中央暦1639年5月28日
クワ・トイネ公国 ダイタル平野
4月30日の政治部会において、クワトイネ公国の首脳陣から正式にダイタル平野の使用許可が得られた自衛隊は、5月4日から資材搬入と基地の建設を開始した。
施設隊を含め、派遣された師団総出で突貫工事を行い、5月24日には小型滑走路を含む陸・空複合の異世界初の自衛隊基地『ダイタル基地』が完成した。
これにより、スーパーXⅢのような大型航空機は無理でも、通常航空戦力であれば少数を運用可能となった。
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同日
城塞都市エジェイまで25kmの草原
エルフの疎開民団約200人が城塞都市エジェイに向けて歩いていた。
ロウリア王国軍の前にギムの町が陥落。
5月上旬には村にもこの知らせが届いていた。
しかしエージェイ山の雪解け水による河川の氾濫で橋が流され、大幅に遠回りしたためにエジェイへの到着がかなり遅れてしまっていた。
遠回りでここ数日歩きぱなしのため、皆の体力が落ちてきており、疎開集団の速度はなかなか速くならない。
そんな中、背後を警戒していた村民から悲鳴のような声が聞こえた。
「ロ、ロウリア軍だぁ!!!」
村民たちが後ろを振り返ると、ロウリアの騎馬隊と魔獣部隊が約5km後方の地点に見えた。
村人たちは、悲鳴をあげながら東へ向かって走る。
しかしロウリア軍はどんどん距離を詰め、疎開集団へと近づいてきた。。。
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ロウリア王国陸軍
東方征伐先遣隊
第15騎馬隊隊長、通称「赤目のジョーヴ」は、先遣隊副将アデムから命じられた城塞都市エジェイへの威力偵察の途中、200名くらいの女と子供を中心としたエルフの集団が、草原を東へ歩いて向かっていたのを見つけた。
久しぶりに見つけた目の前の獲物に、舌なめずりをしながら突撃命令を下す。
「野郎ども!! 獲物を見つけたぜ!! 突撃~!」
「ヒャッハー!!」
「エルフは消毒だぁ~!!!」
愚連隊のような集団は野蛮な奇声を叫びながら、アデムから預かったカマキラス以外の魔獣部隊と共に疎開集団に向かって走り出した。
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疎開集団へ向かって、ロウリア王国軍の騎兵と魔獣が迫る。約5km離れていた距離は、既に1kmにまで縮まっていた。村人の中には、諦めて地面にへたり込む者たちも出てきた。彼らの顔は恐怖に引きつっている。
3つの頭が付いた犬型の大型魔獣ケルベロス数匹が、最後尾の村人まで約500mを切った瞬間、ケルベロス周辺の地面に光の矢が突き刺さった。
轟音と共に火山が噴火したかのような大爆発が起こり、周辺に土埃が舞う。煙が晴れると、そこにはクレーターのように抉られた大地と粉々になったケルベロスだったものの破片が周囲に散らばっていた。
「ちくしょう!!一体なんだよ!?」
赤目のジョーヴの前には、バタバタと聞きなれない音を立てながら飛行する謎の黒い物体がいた。
「サイクロプス、オークロード、岩をぶつけてあの黒い奴を叩き落せ!!」
赤目のジョーヴが引き連れてきた力自慢の魔獣たちに命じると、サイクロプスとオークロードは、近くに転がっている岩を『AH-1S コブラ』に向かって投げ始めた。
こうしている間にも、他の騎兵や魔獣が疎開集団に迫る。
すると今度は、疎開集団の近くに銀色の鉄竜2機に吊り下げられた金属の箱が地面に着陸し、そこから『鉄の蠍』が姿を現した。
