戦国武将を召喚して聖杯戦争で勝利を目指す   作:たくヲ

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これから戦が起こるその地でその男は槍を携え立っていた。

 

(儂も老いた。ここが儂の生涯で最後に駆ける戦場(いくさば)となるだろう)

 

戦場こそ自分の力を最も発揮できる場所。彼はこの戦以降、主に対しできることはないと理解していた。

 

(だがそれでもかまうまい。儂は我が主より与えられた使命を全うするのみ)

 

兵を率い駆け、敵兵を切り捨て、敵将を討ち、ただ勝利するのみ。

 

向かってくる兵は彼にとっては敵ではない。その槍の一振りで目の前の敵を叩き潰す。

 

太平の世。天下統一。自らの主が日の本を治める時代。

 

それを目指した彼の戦いの終焉の地。その地の名を関ヶ原と言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正午。画仙改善は目覚めとともに一言。

 

「夢?」

 

サーヴァントを召喚したマスターは自らのサーヴァントの記憶を夢として見ることがあるという。それが画仙の身にも起きたのだろう。

 

(あれがランサーの記憶……最期の戦い)

 

画仙はそこらの魔術師以上に実戦経験はあると自負している。死徒を狩ったり海外の戦場に放り出されたりもした。が、夢の景色。ランサーの記憶の中の戦争は兵がひしめき合う、まさに乱戦状態。生前のランサーがそんな中で得た戦歴はまさに規格外だろう。

 

(我ながら頼もしい英霊を引き当てたもんだ。が、それに比べて俺は)

 

昨夜の戦いにて傷を負った画仙。傷は左腕を骨折のみ。ただの蟲程度に追いつめられるとは不覚としか言いようがない。

 

とりあえず応急処置をして宿に戻ってきたのである。

 

戻ってきてから、すぐに寝たため魔術的な治療はまだ行っていないのだ。

 

「おお、目覚めたか」

「悪いな、見張りなんてやらせて」

「うむ、おぬしが死ねば儂も消えるのだ。何が起こるかわからぬ以上、見張り程度はせねばなるまい」

「悪いが引き続き頼んだ」

「承知」

 

霊体化してランサーが出ていく。それを確認した画仙は、右拳を振り上げ、左腕に振り下ろした。

 

「ッ!!」

 

激痛とともに左腕の骨がさらに砕ける。それに治癒魔術を施す。

 

画仙壊善の魔術属性は火・地・水の三重属性。その起源は『破壊』『再生』『改善』である。

 

その起源により自ら『破壊』したものを『再生』することで、破壊前よりも良い状態に『改善』することに対して特化しているのである。

 

(これで明日には復帰できるだろう……明日のからが本番だ)

 

「おい、主よ」

「どうした」

「客人だ」

「……来たか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その男は壺を抱え湖の前に立っていた。

 

「すまない」

『貴様ノ考エハ、分カッテイル。コウ見エテモ我ラハ貴様ヲ気ニ入ッテイルノダ』

 

男の横にいる、人間とカエルと猫の頭を持つ蜘蛛は言った。その蜘蛛は魔法陣の上に乗っていた

 

「だが私は貴殿らを……」

「良イ。貴様ノ行イハ正シイダロウ。少ナクトモ貴様ラ人間ニトッテハナ」

 

言葉を失った。蜘蛛は続ける。

 

「奴ラトテ、貴様ニ封印サレルノデアレバ、納得デキヨウ」

「……貴殿はどうなんだ?」

「我モ、貴様ニ封ジラレルナラバ受ケ入レヨウゾ。……トハイエコノ封印ハ後ニ解ケルコトニナルデアロウ」

 

男は、もっていた壺に右腕の指輪を押しつけつつ蓋を開ける。それを見た、蜘蛛は言う。

 

「……モウ別レノ時カ」

「もう話すこともない。さらばだ」

「サラバ」

 

蜘蛛は壺に吸い込まれた。後に残るのは静寂。

 

男はそれに蓋をして厳重に封印を施し、湖に沈めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは首をかしげた。

 

「何故この私がこんなところに?」

「どうしたの?ケイネス」

「いや、なんでもないよ。ソラウ」

 

キャスターに半ば無理やり外に連れて行かれたケイネスとソラウはアーケードにいた。

 

「キャスター。貴様、どういうつもりだ」

 

ケイネスは多少の怒りを浮かべ自らのサーヴァントに問いかける。

 

ケイネスは優秀な魔術師である。幼少時より当たり前のように才能を発揮し、時計塔でもあらゆる分野の魔術で成功をおさめた天才。神の祝福でも受けているのかの如く才能をケイネス自信は当たり前の事と思っていた。

 

