東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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115. エストシラント沖大海戦 前編

 

中央暦1640年8月1日

フィルアデス大陸 列強国 パーパルディア皇国

皇都エストシラントの南方海域

 

 

各護衛艦から発射された合計25発の90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)は、皇国海軍第三艦隊

の竜母艦隊に向け、時速1150キロメートル以上という超高速で飛行していた。

 

これらを哨戒飛行中だった竜騎士の一人が発見し、防衛に向かった竜騎士たちが導力火炎弾で迎撃を試みるも、海面すれすれの低空を超音速もしくは寸前の速度で飛行するミサイルを捉えることは出来ず、そのまま竜母艦隊へ次々と着弾する。

 

僅か数分で竜母艦隊旗艦『ワーグナー』をはじめとする竜母は一隻残らず海の藻屑と化し、艦隊司令バーンや軍師アモルら皇国海軍将校たちは猛烈な閃光と爆風に包まれてこの世を去った。

 

竜母艦隊が瞬く間に全滅した旨は、すぐに第三艦隊の旗艦『ディオス』や海軍総司令部で作戦指揮をとる皇軍幹部たちに共有される。『ディオス』艦橋では、主力の戦列艦隊よりも遥かに後方に展開していた竜母艦隊が全滅したことに狼狽し、幹部たちが一斉に騒めき始めるが、第三艦隊提督アルカオンがすぐに場を鎮める。

 

「皇国軍人ともあろう者が狼狽えるな! 敵は、超長射程かつ水平線の先からも正確に攻撃できる未知の兵器を有しているのだろう・・・。しかし、一気に全ての戦列艦を攻撃せず、海戦において最も重要な戦力である竜母艦隊のみを狙った。つまり、敵が行ったこの超遠距離攻撃には、我が艦隊をすべて屠れるほどの弾数がないということだ。」

 

「さらに竜母艦隊のすぐ近くの海中に潜ませていた『エビラ』には、まったく攻撃が加えられていない。流石のヤツらも海中のエビラの存在には、まだ気付いていないようだ。」

 

アルカオン提督が冷静に状況を分析したことで、艦橋内で慌てふためき、悲壮感に沈んでいた幹部たちはを立て直す。

 

「戦列艦『アディス』から報告! 前方約50キロメートル地点に複数の艦影を確認!!」

 

通信士からの報告を受け、アルカオン提督は右手を突き出し、郵送に宣言する。

 

「第三艦隊全艦は第一種戦闘配備! 目標は進行中の日本艦隊!! 全ての竜騎士たちへ敵艦隊の位置を共有し、海中のエビラとともに日本艦隊へ攻撃を開始せよ。空と海から波状攻撃を仕掛け、奴らを殲滅するぞ!!」

 

アルカオン提督の命令は各魔導戦列艦や竜騎士小隊たちへ正確に伝達され、第三艦隊の全戦力が水平線の先にいる日本艦隊へ向かい始める。

 

「バーン殿が既に竜騎士を空に上げていてくれて助かったな・・・。海中と海上、そして空からの三面同時攻撃、歴史上今回のような大規模攻撃を受けて生き残った者はいない。日本国の海軍よ、おまえは耐えられるか?」

 

アルカオン提督は、鋭い眼光で水平線の彼方を睨みつけながら呟いた。

 

 

========================================================================

 

 

第2・第4護衛艦隊を主力とする海上自衛隊の護衛艦隊は、『アルタラス基地』を出撃後、攻撃目標である『エストシラント港海軍本部基地』・・・、皇都エストシラントを守護するもう一つの翼に向けて北進を続けていた。

 

今作戦の総旗艦であるひゅうが型護衛艦『いせ』を中心に輪形陣で進む水上艦隊に対し、暗い海中を水上艦隊に先行して航行する大きな影があった。螺旋状の巨大な衝角を艦首に装備した異形の護衛艦・・・、ごうてん型対特殊生物戦闘護衛艦の1番艦『ごうてん』だ。

 

今回もフェン王国の首都アマノキ南東海域やアルタラス島の北東海域で撃滅した巨大エビ型特殊生物こと『エビラ』のような水棲怪獣の出現に備え、『スーパーX2改』とはくげい級原子力潜水艦の1番艦『はくげい』とともに、ごうてん型護衛艦も今作戦に出撃していたのだ。

 

アマノキ南東海域の戦いでは、『スーパーX2改』を囮に2番艦『しんてん』艦主砲の射線上へエビラを誘い出すことで、大きな被害を出すことなく撃破することに成功した。しかし安全な航路確保のためにある程度の海底測量が実施済みであったフェン王国周辺の海域とは異なり、今回は海底地形の測量データが殆ど得られていないパーパルディア皇国の首都近海での戦いとなる。そのため、前回のような水中での高速戦闘を実施すれば、下手すると未知の岩礁帯へ衝突する危険性があった。

 

