少年「ありがとう、ラモーヌおばさん」皇帝「えっ」+α 作:狸より狐派 ハル
なぜ?もしかして空白が全角じゃないから?
とりあえず3話目をご覧ください。
1
感謝祭から少し経ったある日のとあるレース場。
そこは公園と複合した公共の開放的なレース場で、どんな人でも芝とダートを走れる施設である。
そこに十人ほどの運動服を着た小学生のウマ娘に、少女らをまとめようとしている成人ウマ娘一人、そして感謝祭に来ていた少年がいた。
彼らは一言で言えば小学生の部の競走ウマ娘クラブの者たちであった。
ウマ娘と言う種族は走るのが大好きな種族である。個人差はあれど勝負意識も強く、その特性を活かしてこのような私設クラブが全国に存在するのだ。
そして先の成人ウマ娘がこの子らの先生であり、実は少年の母親でもある。少年は元々参加する気はなかったのだが、ある理由により強制的に連れてこられている。ついでに言っておくが、少年はナイスネイチャと同じ中学生である。
これからトレーニングのために全員で準備運動をしているとき、レース場外からジャージを着たある四人のウマ娘たちがやってきた。
「おいっすー、久しぶりでーす」
「あー!ネイチャ姉ちゃん!」
「ホントだー!ナイスネイチャだー!」
「ツインターボもいるー!」
「イクノディクタスさん!?どどどどうしてここに!?」
「マチタンだー!マチタン!」
少年の幼馴染含む仲良し四人組である。彼女等も一見すると可愛らしい少女に見えるが、こう見えて決してバカにできない戦績をトレセンで残している有力の競走ウマ娘たちである。
十人の少女たちが彼女等の周りに集まり、少年の母親も久しぶりだと、ナイスネイチャに言った。
「先生も久しぶりです。変わってませんね、先生もここも」
これはこの小説の独自設定なのだが、ナイスネイチャが小学生の頃にここで育ったのだ。少年ともここで初めて通いだした時からの付き合いである。
あ、そうだっとナイスネイチャは少年の方に向かう。少年はどうした?と問うとナイスネイチャは・・・
少年の顔を
「ねぇアンタ。どうしてこんな目に合うか見当がつくでしょ?」
思いっきり握られたため、少年は
「ま・さ・か、わからない、とか言うんじゃないんでしょうね~~~???」
「ネ、ネイチャ姉ちゃん・・・?」
少女たちが怯え、少年の母親は何事と驚き、仲良し組はまぁ許されないよねと半ば納得していた。少年は悶絶しながらマジで知らんと叫ぶ。
「知らんで済むかぁぁあ!!誰に向かって《おばさん》と呼んでんだこのバカァァア!!!」
片手で少年の顔を持ち上げ、破壊と殺戮を楽しみにする某伝説の戦闘民族のようになっちゃったナイスネイチャ。ぎぃやあああああああ!!と少年が叫んだ。
「あんたがおばさんと言った人はね!まずれっきとした学生なのよ!ああ見えてまだ二十歳いってない、正真正銘のが・く・せ・い!!しかもマジモンの超お金持ちのお嬢様なのよ!?わかる!?誰に喧嘩売ってたのか!あのメジロ家なのよ!メジロラモーヌって人は!!アンタマジで消されかねないのよ!いやなんなら私が今この場で消してやってもいいけどさぁ!!」
ファッ!?と少年の母親は驚いた。
「ネイチャ怖い・・・」
ツインターボもついそう呟くのだった。補足としてメジロ家と言うのは長きに渡り数多くの名ウマ娘を輩出し続けている名門一族で、ギャグ漫画に出るようなお金持ちのキャラ並みの財力と権力を持っている。
2
少年の母親がナイスネイチャらに事情を聴くとなるほど、と納得した。そして少年にこう言った。
アンタアホでしょ、制服着てんだからわかるでしょーが。
対して少年はわかるわけねーだろ、いい加減にしろ、と反論した。
第一あんな見た目で学生は無理があるだろ、学割効かなそうな顔しやがって、とかいろいろ言うが、少女たちからは「お兄ちゃんひどーい」「サイテー」など散々だった。
「確かに見た目はすっごく大人っぽいけど、おばさんはだめだよ~」
自分を普通の子と思い込んでいる超個性派癒し系ウマ娘のマチカネタンホイザですらそう言った。少年に味方はいない(無慈悲)。
さて、少年が
「もちろん、というかそのつもりで来ましたからね。ターボたちも一緒にいいでしょ?」
周りの少女たちも一斉に喜ぶ。こうして即席の共同トレーニングが始まった。
そんな光景を離れた位置から見ていた二人の私服ウマ娘がいた。あのシンボリルドルフと、例のおばさんことメジロラモーヌ(二十歳未満)である。
「あれだね、ナイスネイチャが言っていた競走ウマ娘クラブは」
感謝祭の日の夜、ナイスネイチャが生徒会室に来た時に少年について聞いていたのだ。
