東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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021. ロウリア王国の誤解

 

中央暦1639年8月10日 昼過ぎ

王都ジン・ハーク ハーク城

 

 

王都ジン・ハークにあるハーク城で開催されている軍議は、昼過ぎになった現在も続いていた。

 

ロウリア王国三大将軍の一人であるミミネルが、午前中に決定した方針をまとめる。

 

「それでは今後のクワトイネ・クイラへの再侵攻計画については、一旦は国内の守りを固めることを最優先とし、軍の体制を立て直してから再度協議するものとする。

 

またクワトイネ・クイラ連合軍や奴らに味方する日本国の逆侵攻に備え、工業都市ビーズルに陸軍戦力の8割を集結されることで、陸路による侵攻に対する防衛を強化する。

 

さらに巨大艦船による海からの侵攻に備え、ここ王都ジン・ハークの北東の海域にて木造帆船2000隻による艦隊を展開し、リアン海岸からの敵上陸を阻止する。」

 

今後の方針が凡そ決まったことで軍議は一旦休憩を挟むこととなり、出席していた軍幹部たちも身体を伸ばしてストレッチするなど一息つく。

 

午前の軍議では、主に現状報告と方針決定がメインであったため、午後からは侵攻失敗における最大の疑問である『カマキラスの全滅』について、話し合いが開始された。

 

「それにしても連中はどうやってエジェイ攻略戦において魔獣部隊、それも3匹もいたカマキラスを屠ったのでしょうか。海戦同様、強力な大砲が使用されたのでしょうか・・・」

 

軍議に参加していた軍幹部の一人が、疑問を投げかけた。

 

「海戦では、文明圏の武器である大砲が使用された可能性を指摘されているが、陸戦でそれほどの威力が出せる大砲を持ち運びするのは不可能だ。以前、シャークン海将と列強パーパルディア皇国の軍事パレードに招待されたとき、『牽引式魔導砲』とかいう種類の大砲を見たことがあったが、その大きさは戦列艦という艦船が搭載しているものよりも小さかったぞ。」

 

ミミネル将軍は、数年前に見た列強パーパルディア皇国の軍事パレードを思い出しながら、大砲が使用された可能性を否定した。

 

「部隊が壊滅してしまって詳細が不明というこもあるが、『ロデニウス大陸沖大海戦』で報告されていた荒唐無稽な敵の話は、間諜からも殆ど報告されていない。私個人としては、敵は何か強大な魔法を使用したのではないかと考えています。ヤミレイ殿はどう思われますか?」

 

ロウリア王国軍防衛騎士団将軍のパタジンが、隣の席に座っていた王宮主席魔導師のヤミレイに話かけた。

 

ヤミレイは腕を組みながら、自分の知っている魔法の中で、カマキラスに対して有効打になりそうなものがないか考え始めた。暫く熟考した後、何かを思いついたかのようにはっとした顔になった。

 

「ミミネル殿! カマキラスが撃破された件について、その要因が分かったかもしれません! 魔獣部隊を指揮しておりましたアデム副将について、少しお尋ねさせて頂きたい。アデム副将は投降した捕虜に対し、どのような扱いをしておりましたか?」

 

ヤミレイは、ミミネル将軍に尋ねた。

 

「今は亡きパンドールから、非常に優秀な魔獣使いでなかなかの戦術眼をもった男だと聞いたことがある。だが同時に非常に冷酷かつ加虐嗜好なところがあり、陥落させたギムの町では町人や捕虜たちを生きたまま魔獣に喰わせるなど、とんでもない行動をとっていたらしい・・・」

 

「やはりそうですか・・・。ミミネル殿、敵はおそらくアデム副将の『その行動』を見越した対策をとっていた可能性があります!」

 

「? どういうことだ?」

 

ミミネルはヤミレイの話していることが理解できず、首を傾げる。

 

「非常に高度かつ危険な魔法のため、使用した魔導士の話は殆ど聞いたことがございませんが、高位魔法の中には、『メガンテ』という自らの命を触媒にして自爆し、木っ端微塵に吹き飛ぶ禁断の術がございます。もしエジェイ手前の村で、高位魔導士たちが村人を装い、アデム殿の部隊にわざと投降したとするとどうなるでしょう・・・。」

 

ミミネルはヤミレイが話そうとしている内容を理解し、言葉を続けた。

 

「そういうことか・・・。カマキラスは大型魔獣の5倍以上の体躯をもつ超大型魔獣だ。それゆえ、一日に食べる食料の量も普通の魔獣の比ではない。もしエジェイのような攻略に日数がかかる戦いの直前に、『現地調達可能な食料』が手に入れば、アデムは間違いなくそれを使用するだろう。」

