東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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年度末という魔帝を相手に、更新がかなり遅れました。


099. ジェットジャガー VS メガヌロン 後編

 

中央暦1640年4月22日

第三文明圏フィルアデス大陸の南

旧アルタラス王国 アルタラス島

 

 

ライアル軍長が組織した反皇国地下組織は、ルミエス女王が約2か月前に宣言した『その刻』に備え、各分隊が攻略する予定の皇国軍施設を事前に割り振っていた。

 

例えばアルタラス島南部に位置しているシルウトラス鉱山とそのすぐ近くに設置されたシルウトラス強制収容所は、周辺の地理を熟知した南部出身者の構成員が多い第三分隊が割り振られていた。

 

このように、ライアル軍長が各部隊の強みを生かした適材適所の配置をしていたことに加え、日本国の一斉攻撃でアルタラス島に駐留する皇国軍の殆どが消滅。さらに彼らを援護するように、各地へメーサーヘリ部隊や戦闘用ジェットジャガー隊が投入されたことで、シュサク長官が逃げ込んだルバイル強制収容所を除き、午前中にはアルタラス島のほぼ全域の奪還に成功していた。ルバイル収容所を除き・・・。

 

ルバイル強制収容所の攻略に向かった第四分隊のマスト隊長や隊員たちは、現在の状況を理解しかねていた。坑道跡から突如出現した化け物ヤゴの大軍と戦闘になり、ジリ貧になりかけていたところ、今度は謎の金属製ゴーレムが石壁をぶち破って乱入してきたのだ。

 

目の前の巨大なヤゴの化け物は、皇国軍から鹵獲した魔導マスケット銃の銃撃さえも弾き返すほどの防御力をもっており、こいつらの相手だけでも相当手を焼いている状況だ。もしこのゴーレムたちが皇国軍の援軍だった場合、ヤゴの化け物たちと同時に相手をしなければならない・・・。どう考えても、自分たちに勝ち目がない・・・。

 

額から冷や汗が流れるマスト隊長たちであったが、彼らが想定した最悪のシナリオとは真逆の事態となる。金属製ゴーレムたちが、自分たちを庇うかのようにヤゴの怪物と自分たちの間に割って入って来たのだ。

 

もしかすると、このゴーレムたちは自分たちの味方なのか・・・と隊員たちは困惑した様子で事態を静観していると、こちらをじっと見つめていた一体のゴーレムがぎこちないイントネーションで話しかけてきた。

 

「旧アルタラス王国ノ国章ヲ確認・・・。アルタラス王国ノ方々デスネ。我々ハ日本国陸上自衛隊機人化隊、通称『鉄人兵団』デス。ルミエス女王トノ盟約ニヨリ、参上シマシタ。」

 

「皆サンハ負傷者ノ救護ヲオ願イシマス。眼前ノ昆虫型特殊生物ハ我ラが対処シマス!」

 

予想だにしない展開に呆気にとられるマスト隊長たちであったが、魔信機がひっきりなしに鳴っていたことに通信担当の隊員が気付き、慌てて応答する。

 

「第四分隊、聞こえるか? こちらライアルだ! ずっと定時連絡もなく、こちらから呼びかけても全く応答しなかったが、一体何があった? 状況を報告しろ!」

 

「こちら第四分隊。廃坑跡から出現した巨大ヤゴの襲撃を受け、負傷者多数。しかし日本国の援軍を名乗るゴーレムが多数参戦! 現在ヤゴの化け物と交戦中!!」

 

「こちらライアル、状況は把握した! 安心しろ、そいつらは我らの援軍で間違いない!! 本軍もそちらへ合流へ向かっている、あと少しだけ持ち堪えてくれ!!」

 

マスト隊長たちがライアル軍長たちと魔信機で通話している間に、金属のゴーレムたちは襲い掛かって来た化け物ヤゴたちと戦闘を開始していた。

 

一体の巨大ヤゴ『メガヌロン』がハサミを激しく擦り合わせ、威嚇するかのような音を出しながら最前列に布陣した戦闘用ジェットジャガー BJJ-023 へ襲い掛かる。第四分隊の隊員を真っ二つに切り裂いた鋭いハサミが振り下ろされるが、BJJ-023 は両腕で抱え込むようにがっしりと受け止める。

 

バトル・ジェットジャガーは、昨年末の『魔王事変』において魔王軍の精鋭であるオークロードと張り合えるほどのパワーで奮戦し、数か月前のニシノミヤコ奪還作戦においても皇国兵相手に無双する活躍をした。

 

しかし、全長8メートル・体重1トンというオークロード以上の巨大さを誇るメガヌロンが相手では、流石に体格差がありすぎたのか、各関節部からは駆動系統が悲鳴をあげているかのような甲高い音を出し始めていた。

 

また今回の任務は民間人が多数収容された施設の解放ということもあり、先行投入されたバトル・ジェットジャガー隊は、これまでのようにメーサーライフルや個人携行型ロケットランチャー(110ミリ個人携帯対戦車弾)などの重火器を装備していなかった。