そのため、後方の輪形陣の海中に控える超大型潜水母艦形態の『はくげい』には、民間の調査用潜水艇を改造した対エビラ用新兵器が複数機搭載されており、またそれらを遠隔制御するため、『スーパーX2改』は『ごうてん』のすぐ後方へ布陣していた。

 

総旗艦のひゅうが型護衛艦『いせ』の艦橋では、艦隊司令の内野海将補が各護衛艦へ指令を出していた。

 

「『93式メーサー攻撃機』は全機、発艦を開始!『ごうてん』、及び『スーパーX2改』は水棲型特殊生物の出現に備え、各種ソナーとセンサーの精度を最大にして引き続き警戒にあたれ。出現報告があり次第、『はくげい』は無人特殊潜航艇部隊を発進させ、これを撃滅せよ。」

 

輪形陣の先頭を進むこんごう型護衛艦『きりしま』とはたかぜ型護衛艦『しまかぜ』、そして皇国海軍第三艦隊の先鋒を務める魔導戦列艦『アディス』との距離が20キロメートルを切ったタイミングで、『いせ』から一斉指令が下された。

 

「各水上艦は砲の射程に入り次第、順次敵艦へ攻撃を開始! 繰り返す・・・」

 

護衛艦『きりしま』と『しまかぜ』の艦前方に設置された127mm単装速射砲が、接近しつつある皇国海軍第三艦隊の魔導戦列艦へ砲身を向けた。

 

「主砲、斉射用意。撃ち方始め!」

 

CIC内で繰り返される指示が砲手に届き、トリガーが引かれる。轟音と共に護衛艦『きりしま』から発射した127mm砲弾は、パーパルディア皇国海軍主力第三艦隊の魔導戦列艦『アディス』に向かって飛翔する。

 

日本国という国を強烈に印象づけ、後の歴史書に『エストシラント沖大海戦』と記された大海戦の幕が開けた。

 

 

========================================================================

 

 

「敵艦の発砲を確認!」

 

魔導戦列艦『アディス』のメインマストでは、設置された見張り台で日本艦隊の動きを監視していた水兵が砲撃後の発煙を目視確認し、伝声管に向かって大声をあげる。

 

『アディス』の艦橋では、艦長と副長がこの報告に首を傾げていた。20キロメートルという距離は、皇国の魔導砲の射程・・・、つまり第三文明圏で最も先進的な武器の有効射程の実に10倍もの距離に該当する。彼らの常識では完全に射程圏外であり、その意図がまったく汲み取れなかった。

 

今まで戦場で感じた事の無かった『死が間近に迫ってくる』ような嫌な気配を感じ、念のため回避行動をとり始めた直後、魔導戦列艦『アディス』の船体後部に127mm砲弾が着弾した。

 

喫水線に大きな破口を開けられた『アディス』は、大量の浸水が発生したことで急速に傾き始め、あっという間に転覆して海中へと沈没していった。

 

「戦列艦『アディス』轟沈! て、敵の攻撃は砲撃によるものと判明! その射程は20キロメートル以上と予想されます!! さらにたった一発の砲撃で命中させています!」

 

第三艦隊の旗艦『ディオス』で指揮を執っていたアルカオン提督も、悲鳴のような通信兵の報告を聞いて目を見開いた。歴戦の猛者であるアルカオン提督も口元を引きつらせ、額に冷や汗を浮かべている。

 

自分たちの魔導砲の実に10倍という長射程、たったの一発で魔導戦列艦を沈めるほどの威力、そして初弾を命中させるという驚異的な砲撃精度に、幹部たちの顔もみるみる青くなり、小さく震え始めた。

 

そうこうしている間にも、護衛艦からの砲撃は続いており、既に前方に布陣していた10隻近い魔導戦列艦が次々に撃沈されている。

 

「間もなく竜騎士たちとエビラが敵艦に接近します。」

 

アルカオン提督は竜騎士たちによる空対艦攻撃、そしてエビラによる海中からの攻撃に望みを託すのであった・・・。

 

 

=========================================================================

 

 

護衛艦『きりしま』と『しまかぜ』の砲撃で『エストシラント沖大海戦』の火蓋が切られた数分後、『ごうてん』の水中ソナーが接近しつつある巨大な物体を探知。艦隊司令の内野海将補は、これまでの戦闘で得られた心音などのデータから巨大エビ型特殊生物と判断し、『はくげい』へ無人特殊潜航艇部隊の発進命令を下した。

 

『はくげい』の艦上部のハッチがゆっくり開放され、その中からマンタを彷彿させる平たくて幅広のシルエットをした小型潜水艇が暗い海中へ次々と出撃していく。全長は6メートル程度と非常に小型ではあるが、その艦底部にはドリルのような形状をした特徴的な魚雷、『推進式削岩弾D-03』が抱え込まれていた。

 

真っ暗な海中で対エビラ用に開発された急造兵器、『特殊潜航艇さつま』無人仕様機の初陣が開始された・・・。

 

 

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