東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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藪をつついて蛇を出す
蛇は蛇でもマンダが出てくることに。


007. 巨大昆虫の脅威

 

中央歴1639年4月12日

クワトイネ公国 西部都市ギム 早朝

 

 

クワトイネ公国の西部にあり、ロウリア王国との国境に最も近い町ギム。

 

最近ロウリア王国軍の動きが活発になっていたこともあり、準有事体制が敷かれており、住民の避難が開始されていた。

 

しかし既に道路や鉄道などのインフラ整備が開始されている東部と異なり、荒野を馬車や徒歩で移動する必要があるため疎開が出来ている住民は全体の3割程度であった。。。

 

 

西部方面騎士団の団長モイジは焦燥感に駆られていた。国境付近にロウリア王国軍の大軍勢が集結しつつあるなか、中央司令部からは「現在非常召集中」と回答があるだけであったからだ。

 

 

突如として、ギムの西側国境付近から狼煙と思われる赤い煙が複数確認出来た。

 

それと同時に偵察に出ていた斥候から、緊迫した魔法通信(以下、魔信)が入る。

 

「ロウリアのワイバーン多数がギム方向へ侵攻。同時に数万の歩兵が国境を越え、侵攻を開始!!」

 

「緊急連絡、緊急連絡、ワイバーンの中に巨大なカ・・・」

 

 

魔信が突如途絶える。

 

西部方面騎士団の団長モイジは飛竜隊を出撃させ、部下達に城壁の対空バリスタを準備させた。

 

ロウリア王国との国境に最も近い町ということもあり、ギムの町に通じる街道には空堀と城壁が築かれている。特に今の時期は雪解け水を利用することで堀を水で満たす

ことが出来るため、空から火炎弾による攻撃をしてくるワイバーンさえ凌げば、残りの住民が避難する時間をある程度稼げるとモイジは考えていた。

 

しかし、その考えはあっという間に粉々に打ち砕かれた。

 

 

迎撃のために出撃させた飛竜隊30騎が、10分もしないうちに全滅したのだ。

 

ロウリア王国軍のワイバーンは50騎と数の差もあったが、何よりワイバーンの中にいた1匹の巨大カマキリによる影響が最も大きかった。

 

ワイバーン以上の50mというサイズにも関わらず、その飛行速度はワイバーンを超えており、あっという間に多数の飛竜がその巨大な鎌で切り裂かれた。

 

飛竜隊を全滅させた巨大カマキリは、次に城壁に向けて襲い掛かった。

 

騎士たちはバリスタで必死に迎撃するもまるで効果がなく、ワイバーンの火炎弾に耐えられるよう火成岩を積み重ねて作られた城壁も鎌の一振りであっさり破壊された。

 

城壁の破壊されたところから、ロウリア王国軍の歩兵数万人が鉄砲水のようになだれ込んでくる。

 

さらに上空からはワイバーンの火炎弾による対地支援が行われ、西部方面騎士団は僅か30分で壊滅した。。。

 

 

「あの猛将モイジも、こうなると形無しですねぇ~。 実に、弱い。まさかたったの1匹を投入するだけで1時間も持たないとはねぇ。」

 

ロウリア王国軍先遣隊副将アデムは嫌らしい笑い顔をしながらモイジを見下し、勝ち誇っている。

 

 

この日、西部都市ギムはロウリア王国軍の前に陥落した。町のあらゆる所で、強盗や殺人、略奪、暴行など非人道的な行為が行われ、死体はすべて魔獣の餌にされた。。。

 

 

翌日アデムは、100人程度の住人を敢えて生きて解放した。

その町の惨状とロウリア王国軍の恐ろしさを各都市に伝えさせ、クワトイネ公国の士気を下げるためであった。

 

だがアデムの想定とは異なり、この行為がロウリア王国軍、そしてロウリア王国自体を破滅に向かわせる引き金となるのであった。

 

 

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中央歴1639年4月22日

クワトイネ公国 公都クワ・トイネ

 

 

首相官邸の蓮の間では、ギムの陥落、そして住人の虐殺という大惨事について緊急会合が開かれていた。

 

全員の顔は黒く、重苦しい雰囲気に包まれていた。

 

・ 先遣隊だけで3万を超え、作戦兵力は50万に達する

・ 500騎を超えるワイバーンが投入されている

・ ワイバーンを超える飛行速度の巨大カマキリの魔獣がいて鎌の一振りで石で出来た城壁が破壊された

・ 4000隻以上の艦隊の出撃が確認された

 

どの情報も絶望的な内容であり、自分たちで対応出来るレベルを遥かに超えていた。

 

蓮の間が静粛に包まれるなか、日本担当の外務局員であるヤゴウが息を切らせながらドアを開いて入ってきた。

 

 

「会議中失礼します、先ほど日本大使館から連絡がありました。火急の事態につき、全文を読み上げます。」

 

『日本国政府はクワトイネの都市ギムで発生した虐殺に関し、被害者に対して哀悼の意を表します。また本事件に関して特殊生物が使用された点からも、とても見過ごす事は出来ない。日本国政府は対特殊生物に関する相互協力条約の第5条に則り、事態収拾のため、 クワトイネ公国に対して自衛隊を派遣する用意がある』との事です。」

 

「?? 援軍を送ってくれると言うことか?」

軍務局のハンキ将軍が首を傾げながら尋ねた。

 

「遠まわしではありますが、我が国から要望すれば、援軍を送るといった意味かと思います。彼らは、憲法で武力による紛争の解決を禁止しています。

 

しかし我が国と国交樹立時に締結した対特殊生物に関する相互協力条約において、友好国が特殊生物やそれを利用したテロ行為による被害を受けたとき、締結国同士で協力して 対処するという項目があります。

 

今回の場合、巨大カマキリの魔獣とそれを操るというテロ行為に対してという形式であれば援護可能ということかと思われます」

 

 

会場がざわつく。

あの巨大船や鉄竜を作れる日本国が援護してくれるのであれば、何とかなるかもしれない。

 

緊急会合に参加していた首脳陣の目が生き返り始めた。

 

「すぐに日本に対特殊生物の事態収拾のための応援を要請しろ!また領土、領空、領海での行き来を、事態収拾までの間、自由に往来を認めるとも伝えるように!!そして全騎士団と飛竜部隊に日本に協力するよう通達せよ」

 

 

 

※ 対特殊生物に関する相互協力条約

 

特殊生物やそれを利用したテロ行為によって被害を受けたとき、締結国同士で協力して対処するという条約。

 

元々は特殊生物に対して相互防衛協力を行う内容であったが、89年のビオランテ事変において、サラジア共和国やバイオメジャーによる二代目ゴジラを利用したテロを踏まえ、本内容に改正された。

 

転移した本惑星もワイバーンなどの特殊生物が多数確認されたため、クワトイネ公国やクイラ王国などの友好国と締結を行っている。

 

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