中央暦1640年8月1日
フィルアデス大陸 列強国 パーパルディア皇国
工業都市デュロ
1992年の『第一次キングギドラ事変』において、二代目ゴジラとの戦闘の末、小笠原海溝の海底に沈んだ『メカキングギドラ』・・・。それをサルベージし、残骸を解析したことで得られた23世紀のオーバーテクノロジー、そしてメーサー兵器やスーパーXシリーズを始めとする従来の対ゴジラ級特殊生物で培ってきた技術を応用し、当時の人類の叡智の全てをつぎ込まれて建造された最初の超大型対G(ゴジラ級特殊生物)兵器・・・。それが『メカゴジラ』であった。
それまでの対ゴジラ級特殊生物兵器とは比べ物にならないほどの戦闘力を誇り、1994年の幕張決戦において、『二代目ゴジラ』を一度は絶命寸前にまで追い詰めることにも成功したほどであった。
しかし、未来のテクノロジーという常識的に考えて手に負えないシロモノがベース技術であったこと、さらに人類がこれほどの大型で複雑なメカを作った事は初めてであったことから、実戦において『技術蓄積の乏しさ』が何度も露呈した。
幕張決戦では、『メガ・バスター』をはじめとする大出力エネルギー兵器を連続使用したことで、オーバーヒートが何度も発生。また接近戦向け武装を何も搭載しておらず、機動性も劣悪であったこともあり、接近された『ファイヤーラドン』に左目の『レーザーキャノン』を破壊され、『二代目ゴジラ』の怪力の前に成す術もなく、投げ飛ばされてボコボコにされてしまった。
そして『ファイヤーラドン』の力を引き継いで復活した『二代目ゴジラ』との戦闘では、装甲が融解したことで必殺の『プラズマグレネイド』が使用不能となり、また合体した『ガルーダ』とコントロール系統が分離していたためにその場から離脱も出来ず、相対することとなる。
最終的に『ハイパーウラニウム熱線』の連続照射を受け、爆発炎上。修復困難なレベルで大破することとなってしまったのだ。
スーパーメカゴジラが敗北した要因は徹底的に洗い出され、その対策は別セクションで同時開発されていた後継機である『MOGERA』へと反映された。その結果、『MOGERA』はメカゴジラの遥か上をいく機体信頼度で完成し、1995年の『スペースゴジラ事変』において『スペースゴジラ』の撃破に大いに貢献した。
・ オーバーヒート多発対策として、動力炉(レーザー核融合炉)を上半身のランドモゲラーと下半身のスターファルコンに分散搭載し、それに合わせて冷却機の数を増設させる。また合体・分離機構の導入により、戦況に応じた二面作戦が展開可能。
・ 膨大な熱エネルギーを機体内に溜め込むプラズマグレネイドのオミット。
・ 足裏に『ローラーシステム』(クローラーや車輪を用いた移動システム)を新規導入し、ホバーシステムと併用することで滑るような高速移動を実現させ、地上での機動性を大幅に向上させる。これにより、頭部のクラッシャードリルを用いた近接戦闘が可能となった。
『MOGERA』において導入されたこれらの改善点は、最新鋭機である『スーパーメカゴジラⅡ』の開発においても反映されていた。
・ 下半身を構成する水陸両用車両『ナーガ』、上半身を構成する大型戦車『ガンダルヴァ』、頭部や翼、尻尾を構成する『ガルーダⅡ』にそれぞれ動力炉(レーザー核融合炉)と冷却器を搭載し、機体出力が大幅に向上。
これにより、口内『メガ・バスター』、両目『プラズマレーザーキャノン』、腹部『マグナムメーサーキャノン』、両腕の指先『四連装プラズマメーサービーム砲』と、大小合わせて全12門の指向性エネルギー兵器を搭載可能となった。
・ 合体後にデッドウェイトとなりがちなクローラーや大型車輪を『ローラーシステム』として運用することで、『MOGERA』同様の高速地上移動能力を実現させる。
・ 既存のホバリングシステムに加え、『ガルーダⅡ』の大型ローターを導入することで、ドローンのような擬似的な三次元機動も可能。
『スーパーメカゴジラⅡ』はその圧倒的な性能をもって、『古の魔法帝国』の遺産である『ガイガン』を追い詰めつつあった・・・。
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ギャオオォォーーンッ!!