 

「ご推察の通りです・・・。そのうえ『生きたまま喰わせる』のであれば、尚更です。いかに固い外骨格をもっていようと、喰われた瞬間、口中、または体内のような柔らかくて衝撃を逃がすことが不可能な閉鎖環境下で、高位魔導士に自爆魔法を使用されれば、カマキラスといえど一溜まりもないでしょう・・・」

 

「クワトイネはエルフ族が多く、高位魔法が扱えるハイエルフの魔導士たちがいる話を聞いたことがある。奴らが捨て身で自爆魔法を使用したのであれば、戦闘後の大地が焼き焦げ、凸凹の穴だらけになっているのも説明がつくな・・・」

 

軍関係者一同は『なぜカマキラスが敗れたか』について、ヤミレイの推察、そしてミミネル将軍の話した論拠が正しく思えて、納得したように全員が頷いた。

 

「ですが、その状況を言い換えますと、クワトイネやそれに味方する連中は、『高位魔導士たちに自爆魔法を使わせる他ない』ほど追い詰められていたということになります。我が国も大きな被害を受けていますが、敵も同じだといえます! 幸いなことに、自爆魔法は近付かれなければ、そこまで脅威ではありません。今後の陸戦では、矢やバリスタ、攻撃魔法で遠距離戦を心掛けるべきです。」

 

その後、陸戦における対魔導士向けの対策が話し合われ、工業都市ビーズルには弓兵やバリスタが多数設置され、一方リアン海岸周辺には、上陸防止の土塁や防護柵が築かれたのであった。

 

 

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中央暦1639年8月26日

城塞都市エジェイ北側 『ダイタル基地』

 

 

城塞都市エジェイ北側に建設された自衛隊基地『ダイタル基地』にある会議室では、『ロウリア王国 首都鎮圧計画』に向けた作戦会議が開催されていた。

 

「これより、ロウリア王国の首都ジン・ハークで実施予定のロウリア王 ハーク・ロウリア34世捕獲作戦の会議を開始いたします。」

 

「今回は、特殊生物を用いた犯罪を行った敵首領の確保ということもあり、警視庁の特殊部隊『SUMP』との共同作戦となる!」

 

警視庁から派遣された特殊部隊『SUMP』の隊員たちが敬礼する。

 

「ハーク・ロウリア34世には、特殊生物を用いたテロ行為、及びギムの町の住人虐殺容疑がかかっています。そのため今回は特例として、我々が派遣されることとなりました。どうぞよろしくお願い致します。」

 

挨拶が終わると会議室の照明が消され、スクリーンに地図と作戦概要、そしてクワトイネ公国から提供されたロウリア王の魔写が表示された。

 

「本作戦の最終目的は『ハーク・ロウリア34世の身柄を確保し、この戦争を終結させる』ことである。ロウリア王国はいまだ多くの軍船と兵を有しており、今回の侵攻を首謀したロウリア王を除外しない限り、再度侵略を行う可能性が高い! 我が国と異世界初の友人たちを救うためにも、本作戦は1回で成功させなければならない!!」

 

「高空偵察の結果、現在、ロウリア王国陸軍は国境近くの工業都市ビーズルに戦力を集中し、また海軍は王都北東方向の海域に展開を開始しています。そこで海自と陸自で協力し、双方に攻撃を仕掛ける陽動作戦を実施致します。」

 

「また可能な限り王都の兵を釘付けにするため、AC-3 しらさぎによる空中輸送でメーサー小隊をはじめとした陸上戦力を王都前の大平原に展開させます。その隙に、ハーク城中庭にある広場でヘリボーン作戦を実施し、少数精鋭での身柄確保を行います!」

 

会議は夜まで続き、ロウリア王国軍に対する陽動作戦、そしてロウリア王捕獲作戦の詳細が綿密に練られたのであった。

 

 

 

 

※ 警視庁 特殊部隊 SUMP

出典 : ゴジラVSデストロイア

 

1989年のビオランテ事変における、サラジア共和国やバイオメジャーによる二代目ゴジラを利用したテロ、さらには1995年のスペースゴジラ事変における、サイコトロニックジェネレーターを悪用したゴジラの生体兵器化計画などの事件を踏まえ、特殊生物に関連した犯罪に対応するために組織された特殊部隊。

 

1996年のデストロイア事変において初投入され、臨海副都心でデストロイア幼体群と交戦した。デストロイア幼体のミクロオキシゲン攻撃により、隊員の多くが殉職する大きな被害を受けたため、現在ではアサルトライフルや火炎放射器、ロケットランチャーと言った従来の銃火器に加え、自衛隊やGフォース協力のもと、メーサーライフルも装備している。

 

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