 

そのため、自身の4倍近くもあるメガヌロンを相手に、中・近接戦闘を挑むことになってしまったのだ。

 

「駆動部ノ負荷ガ危険域・・・、コノママデハ危険!」

 

オークロードの頭蓋骨を粉砕した自慢の鉄拳も、メガヌロンの固い外骨格には有効打を与えられず、ガタイとパワーの差で徐々に押し込められていく。メガヌロンは勝利を確信したのか、口元の牙を左右に開け、 BJJ-023 の頭部にかぶりつく。

 

そのまま頭部を嚙み砕いてとどめをさすつもりだったのだろうが、次の瞬間、悶絶した様子で唾液とともに BJJ-023 を吐き出した。

 

実は頭部を丸呑みされた BJJ-023 が、メガヌロンの口内に大量の『ウレコット・エッカクス』を放出したのだ。さらに他のバトル・ジェットジャガーたちも、悶絶するメガヌロンに向けて『ウレコット・エッカクス』を散布し、追い打ちをかける。

 

強酸性の薬液によって口内が化学火傷を負い、さらに体中の気門やエラから侵入した猛毒が粘膜や神経を次々と蝕んでいく激痛に、メガヌロンはまるで殺虫剤を吹きかけられたゴキブリのように、その場で腹を上に向けて暴れ始める。やがて事切れたのか、静かに動かなくなった。

 

「人工『ウレコット・エッカクス』ノ有効性ヲ確認。コノママ一気ニ駆除シマス!!」

 

カマキラス同様、メガヌロンも昆虫をベースとした特殊生物ゆえ、体中に酸素の取り込み口である気門が存在しているという弱点を突かれ、形勢は一気に逆転。

 

さらにライアル軍長たちと共に援軍として合流した重武装型バトル・ジェットジャガーの後方支援も加わり、シュサク長官の解き放った悪夢の怪虫たちは、一匹残らず駆除されることとなった。

 

かくして、アルタラス島のパーパルディア皇国施設は午前中にすべてが陥落。アルタラス島は約半年ぶりにパーパルディア皇国の圧政から解放され、その独立を取り戻したのであった。

 

 

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同日正午前

アルタラス島の北端

 

 

シュサク長官は側近とともに、通常よりも大きなメガニューラに騎乗し、アルタラス島からの脱出を図っていた。王都ル・ブリアスに設置されていたアルタラス属領統治機構本部を避難する直前、アルタラス島の西端付近で皇国軍の最新型竜母『ヴェロニア』を含む皇国軍艦隊が試験航行中であることを知り、救難信号を送っていたのだ。

 

実際のところ、ルバイル強制収容所を出発する時点で、これらの皇国軍艦隊は海上自衛隊のレーダーに捕捉されており、『量産型ガルーダ』や『スーパーXⅢ改』の攻撃を受けて一隻残らず海の藻屑となっていたのだが・・・。

 

「後少しで新鋭竜母艦隊のもとへ辿り着ける筈・・・。アルタラス島の蛮族共め、この私をここまでコケにしやがって。皇国正規軍がアルタラス島を再占領したあかつきには、これまで以上に地獄のような強制労働を強いてやる!」

 

醜悪な顔で怨嗟の言葉を漏らすシュサク長官であったが、飛べども飛べども救難信号を送ったはずの新鋭竜母艦隊の姿が見えない。まさか合流地点を間違えたのか・・・と困惑するが、水平線の向こうに見たこともない巨大な艦影らしきものが映る。

 

「おお、あれが噂に聞く『ヴェロニア級竜母』か! なんという大きさだ!!」

 

安心した様子でメガニューラの速度を上げるが、艦との距離が近づくにつれて、シュサク長官たちは奇妙な違和感を感じ始める。皇国海軍の軍艦に必ずある筈のマストがどの艦にも見当たらず、魔導戦列艦にしては魔導砲の数が非常に少ない。

 

まさか・・・と思った次の瞬間、航行中の巨大艦隊からも次々に暴風雨のような砲弾の雨が降り注いだ。護衛艦の127ミリ(5インチ)単装砲の直撃を受けた側近たちは、メガニューラともども肉片を飛散させながら海上に黒い花火を咲かせる。

 

シュサク長官の騎乗するメガニューラも、片羽根をもがれてそのまま海へと落下し、海上を漂流していたところを海上自衛隊の護衛艦によって救助された。

 

シュサク長官の祖国であるパーパルディア皇国との戦時中は、日本国内で重要参考人として収監される日々を送ることになるが、戦後、元アルタラス駐在パーパルディア大使であったカストとともに新アルタラス王国政府へと引き渡されることになる。

 

後に側近たち同様、あのまま一思いに吹き飛ばしてくれていれば、どれほど良かっただろうか・・・と思えるような悲惨な末路を迎えるのであった・・・。

 





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