『鉄の蠍』は凹型の皿のような形の尻尾を迫りくるロウリア騎兵や魔獣たちに向け、先端からオレンジ色に輝きながら稲妻状に蛇行する光線を発射した。
村人やロウリア軍の騎兵からは、まるで尻尾から雷を出しているように見えた。
輸送支援機『AC-3 しらさぎ』2機によって、ダイタル基地から緊急輸送されてきた『90式メーサー殺獣光線車』の放った15万ボルト90式メーサー砲が直撃した魔獣は、一瞬にして表皮が炭化して黒焦げになる。
騎兵や同サイズの魔獣は、先のロデニウス沖大海戦において93式メーサー攻撃機と対峙した竜騎士やワイバーンと同じ運命を辿る。
そのままメーサー砲を照射しながら周囲の魔獣と騎兵を薙ぎ払うと、AH-1S コブラの相手をしていたサイクロプスとオークロード以外の魔獣、そしてその2体を操っていた赤目のジョーヴ以外のロウリア兵は全滅した。
「この化け物どもがぁ~!!」
赤目のジョーヴはオークロードを鉄の蠍に向かわせるが、再度、尻尾の先からオレンジ色の雷が放たれた。
「ひぃでぇぶぅ」
胸にメーサー砲を受けたオークロードは、断末魔の叫びをあげながら黒焦げになって倒れ、オークロードの後ろにいた赤目のジョーヴにもメーサー砲が直撃した。
オレンジ色の雷が直撃した瞬間、赤目のジョーヴは体中が地獄の窯で焼かれるような感覚とともに永遠に意識を無くした。
サイクロプスもコブラからのロケット弾を複数受け、粉々に粉砕された。
この日、エルフの疎開集団を襲撃しようとしていたロウリア王国軍の先遣隊、及び魔獣部隊を警戒中のコブラが発見。
輸送支援機『AC-3 しらさぎ』2機によって、ダイタル基地から緊急輸送されてきた90式メーサー殺獣光線車と共にこれを殲滅した。
また保護されたエルフの避難民約200名は、輸送ヘリ『CH-47チヌーク』で城塞都市エジェイまで送り届けられた。
※ 90式メーサー殺獣光線車
出典 : ゴジラ×メカゴジラ(2002年)他
66年の対ガイラ戦にて初の実戦投入され、その威力を遺憾なく発揮した66式メーサー殺獣光線車の後継機。第一次モスラ事変において、ロリシカ陸軍から供与された原子熱線砲を研究し、熱エネルギーの集中照射型発射機として日本独自に開発した経緯がある。
誘導放出された15万ボルトのメーサー光線(誘導放出されたマイクロ波)を照射し、命中した対象の水分を沸騰させ細胞組織レベルで焼き払いダメージを与える。
対生物には絶大な効果をもつが、雨天時にはエネルギーが水蒸気となって減退するため光線威力が減衰する、全身が金属で出来たロボットや兵器には効果が大幅に低下するなどの弱点がある。
上記欠点を踏まえ、以降はプラズマ加熱ミラータイプにへの置き換えが進んでいるが、製造コストや比較的小型で運用がしやすい点から今でも対特殊生物兵器として現役で活躍している。
武装:
15万ボルト90式メーサー砲1基
※ AC-3 しらさぎ
出典 : ゴジラ×メカゴジラ(2002年)他
メーサー部隊の迅速な展開のために開発された支援用航空機。メカキングギドラから得られた反重力システムや重力制御等を試験的に導入したことで、自機よりも重量のあるメーサー兵器などの大型車両を空輸することが可能となった。
これにより、いつどこに出現するかも不明な特殊生物に対し、迅速な防衛線の構築を実現した。90式メーサー殺獣光線車などの陸上メーサー兵器であれば、二機での空中輸送が可能。
ダイタル基地の完成に伴い、マイハーク港から90式メーサー殺獣光線車等の戦闘車両を順次輸送していた。派遣された最後の1両が輸送されているさなか、コブラからの緊急連絡を受け、避難民の救助と魔獣部隊撃滅のために現場に急行した。
武装:
対地攻撃用バルカン砲2門