左腕のカギ爪『ハンマー・ハンド』を根元から吹き飛ばされ、『ガイガン』は青い火花を激しく散らしながらのたうち回る。
一方、『スーパーメカゴジラⅡ』は右腕の手首装甲をスライドさせ、鋭利な金属をの刃を突き出すと、再度ローラーシステムを起動させて『ガイガン』へ一気に接近する。『二代目ゴジラ』を追い込んだ『Gクラッシャー』を基に、近接戦闘用として新たに開発された武装『メーサー・ブレード』だ。
凄まじい電撃を纏い、高温に加熱された刃が、悶絶するガイガンの腹部を容赦なく突き刺そうと迫るが、『ガイガン』は残された右腕の鎌を地面に突き立て、物理法則を無視したバックステップを敢行。
『スーパーメカゴジラⅡ』のメーサー・ブレードは、あと数メートルというところで空を切り、バチバチと弾けるような音をたてる激しい放電の火花だけが散った。
「ガ、ガイガンが・・・。ま、魔法帝国の遺産が・・・追い詰められているだと!?」
アルバートら有翼人の祖国である『アニュンリール皇国』は、古の魔法帝国こと『ラヴァーナル帝国』が遺した魔導技術を数多く継承、所持している。
他国に対してあたかも後進国であるかのように振る舞っているが、実際は生物制御技術をはじめとする各種魔導技術において世界最先端を誇り、軍事力も『世界最強の国家』と国内外から認知されている『神聖ミリシアル帝国』さえ凌駕している。
その強大な軍事力の秘密は、本国の秘密研究施設に保管されている『ガイガン』たちだ。隊長機である『レクス』一体に加え、量産機である『ミレース』が数体、稼働可能な状態でコールドスリープされている。
しかし、『アニュンリール皇国』の魔導技術をもってしても、『ガイガン』の製造は実現困難であり、いまだ新規個体の製造技術は確立出来ていなかった。そのため、世界各地に工作員を派遣し、遺された魔法帝国の遺跡から稼働可能な個体を密かに回収し続けていた。
数年前、工業都市デュロで新たに見つかった『ミレース』・・・、つまり現在戦闘中のこの個体についても、工作員であるアルバートが日本国との戦争を利用して戦闘データを収集し、暴走したかのように見せかけて皇国本国へ持ち去る予定であった。
『古の魔法帝国』の遺産である『ガイガン』が、機械科学文明国家との戦闘で損傷を受けるとは微塵にも思っておらず、流石のアルバートも狼狽した表情を浮かべる。
「このままでは貴重な『ミレース』の損害が増えるだけだ・・・。口惜しいが、戦闘データの収集はここまでにして、皇国本国へ撤収する!!」
「なんとしても、本国へこのことを・・・、日本国の脅威を伝えなければ、今後の魔法帝国復活の最大の障害となる・・・」
『ガイガン』は背中の三枚の翼を限界まで駆動させると、重力を無視したかのような非生物的な急加速で一気に空へと舞い上がる。アルバートも騎乗していたワイバーンロードで、ガイガンと共にデュロからの離脱を試みる。
「敵『カギ爪怪獣』、逃亡を開始模様。全砲門、再照準! 絶対に逃がすな!!』
『スーパーメカゴジラⅡ』のすべての武装が再び熱エネルギーを帯び、虹色の光が収束し始める。だが、空中へ逃れたガイガンは、再びあの予測不能なコマ送り状のジグザグ機動を開始し、『スーパーメカゴジラⅡ』の照準を絞らせない。
「艦長、重力制御システムの再起動が完了しました! 本艦はいつでも浮上可能です!!」
『しんてん』のブリッジでは、ダウンした重力制御システムの復旧作業と併行し、『スーパーメカゴジラⅡ』と『ガイガン』の戦闘をモニタリングしていた。
重力制御システムが復旧したタイミングで、モニターを凝視していた艦長がある事実に気付く。