少年がメジロラモーヌのことをおばさんと呼んだことを知ったナイスネイチャは文字通り顔面蒼白になって土下座してきたときは、シンボリルドルフも中々焦ったものだった。
その後にメジロラモーヌがあの時のレース後、少年に対して何を話していたのかを聞いてみると意外なことがあった。
なんでもメジロラモーヌの走りを指摘したのである。
最後のコーナー立ち上がりをもう少し早めに、というもの。走りを極めているシンボリルドルフから見たメジロラモーヌの走りというのは少なくとも問題のない走りだと感じた。
どうしてそう思ったのかと聞くと、原因は少年の両親が運営している競走ウマ娘クラブの指導者と会長であるが故に、帰宅部で暇を持て余すであろう息子を無理やり参加させているということである。
そのおかげでか、観察力が育ちトレーナーとしての才能があるのではないかと、ナイスネイチャは思っていたのだ。
さて、前回の話を読んで矛盾しているのでは?少年は競走ウマ娘のことを一切知らないのでは?と思った読者もいると思うので、少し解説しよう。
少年が知らないのは競走ウマ娘個人、つまり活躍している流行りの選手を知らないのであって、このスポーツのルール自体は《内ラチ一人分ルール》など知っているのである。
少年はひとりぼっちでも平気なタイプの人間であるがために、他者に対して基本的に興味がないので、知らない人物に対してはとことん知らないし興味も
クラブの少女たちが、誰々が速いとかそういう話になっても、次の日には忘れるくらいには頭が悪いのである。
話を戻してナイスネイチャからその話を聞いた一時間後、第二レースコートにて一人で走っているメジロラモーヌを見に行った時、彼女は驚愕した。
メジロラモーヌが少年の言う通りに、コーナー出口の立ち上がりを早めに行ったことにより、確かにあの時のレースよりもスムーズで速かったのであった。
まさか本当にここまで変わるとは。誰もが気づけなかったことに、全くの無名である少年が気づいている。シンボリルドルフもその少年についてとても気になりだしたのである。
メジロラモーヌの走行終了後に声を掛けた。
「あの少年が言っていたことで、まさかここまで変わるとはね」
「あら、趣味の悪いこと。盗み聞きしたのかしら」
「少年の幼馴染であるナイスネイチャが教えてくれたんだ。あの時レースが終わった後、彼の隣にいたウマ娘だよ」
「そういえばいたわね」
「もしよかったら、彼の元に行ってみるかい?なんでも両親が経営している競走ウマ娘クラブに参加しているらしい。場所も教えてもらったよ」
「あらご苦労、もちろん連れて行ってくれるわよね?」
「ああ」
こうして現在ここにやってきたのである。
二人はまずいきなり接触せず、後方から観察を始めた。
3
ナイスネイチャは懐かしい気分に浸っていた。当時の自分は今輝いている同期のように《キラキラ》していたことや、自身がここのOGになるまでに入ったばかりの子はすっかり大きくなったりと楽しい時間を過ごした。
イクノディクタス、ツインターボ、マチカネタンホイザも子どもたちとの交流を新鮮に感じ取り、またこの子たちからも楽しさを振り返るための学びを得たりした。
また、クラブトレーナーである少年の母親はトレセンにはない独自の視点によりそれぞれの走り方をアドバイスをしてくれた。補足として彼女もトレセンOGなのであるため、実戦経験ありの成人ウマ娘によるウマ娘からの指導というのはナイスネイチャらにとって案外貴重なのである。
しかも指導したのは少年の母親だけではない。
それはツインターボを指導しているときである。
「終盤は地面を蹴る時だけに力を入れる?でもそれだとシングルターボになってイヤだ!え?二つの走り方をすればトリプルターボになる?そーか!お前頭いいな!」
少年が直接指導していたのだ。先ほどの話というのが、ツインターボの走行方法はスタートからゴールまで全速力で走るスタミナ配分ガン無視の超大逃げスタイルである。普通の人よりも体力があるとはいえ常に全速力で走ろうものならすぐに疲れてしまう。
なら調節できるように制御すればいいのでは?と言いたいところだが、ツインターボはこの走り方に絶対譲れないこだわりを持ってしまっているため制御不可能なのだ。
そこで少年は大逃げを改造するに従って、ある工夫を思いついた。走る動作というのは地面を蹴る、つまり踏み込む動作と足を上げる動作の連続である。両方に力を入れることにより、確かに速く走ることは出来るだろうが、その分スタミナの消耗も激しい。