だからこそケイネスは自分にとって想定外の事態に対して弱い。その上、敵に対する感情はコントロールできても、身内に向ける感情はコントロールできないという弱点があった。

 

が、多少の怒気を纏うのみでキャスターに話しかける、などという聖杯戦争前の彼にはあり得ないことが起きている。ケイネスはその変化に気付いていない。

 

「どういうつもりも何も、あそこに引きこもっていても何もすることがないだろう」

「それはどういうことだ?少なくともほかのサーヴァントの対策程度は……」

「ほかのサーヴァントは全て私が倒してやろう。貴殿はほかのマスターの相手を想定しておくといい」

 

だったらマスター戦の準備をすべきではないか、ということを考えるケイネス。

 

「今の貴殿の礼装は『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』以外にないのだろう?ならばあそこに引きこもっていても無駄だ」

 

返す言葉もなかった。

 

確かにケイネスは礼装のほとんどを失い、残っているのは彼の切り札『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』と何体化の使い魔。その使い魔も外にはなっており、報告を待つのみ。……あんな廃工場では研究もできない。

 

「仕方あるまい」

「それに貴殿はもっと世の中を見た方がいい。私はそのあたりにいるのでな」

 

キャスターは歩いて行ってしまった。ケイネスもソラウとともに歩き出す。

 

しかし、活気のある町だと、ケイネスは思う。先日爆破されたホテルの部屋から見下ろしたこの町はどこの国の物ともしれない粉飾がひしめき合い情緒のかけらもない、醜悪な街だとだと思ったものだが、

 

(こうして自らの目で見ることで分かることもあるということか。そういえば、研究ばかりで外の世界を見て回ったことなどそう多くはなかったな)

 

とにかく見て回ることにしたケイネスとソラウだったが、一つ困ったことがあった。

 

(そういえば、私はソラウとデートの一つもしたこともないではないか!?)

(えーと。こういう時はどこに行けばいいのかしら)

「と、とりあえず、ソラウ。そこの書店にでも入ってみるとしよう」

「そ、そうね。ケイネス」

 

ケイネス達が入った書店はなかなか巨大である、ケイネスとしては洋書コーナーで他のサーヴァントの正体について調べられる可能性も考慮してこの選択だった。

 

すぐに洋書コーナーにたどり着いた。眺めると品ぞろえはなかなか良い。

 

冬木市は外来の住民が多いため、こういったコーナーが充実するのは必然なのだろう。

 

その証拠にこのコーナーにはもうすでに小柄な男(・・・・)がいた。

 

その男に並んで本を選び始める。まずは自らのサーヴァント、キャスターの生涯について。今朝見た夢はキャスターの過去であるとするならばそれについての記述のある本もあるはずだ。いつも翻弄され続けているあのキャスターを御するには奴の人となりを知らねばならないとの考えからだった。

 

立ち読みなどという低俗な行為を自分が行うのは気が咎めたが、あのキャスターのこと、戻ってくるまで時間もかかるだろう。

 

ソラウも本を選びだす。視線は恋愛的なジャンルを行き来している気がするが気のせいだとケイネスは思った。

 

ケイネスは選んだ本を開くとその内容に没頭した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライダーのマスター、ウェイバー・ベルベットは天才である。

 

正確には彼自身がそう思っているだけで、周囲からの評価はあくまでただの凡俗としか思われていないが。

 

事実、彼の家は魔術師としての歴史が浅く、魔術回路も大したものではない。しかし、それでもウェイバーは魔術の総本山たる時計塔へ入れたのは自分の才能だと信じて疑わなかったし、魔術師の血筋の差など努力で覆せると思っていた。

 

しかし、彼の才能は認められることはなかった。

 

その才能を見とめさせるために時計塔での自分の講師であるケイネスの取り寄せた聖遺物を盗み、この極東の地まで聖杯戦争に参加したのだ。

 

だが、召喚したサーヴァント、ライダーはウェイバーの言うことを聞きもせずにふるまっている。

 

この三日間でウェイバーのプライドはほとんど折れてしまった。自分のサーヴァントを御すことすらできないマスターである自分を情けなくも思った。……ケイネスも同じように自分のサーヴァントを御しきれていないことを知り、そういうものなのかと思ったりもしたが。

 

彼が繁華街のアーケードまで出向いてきたのはあることを調べるためだった。

 

それは彼自身のサーヴァント、ライダー『征服王イスカンダル』について。

 

夢で見たイスカンダルの記憶。それが彼にはどうしても気になったのだ。

 

無論、ライダーに見られれば死ぬほど恥ずかしいため金を渡して自由にさせた。流石にアーケードから出ることは(かなり頑張って)やめさせたが。

 

そして、洋書コーナーで拍子抜けするほど簡単にその本は見つり、その本に没頭していたわけだが……。

 

ふと気づくと横に人の気配がする。それに気づいてつい興味本位でその人物を横目で確認してしまった。

 

「!?」

 

ウェイバーは驚きすぎて顎が外れるかと思った。

 

(な、ななななんで、ケイネスがここに!?)

