姿と思われます」

「かっこいい……」

「だから、テラパゴスもこの本に興味を示したのか……」

 

 第三の姿、それはジン達もまだ一度も見た事のない姿だ。どこまでが正しいのか現状からでは判断しきれないが、こうして資料まで見せられてはその可能性はゼロとは言い切れない。

 

「それにしても興味が尽きません。何故、今になって蘇ったのか……」

「この子、ラクアって場所に行きたがってるんです。何か知りませんか?」

「ラクア……初めて聞きました」

 

 ラクア、それは100年前、古の冒険者ルシアスが六英雄、そしてテラパゴスと共に辿り着いた楽園。そこにテラパゴスを連れて行く為、ジン達は旅を続けている事をジン達は説明する。

 

「テラパゴスの謎を解くのは即ち、ラクアの謎を解くことにも繋がる……という訳ですね」

「えぇ」

「そうだ!エリアゼロに行ってみようよ。何か分かるかも」

 

 ロイの言う通り、嘗てのテラパゴスの生息地であると思われるエリアゼロに行けば、何か今までにない情報を得られるかもしれない。リコやドットもそれに賛同し調査を始める流れになるのだが……

 

「実は最近、入り口付近で事故がありましてね……まだ立ち入りは難しいでしょう」

「そんな……」

 

 エリアゼロに入る為に作られた施設『ゼロゲート』、そこで少々、事故が起こっている為、解決するまでの間、立ち入りを禁止しているらしい。

 

(……周囲は断崖絶壁か。でも、ポケモンの力を借りれば……)

 

 入っては駄目と言われると不思議と入りたくなるのが人情という物だ。もう少し、近くで調べなくては断言できないが、この大穴は空からであれば侵入は不可能ではなさそうに見える。禁止・困難、ジンはあらゆる意味で自分の好奇心が強く刺激されていくのを感じていた。ホウエン地方を旅していた頃も、好奇心から「ファウンス」という窪地を冒険した記憶が脳裏を過る。

 

「いずれご案内しますよ……ですから、ジンさん。くれぐれも勝手に入ったりしない様にお願いします」

「…………えっ?」

「ジン、表情に出すぎだよ……」

「めちゃくちゃ悪い顔してたぞ」

 

 どうにも表情に出すぎていたらしく、オモダカはジンの事を名指しで注意してくる。リコ達の研修の付き添いもしなくてはいけない上に、侵入前にばれたとあっては無茶をする訳には行かない。ジンは渋々と行った様子で返事をした。

 

「ふぅ……100年も前の昔の事となると我々よりもあの方の方がご存じかもしれないですね」

「あぁ、そうですね。彼女であれば、テラパゴスについても何か知っているかもしれません」

「本当ですか!?」

「えぇ、ご紹介しますよ。今は授業を行っている筈なので、皆さんはエントランスホールでお待ちになって頂けますか?」

 

 クラベルの言い様からして、紹介したい人物というのはどうやらこのオレンジアカデミーの教師の様だ。ジン達は言われた通り、エントランスホールへと向かう為に校長室を後にしようとするが、その瞬間、ジンは突然、足を止め部屋全体を見渡して行く。

 

(ふむ……)

 

 この校長室には以前、来た事がある。その為、物の配置などを細かくジンは覚えていた。だからこそ、気付いてしまったのだ。

 

(額縁や時計の位置が僅かにだがずれている……恐らく盗聴器、いや、カメラも仕掛けられていると思った方がいい。今の会話も聞かれてしまったかな?)