なればと思いついたのが上記の走り方である。このことによりスタミナ消費量が軽減しスピードも最後まで保ちやすくなる。スタミナというのはゴール丁度までにしっかりと使い切るのがミソだ。早めに使い切ってもダメ、有り余るのはもっとダメである。
少年の観察眼と発想はここで
「なるほどなるほど、だからあの時メジロラモーヌ先輩の走りに気づくことが出来たんだね」
「しかし小学生の走りと、高等部のメジロラモーヌ先輩の走りというのは全然違います。失礼な言い方になってしまいますが、ここの子どもたちの走り方を見ているだけで他のウマ娘の走り方というのがわかるのでしょうか?」
「そこに関してはアイツのセンス・・・かな。なんか勘は人一倍鋭かったんだけど、まさかあの時にああ言うとは思わなかった」
と、まぁそんなこんなでトレーニングを行っていき、そしてこのクラブならではのある特別なメニューが初めてここに訪れた三人に襲い掛かろうとしていた。
4
公共レース場にて四人が模擬レースを行っていた。レース条件は一周1000メートルあるコートを二周、つまり2000メートルの中距離で右回りに走るもの。
ツインターボは少年から教わった走り方を早速実践してみるもまだ慣れていないため他3人に抜かれてしまった。三番手にはマチカネタンホイザ、二番手にはイクノディクタスが走っている。
ゴールまで残り訳350メートル、一番最初にコーナーから飛び出したのは―――
少年だった。
「「「なんでっ!!?」」」
もう一度記入しよう、少年である。誤字ではない。少年はコーナーを飛び出す直前から直線を走るための姿勢となり、全力で駆けた。
スムーズな加速は
「うわ・・・ターボたちだって決して遅くないってのに千切るとか・・・いくらしばらくぶりとは言えアイツ速くなり過ぎでしょ」
「あーあ、マチタンお姉ちゃんが負けちゃった」
「お兄ちゃん空気読んでよ」
「たぼたちが理解が追いつかないっ言って表情してる・・・」
「ああいうのをの、脳が溶けるって言うんでしょ」
「ちょいまち、どこでしったのそんないけない言葉」
少年を昔から知っているナイスネイチャたちにとっては、あらかじめ予想していた光景なのである。
「《馬力症》、ね・・・ホント恵まれているのやらどっちやら」
ナイスネイチャが言った馬力症とは、生物学上《
ウマ娘である少年の母親はまさか自分が産んだ子が生まれつきこうなっていたとは、と最初こそ驚いたのだが割とすぐに慣れていき、せっかくだからコイツの特性活かすか、ということでクラブに連れて来ているのである。
おかげで少女たちと一緒に速くなった少年は、元は男という力強さも相まってかこんなにも速くなってしまったのであった。
「お疲れさん三人とも、どうだった?この刺激的な体験は?」
「刺激的にもほどがあります・・・いくら他人に馬力症なるものだと教えても信じてもらえないとはいえ、ここまで速いとまで思わなかったのですから・・・」
「まあそうなるよね」
イクノディクタスの体は立ったまま上半身を倒して息を切らしている。限界をしっかり引き出して走った
結果ではあるが、驚きで疲れきっていると言うことでもある。
一方の少年の方は三人と比べて余裕そうだった。
「はぁ、もしアイツが普通のウマ娘だったらマジでどんなウマ娘にも勝って、G1も取れるでしょうね。互角に競り合っているところみてみたいわー」
「じゃあ私が走ってあげましょうか?」
「はいよー是非とも勝っちゃってくださ・・・え?」
突然全く聞き慣れない声に、ナイスネイチャはそっちへ首を動かす。
そこにいたのはトレーニング前に話題にしていたあのジャージ姿のメジロラモーヌだった。
「「「うぇえええええええ!!?」」」
その場にいた全員が驚愕したのだった。
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〈 To BE CONTINUED…//// |
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最近の趣味は完璧で究極のゲッターを脳内再生することです。(ウマ娘カンケーねー)
なお馬力症と言うのもちろんオリジナル設定です。・・・なんですが・・・アプリ版のゴールドシチーのトレーナーって自動車に追い付けるくらいの脚力持ってるんだから、実際こんな症状あっても不思議じゃないんじゃないかなぁ・・・って思ってます。
おまけ
ナイスネイチャの秘密:実はアイツ、コイツとか呼んだりするのは、それくらいの幼馴染であるから。