中央暦1640年4月22日
第三文明圏フィルアデス大陸の南
旧アルタラス王国 アルタラス島
地球上において、最も種類の多い動物は昆虫である。現在、名前のついている種類だけでも地球上の全動物の6割を越える180万種にも及び、さらに何千もの種類が毎年のように世界中から新種として発表されている。
これらを加味すれば、未発表・未発見の種を加えた総数は1000万種を超えるとも言われており、他の追随を許さない多様性を誇る。昆虫の多様性を示す例えとして、『小さい昆虫は大きい単細胞動物よりも小さく、大きい昆虫は小さい哺乳動物より大きい』といわれるほどだ。
日本国内だけにおいても約3万種もの種類が確認されているが、その中でオオスズメバチやオオカマキリに比肩する高い戦闘能力をもち、登山時の虫よけグッズとしてその姿を模した模型が販売されている昆虫が存在している。それが、日本最大のトンボである『オニヤンマ』だ。
時速70キロメートル以上にも及ぶ優れた飛翔能力に加え、人間の皮膚も簡単に食い破るほどの強靭な大顎をもったハンターであるが、その幼虫であるヤゴも他の昆虫やメダカなどの小魚、ときには金魚すら捕食する肉食性の水棲昆虫として有名である。
日本国が国家転移したこの世界にも似たような生物が存在しており、第三文明圏の中心であるフィルアデス大陸には『フィルアデスオオヤンマ』という種が生息していた。その大きさは『オニヤンマ』はおろか、約3億年前の古生代石炭紀の地球に生息していたとされる巨大なトンボ『メガネウラ』に匹敵するほどであった。
※ 翼開長は60センチメートル以上にも達し、その幼虫であるヤゴも体長30センチを超えるものがいたらしいです。
今から約10年前の中央暦1629年、パーパルディア皇国先進兵器開発研究所、通称『先研』の魔帝遺跡研究班に所属するアルバートが工業都市デュロの近くで発見した古の魔法帝国の研究施設跡を悪用し、この『フィルアデスオオヤンマ』を素体として生み出した新型魔獣が『メガニューラ』であった。
素体であるフィルアデスオオヤンマが巨大なトンボであったこともあり、生物兵器として創り出された『メガニューラ』も、翼開長が5メートルにも及ぶ化け物サイズの昆虫であった。それゆえ、その幼虫であるヤゴ・・・『メガヌロン』も通常の飼育下において2メートルを超える体躯を誇る獰猛な肉食昆虫であった・・・。
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皇国のワイバーンロードがちんけにみえるほどの強大な飛行機械『量産型ガルーダ』の攻撃を受け、ハイペリオン基地が崩壊して瓦礫の山と化す光景を目撃したライアル軍長は、反皇国地下組織の全部隊に総攻撃の開始を指示。
自身もすぐさま地下組織とそれに呼応した市民の反乱軍へと合流し、『アルタラス属領統治機構』本部を目指して一気に進軍を開始した。雪だるま式に自軍へと合流する市民たちが増加したため、圧倒的な人数差を活かした物量で押し切り、道中まではそれほど大きな被害を出すことなく一気に攻め込めた。
しかし本部施設の前では、僅かに生き残っていた地竜リントヴルムや牽引式魔導砲による激しい抵抗を受け、一時的な膠着状態に陥っていた。
「クソ、まだリントヴルムが生き残っていやがったか・・・。」
このまま考えなしに突撃しても被害が拡大するだけであり、悪態をつくライアル軍長たちであったが、この膠着状況も数分で好転する。第2護衛艦群に所属する護衛艦『いせ』から発艦したメーサーヘリこと『93式メーサー攻撃機』が現場に到着し、対地援護攻撃を開始したのだ。
両翼に装備された80万ボルト93式省電力メーサー砲が地竜リントヴルムを焼き殺し、発射された70ミリロケット弾が簡易バリケードの陣地ごと牽引式魔導砲を吹き飛ばす。
メーサーヘリ部隊の攻撃を受けたアルタラス属領統治機構の残存戦力はあっさりと壊滅し、数10分後にはアルタラス属領統治機構本部は陥落。王都ル・ブリアスは、約半年ぶりにパーパルディア皇国の圧政から解放されたのであった。
「ライアル軍長、シルウトラス鉱山方面を担当していた第三分隊からの緊急魔信です! 皇国残党から激しい抵抗を受けるも、日本国の鉄のゴーレムたちが我々の援軍として参戦!! シルウトラス鉱山、ならびにシルウトラス強制収容所の解放に成功したとのことです!!!」
アルタラス島各地に建設されていたパーパルディア皇国の軍事施設は、自衛隊の攻撃によってその大部分の戦力が壊滅。さらに一斉蜂起した旧アルタラス王国人を援護するようにメーサーヘリ部隊や戦闘用ジェットジャガー隊が各地に投入されたこともあり、王都ル・ブリアスをはじめとするすべての町や魔石鉱山は、旧アルタラス王国人の手によって次々と奪還されていった。
ちなみに生き残ったアルタラス統治機構の軍人や職員たちは降伏するが、半年間にわたって行われた圧政や傍若無人な振る舞いを許される筈もなく、大多数は怒りに燃えるアルタラスの人々の手で惨殺されることとなった。