 

 態々、校長室にそんな真似をする人物など限られている。しかもこの学園には、教師に成りすまして潜入している者がいるのだ。その者が犯人だと断定しても問題ないだろう。場合によっては、サーナイトの『千里眼』を駆使して、この部屋の過去を見通すことも検討していた。

 

「ジン?どうしたの?」

「……いや、何でもない。行こうか?」

 

 しかし、同盟を組む際に多少の犯罪行為には目を瞑ると約束してしまった以上、ここで事を荒立てるのは得策ではない。クラベルに対して多少の罪悪感はあったが、ジンはこの事を報告せずに胸にとどめておく事を決めた。

 

「う、うん?」

 

 ジンのその僅かな変化にリコは気づいていたが、何でもないと断言されてはそれ以上、追及する事が出来ず、少々、もやもやした気持ちを抱えながらも校長室を後にしていく。

 

 

 

***

 

 

 

「本当はずっと持っていたいけど……」

 

 クラベル校長の指示に従いエントランスホールに戻ると、ドットはスカーレットブックを元の本棚へと戻した。本人が言う様に常に携帯しておきたい所だが、学校所有の本を何時までも独占する訳には行かなかった。

 

「しかし、謎は深まるばかりだ。こいつにはまだまだ俺達の知らない秘密がありそうだ」

「あぁ、オモダカさんの話を聞いて俄然、興味が出て来たよ」

 

 楽しそうにテラパゴスについて語るフリードやジンとは対照的にリコは少し寂しそうな表情をしていた。その事に気付いたロイやドットが声をかけるとリコは自分の抱いている気持ちを話し始める。

 

「私……テラパゴスについて全然、知らないんだなって思って」

「そんな事はないと思うがな?」

 

 テラパゴスがペンダントから姿を変えて以来、リコはテラパゴスと多くの時間を共にし、好物や好きな場所など様々な事を調べ上げた。ジンの目から見れば非効率な面や未熟さなどもあったが、それでも得た物は決して少なくないと断言できる。

 

 そもそも数か月の間を共に過ごしただけで、そのポケモンの全てを知ろうなどと考えるのは傲慢だ。既存のポケモンならばデータから多くを知ることが出来るが、テラパゴスは誰もが認める特殊で希少なポケモンなのだ。全てを知ろうと思えば一流の研究機関でも年単位の時間を必要とするのは間違いない。

 

「仮に知らなかったとしても問題はないさ。これから知ればいいだけだ。ニャオハの時だって、そうだったろう?」

「……うん!そうだよね!」

 

 初めてのポケモンという事もあり、苦労していたが、あれこれと色々と調べ仲良くなる様に努力した結果、今がある。それはテラパゴスも同じ、今はまだ知らない事もこれから知って行けば何も問題ないのだ。

 

「待たせたな!古の謎を紐解く者達!」

 

 ジン達が話しをしていると、そこに1人の人物が現れる。褐色肌でスタイルが良く、カジュアルなウェスタン風の服装をした女性だ。

 

「歴史の授業を受け持つレホールだ」

「初めまして。私は……っ!?」

 

 リコが自己紹介をしようとするが、その時、レホールの横の階段の手すりにいるポケモンが目に映り込んでくる。その姿を見たリコは思わず、驚愕し自己紹介を中断してしまった。

 

「パ~ゴ」

「な、なんでテラパゴスがっ!?」

 

 そこにいたのは、リコの鞄にいるのと全く同じ姿をしたもう1体のテラパゴスの姿だった。現在では姿が確認されていない筈のテラパゴスが何故?そんな疑問がリコの頭に浮かんでくる。

 

「ん?おっと、また『イリュージョン』を見せているな……お客人を揶揄うのは程々にしろ、ゾロアーク」

「ゾロアッ!」

 

 テラパゴス……と思われていたポケモンは突然、輝き始めると徐々に姿を変えていく。その正体は、二足歩行の黒い狐の様な姿をした、ばけぎつねポケモンのゾロアークだった。

 

「失礼した。私のゾロアークは悪戯好きでね。今みたいに人を揶揄って遊ぶ悪癖があるんだ」

「ゾロアーク……メタモンみたいな能力を持ってるの?」

「少し違うが、この場に置いては似た様な能力と思ってくれて構わないぞ」

 