「『メガ・バスター』で吹き飛んだヤツの腕を見てみろ・・・。内部にコードやパイプのようなものが見えるぞ。まさかとは思ったが、あいつは純粋な生物ではない!!」
『スーパーメカゴジラⅡ』の『メガ・バスター』の直撃を受け、破壊された『ガイガン』の右腕の断面を捉えた画像を拡大し、それを指差しながら叫ぶ。
「おそらくヤツは、体の半分が機械、残り半分が生物のサイボーグ怪獣ってところだろう。だとすると、ヤツのあの異常な回避能力も説明がつく。」
「ヤツは、ただこちらの動きを見て避けているわけじゃない。こちらの指向性エネルギー兵器・・・、メーサー砲やビームが放たれる直前の『熱エネルギー』をセンサーか何かで瞬時に探知し、先読みして回避しているのだろう。本艦の艦主砲やメカゴジラの武装はどれも圧倒的な大火力ゆえに、発射前に凄まじい熱を発するからな・・・。」
「したがって、逆に熱をもたない攻撃ならヤツのセンサーを欺けるはずだ! 『しんてん』艦首砲の照射用意! 砲種は『冷凍メーサー』!!」
瓦礫に埋もれた『しんてん』の艦首が動き始め、空中を高速で飛び回る『ガイガン』に艦首超大型ドリルの先が向けられる。
「目標、前方『カギ爪怪獣』! 『冷凍メーサー』照射!!」
ごうてん型対特殊生物戦闘護衛艦の2番艦『しんてん』艦首に装備された超大型ドリル衝角の先から、青白く光り輝く極太の光線が発射された。青白い光線は、夕空を駆ける『ガイガン』へ向かって突き進む。
『ガイガン』の魔導熱センサーは、死角から迫りくる超低温の光線には何も反応せず、まったく探知出来ていなかった。完全に不意を突かれた『ガイガン』は回避運動を取る間もなく、その背部に『しんてん』の冷凍メーサーをまともに浴びた。
ギチチチッ・・・!?
絶対零度の冷気が、『ガイガン』の推進力を支えていた三枚の翼を一瞬で白く包み込んでいく。三枚の翼に内蔵された駆動関節や魔導推進器が瞬時に凍結し、あの不気味な慣性無視の超高速飛行がピタリと止まった。メイン推力が凍結され、『ガイガン』は激しくバランスを崩しながら高度を落としていく。
「『マグナムメーサーキャノン』フルチャージ完了、オールウェポン発射用意!!」
この決定的な勝機を、『スーパーメカゴジラⅡ』が逃す筈はなかった。動きを止め、完全に無防備で自由落下する『ガイガン』に向け、大地を震わせる咆哮のような駆動音とともに、『スーパーメカゴジラⅡ』のすべての砲門が同時に火を噴いた。
「全武装、一斉発射ァーーッッ!」
夕日に染まる空を真昼のように照らす、圧倒的な光の濁流。両目から『プラズマレーザーキャノン』、口から『メガ・バスター』、両腕の指先から『四連装プラズマメーサービーム砲』、無数のミサイル、そして腹部から内蔵武装で最大火力を誇る『マグナムメーサーキャノン』の超高エネルギー波が放たれ、落下する『ガイガン』を完全に呑み込んだ。
『スーパーメカゴジラⅡ』の全力砲撃は、ガイガンとともにデュロを離脱しようとしていたアルバートのワイバーンロードをも巻き込み、超高熱のエネルギーと爆炎の衝撃波が周囲を包み込む。
「バ、バカなっ! 魔法帝国の人工魔獣が、た、・・たかが、人種の操る機械の兵器ごときに!!!」
絶対零度の光線で凍り付いた身体に、今度は数万度にも及ぶ熱線のエネルギーと破壊の奔流が直接叩き込まれる。『ガイガン』のボディは激しい熱膨張と衝撃に耐え切れず、体内の魔導回路や機械パーツ、数少ない生身の部位すべてが焼き尽くされていく。
それが、アルバートが目にした最期の光景となった。
ドゴォォォォォンッ!!!
