フジノ峰ニテ、ナニ想フ   作:対々 南

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プロローグ

こんなはずじゃなかった…

僕はそんな大きな願いがあってここまで来たわけじゃない。

本当にありきたりな願いを持って、調べた事を信じてここに来たんだ…

 

それなのにこんな事になるなんて思いもしないじゃないか……

 

必死にここまで逃げてきたけどいつ見つかるか分からない。

だから失礼は承知で今必死に手紙を書いていた。

うまく力加減が効かない腕で手紙を書いていくが力が入り過ぎて鉛筆を握り潰してしまう…

 

ようやく書き終えた手紙を、ここに予備で置いていた上着のポケットに入れて麓のポストを目指す…

頑張って貯めたお金で買ったコテージから動きにくい体を動かして歩く。

途中で止まってしまいそうな足を動かし、折れてしまいそうな心を奮い立たせてなんとか辿り着いた麓のポストたどり着き、投函を済ませる。

 

気が抜けてしまったのだろう。膝から崩れ落ちるように地面に倒れてしまった。

体は殆ど動かず、意識が薄れていく。

動かない体を動かそうとするが現実は非情だ。僅かに聴こえる足音が更に現実を認識させられてしまう。

そして霞出した視界に見えたのはあの時のウェアーを着たアイツが……

 

そこで途絶えてしまった……

 

ーーーー

 

 

探していた実験台をようやく見つけられた。

ここまで逃げて来れるとは予想していなかったが良い意味でもある。

 

薬品の精度が上がってきたということの裏付けにもなっている。

だが完成しているとは言えないのが現状を見て明らかだ。

その証拠に体の老化が見え始めているため、予備の薬品を倒れる彼に投薬し、老化の進行をなくす。

体の老化はみるみる無くなっていき、元の肌へと戻った。

 

「やはりまだまだ研究を続けないといけないか…」

 

それにしてもどうしてここに彼は来たんだ?

この山唯一と言ってもいい麓のポストの前で倒れている?たまたまで片付けるには不自然すぎる……

 

何かを投函したとして何を入れた?

服装はそのままだったが荷物は全てこちらが持っている…

何かを投函できる物などないはずだ。 それに逃げてからここに辿り着くまでのルートが分からない。

 

「このまま考えても埒が明かないか…」

 

不可解な点はいくらかあるが今は誰かに見つかる前にここから立ち去るのが先だ。

 

ここ最近はある事件のお陰で人の出入りが極端に少ない。

そうそう人と会うことはないがもしかしたらがある。

 

もと来た道を彼を担ぎ上げて戻る。

何かをしていたとしても僕は止まらないし、あの夢での天啓は確かでそしてあと少しでその証明も出来る。

笑みを浮かべ、慣れた道を登る。人1人を担ぎ上げているとは思えない程軽快に……

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