 特性『イリュージョン』と『へんしん』、細かく述べれば違いはある。しかし、バトルをしないこの状況に置いては別の姿に変身する事が出来るという点で、ほぼ同じである。

 

「しかし、本当に悪戯が好きみたいだな」

 

 ゾロアークは今度はキャップに変身し、それに激怒したキャップが怒鳴りつけ動き回っている内にどちらが本物か分からなくなるという悪戯を楽しむ始末だ。

 

「すまないな……リコ、ロイ、ドット、テラスタルの研修生だな?そちらはポケモン博士のフリードに次期四天王と称されているジンで相違ないな?」

「「「はい!」」」

「えぇ、まだ完全に決まった訳ではないですが……」

「そうなのか?トップからはそう聞いていたのだが?」

 

 どうやら、オモダカは至る所にジンの四天王就任の情報を流して着々と外堀を埋めに掛かっているらしい。四天王の話はジンとしても有難い話なので責める事も出来ない為、なんとも複雑な状況だ。

 

「まぁ、いいか……校長から伺ったぞ。何やら、興味深い物を調べているらしいな。今からフィールドワークに出る所だし、話はそこで聞こう」

「フィールドワークですか?因みに何を調べに?」

 

 レホールはポケットから一枚のコインを取り出し、親指で弾きジンへと飛ばす。顔面に向かって真っすぐに飛んできたコインをジンは難なくキャッチした。

 

「これは……昔のコインですか?」

「そうだ。古の財宝を見つけるぞ」

 

 

 

***

 

 

 

 ジン達がエントランスホールでレホールと話をしていた頃、オレンジアカデミーの空き教室ではアゲパンこと、アゲートが校長室に仕掛けられた監視カメラの映像をスマホロトムで見ていた。

 

「面白い情報が手に入ったな……」

 

 しかし、これだけでは足りない。テラパゴスについてもっと知る為には、この学園にある全てのデータを盗み出す必要があった。とは言え、流石に自分1人でそれが出来ると考える程、アゲートは自信過剰ではない。

 

「人手がいる。しかし、今更、応援は呼べん。今いる人材で何とかするしかないか……」

 

 しかし、オニキスとサンゴは表向きテラスタル研修を継続させる必要がある。現段階では動かすことはできない。そうなってくると選択肢は1つしかなかった。

 

「テラスタル研修後に行われるバトル大会、その日に作戦を決行する。その為の準備を今の内からしておくとするか」

 

 一人、そう呟くとアゲートは教師としての仕事へと戻る為に空き教室を後にし、職員室へと向かって行く。作戦決行の日まで怪しまれる訳には行かない為、渋々と言った様子だ。

 

「アゲパン先生!さようなら~」

「……はい。さようなら。宿題を忘れないでね」

 

 その途中、幾人かの生徒とすれ違い笑顔で挨拶をする。素の性格では生徒からの受けが悪い事は理解していた為、この様に別の性格を演じているのだが、これが地味に彼女には苦痛だった。様々な年代の生徒がいるとは言え、圧倒的に子供の方が多く、時に分析できない行動を取る子供がどうにも彼女は苦手であったらしい。

 

「はぁ……バトル大会が始まるまでの辛抱だ」

 

 アゲートは自分を戒める様にそう小さく呟くと改めて職員室へと向かい始める。しかし、彼女は気づいていなかった。自分が校長達を監視しているのと同じ様に自分もまた監視される立場にあると言う事を……

 

「……バトル大会?」

 

 アゲートの横をすれ違った生徒の中に赤と青の特徴のある女子生徒がおり、その発言を聞き逃さなかった。少し悩んだ末にその人物は、自分の最推しである件の人物に今のアゲートの発言があった事をメッセージで送るのだった。

 





いつもよりも短めですが、長くなりそうなので分ける事にしました。アンケートは次回の更新まではそのままにしておくのでまだ投票してない人はご協力お願いします。

☆9
来世は鳥になりたいさん、クロバット一世さん、standardさん

高評価ありがとうございます

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