「なに!? シュサクの奴がいないだと!!」
「ヤツの部下をボコボコにして締め上げましたところ、我々が到達する少し前に『ルバイル強制収容所』の方へ飛び立っていったようです。」
再独立の余韻に浸る暇もなく、地獄のような圧政を作り出した元凶であるシュサクが逃げ出した旨を部下から報告される。
「まだ奪還成功の連絡がきていないのは、第四分隊が向かったルバイル強制収容所だけか・・・。もしかすると、皇国残党に手を焼いているのかもしれないな。部隊の半分は俺とともにルバイル収容所へ向かう! 第四分隊に合流し、理不尽に囚われた同胞たちを救い出して、シュサクをこの場へ引きずり出すぞ!!」
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アルタラス島北部に建設されたルバイル強制収容所は、新たに採掘が開始された露天掘り式の魔石鉱山のすぐ近くに設置されており、周辺には廃坑となった坑道跡が数多く存在していた。そのため、某サバイバルホラーゲームに登場する洋館のように昼でも薄暗く、不気味な雰囲気を醸し出していた。
皇国軍のアルタラス駐留基地がルバイル城堡跡地の近郊に建設されていたが、ハイペリオン基地同様、日本国の攻撃で大多数の戦力が木っ端微塵に消し飛ばされたこともあり、マスト隊長率いる反皇国地下組織の第四分隊は大した抵抗も受けることなく、旧アルタラス王国人たちが収容されていた独房エリアまでの奪還に成功していた。
残すは指令室を兼ねた収容所の本部棟だけという状況であったが、坑道跡へと繋がる渡り廊下近くへ差し掛かったとき、「ピヨピヨピヨピヨ・・・」という雛鳥のような不気味な鳴き声が響き始める。
気に留めることもなく、本部棟を目指して前進する第四分隊であったが、突如物陰から巨大なハサミをもった怪虫が出現し、最前列を走っていた隊員に襲い掛かった。全長8メートルはあろうかという巨大なヤゴのような怪虫は、両腕の巨大なハサミを振り回し、隊員たちを次々に切り裂いて惨殺していく。
「よくも同胞たちを! この化け物に魔導銃をお見舞いしてやれ!! 」
隊員たちが鹵獲した皇国軍の魔導マスケット銃を発砲して応戦するが、硬い外骨格に弾かれてしまい、殆ど効果がない。一人の隊員がサーベルで切りつけて攻撃するも、ハサミで受け止められ、そのまま片方のハサミで体を真っ二つにされる。
「皇国の奴らめ、我らの祖国でこんな化け物を育てていたとは・・・」
第四分隊は魔導マスケット銃で弾幕を張りながら後退するが、廃坑の奥からは「ピヨピヨピヨ」という鳴き声とともに、次々とヤゴの化け物『メガヌロン』が這い出して来る。やがて弾切れとなる魔導マスケット銃が増えたことで弾幕が薄くなり始め、勢いを増したメガヌロンの大軍は第四分隊を少しずつ追い詰め出していた。
ジリ貧となりかけたそのとき、窓ガラスや石壁をぶち抜いて侵入してきた何かが第四分隊の前に立ちはだかり、迫りくるメガヌロンの軍勢と対峙する。一見すると人のようなかたちをしているが、その目は青く爛爛と光っており、まるで金属で作られたゴーレムのようであった。
「ヒョヒョヒョヒョヒョ!」
一体のメガヌロンが威嚇するかのようにハサミを激しく擦り合わせ、乱入してきた金属製ゴーレムこと戦闘用(バトル)ジェットジャガーたちに襲い掛かる。
ルバイル強制収容所において、『日本国が有する地球科学技術の結晶』 VS 『古の魔法帝国が遺した生物兵器』の前哨戦が始まった。
※ 量産型ガルーダ
出典 : ゴジラvsメカゴジラ(1993年)
1994年の『メカゴジラ事変』にて、幕張決戦に投入された対G戦闘マシン試作第1号機『ガルーダ』をベースに開発されたGフォースの量産戦闘機。
対G戦闘マシン第2号機『メカゴジラ』の強化パーツとして改造投入された初号機と異なり、量産性や整備性を考慮してスーパーXⅢ改と同程度のサイズまでダウンサイジングされている。
※ 初号機 : 全長84メートル
スーパーXⅢ改 : 全長38.5メートル
バトラやラドンのような大型飛行怪獣との大気圏内における空中戦や対地攻撃を念頭に、ハイパワーメーサービームキャノン2門だけであった武装も大きく改修・追加が行われている。
まず長大な固定砲塔であったハイパワーメーサービームキャノンだが、威力はそのままに、スターファルコンに装備されていた省電力メーサーバルカンと同サイズまでの小型化された。また小型化と同時に回転砲塔化されたことで、飛行型特殊生物に並んだ状態での砲火も可能となっている。
また上記2門のメーサー砲塔に加え、空対空ミサイル(AAM)や空対艦ミサイル(ASM)、空対地ミサイル(AGM)などの各ミサイル弾頭を搭載・運用可能な収納式ミサイルポッドが機体底部に追加されているなど、汎用性が大きく高められている。
武装:
砲塔式ハイパワーメーサービームキャノン2門
収納式底部ミサイルポッド