『工業都市デュロ』の空で一際巨大な大爆発が巻き起こり、『ガイガン』は頭部を含めた上半身が木っ端微塵に吹き飛び、文字通りのスクラップとなって真っ逆さまに撃墜されていった。
激しい戦闘が繰り広げられた『デュロ防衛隊陸軍基地』の跡地には、巨大なクレーターや倒壊して瓦礫となった建物、そしてサイボーグ怪獣だったものの残骸だけが残されていた。その上空には、ホバリングモードで周囲を警戒する『スーパーメカゴジラⅡ』、そして重力制御システムを復旧し、再び空へと舞い戻った『しんてん』が、勝利の余絨の中で並び立っていた。
この日、パルディア皇国最大の生産拠点であった工業都市デュロにおいて、日本国とデュロ防衛隊、そして『古の魔法帝国』の遺産である『ガイガンミレース』が激突。
日本国海上自衛隊のごうてん型対特殊生物戦闘護衛艦の2番艦『しんてん』を小破させるという本戦争初の大金星をあげることに成功するも、『スーパーメカゴジラⅡ』との戦闘で『ガイガン』は敗北。『魔帝遺跡研究班』の主任研究員にして、『アニュンリール皇国』の工作員であったアルバートも殉職することとなった。
またデュロ工業地帯、ならびに皇国三大基地の一つである『デュロ防衛隊陸軍基地』、そして虎の子であった『古の魔法帝国』の研究施設跡は完膚なきまでに破壊され、その機能を完全に停止する事となったのであった。
※ スーパーメカゴジラⅡ
出典 : ゴジラvsメカゴジラ(1993年)ポスター版
1994年の幕張決戦において、『二代目ゴジラ』との戦闘で大破した『スーパーメカゴジラ』を再設計し、後継機である『MOGERA』の新技術も導入して新規開発されたGフォースが誇る最新の超大型対G(ゴジラ級特殊生物)兵器。
巨大なメーサー砲塔(マグナムメーサーキャノン)を装備した水陸両用車両『ナーガ』が下半身を、四基の巨大なクローラーを備えた大型戦車のような機体『ガンダルヴァ』が上半身を、巨大なローターを両翼に装備した大型戦闘機『ガルーダⅡ』が頭部と翼、尻尾を構成し、これらが合体することで完成する。
それぞれの機体に動力炉(レーザー核融合炉)と冷却器を分散搭載することで、オーバーヒート対策を行いつつ、機体出力を『MOGERA』以上に向上させることに成功。これにより、これまで開発された対特殊生物兵器のなかで最大となる全12門にも及ぶ指向性エネルギー兵器を搭載している。
また『ナーガ』や『ガンダルヴァ』の大型車輪やクローラーは、合体後に『MOGERA』に導入された『ローラーシステム』として使用可能であり、従来のホバリングシステムと併用することで、地上を滑るように高速移動が可能。
これにより、『スーパーメカゴジラ』の課題であった地上運動性が大幅に改善しており、緊急時には手首装甲部に増設された『メーサー・ブレード』を使用した近接戦闘も可能となっている。
合体・分離は主にドック内で実施されるが、『MOGERA』同様、現場指揮官の判断で戦況に応じて分離し、三機による三面攻撃、または『ナーガ』と『ガンダルヴァ』のみが合体した超大型戦車形態の『ガンヘッド』として戦闘することもある。
武装:
プラズマレーザーキャノン 2門(両眼)
メガ・バスター(口部)
肩部ミサイル発射口
四連装プラズマメーサービーム砲 2門(両腕)
メーサー・ブレード (両腕手首)
マグナムメーサーキャノン(腹部)
足指部大型ミサイル発射口