東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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諸事情により休止していましたが、また復活しました。


105. 北の果てにて

 

中央暦1640年6月15日

グラメウス大陸上空

 

 

グラメウス大陸上空を飛行していた航空自衛隊の『C2輸送機』は、墜落の危機に瀕していた。巨大な太陽フレアの影響による激しい磁気嵐の直撃を受けたことで、機器のほとんどが故障してしまったのだ。

 

手動操縦に切り替えることで辛うじて飛行しているが、コンピューターによる機体制御のバックアップも受けられない状態で荒れた天候の中を航行せざるを得ず、機長はグラメウス大陸内の平地へ緊急着陸することを決断した。

 

厚く暗い雲の中を徐々に降下していき、少しずつグラメウス大陸の地表付近の様子が見え始めたときに更なる不幸が襲い掛かった。高度が低下した際に大型の鳥類の群れと鉢合わせしてしまい、それらと激突する所謂『バードストライク』が発生したのだ。

 

両翼のジェットエンジンは、次々と吸い込まれた鳥たちによって異常な振動が発生し、発火と同時に爆発。機内には警報が鳴り響き、悲鳴と怒号が飛び交う。

 

「全員、衝撃に備えろ!!!!!」

 

機長たちの努力も虚しく、C2輸送機は冷たい漆黒のグラメウス大陸の大地へと吸い込まれていった・・・。

 

この日、グラメウス大陸先遣調査隊を乗せたC2輸送機が、グラメウス大陸上空で消息を絶つ。幸いなことに墜落地点が人工衛星によって灯りが確認されたエリア・・・、エスペラント王国最南部の農村地帯であるスダンパーロ区であったことから、本任務に派遣された隊員の唯一の生存者である岡真司三等陸曹が現地住民に発見され、救助されていたのであった。

 

 

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中央暦1640年7月10日

第三文明圏の東 大東洋 

日本国 首都東京 防衛省

 

 

「グラメウス大陸先行調査部隊が全滅しただと!?」

 

約一か月前、グラメウス大陸先行調査隊が突如として消息を絶っており、何らかの事故に遭遇したのでは・・・と救援部隊の派遣が準備されていた矢先、今度はその部隊に所属していた岡三等陸曹から人工衛星を通し、状況を知らせる衛星メールが届いたのだ。

 

磁気嵐による計器故障とバードストライクにより、C2輸送機が墜落。墜落地点がエスペラント王国というグラメウス大陸内に建国された巨大な城塞都市型国家であり、唯一の生存者である自分はここに身を寄せていること。

 

そして、昨年末にトーパ王国で発生した『魔王事変』のように、多数の魔獣の群れによる襲撃を受けており、陸自と空自を援護に派遣して欲しいという内容であった。

 

防衛省ではハチの巣を突いたような大騒ぎになっており、上層部たちは困ったように頭を抱えていた。

 

日本国の本国においても磁気嵐の影響により、工業地帯で大停電が発生するなどの被害を受けており、対パーパルディア皇国への一大撃滅作戦に向けた準備が遅延気味であった。

 

※ 現実世界においても、太陽フレアに伴う大規模な磁気嵐によって大きな被害が発生したことがある。実例を挙げると、1989年3月13日に発生した磁気嵐では、カナダのケベック州において9時間もの停電が発生し、完全復旧には数か月も要した。

 

このような状況下で、さらに作戦を遅延させるようなことは避けたい。しかしながら、殉職した隊員たちの遺体がエスペラント王国領土内に埋葬されており、またC2輸送機の残骸もその近くに残されたままであった。

 

そのため、回収するには支援要請に応じて恩を売り、国交締結を行う必要がある。また国交を締結できれば、当初の目的であったグラメウス大陸奥地の調査、そして超重元素『タナトニウム』をはじめとする貴重資源の確保に向けた動きも飛躍的に前進することが期待された。

 

この夜、首相官邸では緊急閣議が開かれ、本件の情報共有と支援部隊の派遣の是非が協議された。議論は白熱し、その日の深夜にまで及んだが、最終的にエスペラント王国有害鳥獣駆除のための支援部隊派遣が決定された。

 

これには『魔王事変』同様、『魔王ノスグーラ』のような『古の魔法帝国』に起因する危険な特殊生物が背後に控えている可能性があり、このまま放置すればグラメウス大陸と地繋がりになっている『トーパ王国』、特に多数の邦人や各国の民間人が復興・再建事業のために滞在している城塞都市トルメスが、再度の戦火に見舞われる恐れがあったこと。

 

そして唯一の生存者でありながら、異国の地で孤軍奮闘する岡三等陸曹を見殺しには出来ないという点が考慮され、内閣総理大臣の麻生孝昭によって決断された。

 

ただし『魔王事変』のときとは異なり、大規模な戦闘車両を揚陸可能な地点が周囲に存在せず、また城塞都市トルメスの仮設駐屯地からもかなりの距離が離れていたため、陸上部隊の派遣は見送られた。

 

この一週間後、『F-2』戦闘機五機や『スーパーXⅢ改』などの航空自衛隊戦力に加え、Gフォースから派遣された『量産型ガルーダ』二機で構成された航空支援隊がグラメウス大陸を目指し、大空へと舞い上がっていった。

 

今回派遣された戦力がすべて航空機だけであったことが、この後に発現する厄災への対処、そして二つの『皇国』の運命を大きく変えたのであった・・・。

 

 

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