 

「おうい、坊主!どこだ!!」

 

しかも、最悪のタイミングでライダーが帰ってきてしまった。

 

(まずい、このままじゃケイネスにばれる!?)

 

きっとケイネスと顔を合わせたら、ねちねちと小言を言われるに違いない。流石に魔術師の原則である神秘の秘匿のため戦闘にはならないだろうが、それでもあの陰湿な小言は胃が痛くなるのだ。

 

ケイネスはおそらく本屋で騒いでいる人物(ライダー)の大声で集中を乱され憤怒のオーラが周囲に漏れていた。その横に立っている女性もほぼ同じである。

 

ついに通販で買ったTシャツを着てと巨大ズボンをはいたライダーが現れてしまった。

 

「おお、坊主!そうちびっこいと本棚の間にいたら全く見えんなあ」

「普通の人間は本棚より小さいんだ!!……あ」

「ウェイバー・ベルベット。貴様なぜこんなところにいる……?」

「ケイネス、そんなことはどうでも良かろう」

 

ライダーに続いて現れたのはキャスター。いつものローブ姿ではなく、地味目な服に身を包んでいる。

 

「キャスター。貴様なぜ服が変わっている?」

「あの服装のままでは目立つだろう?安心しろ貴殿の財布から金は抜き取っておいた」

 

ケイネスを横目にウェイバーは言う。

 

「なんでお前、キャスターといるんだよ……」

「いやあ、そこで偶然あったのでなあ」

「だからって、なんで自分のマスターのとこに他のサーヴァント連れてくるんだよ!!」

 

ウェイバーには自分のサーヴァントが何を考えているのかもわからない。

 

他のサーヴァントと自らのマスターを合わせるなど、マスターを危険にさらしているだけではないか。

 

「安心しろ。ライダーのマスターよ。いくら私であっても魔術の秘匿くらいは心得ている。それにこのようなところで戦闘を行うのは気も進まない」

「と、キャスターもこういっておる。心配はいらぬだろう。そんなことよりもこれだこれ。なんとアドミラブル大戦略Ⅳは本日発売であったのだ!」

 

自慢げにゲームパッケージを見せるライダーを心底あきれたように見るウェイバー。ケイネスも同じような表情を浮かべている。それを横目で確認したウェイバーは途端に恥ずかしくなる。

 

「も、もう帰るぞ、ライダー!」

「少し待て坊主」

 

ライダーに呼び止められ、今度はいかなる痴態をさらす気なのかとその顔を見たウェイバーは、ライダーがいつになく真剣な表情をしていることに気付いた。

 

「キャスターよ」

「どうしたのだ、ライダー」

「此度の聖杯戦争、余とお主を含め4人もの王が参戦しておる。ここはひとつ我ら王どうし酒杯を交えて王の器を図って見ようと思うのだ。先程会ったアーチャーは承諾した。貴様はどうする」

「……いいだろう。だが、ライダー、貴殿はセイバーにどう誘いをかけるつもりだ?」

「それが問題でなあ。セイバーをどうするか……」

「セイバーの陣営は海沿いにある潰れた民宿らしき場所を拠点にしている」

 

すらすらと言うキャスターに驚いたような表情を浮かべるライダー。驚いたのはウェイバーやケイネスも同様だ。

 

なぜこのサーヴァントは自分の情報を惜しげもなく公開したのか?

 

「キャスター、そのような情報どこからとってきておるのだ?」

「私の使い魔が優秀なだけだ。集合はそのあたりでいいだろう」

「ああ。キャスターよ後で会おう。行くぞ坊主」

「え……ああ」

 

そう言って書店の外に向かうウェイバーとライダー。

 

後ろで何やらケイネス達が話していたが気にすることはない、振り向くことなく歩き続け外の世界に出た。

 

(ケイネスにねちねち言われなくてよかった)

 

そんな安堵感を覚えたウェイバーと上機嫌のライダーは自らを付けている存在に気付くことはない。




たくヲです。

ランサー陣営よりキャスター陣営が目立っている気がします……まあいいか、です。

下がっていくクオリティ。ですが、まだ続けます。あきれずに見ていただければ嬉しいです。

次回『聖杯問答』、ランサー陣営は出ませんw。

『戦国武将を召喚して聖杯戦争で勝利を目指す』次回もよろしくお願いします。

感想いただけるとうれしいです。
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